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4月19日にメルマガ私たち現生人類は「鉄の種族」であることから思う生き方を発行させていただきました。

2022年からの世界 日本の未来 資本主義の終焉 軍事的カオス

金融と覇者交代の大地震が近い…のかも

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コンドラチェフ・サイクルから見る55年前

コロナのいろいろから対ロシア制裁での混乱、そして「もう回避することはできない食糧危機の始まりの徴候」までのこの2年間をボーッと考えていますと、

「なんかやっぱり、今後スゲー状態になると考えざるを得ない」

というように素人ながらに思いまして、最近は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券参与であり同社景気循環研究所長の嶋中雄二さんの 1987年の名著『太陽活動と景気』をまたパラパラと読むことが多くなりました。

以前は、この本の中で個人的に最も興味を持った「太陽活動と人体の関係」を中心に読むことが多かったのですが、今回は、この本のメインのテーマである「景気と経済の循環」についてのページなども読んでいます。

とはいっても、太陽活動が社会や経済に及ぼす影響には、あらゆる要素が加わっていまして、たとえば、太陽活動は農作状況と直結しますし、あるいは、先ほどの太陽活動と人体の関係(特に精神性)なども、消費活動だとか「社会の暴力性」などと非常に大きく関係しますので、いろいろな要素はあるのですよね。

なぜ、身体や精神に太陽活動が関係してくるかということは、非常に単純な部分としては、たとえば、太陽嵐などは「磁気」ということになりますが、

「鉄と磁気は反応するため」

です。

人間の血液の中のヘモグロビンというのは、

・鉄(ヘム)

・たんぱく質(グロビン)

から出来ていて、つまり血液というものは結局、鉄であるため、磁場や磁力に反応するものなのです。

私たち人間の根幹は「鉄」なんです。

『太陽活動と景気』の中にも以下のようにあります。

 

> 血液中のヘモグロビンは鉄と色素の複合体であるヘムと蛋白質であるグロビンから成るが、グロビンは「反磁性」とされているから、本質的には鉄の科学的状態が血液の磁気的性質を発生させていると考えられるのである。 (太陽活動と景気)

 

ですので、「私たちの体には熱い血が流れている」というような表現がありますが、正確には、「適度な温度の鉄が流れている」というような感じです(無機質な表現だなオイ)。

このあたりは、ずいぶんと以前の記事ですが、以下などにもあります。

[記事] 気温や気候変動と「社会の暴力性」の間に存在する強い相関関係から見える未来
 In Deep 2016年7月28日

 

それはともかく、景気循環サイクルの指標として、よく言われるものに「コンドラチェフ・サイクル(コンドラチェフ循環)」というものがあります。

これは金融や経済の普通の用語ですが、約 55年のサイクルで景気が循環する、というようなものです。

このコンドラチェフというのはロシアの経済学者のお名前ですが、その後、マーチェッティという人が、この約 55年サイクルというのは、景気や経済だけではなく、あらゆることとサイクルとして共通していることを見出しています。

『太陽活動と景気』には以下のようにあります。

 

> マーチェッティ (G.Marchetti)は、いわゆるロジスティックス方程式を用いることにより、地下鉄の敷設から発明・イノベーション、殺人、自殺率に至るまで、人間の物的営為に約55年の周期があると説いているが、その究極の理由は定かではない。 (太陽活動と景気)

 

そして、この約 55年の周期というものが「太陽活動のサイクルと一致する」ことを突きとめた方がいまして、それは東京大学の太陽物理学者であった吉村和准教授という方でした。

1979年に、太陽活動周期の「ダイナモ理論」(天体磁場の運動理論)から、黒点活動に存在する約 11年サイクルの運動周期と共に、

「太陽活動の 55年サイクルの運動周期」

を見出したのでした。

そして、その後、「コンドラチェフ・サイクルと太陽の 55年周期が一致している」ことがわかったことが『太陽活動と景気』に書かれています。

 

