2016年5月4日の米国CNNより
・CNN
十分に法律に違反するほど若い頃から大酒飲みで、今も大酒飲みなのですが、たまに「さすがに肝臓がかわいそうかもしれない」と思いつつ、やはり休肝日はほとんどとらず、お酒を休む日は、実際に体調を崩して休む時に初めて「ノックダウン休肝日」という感じで休むこともあるというような日々を送っています。
ちなみに、「お酒は肝臓に悪い」と言われることもありますが、確かに毒素を分解するのは肝臓ですので、1日にワイン 10リットルとか日本酒3升とか、そういう量を飲み続ければ、確かに良くないような感じもしますが、まあしかし、結局「人による」という部分は大きいのでしょうね。
現代医学は、何もかも「一律に見る」という傾向があって、人それぞれの特性というのはあまり考慮しない部分があります。
まあしかし、それはともかく、私の父親などは、私の若い頃、それこそ毎晩1升くらい飲んでいたような記憶がありますが、それでも飲んで乱れるようなことは一度もなく、また父親は教師だったのですが、朝は毎日午前5時くらいには起きて家族の弁当を作ってから出勤していました。私も二日酔いというのはしませんが、父親もほとんどなかったようで、そのあたり血統というのはあるのかもしれません。
まあ、しかしそれはともかく、「肝臓」という言葉を出したのは、まあ個人的な(明らかな)飲み過ぎが気になったと共に、冒頭のアメリカの C型肝炎の死亡者数が劇的な増加を示しているという記事を読みまして、調べていますと、「そうなの?」と思うことが結構ありましたので、記しておきたいと思った次第です。
ところで、肝臓の病気で厄介なものとしては、肝硬変や肝ガン(肝臓ガン)がありますが、それらの主な原因というのはご存じでしょうか。
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肝硬変と肝臓ガンの原因の90%以上は肝炎ウイルス
下は、肝硬変の原因の主な分布です。元の肝炎情報センターのグラフは略英語で記されていますので、日本語になおしています。
肝硬変の成因
・国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎情報センター
正確には「C型肝炎」、「B型肝炎」の後に「ウイルス」という単語が入り、正しくは、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスとなりますが、入りきらないですので、ウイルスの部分は省略しています。
これはガンでもほとんど同じで、下のグラフは佐賀県(日本で最も肝ガン死亡率が高い)のデータですが、どこでも同じような分布だと思われます。
肝ガンの原因
肝臓の重大な病気はほとんどが肝炎ウイルスが原因となっていて、その中でも、肝臓に継続的なダメージを与えるのが、 B型肝炎ウイルスと C型肝炎ウイルスであることがわかり、そのうちでも「 C型肝炎」が、重大な病気に対して非常に大きな役割を果たしていることがわかります。
ところで、このウイルス性肝炎というものには、A型肝炎ウイルスとか、 B型肝炎ウイルスとか、 C型肝炎ウイルスとか、他にも、D型、E型、F型、G型などがあるそうですが、その違いが私たちにはよくわからないのですが、感染経路に関しては、
・A型肝炎 感染源が生水や汚染された食品などで、「口」から経由
・B型肝炎 血液、体液などから感染
・C型肝炎 血液、体液などから感染
となっていて、このうち、肝硬変や肝ガンなどに結びつきやすい C型肝炎の説明については、以下のようになっています。
C型肝炎 - Wikipedia
C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス (HCV) に感染することで発症するウイルス性肝炎の一つ。
現在の日本のC型肝炎ウイルス感染者数は約200万、世界では1億7千万(世界人口の3%近く)がキャリアであると見られている。
となっていて、全世界で 1億7千万人も感染者がいるということのようで、。こうなりますと、これは特別なウイルスでも何でもなく、キャリア率3%となりますと、変なたとえですが、「風邪が流行していない時に風邪を引く程度」の、病気としては非常にキャリア率の高いものだといえそうです。
