さまざまな「魚の雨」
今年の冬の日本は雪が降ったり、あるいは降らなかったりと気候もめぐまる・・・いや違う・・・めるまぐ・・・めまぐるしく変化している地域が多くなっていますが、近年では春が近づくと、海外ではいろいろと妙なものが降りやすくなっているようです。
エチオピアでは、ディレ・ダワという街に「魚の雨」が降ったことが、現地のエチオピアン・ヘラルド紙において報じられていました。
記事の扱いは、大統領関係の記事に次ぐ堂々たる一面です。
2016年2月2日のエチオピアン・ヘラルドの一面より
もし、エチオピアのムラトゥ大統領が何の賞かわからないですが、この賞を授与されていなかったなら、「魚の雨のニュースが国の報道機関のトップニュース」だったと考えると、やや惜しい感じがします。
このエチオピアン・ヘラルドというのは、URL を見ますと「 gov 」という、政府機関を示す文言が入っていて、どうやら政府系メディアということのようですので、そこは民政の大統領でしたら、
「今日のトップ記事はオレの賞ではなく、魚の記事でいきなさい」
とひとこと言ってほしかった感じもします(そうかよ)。
さて、エチオピアの政治問題はともかく、降ってきた魚の様子は、現地の方によるものだと思われますが、Youtube などにも写真が投稿されていまして、それによりますと、降った魚は下のような種類のもののようです。
いろいろと説明を書いてくださっているのですが、残念ながらエチオピア語のようで、詳しい内容はわかりません。
海の魚かそうでないのかも私にはわからないですが、ただ、このディレ・ダワという都市は、Wikipedia によれば、エチオピア第2の都市で、比較的大きな街のようなんですが、場所は下の位置なんですね。
海からはかなり離れている上に、周囲には大きな川や湖も見当たらず、どちらかというと、「魚の降りにくい場所」ではあるようには思います。
ちなみに、エチオピアは結構広い面積の国でして、上と同じ縮尺で日本の本州を載せますと、下のようになります。
エチオピアの地図での「海からディレ・ダワ」は、日本の東北のあたりでは「太平洋から日本海」くらいある距離で、悪天候などで空を魚が旅をするには少し遠い気はします。
海が近いところで魚が降るなら、そんなに珍しい感じはしないですが。たとえば、下は 2012年の8月に、悪天候による「貝や魚の雨」で海岸が覆い尽くされたロシアのウラジオストクで人々が魚介類を拾う様子ですが、海辺のウラジオストクなら何となく理解できます。
魚と貝の雨が降ったウラジオストク 2012年8月30日
昨年も春になってから、海外では「魚の雨」の報道はありました。
まず、4月にタイで魚の雨が降ったという報道があって、6月になると、インドのナーシクというところで雨が降ったことを、
・北緯33度線に絡みつくように勢力を拡大する IS 。そしてギリシャの周辺で起きるかもしれないこと
2015/07/02
という記事の前振りで書きましたけれど、インドのほうは確かに「魚の雨」だったようです。
2015年6月 インドのナーシクに降った魚の雨
ところが、タイのほうは、かなりメジャーなメディアでも報道されていたのにかかわらず、魚が降ったというタイの「都市名」が記載されていないことが気になっていました。報道で地名が記載されてないのは珍しいことだからです。
過去記事に載せた「タイの魚の雨」として報じられた写真のひとつ
そして、あくまで私感でしたので書きませんでしたが、上の写真を見て「この写真はタイの光景らしくない」と感じていました。街路樹にしても、人々の服装にしても、建物にしても「何か妙な感じがする」とは思っていたのですが、その時はそう思うだけでした。
しかし、その後「偶然」見つけたインドの報道記事によって、おそらくとしか言いようがないですけれど、これは、「中国での魚を積んだトラックの事故の写真を、タイで魚の雨が降ったと広めたもの」の可能性があることにたどり着いた次第です。
下がインドの報道です。
2015年3月20日のインド英字メディアより(中国貴州省の凱里市というところ)
多分、間違いなく先ほどの写真と同じ風景だと思われます。
というわけで、昨年のタイの「魚の雨」はどうやら違ったようです。
そういえば、昨年の春の「降りもの」といえば、
「ノルウェーでミミズの雨が降ってきた」
という、こちらは、視覚的イメージとしては、やや困った感じの雨について報道されていたことを、
・ノルウェーの広範囲で「ミミズの雨」が降ってきた
地球の記録 2015/04/17
という記事でご紹介しました。
2015年4月16日のノルウェーの英字メディアより
ミミズが降っていたのが最初に発見されたのは山中で、まだ雪が残っている場所でしたが、この日、ノルウェーでは、他にも各地でミミズが降ったことが報告されたそうです。
しかしですね、このミミズというものは、「たかがミミズ」といえるものではないことが最近わかってきています。
綿年たちは「ミミズのおかげで地球上に生きていられる」可能性が高い間です。
英国大学の研究で、「ミミズは、地球の地表の自然の循環系を根本から支えている生物かもしれない」ことが昨年わかったりもしています。下は AFP の報道からの抜粋です。
「毒」も平気で摂食するミミズの謎、英研究で解明
AFP 2015/08/05
ミミズは、他の草食動物には毒性を示す葉も喜んで食べる──なぜミミズだけが大丈夫なのかは、これまでずっと謎だったが、8月4日に発表された研究結果によると、ミミズの消化管内では、空腹の草食生物を追い払うための植物の毒を無効化する化合物が生成されているのだという。
英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された論文には「ミミズは、一種の特異な表面活性代謝物を消化管内に保有している。この物質を『ドリロデフェンシン』と命名した」と記されている。(略)