それを思いながら、

「だったら、55年前の状況を見てみればいいのかな」

と考えまして、55年前は、1967年ですので、見てみましたら、「あー……なんとなく似ているような気もする」というようなことではあるようにも思えた次第です。

以下は、昭和43年(1968年)12月20日の日本の経済企画庁「年次世界経済報告」からの抜粋です。副題は、「再編成に直面する世界経済」でした。

昭和43年 年次世界経済報告 経済企画庁

再編成に直面する世界経済

1967年から1968年にかけての世界経済は、近年まれにみる激動の1年であったといえる。まず67年11月のポンド切下げにはじまり、68年3月には金投機が頂点に達して、現行通貨体制の危機すら思わせる状況が現出した。

この事態は金プール制の廃止と金の二重価格制の採用によって次第におさまりつつあったが、突然5月中旬にフランスで社会・政治的危機が勃発し、その結果、新たにフランが投機の対象となり、フランは年末までかなり長期にわたって動揺を続け、11月になってフランス経済は大幅な引締め政策をとってこれに対処することになった。

そのうえ、8月末からマルク切上げの噂がひろまり、マルクをめぐる思惑が新たに発生するという事態も現れ、ついに11月19日に至って、西ドイツ政府は付加価値税の調整によって、実質的なマルク切上げに近い措置をとらざるを得なくなった。

このように通貨・金融面では68年はまことに激動の年であったが、経済実態面についてみると、67年秋頃からみられた欧米の景気回復基調が68年にはさらに一段と高揚し、景気停滞期であった67年とは打って変り 68年は景気上昇の年となった。

この

> 現行通貨体制の危機すら思わせる状況

ですよね。

このあたりが何だか似ているかなあと。

 

最近の対ロシア制裁の結果としての「最も大きなブーメラン」のひとつとしてあることが、

「基軸通貨としてのドルの崩壊」

ではないかと述べる専門家が増えています。

最近、サウジアラビアが、中国への石油輸出の一部をドル建てから変更して「中国元」建てにすることを検討すると報じられていましたが、なんだか……最近の対ロシア制裁の流れを見ていますと、

「ロシアは、わざとやっているのでは?」

と思うこともあるのですよね。

それはつまり、「アメリカを没落させるため」にです。

SWIFT だとかいう国際金融取引からロシアは閉め出されましたけれど、閉め出されたらどうしなければならないかというと、他の国際金融取引システムに加わるか、「新たに作る」しかなくなるわけで、それを合理的に行うための「流れを作っている」ようにしか見えない面がありまして……。

これについて、アメリカ人作家のダグ・ケイシーさん……まあ、軍事予測組織のディーガルのこともこの方の記事で知ったのですけれど、最近の記事をご紹介したいと思います。

基軸通貨であるドルの「リセットの道」がすでに開いていることについての記事です。


 

ロシアの金準備に対する米国の脅威は、通貨のリセットが差し迫っていることを意味する理由がここにある

Here’s Why US Threats Against Russian Gold Reserves Mean a Monetary Reset Is Imminent
internationalman.com

 

「複数の準備通貨があることは可能だ」

これは誰の言葉かというと、米連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長の最近の言葉だ。これは、現在の世界の準備通貨である米ドルを最も支配している一人からの驚くべき発言ともいえる。

マイク・タイソンが「複数のヘビー級チャンピオンがいてもいい」と言うのと同じほど馬鹿げている発言でもある。

つまり、万事休すだ。

連邦準備制度理事会の議長でさえ、もはやドルの覇権を維持するという茶番劇に賛成することができなくなっている。…そしてあなたがたもそうすべきではない。(これは貯蓄に深刻な結果をもたらすが、いずれ記す)

パウエル氏のこのコメントは、歴史上最も近視眼的で自己破壊的な行為の 1つであることが証明される可能性のある米国政府のロシアに対する経済戦争の流れの中で発生する。

ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、米国政府はこれまでで最も積極的な制裁キャンペーンを開始した。

イランや北朝鮮をも超えて、ロシアは今や世界で最も制裁された国となった。

元アメリカ財務省当局者のピーター・ピアテツキー氏は「これは金融核戦争であり、歴史上最大の制裁事象です」と述べている。

彼は続けて、「ロシアは 2週間足らずで、世界的な制裁により世界経済の一部と金融からの排除の最大の目標となりました」と述べた。

 