なぜC型肝炎ウイルスの感染経路は「間違っていること」が承知の情報が流され続けているのか
それでですね。
これだけ膨大な数の人が感染してい病原ウイルスがどのように感染するのかということを、同じ Wikipedia で見てみます。
感染経路
C型肝炎ウイルスは血液が主な感染経路で、かつては輸血による感染が多かった。ディスポーザブル注射器の普及により現在においては先進国では検査体制が確立したためほとんど見られない。
現在は針刺し事故や刺青、覚醒剤注射の回し打ちなどが主である。B型肝炎と異なり、性行為ではほとんど感染せず、また母子感染も少ない。
ということで、
> 現在は針刺し事故や刺青、覚醒剤注射の回し打ちなどが主である。
とあります。
この部分を読んで、私は、「日本で 200万人もいる感染の原因が、刺青、覚醒剤注射の回し打ち・・・? 世界で 1億7千万人もいる感染の原因が、刺青、覚醒剤注射の回し打ち・・・? そんなにいるわけないだろ」とやはり思いました。
日本中のすべての該当する人を合わせたって、そんなにならない気がします。
「なんだかおかしいなあ」と思って、こういう時には国立感染研究所のデータ、と調べてみましたら、以下の記述に突き当たりました。
赤い字はこちらで修飾しています。
国立感染研究所「C型肝炎とは」(2013/06/19)より
また、感染原因・経路別に分類したところ、原因不明62%、針等刺入22%、性的接触11%の順であった。このように、血液検査で肝機能異常が指摘されるまで診断が難しい症例が多く、感染原因・経路が不明な症例が過半数を占めていることからも、自覚症状が無く感染に気がついていない症例が多い可能性が強く示唆された。
我が国のC型肝炎患者のうち、輸血歴を有するものは3~5割程度であるが、現行のスクリーニングシステム実施下では、輸血その他の血液製剤による新たなC型肝炎の発生は限りなくゼロに近づいている。
この国立感染研究所の記述が明らかにしているところは、
- C型肝炎の感染経路は大半が原因不明
- 現行のシステム下では輸血による感染はほぼゼロ
ということで、さらに「1割ほどが性的接触」であることもわかります。
いずれにしても、基本的には「原因不明の感染経路」であるということがわかるわけで、どうもこの「 C型肝炎の多くの感染経路が原因不明」のところが、意図的かどうかはわからなくても、ネット上の多くの健康情報、医学情報から抜け落ちています。
これは良くないことだと思います。
というのも、日本で 200万人(無症状の人がいるので感染者はそれ以上だと思います)もいる比較的ありふれたウイルスだと、比較的誰でも感染し得るわけで、その際に、先ほどの、
・入れ墨
とか
・注射針の使い回し
とか、そんな理由だけがネットで並べられていたら、たとえば、感染した本人が真面目な人で、そういうようなことと無縁な人物であるにも関わらず、ネットなどでそんなふうに書かれていたら、人から偏見も受けかねないです(多くの C型感染のサイトには「注射針」と「入れ墨」が感染経路として書き並べられています)。
なぜ、「 C型肝炎ウイルスの感染経路は基本的に不明」と記さないのか。
病気っていうのは偏見を呼びやすいですから。エイズとか、まあ、いろいろな病気がこれまでありましたけれど、医学専門者のやることは、何よりも病人から苦痛を取り去ること(治すのは患者自身の問題)だと思うので、「 C型肝炎ウイルスの感染経路は基本的に不明」と表記を変えるだけでも、病気になった人の苦痛は少しでもなくせるような気はするのですけれど。「感染経路は不明」と書くことが何か不都合なのでしょうか。
国立感染研究所の文章の後半には、
> 肝癌死亡総数は年間3万人を越えるが、その約8割がC型肝炎を伴っている。
とあり、肝ガンで亡くなる人のほとんどが C型肝炎であるという事実。
そのC型肝炎ウイルスがどうして感染するのかわからない。
そして、冒頭にありますように、アメリカでは、その「 C型肝炎ウイルスが爆発的に増加している」という現象が起きている。
これって・・・致死性で感染経路がわからないというのは、厄介なウイルスのパンデミックの一種なんじゃないかと思えたりもします。
肝ガンの原因が基本的には C型肝炎ウイルス(一部が B型肝炎ウイルス)だということを考えますと、日本での肝ガンの増加と、その死亡者数の増加も「感染のメカニズムがわからないウイルスの台頭が関係している」というようなことも感じてしまいます。
