中国語の報道を見ていましたら、下のようなものがありました。
2016年4月30日の新唐人TVより
新唐人テレビというのは、アメリカのニューヨークに本部を置く中国語で放送するテレビ局で、文字では日本語でも報道されています。その YouTube チャンネルには、
・新唐人 TV は米国 NY に本部を置く、中国語非営利衛星放送局です。
・新唐人 TV はいかなる政府・政党にも偏らない独立メディアです。
とありますが、月間ランキングが下のようになっているあたり、つまりは「アンチ中国共産党」系の感じのあるメディアということのようです。
「北朝鮮の核攻撃ターゲットは中国、その背景にいる黒幕」とか「中国の地下水、8割以上が飲用不可」など、真偽はともかく、興味深いニュースもある新唐人 TV ですが、そこに冒頭の報道があったのです。
タイトルも興味深いのですが、「ここで使われている写真はアレだな」と思い出します。
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「神から与えられた使命」と語る中国の反体制弁護士が見る中国の未来
冒頭でご紹介した記事で使われている写真は、In Deep の過去記事、
・開きつつある「パンドラの箱 2015」の気配を放つ中国に対して2億年以上前から付随していた「崩壊」というキーワード
2015/08/23
でご紹介した、これも真偽と実相がよくわからない事案ですが、
・2億7千万年前の石に「中国共産党の崩壊」という文字が刻まれていた
ということが報道されたものをご紹介したものでした。
下がその石の写真です。
報道では、これは「人為的ではなく、自然の中で偶然起きたこと」とされていますが、まあ、そのあたりの真偽はさすがに何とも言えないものがありますが、何となく気を引くものではありました。
この報道を掲載したアメリカのエポック・タイムズも、同じアンチ中国共産党経理メディアです。
そして、冒頭の「 2017年に中国共産党は終焉する」という新唐人TV の記事には、「神秘的」というような文字が入っていますが、全体としてはオカルト的なものではなく、現在の中国共産党による中国に多くの中国人たちが絶望していることや、共産党自体の抱える問題を指摘している記事のようです。
タイトルの「 2017年」という根拠は何なのかといいますと、これは、中国共産党自身の報告書と関係しています。
具体的にいえば、2013年5月、中国の最高指導者、習近平さんが、「中国が直面している 12の危機」についての報告署を発表したことがあり、それらが解消されない場合、中国と中国共産党は大きなリスクに直面するだろうとしたことから始まっています。習さんが発表したこの 12の危機の内容については、後で記します。
その後、中国の著名なテレビコメンテーターだという秋鎮海さんという人が、2014年に、
「中国のそのリスクは今後3年間( 2014年から 2017年)で激化していくだろう」
と語ったこと。
さらに、中国の人権派弁護士であり、2014年まで中国で刑務所に入れられていた高智晟(こう・ちせい)さんという人が、釈放後の 2015年9月と11月に、海外メディアのインタビューを受けた際に、
「中国共産党は2017年に崩壊する」
と述べていたことが記されています。
ちなみに、根拠はよくわからないですが、記事には、この弁護士の高さんの予測は、
「神の啓示から来ている」
と書かれてありました。
ただまあ、この高智晟さんは釈放後に精神的・肉体的にひどい状態になっていたようで、Wikipedia から引用しますと、下のようなことになっていたようです。
2010年4月、AP通信の取材を受けたあと行方不明となった。2011年12月16日に中共メディアの報道で、高が監獄に収監されたという情報が流れた。このことで20カ月にわたる失踪が中共当局の拉致であったことが確認された。
2012年1月1日中国当局が高の兄に対して、高が新疆ウイグル自治区のウルムチ市から南西約500キロメートルにある、沙雅県の刑務所に収監されていることを伝えたと報道された。2014年8月7日、刑期満了のため出所した。
2014年8月15日、アメリカの人権団体フリーダムナウは、服役中の当局の拷問により、高の精神が完全に破壊され、会話ができない状態だと発表した。
このように、2014年8月の時点で、拷問唐により、
> 精神が完全に破壊され、会話ができない状態
だったそうですので、2015年9月は、まだ1年後ですし、インタビューを受けた時の精神状態はどのようなものだったのかということには疑問が残りますが、その際に「神によって掲示された」とご本人が言ったということなんでしょうかね。
ちょっと気になりましたので、探してみましたら、2015年9月に高さんを取材したのは AP通信だったようで、内容が英国 BBC の記事になっていました。
下の写真がインタビュー時の高さんのようで、目線、表情共にしっかりしていますので、精神は回復されたのかもしれません。
2015年9月24日の BBC より
・BBC
この記事を読みますと、高さんは、この予測を神からの啓示と言ったのではなく、
「私が中国でこの仕事を行うことは、神からの使命(Mission from God)」
だと言っていたようで、「神からの啓示の予測(予測来自神的啓示)」というオカルト的な響きとは、やや違いました。
長い記事ではないですので、この記事をご紹介しておたきいと思います。
Gao Zhisheng: Chinese lawyer describes 'torture'
BBC 2015/09/24
中国の弁護士、高智晟氏が”拷問”について語る
中国の反体制派かつ人権派の著名な弁護士の高智晟氏は、独房に拘留されていた時の拷問と収監の様子についてこれまで語っていなかったが、BBC に対して、その沈黙を破り、拷問について語った。
