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11月29日にメルマガ第三次世界大戦が迫っているかもしれない中で「体に良い食生活とは何か」と考え込むを発行させていただきました。

日本の未来

永遠の業の世

投稿日:2016年8月8日 更新日:

BlackSun

 

今日は、夕方に時事に関しての通常の記事もアップする予定ですけれど、障害者施設襲撃事象以来、心の中にいろいろとわだかまっていたことがあったのですが、昨日いくつかのことが自分が心の表に引きずり出されることがありましたので、メモとして記しておきます。

襲撃の報道を受けた時には、瞬間的に「これはおそらく自分たちすべてが起こしている」というように思えただけに、それ以来、自分が見えざるものから責められているような感覚があり、どんよりとしていました。

テレビもインターネットも含めて、一般のメディアの論調をいくら聞いても、意味のないものばかりで、いよいよ絶望感は募ります。

そして、昨日(8月8日)の午後 7時過ぎ、ニュースを見ようとテレビをつけましたら、オリンピックだの何だのと、よくわからないニュースで始まりまして、見るに堪えなくなり、チャンネルを回しました。

私は見るものがない時はまず NHK教育(Eテレ)を回すのですが、そうしましたら、『バリバラ』が始まりまして、バリバラというのは NHK Eテレの障害者バラエティーで、他の民報とは完全に一線を画した、日本で唯一の障害者目線の娯楽番組です。

それで、偶然回した昨日は、「緊急企画 障害者殺傷事件を考える」というテーマで、障害者の方々や、あるいは、障害者施設の人たちや、相談支援員などによる座談会だったのですが、番組には同時に、視聴者からのメールなども多く寄せられていました。

そのメールの中で、今の社会に生きている人間として黙殺してきた事実として下のようなものが書かれたものがありました(記憶で書いているので正確ではないです)。

新型出生前診断では、多くの親が中絶をしています。

障害者を殺してもいいという発想と、障害を持つ子どもは要らないという考えと、どこが違うのでしょうか。

ちなみに、これは、何が良いとか悪いとか、誰が責められるとか、そういう話で書いているのではないので、誤解されないで下さい。

しいていえば、「この世に悪い人はいない」という前提で読んでもらったほうがわかりいいと思います。

この視聴者さんのメールにある「新型出生前診断」に関しては、たとえば、最近、下のようなことが報じられていました。

新型出生前診断、開始3年で3万人超 「羊水検査異常」の9割中絶

産経ニュース 2016/07/20

妊婦の血液から胎児のダウン症などを調べる新型出生前診断を受診した人は、検査開始から3年間で3万615人だったとする集計を、各地の病院でつくる研究チームがまとめた。

受診者は1年目に8千人弱、2年目に1万人超、3年目は約1万3千人となり、利用が拡大している実態が明らかになった。染色体異常が確定した妊婦の約9割が中絶を選んだ。

染色体異常の疑いがある「陽性」判定は547人。さらに、おなかに針を刺す羊水検査に進んで異常が確定したのは417人で、うち94%に当たる394人が人工妊娠中絶を選択した。

「もしかすると、障害を持つ子どもが生まれてくるかもしれない」ということに対しての選択がこういうことになっていて、くどいようですが、何が良いとか悪いとかを言いたいのではなく、今は世の中の事実のひとつをご紹介しています。

しかし、先ほどのバリバラへのメールの、

「生まれてくる前」

「生まれてきた後」

のそれぞれの概念はとても重く感じられます。

番組には、世界で初めて全盲ろうで大学教員となった東京大学の福島智教授からのメッセージもあり、この内容こそ、私が障害者襲撃事件を考える中で誰かに語ってほしかったことだと思います。

その福島智教授の文言は、わりと長いもので、記憶だけで書くのはよくないですので、8月12日に再放送があるらしいですので、その時にメモできたらと思いますが、いつの間にか日本は、

「経済に貢献できる、つまり労働力の有る無しが、生きている価値を決める」

ということになっていて、もちろん、そんなことは誰も口にしないけれど、これは障害者という枠にとどまらずに、ある程度の年齢になってくると、(日本に)生きているすべての人間に覆い被さってくる。

このあたりが行き着くところには「優生学」というようなものもあり、これに対しても番組でふれていました。優生学などというと、ナチスや戦前のアメリカを思い出す方もいらっしゃると思いますが、日本でも大体同じような方針を持つ「優生保護法」は、つい最近の 1996年まで存在していました。

