あの夏、いちばん静かな…
先日、以下の記事で、現在のドイツのことについて書きました。
[記事] 街灯は消され、レジャーも消え、お湯も配給制、薬もない…ついでに医者もいない…。ドイツの現在の「破綻」の状況を日本もそのうち経験する?
In Deep 2022年7月10日
エネルギー問題で、ドイツはいろいろと大変なことになっているようなのですけれど、その後に起きたこととして、これは事前にロシアから通知されていたことですが、ロシアからヨーロッパに天然ガスを送っていたパイプラインであるノルドストリームというのが「保守点検のため」に 7月11日に「ガス送信が停止」されました。
ノルドストリーム、検査でガス供給停止 再開不透明
日本経済新聞 2022/07/11
ロシアとドイツをつなぐ天然ガスの主要パイプライン「ノルドストリーム」は11日朝、定期検査で供給が止まった。毎年恒例の検査で21日ごろまで続く予定だが、経済制裁やウクライナへの武器供与を理由に、ロシア側が検査終了後も供給停止を続ける恐れがある。
ここに、
> ロシア側が検査終了後も供給停止を続ける恐れがある。
とありますが、もし仮に、 7月22日にガス供給が再開されない場合、ヨーロッパは全体として大変なことになるという予測等が数多く伝えられています。
米ゼロヘッジなどは、以下のような激しいタイトルの記事を挙げていました。
ヨーロッパの7月22日の「終末」に向けての世界の覚悟
The World Braces For Europe's July 22 "Doomsday"
現時点でさえ天然ガスや石油などを含めて、ドイツを含めたヨーロッパは、いろいろと大変なようなのですが、それに加えて最近、ドイツ政府は衝撃的な発表をしています。
「ドイツ政府は、ロシアからの石炭の輸入を 8月1日から停止する」
と米ロイターは報じていました。
記事には、
> ドイツは 8月1日からロシアの石炭の輸入を停止し、12月31日からロシアから原油の輸入を停止する。
とありました。
「いや、それだとエネルギー何もなくなっちゃうじゃん」とは思います。
・ロシアからの天然ガスは保守のため停止
・ロシアからの石炭の輸入停止
・ロシアからの原油の輸入も停止
ロシアからの天然ガスの代替として、ヨーロッパでは、「アメリカから」天然ガスを多く輸入していました。
そのアメリカでは……。
アメリカで2番目に大きな天然ガスの輸出企業であるフリーポートLNG 社では、今年 6月に、輸出施設で「謎の爆発」が発生しました。以下の記事で取りあげています。
[記事] 全米第4位の輸出量を持つテキサス州の液化天然ガス輸出ターミナルで「原因不明の爆発」が発生。これにより施設は閉鎖
地球の記録 2022年6月9日
原因不明の爆発が発生したのは、6月8日ですが、最近のニュースでは、
「稼働停止は長期となる」
と伝えられています。
さらには、ヨーロッパは、オーストラリアの企業からも天然ガスを輸入していますが、オーストラリアのシェル社が、
「期間不明の操業停止」
と伝えられています。
こちらは事故ではなく、賃金についての労働争議が原因とあります。
いずれにしましても、ヨーロッパが天然ガスの輸入で頼りとしていた多くの企業や施設が、閉鎖、操業停止などになっています。
これを受けてというわけではないでしょうが、ドイツ政府の連邦ネットワーク庁の長官が、
「来年には、ドイツのガス価格が今の3倍になることは間違いないだろう」
と述べたことが報じられています。
もうすでにドイツでは、エネルギー料金なども上がっていて、そこから 3倍というようなことを述べているのですが、ドイツでは電気代もすでに、昨年比で 5倍、 6倍というようなことになっていますが、さらに上昇する可能性があります。
つまり、2021年比で、10倍とか 15倍とかになる可能性もないではもない。
ここまできますと、現実的な価格水準ではないような気もしますが、現実化する可能性をドイツの政治家自身が述べているのですから、なるということもあるのかもしれません。
さて、そして、このロシアからの石炭の輸入禁止や原油の輸入停止は「対ロシア制裁」という名目です。