日本の肝ガンの患者数と死亡者数の推移
単なる「大酒飲みの肝臓の憂い」の話から、ふと肝臓について疑問に思ったことで、おおごとになってしまいましたが、しかし私は基本的には、どのような病気も、以前書きました、
・「私は素晴らしい世界に生まれて、その世界に生きている」
2016/04/25
という記事で記しました「多くの症状は自分で作っている」ということを強く確信しています。
おそらく、C型肝炎ウイルスも感染経路が不明である以上は、現在の数(日本 200万人、アメリカ 350万人)よりかなり多くの人がウイルスを持っているのだと思います。何しろ、どんな病気でもそうですが、「病院に行って検査するのは症状が出た人が主」ですので、「症状の出ていない人がどれだけ肝炎ウイルスを持っているか」というデータは存在しないのです。
参考までに、冒頭のアメリカ CNN の記事をご紹介しておきたいと思います。
アメリカでは C型肝炎の有効な治療薬には「3か月で 800万円から 1200万円」かかるとのことです。
Hepatitis C deaths hit all-time high in United States
CNN 2016/05/04
アメリカのC型肝炎の死亡者数が過去最高を記録
アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は、C型肝炎に関連した死亡者数が、2014年に史上最高に達したと発表した。
これは、HIVや肺炎球菌感染症、結核などを含む 60のその他の感染症の総組み合わせ死亡数を上回る。
米国での死亡数の上昇は、ほとんどの感染症を3カ月以内に治すことのできる治療薬の進捗にも関わらず起きている。
同時に、疾病管理予防センターによって分析・監視されたデータは、これまで主に注射の針などで感染した歴史を持つ C型肝炎の、新しい感染例の驚くべき上昇を示しており、2010年から 2014年までの C型肝炎感染の新規症例数は2倍以上となった。
専門家たちによれば、2014年に報告された、これらの例は氷山の一角に過ぎない可能性がある。
疾病管理予防センターの肝炎部門の責任者であるジョン・ウォード博士(Dr. John Ward)は、「症例は過少報告されており、私たちは新たな感染者数は米国内で年間 30,000近いと推定しています。そのために、死亡数や新たな感染例のどちらもが増加しているのです」と述べる。
C型肝炎は、肝臓の炎症を引き起こすウイルス性疾患で、アメリカ国内で推定 350万人のアメリカ人が C型肝炎ウイルスのキャリアであると疾病管理予防センターは見ている。その半数は自分が感染していることを知らない。
最大のリスクは 1945年から 1965年の間に生まれた団塊の世代が関与している。1992年以前に、輸血や臓器移植を受けた可能性が高い人たちのすべての献血された血液や臓器についてウイルスがスクリーニングされるようになった。
ウォード博士は、「 C型肝炎ウイルスを持つ人たちの平均死亡年齢は 59歳ですが、この病気はも進行するまで、ほとんどの人が症状に気づかないですので、自分が感染していることにも気づくことができないのです」と述べる。
死亡報告署からは、米国の C型肝炎による死亡者数は 2003年の 11051人から 2014年は 19659人に増加したが、C型肝炎は実際よりも少なく申告されることが多いため、実数はさらに多いはずだと博士は言う。
ウォード博士は、団塊の世代の多くが血液検査をするべきだと主張する。そのことによって、今後 15年間で 32万人に上ると考えられる C型肝炎による死亡者数を減らすことができると述べる。
C型肝炎に対しては、ペグインターフェロンとリバビリンの毎週の注射を含む治療法がおこなわれていたが、50%にしか有効ではなかった。しかし、薬剤メーカーは、80%から 95%有効な薬剤を市場に投入し続けている。
その唯一の欠点は価格だ。標準的な治療コースで、薬の代金は3ヶ月で約 8万ドル( 880万円)から 12万ドル( 1300万円)かかる。
これらの価格は、肝疾患の最も重篤な症例での治療を制限してしまうために、多くの保険会社にプログラムの誘導を勧めている。