そして、米国と欧州の政府は、ロシアの米ドルとユーロの準備金、つまり国の累積貯蓄を凍結した。それは約 3,000億ドル (36兆円)の価値がある。

ロシアの銀行は、国際電信送金システムである SWIFT から追い出された。欧米の多くの企業がロシアを去り、ロシア市民が彼らのプラットフォームを使用することを禁止した。

人気のある暗号通貨取引所 Coinbase は、ロシアにリンクされた 25,000を超えるアカウントをブロックした。 Visa、MasterCard、American Expressは、ロシアをネットワークから切り離した。

以前は中立だったスイスでさえ、制裁に加わった。

これらは、ロシアが米国が支配する世界的な金融システムからどのように切り離されているかのほんの一例だ。

もちろん、これはすべてロシア人にとって驚くことではない。彼らは、中国とともに長年にわたってこのような制裁に備えてきた。中国共産党は、米国がプーチンを倒すことができれば、次は米国の標的は中国になることを理解している。そのため、中国がロシアとの戦略的パートナーシップを放棄する可能性は低い。

したがって、ロシアは米国の圧力に屈服する代わりに、米ドルと米国が管理する金融機関を迂回するための代替案を「即座に」実施した。ロシアと中国には、国際金融取引を促進するための SWIFT の代替手段がある。米国のクレジットカード会社がシステムからロシアとの関係をブラックリストに載せた後、ロシアの銀行は支払い処理の多くを中国銀聯にシームレスに切り替えた。

銀聯は、中国の国際決済処理ネットワークだ。

Visa、MasterCard、American Expressと同じように機能するが、米国政府の優遇措置に依存しない点が異なる。米国の金融システムとは独立して運営できる。

中国銀聯は世界中で急速に成長している。140カ国以上の加盟店と ATM がそれを受け入れている、現在、世界最大の支払い処理業者の 1つとなっている。

さらに、中国、インド、イラン、トルコは、とりわけ、米ドルではなく現地通貨でロシアと取引を行うことを発表したか、すでに行っている。これらの国々の人口は 30億人を超える人々の市場であり、相互に取引するために米ドルを使用する必要がなくなった。

米ドルは世界有数の準備通貨であるため、莫大な権力を獲得している米国政府にとって、これはすべて大きな問題だ。ドルという準備通貨があるからこそ、米国は偽のお金を無から印刷し、実際の商品やサービスのために世界中に輸出することができてきた。これは他の国にはない特権だ。

 

ドルはまた、人々と企業に同様に圧力をかけるための途方もない力を与えてきた…しかしそれは、代替案の開発あるいは使用がされない場合に限る。

しかし、まさにそれが起こっている。

ロシアとその貿易相手国を孤立させることにより、米国政府は結果的に人類のほぼ半分が、ドルに代わるものを見つけるように動機付けているのだ。言い換えれば、米国は自身のシステムを弱体化させ、前例のない規模での脱ドル化を促進しているということをしてしまっている。

これは、北朝鮮、シリア、イランのような比較的小さな国がドルから切り離されるのとはまるで意味が異なる。ロシア、中国、およびその「友好国」に代表される何十億人もの人々がドルの使用をやめると、それは非常にダイナミックなことになる。

これらの歴史的な出来事は現在、急速に展開しており、すぐに転換点に達する可能性がある。

金(ゴールド)市場の最近の動向は、何か大きなものが差し迫っていることを示す巨大な点滅する赤いサインだ。

米国の制裁から身を守るための戦略の一環として、ロシアは世界最大の隠し場所の 1つに 2,300トン以上の金を蓄積してきた。

その金のすべて(執筆時点で 1400億ドル以上の価値がある)はロシア国内で保有されている。つまり、米国は軍事的侵略がなければそれに触れることはできない。

さらに、ロシアの金鉱業は世界の生産量の約 10%、つまり年間約 200億ドルを占めている。その金のほとんどは、ロシア政府の財務省に流れ込んでいる。

ロシアの金は、カウンターパーティリスクのない非政治的な中立的な形のお金へのアクセスを提供するため、大きな問題だ。

金は、価値の保存と交換に適した独自の特性があるため、2,500年間以上にわたって人類の最も永続的な貨幣の形だった。金は耐久性があり、分割可能で、一貫性があり、便利で、希少であり、最も重要なのは、すべての商品の中で「最も生産が難しい」ことだ。