それはともかく、「人間の価値」が「社会的貢献価値」であることを無言のうちに教え込まれる今の世の中では、十代も中頃を超えてくると、幸福よりも「うんざり感」の感情が上回ってきて、それは社会の中で成長すると共に、どうしようもなく肥大していく。「社会的貢献価値」には差がありますので、そうなると、「人間の価値にも差がある」ということになってきます。

結局、多くの人々の根底に芽生えてくるのが、

「この世には価値のない人間がいる」

という概念で、それが根付いてしまえば、その「人間の価値」は、絶対的なものではなく、それぞれの人たちが自分で決めていくものとなっていくわけで、そうなると、「前を歩いているあの人間には価値がない」ということにも簡単になってしまう可能性があります。

可能性があります、というか、もう、そういう世の中になっている

日々起き続ける「理由がわからない犯罪」は、多くの人たちが「人間に対しての価値を、あっという間に崩壊させられる」ために起きている側面はあると感じます。

たとえば、ある人から見て「Aという人間には(自分にとって)生きている価値がある」と思っていたけれど、ある日、態度が素っ気なかった。その瞬間から「Aには生きている価値がない」となれば、もう何でもできるわけです。すでにAさんには「生きている」価値がないということは、生きていなくてもいいのですから。このような、「生きている」価値がないのだから、生きていなくてもいいという考えが躊躇なく根付く社会。

これが今です。

特に、最近は二十代の犯罪が多いですが、今の多くの若い人たちも根本は同じような概念に覆われている人たちが多い気がします。

本来大事なことは、

「あの人と自分は基本的に同じ」と考えること

なんですけれど・・・とはいっても、このように考えるには今の世の中の教育の状況では難しいです。

私もこんなことを考えられるようになったのは、最初は、ルドルフ・シュタイナーが、精神世界の修行のための具体的方法を書いた『いかにして高次の世界を認識するか』に書かれていた数々のことで初めてそのことを知り、しかし、その際には知識だけだったのですが、その後、

世界を変えるかもしれない「瞑想という革命的存在」…
 2015/11/20

という記事で、お釈迦様の「慈悲の瞑想」というものを知りました。

その記事の最後に書いてありますが、「私は幸せでありますように」で始まるその瞑想法の文言の中には、

私の嫌いな人々も幸せでありますように
私の嫌いな人々の悩み苦しみがなくなりますように
私の嫌いな人々の願い事が叶えられますように
私の嫌いな人々にも悟りの光が現れますように

というくだりがあり、この文言を、そんなに真面目じゃなくてもいいので、たまに考えているだけで、少しずつ「憎しみ」という感情が消えていく実感をしたことはあります。

何だか話がグチャグチャになりましたが、どんな犯罪や出来事が起きても、「すべては自分が関係している」と考えると、何か起きたことについて、おこなった人を断罪して終わり、というようなことにはならないはずです。

仮に、より良い社会の到来を目指すのならば(私自身は現世では諦めていますが)、今の「自分と他人は同じではない」という価値観から離れた生き方をする人々の社会でならなければいけないとは思います。

つまり、この世で起きることのすべての責任を常に自分で感じるという人たちによって形作られる社会。

・・・まあ・・・今の流れでは難しい気はします。

結局、何のまとめもないままとなりましたが、「今の日本の世の中」の現実を、このような視点から考えてみることは悪くはないと思います。

ルドルフ・シュタイナーの『天地の未来』の中で、彼が人類の業(カルマ)について述べていた部分を抜粋して締めたいと思います。

この中に、

> 人類全体のカルマに、個々人が苦しむのです。

という下りがありますが、ひとつの人類社会が作りだした遺恨は、輪廻転生の概念の枠では、必ず次の世に影響します。


シュタイナー『天地の未来』 人類のカルマ より

その人はみずから運命を招いたのだと考えて、その人を助けないのはよくありません。カルマが私たちに求めるのは、私たちがその人を助けることです。

私たちの助けがその人のカルマのなかに書き込まれ、その人のカルマが好都合な方向に向かうのは確かです。

カルマに基づく世界の見通しが、私たちに同情心を呼び起こすにちがいありません。人類全体のカルマに、個々人が苦しむのです。全人類がそのような出来事を引き起こすのです。

私たちはそのような運命を自分自身の運命と見なす必要があります。

こうして、不幸に苦しむ人々や、災害に見舞われた人々に対する同情的な理解が生まれます。

 

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