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2018年からの世界 地球という場所の真実 拡大する自然災害

大気層「中間圏」がかつてない奇妙な状態になっていることがNASAの衛星データにより判明。そこは「電離層の電子を刺激する場所」であることから個人的に思うことは

投稿日:2018年8月31日 更新日:

スペースウェザーの特集記事より


A Mystery in the Mesosphere




 

高層大気の「状態の変化」が結果的にもたらすものは?

スペースウェザーの特集記事で、地球の大気圏の最も外側にある「中間圏」という大気空間で「異常が起きている」と報じられていました。

その異常というのは、この中間圏で発生する「夜光雲」というものの出現期間が変化してきているということでした。

夜光雲というのは、「雲」とはいっても、普通の雲とは形成される高さも見た目の状態もまったく違う現象ですが、それは時に本当に美しく夜の空で光り輝きます。

2013年6月にスコットランドで観測された夜光雲


spaceweather.com

この夜光雲の形成される中間圏というのは、下の図で赤で囲んだ位置です。

「中間圏」の位置


おもしろい宇宙の科学

50キロメートルから 80キロメートルの高さにあり、その上は「宇宙空間」ということになります。

そこで今起きていること自体がものすごく異常かどうかはともかくとして、そもそも、この夜光雲というのは以前はあまり見られなかった上に、今ほど明るいものではありませんでした。

私がブログを始めた頃から観測例が増えてきたという意味では「新しい現象」とも言えるもので、そして、過去のことなどを思い出しまして、いろいろと思うところもあるのですが、まずは、冒頭のスペースウェザーの記事をご紹介します。


A Mystery in the Mmesosphere
spaceweatherarchive.com 2018/08/15

中間圏で起きている謎

この夏、中間圏で何か奇妙なことが起きている。

中間圏は、地球の大気の層であり、大気圏にほぼ触れている場所だ。

地球表面から 83km上空までに広がる穏やかな大気の中で、中間圏の夏の水蒸気は流星の煙の周囲を包み込む。その結果、得られる氷の結晶の群は、高緯度の夜空で輝くように見える「夜光雲(NLC)」と呼ばれる現象を形成する。

夜間雲そのものは奇妙な現象ではない。

北方の空を観測している人たちは、近年では毎年夏に夜光雲を見るようになり、そのこと自体は最近では珍しいことでもなくなっている。

夜光雲は 5月頃から出現し、6月に最も多く観測され、最終的に 7月から 8月に出現しなくなる。

ところが、今年 2018年の夏は何かがおかしいのだ。

7月下旬に夜光雲は消滅していくどころか、珍しいほどの光度で出現し続けた。

下の写真は、7月26日にエストニアで写真家のカイロ・キッサク(Kairo Kiitsak)氏が撮影したものだ。珍しい明るさで空で輝き続けた。

キッサク氏は、「心に響く光景でした。この夜光雲は、夜間の大半の時間でその姿が見えました。その中の 3時間ほどは強烈な波紋が出ていました」と述べる。

他の多くの観測者の方々も、7月に同様の夜光雲を観測しており、さらには、8月になっても夜光雲は観測され続けた。

2018年8月の上半期、スペースウェザーへの夜光雲の観測報告は、2017年の同期と比較すると 3倍もの数だった。

8月には消滅していた夜光雲が今年は消えなかったのだ。

この理由について、米コロラド大学の研究者たちが、原因を突き止めた可能性がある。

コロラド州大気・宇宙物理研究所(LASP)のリン・ハーヴェイ(Lynn Harvey)氏は次のように述べる。

「中間圏に予期しなかった水蒸気の急増が起きていることがわかったのです」

ハーヴェイ氏が NASA の人口衛星に搭載されているマイクロウェーブ・リム・サウンダー(Microwave Limb Sounder / MLS)という装置が取得したデータを使用して作成した下のグラフを見ると、今年の 7月下旬から 8月の中間圏は、過去 11年間の中で最も水蒸気に多く湿気に満ちていることが示されている。

いつもより水蒸気が多く湿気が多いことに加えて、マイクロウェーブ・リム・サウンダー装置のデータによると、今の中間圏は通常より気温が少し低くなっていることもわかった。

湿った状態と低い気温の組み合わせは、氷結した夜間雲に適した条件を作り出していたと考えられる。

ハーヴェイ氏と研究チームは、なぜ、今の中間圏にいつもより多い水蒸気があるという状況が発生しているのかという謎について理解しようと努力している。

1つの可能性は、地球の南半球における惑星波(プラネタリー波)活動だ。この惑星波は、南半球で起きたものであっても、数千キロ離れた北半球の水蒸気を高層へ押し上げる可能性がある。

  (※訳者注) 惑星波とは、大陸や海洋の温度差や地形の高低差などによって大気が揺すぶられて生じる地球の大気の波の一つだと思われます。

この現象は現在進行中の太陽活動極小期とも関係している可能性がある。2018年以前の中間圏で最も寒冷で湿った年は、2008年から 2009年の太陽活動極小期だったことは注目に値する。


 

ここまでです。

先ほど、「過去記事で思い出すこと」があるようなことを書かせていただいたのですけれど、2012年6月に以下の記事で「夜光雲の異変」についてご紹介したことがあるのです。