高氏は、法輪功の活動や中国のキリスト教徒のメンバーを保護する活動で知られており、2008年にはノーベル平和賞の受賞候補者にも選ばれた。
現在 51歳の高氏は、2014年8月に刑務所から釈放された。
かつて理知的な活動で知られていた高氏だが、刑務所から釈放された時には、表情を失っていたと共に、「基本的には頭で何かを理解することが不可能な状態」だった。しかも、栄養失調により歯が抜け落ちていた。
高氏は、収監中、顔に対して電気警棒での拷問を受け、また、3年間、独房に監禁されていたことを述べる。
高氏は、陝西省の自宅での AP 通信の取材に対し、「私たちが生きて刑務所から出てくるたびに、そのことが私たちの相手(中国共産党)の敗北となるのです」と語った。
残念ながら、中国の反体制弁護士への弾圧は、高智晟氏の釈放で終わりとなったわけではなく、どちらかといえば、高氏への迫害は、広範囲に渡る反体制派の弾圧の行動の始まりだった。
アムネスティ・インターナショナルによると、2015年7月の時点で、245人の中国人弁護士が、中国当局から標的となっているとされる。そして、いまだに、30人の弁護士の行方が分かっていない。すべて警察の留置所にいると見られている。
拘留された弁護士の多くは、尋問に耐えてきたが、自宅やオフィスも家宅捜索をされ、家族が嫌がらせを受けたり、暴力的な殴打をなされた家族もいる。
高氏の妻と子供は現在、米国に住んでいるが、高氏自身が海外に亡命を求めることはないと述べている。
彼は、これは「神から与えられた使命」だとして中国に滞在して活動する理由を説明する。
高智晟氏のタイムライン
2005年 中国当局が高氏の法律事務所を閉鎖
2006年12月:「国家政権転覆扇動罪」で懲役3年、執行猶予5年を言い渡される
2007年9月:この拘留期間中に拷問されていたと述べている
2010年3月:高氏が行方不明になる
2011年12月:中共メディアが、高氏は監獄に収監されたと報道
2012年1月:高氏が新疆ウイグル自治区の刑務所に収監されていることが明らかになる
2014年8月:刑務所から釈放
ここまでです。
これまで、あまり中国の反体制弁護士の活動に注目したことはなかったですけれど、中国での反体制活動は、文字通り命がけですね。
この記事を読む限りは、「2017年に中国共産党は崩壊する」というニュアンスは見当たらないですが、それは別としても、高さんが、「中国共産党を崩壊させることを含めての抵抗運動が神から与えられた使命」だと確信していることはわかります。
ちなみに、この「2017年に中国共産党が崩壊する」という主張のきっかけとも言える、2013年に習近平さんが発表した「中国が直面する12のリスク」は下のようなものです。
習近平国家主席が2013年に報告発表した「中国が直面する12のリスク」
・共産主義の思想、信条そして目標の消失
・中国共産党自身の政治的、イデオロギー的な部分の幹部の理想の危機
・中国共産党の人員と組織全体の政治的な質の危機
・新しい環境に対応するための中国共産党危機管理の品質に対しての危機
・様々な紛争の処理に対しての危機管理能力の危機
・中国共産党と中国の民衆の関係
・中国共産党の機構改革の内部抗争による信頼の危機
・中国の富裕層と貧困層の間にますます深刻な差が生じており、これが抗議行動などの社会的問題につながることに直面している危機
・反体制活動家の数が上昇していることに対しての危機
・社会のモラルに影響を与える汚職の文化
・中華民族の素晴らしい伝統の崩壊により引き起こされる国民の道徳の欠如
などとなっています。
習さんは、これらを解消していかないと「中国は巨大な危機に直面する」と述べていたわけですが、2016年現在どれも解消していないような気はします。
それにしても・・・。
日本などもそうですが、何だか、今の世界は「行くところまで行く」しかないのかもしれないと思ったりすることがあります。人が計算できるような変革では、根本的には何も解決しない状態にまでになっている事柄が多すぎて、「見えざる巨大な力の登場」か何かしか、もう残っていないのではないかと(そんなあなたに、ブルービーム計画)。
あまり関係ないですが、下の写真は、27年前の習さんと、奥さんの彭麗媛(ほう・れいえん)さんの写真です。まだ、習さんが、福建省の「寧徳軍事区党」というところの第一書記だった頃のものだと思います。当時からエリートではあったのでしょうけれど、まさか二十数年後に中国のトップにまで上り詰めるとは想像もしていなかった頃ではないでしょうか。
1989年の習近平さんと奥さんの彭麗媛さん
奥さんの彭麗媛さんは、その後、中国の国民的歌手となり、その美貌と共に、歌で国民を魅了しているようです。
下は、迷彩服にインカムをつけて熱唱するという、今ひとつ状況がわかりにくい写真ですが、とにかく、そんな彭さんです。
このような好青年と美少女も、気づけば、大国のトップとそのパートナーという地位となっている。
そして今回の弁護士の高さんたちのような多くの人々が体験している「地獄」が存在する空間と国家を造り上げてしまっている。
地獄が存在することは重々知りながらも、いろんな意味でもはや改善はできない。
弾圧されている人たちも、自分たちの人生のレールを容易には変更しないし、弾圧「している」ほうも、もはやレールから外れることはできないということで、今存在している地獄は今後も続いていくということになるのかもしれません。
2017年に中国共産党が崩壊するかどうかは結局、誰にもわからないことですが、2017年頃は、日本のシステム崩壊も視野に入っている時期ですし、その時のアメリカの大統領が誰かということによっては、世界中に「崩壊」というキーワードが出現し続けることになっているのかもしれません。
結局何が言いたいのだかよくわからない記事になってしまいましたが、いずれにしても、良い意味でも悪い意味でも「刺激的なこれからの2年間」になることは確かなのかもしれません。