その制裁対象のロシアは現在どうなっているかといいますと、「直近の第2四半期の経常黒字が過去最高」となったと米国ブルームバーグなどが報じています。
その額、日本円で約 9兆6000億円。
2022年上半期のロシアの経常黒字は、約 19兆円。
どちらも、ロシアで過去最大です。
(報道) ロシアの第2四半期の経常黒字が過去最高の701億ドル(約9兆6000億円)に (2022/07/14)
つくづく、今年 4月の以下の記事のタイトルを思い出します。
[記事] 誰を崩壊させるための対ロシア制裁なのか。目指すのは西側の自死?…
In Deep 2022年4月2日
極端なエネルギー不足というのは、あらゆる産業に影響します。
外食等はもちろんですが、食糧生産自体も影響を受けます。
最近、日本でも「節ガス」なんてことが報じられていましたが、報道の中にありますように、日本では、ラーメン屋さんやおそば屋さんやおでん屋さんなどのように、営業時間中、ガスをつけっぱなしという業態は多いです。銭湯や日帰り温泉などもそうです。
結局、現代社会というのは、
「ガスがなくなると、一部の産業の機能が完全に崩壊する」
というのが現実的な話です。
エネルギーが本格的に危機的になった場合、部分的ではあるとはいえ、社会が少しずつ停止していくわけです。
今のドイツ政府の無茶なやり方を見ていますと、
「わざとか?」
というようには思います。
これでは本当に、何もなくなり、それで幸せ……というスローガンのグレートレリセットに突入してしまう。
先ほどリンクしました過去記事では、カナダのグローバルリサーチの記事をご紹介させていただいていますが、記事の締めは以下のように書かれていました。3ヵ月以上前の記事です。
(グローバルリサーチの記事より)
> プーチン、ゼレンスキー、戦争全般、またはウクライナについてどのように感じているかに関係なく、巨大なものと対峙する時が来た。
>
> 私たちは考える必要がある。
>
> 「これらのロシア制裁の本当の目的は正確には何なのか?」
>
> そして、
>
> 「なぜこれらはグレートリセットの内容と完璧に一致するのか?」
>
> ということを。 (globalresearch.ca)
欧州委員会と世界経済フォーラムによるワクチンパスポートが「失敗」した今、他のもので同じような機能を持つ「IDシステム」が必要になっていると思われます。
それは、もしかすると食糧配給であり、エネルギー配給が鍵になるかもしれません。
[記事] 何が起きているのか : 欧州委員会の2018年の勧告通りに進んでいたワクチンパスポート計画が「実施予定当年」である今年に次々と撤廃されている背後にある「不気味」
In Deep 2022年2月23日
上の記事では、最後に、
> とにかく今の世界は普通の状態ではないと見られます。
>
> そして、おそらく元の生活にはもう戻りません。
と書いていますが、ドイツの最近の「政策」にそれを最も感じます。
この数十年の慣例化した社会を完全に破壊する。
しかし……日本は……大丈夫なんでしょうか。
ドイツ以上に資源がない。
ふと、ドル円チャートを見ますと、「今日にも 140円に届くような円安」を示していました。こんなに急激で過激な変動って、過去になかったのではないですかね。
2022年7月14日午後5時30分のドル円チャート
sbisec.co.jp
いろいろとどうなっちゃうんだろうなあ……とは思いますが、食糧もエネルギーも、夏が終わった頃には、主要国はどうしようもない状態になっているのかもしれません。
ささやかな地獄の夏の入口ですね。
……昨晩、二十代の頃から定期的に見ている映画「フルメタル・ジャケット」をまた見ていたのですが、最後のほうに、ベトナム人少女の狙撃手を主人公が拳銃で射殺する後の場面で、それを見ていた米軍の黒人兵士が、
「ファッキン・ハードコア… (強烈すぎる)」
と呟くシーンがありますが、最近の経済報道を見ていて、私もよく「ファッキン・ハードコア…」と呟きます。
まあ、なんというか、今後半年から2年くらいの間は、「戦争」の最終段階になると思われます。
どちらが勝つかはわかりません。
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