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4月12日にメルマガ夢見と古代ギリシャと「痛みとの個人的歴史」が混沌とを発行させていただきました。

2020年からの世界 人類の未来 日本の未来 軍事的カオス

アメリカ史上最大の病院システムへのサイバー攻撃が起こり、全米の警察緊急通報システムが完全にメルトダウンした数日後、日本の東証が過去最悪の障害で取引停止。何が迫っている?

投稿日:

数日で途方もない件数の大規模システムクラッシュが発生中


911 Goes Down Across the Country: Was This a TEST?




 

予兆か単なる偶然か

猛暑の時は散歩の時にも周囲を見たりするどころではなかったのですが、めっきりと涼しくなり、歩きながら周囲を観察する余裕が出てきました。

路肩に座って澱んだ目つきで缶チューハイをあおるオジさん、ベランダから何事か叫びながら何かに石を投げている老人、歩きながら「オレはトナカイじゃないぞ」とか呟いている青年(ロクな光景がない町かよ)。

そんな爽やかな秋の光景の中を歩いていて、ふと先日読んだ何かのエッセイかなんかに、松尾芭蕉の俳句が引用されていたことを思い出しました。

よく見れば薺(なずな)花咲く垣根かな

これは解釈によれば、ナズナの花は小さいものなので、よく見ないと目にはとまらないもので、せわしない世の中では見逃しがちなものだけれど、「私はそれを見ているから偉い」という個人の奢った価値観を示す自画自賛の句で(違うわ)。

俳句のことはよく知らないですが、ナズナはペンペン草とも言われるもので、花のひとつは小さいですけれど、小さな花が数多く固まって咲くので、実はよく見なくても目にとまるものではあります。


ナズナ

同時に、ふと思い出したのが、

「ペンペン草も生えない」

という慣用句でした。

これは「後にはいっさい何も残らない」というような意味で使われるもので、この慣用句を思い出したところで、散歩に行く前に見たニュースを思い出しました。

以下はブルームバーグの報道です。

東証:現物売買を終日停止、過去最悪の障害

Bloomberg 2020/10/01

東京証券取引所は1日、相場情報の配信に障害が発生しているとして株式全銘柄の売買を終日停止すると発表した。原因を調査中で2日からの取引再開を目指す。

全銘柄の売買が前回停止されたのは2005年11月で、4時間半取引が止まった。終日取引停止は今回が初で、現物取引で過去最悪のシステムトラブルとなる。日経平均株価と東証株価指数は算出されていない。

つまり、日本の電子株式取引市場で初めてで、なお過去最悪のシステムトラブルが起きてしまったということらしいです。

日本取引所グループは「サイバー攻撃やハッキングではない」と発表したことが報じられていますが、逆にいえば、サイバー攻撃ではなく「普通に故障した」とすれば、そのほうが、その脆さについて信じられない感じです。

最近は中国の台頭もあり事情も変わったとはいえ、東京証券取引所といえば、ニューヨーク証券取引所、ロンドン証券取引所と共に世界三大証券取引所であった規模なわけで、それが「単なる故障で終日取り引き停止」だとしたら、それはすごい。

まあ、東証の過去最大のトラブルの原因は、今のところはわからないとはいえ、実は、9月の終わりからのこの数日間、

「世界中で大規模なサイバー攻撃と、原因不明の大規模クラッシュが繰り返されている」

のです。

アメリカでは、9月27日に、アメリカ全土をつなぐ病院のコンピュータシステムがサイバー攻撃で完全にダウンし、全国 400を超える大病院やヘルスサービスのコンピュータシステムが使えなくなったことが伝えられています。

9月28日には、アメリカで日本の 110番にあたる警察への緊急通報システムもシャットダウンするという事態が発生し、アメリカ全体で警察への通報システムが作動しないという状態になったことが各地の警察から伝えられました。

この警察システム停止の原因は、アメリカ全土でビジネスの他、各所で使われているマイクロソフト社の法人向けシステム「オフィス365」が、全国的にシャットダウンしたためであることがわかりました。その数日前には、Googleの各種サービスも、全米でクラッシュしています。

アメリカの病院システムへのサイバー攻撃については、 NBC ニュースを引用したゼロヘッジの記事から、マイクロソフト社のシステムダウンについて、英国サンからそれぞれ概要を記させていただきます。