言い換えれば、金は(既存の備蓄と比較して)「生産が最も困難」であり、したがってインフレに対して最も耐性のある商品の1つだ。

だからこそ、金は米ドルの真の金銭的代替物であり、ロシアにはそれがたくさんあることになる。ロシアはその金を使って国際貿易に従事し、おそらくルーブルを支援することができる。ロシアの金は、中国の金とともに、米国の支配の及ばない新しい通貨制度の基盤を形成する可能性がある。

そのような動きはドル支配の棺桶の最後の釘であり、最近の出来事はそれらが差し迫っている可能性があることを示唆している。

米国と同盟国は、ロシアがこの分野で動きを見せようとしていると感じているようだ。ロシアはすでに西側の金融システムから切り離されており、数千億の資金が凍結されているため、これはロシアにとって論理的な次のステップとなるだろう。

言い換えれば、ロシアはゴールドカードをプレイすることで失うものは何もなく、得るだけだ。

そして、米国とその同盟国はこれを知っているように思われる。

それが彼らがロシアの金準備を標的にしようとする前例のない措置をとった理由だろう。

最近、米国とその同盟国は、ロシアをロンドン金塊市場協会から追い出した。また、米国の上院議員のグループは、ロシアの金を売買する人を制裁することを目的とした法案を提出した。

これらの措置は、米国の一方的な制裁に従う可能性が低い巨大なアジアおよび中東市場と相互作用するロシアの能力にほとんど影響を与えない。

いずれにせよ、米ドルの無敵の支配の時代はすぐに終わりに近づいていることは明らかだ。FRB議長でさえ公然と認めていることだ。

つまり、私たち(アメリカ人)は歴史的な金融大地震の危機に瀕している可能性が高い……。

米国の方向性を永遠に変え、私たちの生涯で最大の経済的事象を示すことができるような大地震。

ロシアの金準備をターゲットにする動き、そして金価格の高騰は、それが差し迫っていることを示唆している。


 

ここまでです。

つまり、対ロシア制裁は「ロシアを強くしているだけ、あるいは強くする準備を加速させているだけ」ということのようです。

もちろん、いろいろな見方があるのでしょうから、これはひとつの主張でしかないですが、普通に考えれば、ダグ・ケイシーさんの言っているこちらの流れのほうが合理的な気はします。

そして、そんなことに気づいている人たちは、西側の専門家にもたくさんいるのでしょうけれど、コロナとそのワクチン以来続く、

「世界的な同調圧力」

がすごい。

メディアと一般大衆の「人間狩り」ですね。

こういう扇動がどのように起きていくのかは、10年前の記事ですが、以下をご参考いただければと思います。

[記事] 殺され続ける詩人シナ
 In Deep 2012年09月12日

 

政治や戦争と関係のないロシアと名のつくスポーツ選手や芸術家やら企業に行っていることは、ここに書いた内容とまったく同じです。

これらを「異常なヒステリー」と考えられないのでしたら、すでに「扇動」されています。

人間は基本的には、自分の利益に則って行動する生物だと思います。自分の将来的な利益を冷静に考えるということですが、扇動されたヒステリーの中ではそれが見えなくなります

それで自滅する。

コロナの渦中の社会もまったく同じでした(マスク、自粛、ワクチン)。

みんなで自滅していました。

馬鹿げたことだとは思いますが、仕方ないのですかね。

 

それにしても、このダグ・ケイシーさんの記事を読みますと、コンドラチェフ・サイクルから見る 55年前の 1967年の先ほどの経済企画庁の年次世界経済報告に出てくる概念と似ていなくもないです。

> 金投機が頂点に達し…

> 現行通貨体制の危機すら思わせる状況が現出…

 

いずれにしましても、対ロシア制裁が始まった時から個人的に薄々と感じていた、

「もう勝負はついているんだなあ」

ということを改めて思いますが、上のダグ・ケイシーさんの記事にある、

> 私たち(アメリカ人)は歴史的な金融大地震の危機に瀕している可能性が高い

というのは、私たち日本人も同様のはずです。

信じられないような「大地震」が近づいているのかもしれません。

ダグさんは、金の重要性を説いていますが、そのうち、金より小麦や大豆のほうが貴重になる時が来るような気もします。

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