あまりにも急激な上昇
前回の記事で、日本においての「死の波」の現状とも思われる報道をご紹介させていただきました。
[記事] 大本営発表ばかりの中で : 「日本で実際には何が起きているのか?」という海外の報道で知った日本の「死の波」の現状
In Deep 2022年9月15日
そうしましたら、その後、ハンガリーの報道メディアが、
「ヨーロッパ全体で異常な過剰死が起きている」
ことを伝えていました。
ヨーロッパでのこの超過死亡率の上昇の理由は、現時点では、どの国も当局からの詳細なデータが示されていないために不明です。
今回はその報道をご紹介させていただきます。
特にスペインの超過死亡が大変なことになっていると報道にありましたが、ヨーロッパの国ごとの超過死亡のマップを見ますと、以下は 6月までのものですが、確かにスペインとポルトガルが突出していることが示されていまして、そして、報道では「この後さらに、超過死亡率が増加した」ことが報じられています。
以下のマップは、色が濃いほど超過死亡率が高いことを示します。
ヨーロッパ各国の超過死亡率 (2022年6月)
Excess mortality
ヨーロッパの超過死亡率については、以下の記事でも取りあげたことがあります。
[記事] 超過死亡率データを見て思う、緩慢に進む子どもたちのジェノサイド
In Deep 2022年8月25日
データを見ますと、0歳から 14歳の超過死亡が 2022年に唐突に上昇したことがわかります。
ヨーロッパの0歳から14歳の過剰死亡数の推移
euromomo.eu
しかし、今回ご紹介する報道では、スペインなどでは高齢者や基礎疾患を持つ人たちの過剰死が顕著になっているとありましたので、国によって、いろいろと違いがあるのかもしれません。
記事には、英国の専門家たちが、この過剰死の原因の推定として以下の理由を挙げています。
・ロックダウンの影響ではないか
・医療機関の受診を控えたことによるものではないか
などです。
確かにそれは理由の些細な部分としてはあるのかもしれないですが、しかし、これらのロックダウンや受診の控えの理由が適用されるのは 2021年の早い段階までのことであり、2022年の春を過ぎてから超過死亡率が急上昇する理由として完全には説明できてはいないと思われます。
まあ……結局、これらの過剰死の最大の理由は「ひとつ」に集約されていくとは思うのですが、各国政府の保健当局が、死因等を含む詳細なデータの提出を拒否している現状では、推測以上にはなりませんので、それにはふれません。
そして、前回の記事にも書きましたけれど、通常でも「死は冬に急激に増加する」ものですので、この冬の超過死亡率はさらに急上昇する可能性もあります。
そのようにならなければいいですが、それを避けられる可能性をほとんど想定できません。
また、現実には、このような過剰死は、あらゆる主要国で見られているはずです。
ここからハンガリーの報道です。
ヨーロッパ全土で原因不明の死者数の急増が起きている
Mysterious increase in deaths across Europe
REMIX 2022/09/14
科学者とデータの専門家たちは、ヨーロッパで記録されている死亡者数の増加に戸惑っている
ヨーロッパ諸国では現在異常に高い死亡率が記録されている。しかし、新型コロナウイルスによる死亡がこの増加の直接的な理由ではないことがわかっている。 「超過死亡率」として知られる平年を上回る死亡率は、オランダ、ドイツ、スペイン、ポルトガル、英国で異常に高い率が示されている。
今年 4月以降、ヨーロッパでは死亡率が平均 11%も急激に上昇した。専門家たちを困惑させているのは、これらの死がコロナウイルスのパンデミックに直接関係していないということだ。
オランダ有数の新聞の 1つデ・フォルクスクラント紙によると、オランダでは、通常より毎週、数百人多くが死亡している。
これは、春以降、コロナウイルス以前の期間と比較して、約 5,000人多くの死亡が記録されていることを意味する。科学者たちはその理由に当惑しているが、オランダの保健機関は、死因の背後にあるデータを公開することを、プライベートの問題を理由として拒否している。
このアプローチを批判する人たちもいる。オランダで著名なコメンテーターであるエバ・ブラーディンガーブローキ氏は、オランダ政府が、レストランやショッピング施設に入る前にすべての人のワクチン接種状況を確認することを決定して以来、健康に関するオランダでのプライバシーの問題は普遍的に停止されており、プライバシーを理由に死亡詳細データの公表の拒否は妥当ではないと述べた。
過剰死亡者数はヨーロッパの他の地域ではさらに悪化しており、ドイツ最大の新聞ディ・ヴェルト紙は、過剰死の状況は、スペインで特に劇的であると報告している。2022年 7月、スペインでは 2019年の同じ月よりも約 10,000人多い死亡者数が記録された。ドイツでは死亡率の上昇はそれほど劇的ではないが、依然として懸念事項となっている。
統計によると、スペインでの死亡者数の増加は、ある程度はコロナウイルス感染によるものと説明できるが、コロナによる死亡は 1,872人に過ぎず、さらに死者のうちので熱中症など、今年の猛暑が原因となった死亡は、全体の 5分の 1に過ぎなかった。
スペインの過剰な死亡の多くが説明がつかないという事実をスペイン政府は認めており、スペイン政府は詳細な調査を命じ、その結果は 6か月以内に判明すると予想されている。
一部の専門家たちは、この過剰死の原因を、コロナそのものや猛暑に焦点を合わせるべきではないことはすでに明らかだと述べている。
スペインのバレンシアナ調査基金の研究責任者サルバドール・ペイロ氏は、以下のように述べる。
「コロナも熱波も、過剰死の理由を説明していません」
ペイロ氏は、死亡者数の増加の原因は「理解できないものだ」と述べている。
亡くなった人たちの中には多くの高齢者や基礎疾患のある人がいる。高齢者や基礎疾患のある人たちは、平均して十分なコロナワクチン接種を受けているにもかかわらず、依然としてコロナで死亡するリスクが最も高いグループとなっている。
現在、これらの高齢者たちが非常に高い率で亡くなっている。
英国では、これまでの平均よりも毎週最大 1,000人多くの人が亡くなっているが、健康データを分析する専門知識で知られるイギリスの健康専門家たちは、死亡者数の大幅な増加の背後にある理由の特定を進めていると報告されている。
英国の国家統計局は、8月初旬に「英国における Covid-19 の直接的および間接的な健康への影響」というタイトルの報告書を発表した。
この報告書の著者たちは、医療システムがパンデミックにどのように対応したかを調査し、ロックダウンとコロナ感染への恐怖との間に関連があると判断し、その結果、他の病気の診断が大幅に減少したと説明した。言い換えれば、人々は病院や医師に診てもらうことを恐れすぎたか、または医療危機がコロナ患者を優先されたために他の疾患の診断が減少したと説明した。
パンデミック中の診断率を調査したこの報告書は、最大で 141,000件の心臓病、26,000件の脳卒中、および 60,000件の糖尿病が検出されなかったと判断した。同時に著者たちは、精神疾患とアルコール依存症が劇的に増加したことに注目した。
このような調査が各国で行われれば、ロックダウンが公衆衛生に悪影響があり、ヨーロッパ全体で何万人もの死者を出している可能性があるという説得力のある証拠が示されるかもしれない。
ドイツ連邦統計局によると、ドイツでは、7月だけで 85,285人が死亡し、2018年から 2021年の 7月の平均数と比較して 12%増加した。7月の第 1週では、死亡率は 24% 以上高くなった。
しかし、ドイツの科学者や統計学者たちも、死の背後にあるデータが一般に公開されていないため、死の急増の背後にある理由を特定することができていない。
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