謎の「光る雲」がどんどん高度を落としてきている
 In Deep 2012/06/26

ここでは、宇宙関係で著名なサイト「ユニバース・トゥディ」の記事を翻訳したのですが、長いものではないですので、再度ご紹介します。


Mysterious Noctilucent Clouds as Seen from the International Space Station
Universe Today 2012.06.25

ミステリアスな夜光雲が国際宇宙ステーションから観測される

夜光雲と呼ばれるミステリアスな現象は見る分にはとても美しい現象だ。そして、この夜光雲を国際宇宙ステーションから見ると、地上で見るものとは違った見応えのある光景となる。上の写真がそれだ。

古来から夜光雲はその存在自体、珍しいものとして考えられていたが、最近になって、夜光雲の輝きは明るさを増してきているのだ。

また、以前よりも頻繁に観測されるようになっている。

夜光雲の高度も以前より低くなってきており、その明るさのため、今では日中でさえ観測できることがあるほどだ。

夜光雲の発生原因については、これまでいろいろな議論がなされてきた。

流星の塵、ロケットの排気などが原因としてあげられたこともあるが、最近の研究では、大気の気体組成や温度の変化が、夜光雲が明るくなってきている原因であることを示唆している。


 

ここまでです。

このように、2012年の記事で、

「夜光雲は以前より明るくなっており、また高度も低くなってきている」

と記されていたのでした。

そして、今回のスペースウェザーの記事では、その理由がある程度は推測できるようなことになっています。

それは簡単にいえば、高層の中間圏の「湿気が非常に高い」ということです。

どうして、そのようなことになっているのかは、推測以上には今のところわからないですが、

夜光雲の変化は高層大気圏の変化をあらわしている

とするなら、その影響は地上にも及ぶのでは、と、ふと思ったのです。

たとえば、先ほどの記事に、「地球の南半球における惑星波活動の影響」というものが出てきますが、「惑星波」というものの詳細な定義を私は知らないですが、つまりは、地球の「大気の波」のことだと思われますが、これが変化していることを意味している可能性がある。

地球の大気の波が大きく変化しているのなら、それは地上の気象やさまざまに影響するはずだと思われます。

しかし、それよりもうひとつ、とても気になったのは、やはり先ほどの記事に、

「今年の中間圏は気温が低い」

ということが書かれてあったことです。

何しろ、この中間圏というのは、元々「マイナス 100℃」とかの壮絶に低い気温の場所なのです。

それで、ちょっと、やややこしい話になるかもしれなくて恐縮なのですが、この中間圏というのは、

「電離層の電子」

に影響を与えているのです。

下は Wikipdeia からの抜粋です。

中間圏の特徴 - Wikipedia

中間圏界面付近から上では大気に含まれる原子・分子が太陽からの紫外線によって電離し自由電子が増加する。

このような大気が電離している層を電離層といい、この最下層にあたる層は中間圏界面付近に位置し中間圏上層は電子密度が比較的多い状態となっている。

 

何が言いたいのかといいますと、「電離層での電子」というものが何と関係しているかという話なんです。

それは、

「大地震」

です。

このことを最初に知ったのは、2011年3月11日の東北大震災の後でしたが、その時に下の記事を書かせていただいています。

衝撃のデータ: 3月11日の地震の前に観測された日本上空の赤外線と電子量の急激な変化
In Deep 2011/05/20

最近では、下のような「中国が高層電離層の攪乱システムを開発している」というようなことを記事にしたこともあります。

気象コントロール戦争レースの行く末は… : 世界最大級の「高層電離層の攪乱システム」を建設している中国政府。そして「2025年までに気象を手にする」と宣言したアメリカ政府。「地球の気象を牛耳る」のはどちらか

要するに、電離層の電子への刺激は、

「何かになる」

ようなのです。

だから、中国政府も莫大な予算をかけて、その研究をおこない、おそらく設備建設に着手している。

その「何か」が「何なのか」はわかりません。つまり、正確には「どんな影響なのか」はわからないです。

しかし、電離層の電子と「大地震」が関係しているという事実が明らかになっている今、電離層の電子を刺激する「中間圏の異変」というのは、なかなか刺激的な事実なのかもしれないと思ったのでした。

もはや、今の時代は、

「空で起きることは空だけの問題ではなく」

「地上で起きることは地上だけの問題ではない」

というような下手な詩のような世界であり、そういうことが次々と明らかになりつつあるからこそ、今回の中間圏の変化という本来なら「空だけのニュース」から奇妙なことに思いを抱いてしまいました。

最近は、中間圏を含めた高層大気でいろいろな異変があり、さまざまなことをご紹介してきました。

下のように、規則正しく続いてきた成層圏の気流の巨大サイクルが「崩壊」していることがわかったりしています。

気流の崩壊は続く : 規則正しく続いてきた成層圏の気流のサイクル「準2年周期振動」の規則性が2015年に崩壊したことがアメリカ地球物理学連合の研究で明らかに

いろいろなことが「変化」とか、あるいは「崩壊」しているその結果は、今の気象や気温や地質の異常に十分にあらわれているのではと思ったりもいたします。

それが、自然の摂理なのか、人為的なものも関係しているのか、それはわからないことなのですけれど、この世の自然の変化あるいは崩壊は進行し続けています。





  • この記事を書いた人

Oka In Deep

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