なお、サイバー攻撃には、ランサムウェア攻撃とか DoS 攻撃とか、いろいろとあるのですが、話がややこしくなりますので、ここではまとめて「サイバー攻撃」としています。

主要な病院システムがサイバー攻撃で機能停止。米国史上最大の攻撃である可能性がある

ZeroHedge 2020/09/29

アメリカ NBC ニュースによると、米国全土に 400を超える拠点を持つ主要な病院およびヘルスケア・プロバイダーであるユニバーサル・ヘルス・システムズ(UHS)のコンピューターシステムが、米国史上最大の医療サイバー攻撃の 1つと思われるものに見舞われた。

UHS はハッキング攻撃の詳細については説明していない。

また、UHS の職員たちもマスコミの取材に応じることを許可されていないが、匿名を条件とした数人の看護師たちは、攻撃は週末に始まり、その後、医療システムは麻痺したままとなり、医師と看護師たちは、ペンと紙で作業することになったと語った。

ノースダコタ州の病院で働く看護師の 1人は、9月27日の朝までにコンピュータシステムは完全に停止したとして、「今のところ、すべてのコンピューターが完全にダウンしている」と看護師は述べた。

アリゾナ州の病院の別の看護師は、「コンピューターは、自動的にシャットダウンし始めた」と述べている。

次は、警察通報システムのシャットダウンの原因となったマイクロソフト社のオフィス365についての報道です。

メルトダウン : Azure とオフィス365を含むマイクロソフトのサービスが全米でクラッシュ

The Sun 2020/09/28

多くのマイクロソフトサービスが 9月28日の午後に全米で停止するという事態が起きた。障害は、Azure やオフィス365など、マイクロソフトのサービスの広範囲に渡るようだ。

Azureというのは、アプリケーションとサービスを構築、展開、管理するためにマイクロソフトによって作成されたクラウドコンピューティングサービスだ。

このマイクロソフトの大規模な障害は、Google がサービスのクラッシュに関する問題を経験してから 1週間も経たないうちに発生している。

これらの障害の原因はともかく、Google、マイクロソフトなどのような現在の社会のネットワークサービスに世界的に君臨しているようなシステムが「軒並みクラッシュしている」のですね。

今回の一連の障害では、

・アメリカの全国的な病院システム

・アメリカの警察システム

・アメリカのオンラインビジネス・システム

などが影響を受けたわけですが、他でも、たとえば、9月20日から米ワシントン州の多数の政府機関へサイバー攻撃が続いていたり(Bloomberg)、9月29日には、ギリシャのオンライン学習システムにサイバー攻撃 があったり(mytwintiers.com)と、いろいろな場所で起きています。

それでも、アメリカが最も「全国的な被害」となっていて、影響も大きく、アメリカ大統領選挙が近いこともあり、「それと関係があるのでは」というような話も出ています。

投票や開票システムもまたデジタルの世界です。

 

そして、今日 10月1日、東証で過去最大の障害が発生、ということになりました。

いずれにしましても、「サイバー攻撃で、この世の社会システムのすべてを混乱させられる」という時代になっているのも事実です。

そして、今回のアメリカの病院と警察の通報システムの全国的な停止を見ますと、

「デジタル化社会というのは実に脆い社会」

だということを実感します。

しかし、日本も含めて、全世界がそこに走っています。

すべてが終わったその後に、ペンペン草くらいは残っていてほしいですね。

過去記事で、「デジタル化の中で滅亡する文明」の可能性について取り上げた記事をいくつかリンクさせていただきます。

ご参照いただければ幸いです。

サイバー攻撃と文明の終焉に関係する過去記事

サイバーアルマゲドン戦争が始まる世界で起きることは何?
2020年7月11日

インターネットで繁栄したこの世界は、そのインターネットに滅ぼされるのかも……と、150カ国を襲撃中の史上最大のサイバー攻撃の中で思う
2017年5月15日

サイバー黙示録:激化するアメリカと中国の「完全なる戦争」の中で
2015年08月05日

カルバナクの衝撃 : サイバー攻撃での世界の金融システム崩壊が早いか、それともNHKが特集した「預金封鎖」がそれより早いのか
2015年02月19日

中国で始まった史上最大のサイバー戦争: 産業コントロール網を破壊するスタクスネット
2010年10月01日

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