英インペリアル・カレッジ・ロンドンは声明を発表し、「もしドリロデフェンシンがなければ、落ち葉は非常に長期間にわたって地表にとどまり、堆積して厚い層になるだろう」とバンディ氏の発言を引用。そして「すべては落ち葉に埋もれて見えなくなり、炭素循環系全体が崩壊する」と伝えた。
難しいことはともかく、
「もしミミズが存在しなかったら、この地球は落ち葉で埋もれて機能しなくなる」
ということのようなのです。
おそらく、この世で「ミミズだけ」が消化器官内に持っている物質が、落ち葉などを完全に土に戻す作用を有していると考えられ、つまりは、ミミズがいる限りは、地表の基本的な生命の循環系は守られるということのようです。
逆にいえば、「ミミズがこの世からいなくなったら、地球の循環は崩壊する」ということで、ミミズが空から雨あられと降り注ぐことも悪いことではないかもしれないです。
そういう毎日、たくさんのミミズが空から降ってくる時代がじきにやってくるかもしれないですね(それはちょっとやだ)。
・・・確かに、ミミズの雨が降るという光景はちょっとアレですが、そういう方には、ミミズが大活躍する 1976年の映画『スクワーム』という「町中がミミズで覆い尽くされ、住民たちもみな食べられてしまう」という映画などもご参考になさると…(そんな映画をお勧めするのはやめなさい)。
話が脱線しましたが、最初に書きました「エチオピア」というのも、地球と人類の未来などをいろいろと示唆するものではあるのですが、今回は過去記事をリンクするにとどめさせていただきます。
最近では、ボブ・マーリーなどが唱えていたレゲエの「ラスタファリ運動」というものが「エチオピアの皇帝ハイレ・セラシエ1世を《ユダヤ教の神の生まれ変わり》だとしている」ということなどを記した、
・救世主はイエスかヤハウェの化身かボブ・マーリーか : ユダヤ教とレゲエの「ジャー・ラスタファリ」と失われたアークの奇妙な関係
2015/09/08
あるいは、エチオピアは、「世界で唯一、線で描いた五芒星を国旗に使っている」ことなどを、
・五芒星の国が示す世界の行方
2011/01/24
に書いたことがあります。
エチオピアの国旗
単に星(★)マークを国旗に採用している国はたくさんありますが、「線で描く正式な五芒星」を使っているのはエチオピアだけだと思われます。
ついでというわけではないですが、「降ってくる関係」のニュースといえば、「記録上、初めて隕石によって人が亡くなった」ということが報道されています。
隕石が初めて人の命を奪ったかもしれない日
インドのタミル・ナードゥ州ヴェルールという場所で、「隕石の直撃で男性が死亡した」という報道がありました。
報道では、この死亡事故に対して、タミル・ナードゥ州のジャヤラリター首相が、「ヴェールール県にある工科大学のキャンパスに隕石が落下し、不運な出来事があった」と声明を出し、その男性の死亡事故が隕石によるものだと公式に発表したのでした。
インド NDTV の報道より
・NDTV
そして、この報道の直後から、
「これは、人類史の記録に残る上で初めての『隕石での人の死』ではないか」
ということが、英国デイリーメールや、WIRED などをはじめとして、述べられ始めたのでした。
私は、それらを見て、「今まで、隕石が当たって死亡した例ってなかったのか・・・」と初めて知りまして、その一方で「ほんまかいな」とも思いましたが、しかし少なくとも、記録の上ではないようです。
WIRED の記事には下のようにありました。
「国際彗星季報(ICQ)」が記録しているリストによると、隕石の落下による死亡はこれまでに確認されていないが、興味深い危機一髪の事例はたくさんあった。例えば、隕石が家に落下し眠っていた人々にあたりながら、誰も死には至らなかった事例などがある
建物および人間近辺に落下した隕石に関する広範な研究報告(1991年)によると、隕石の衝突は比較的よくあるということがわかっている。
この報告では、1790年以降の、人工的構築物への隕石衝突例69件が一覧にされているが、そのうち57件は20世紀中に起きている。またこの報告では、人体へのニアミス25件も挙げられている。
隕石の家や人間へのニアミスの記録はあるけれど、「死亡した例は(記録の上では)ない」ということです。
上にある「隕石に関する広範な研究報告」は、王立天文学会カナダ支部が 1991年にまとめた「隕石落下での被害の可能性( Possible hazards of meteorite falls )」という論文ですが、そこには下のように、「ニアミス例」が具体的に記載されています。
・Possible hazards of meteorite falls
赤で注釈を入れたものなど「1メートル離れたところに落ちた」というような事例もいくつかあったりしまして、非常に接近して落ちているのに「人には当たらない」・・・。隕石と人間は、こういう関係で長くやってきたようなくんですが、今回、インドで不幸にして死亡事故にいたってしまったということのようです。
記録されている上でだけとはいえ、人類史で初めて。
人類史で初めて・・・という響きが、それなりの感じもしまして、このことを取り上げてみました。
ちなみに、最近のインドは隕石がよく落ちているようで、1月26日にも、同じヴェールールに落ちたそうです。
2016年1月26日にインド・ヴェールールに落ちた隕石のクレーター
今年も含めたこの数年は、「空から落ちてくるいろいろ」のニュースがとても多いです。おそらく、空の関係の出来事はまだ起きるように思いますので、今度何か起きた時には(多分すぐ起きます)、過去の出来事をもう一度別の視点からまとめてみたいと思っています。
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