「アーリマンがやってくる」(1919年)
考えてみれば、自分の人生っていうのは、災い転じてフクロウとなる(鳥になっちゃうのかよ)。ああ格言が違いますね。なんでしたっけ。…ああ、なんか言葉が出てきませんけれど(脳問題の伏線)、まあそういう災い転じて…系のことも多くてですね。
「こりゃ困ったなあ」というようなことに突き当たってみても、結果として「そのことにより、むしろ良いほうに向かった」ということが、まあ、そういうことは多くの方々にあるとは思いますけれど、私も人生ではそのようなことが多かったですね。
また、そういうことがありました。
前回の記事で、ルドルフ・シュタイナー研究家のテリー・ボードマンさんという方について少しふれました。テリーさんは最近、アーリマン( 21世紀に化身あるいは受肉して地上に現れるとシュタイナーが述べていた悪魔的存在)についての主張を独自の視点でネット上で述べ続けていた数少ない方でもあります。
そのテリーさんのウェブサイトが「事実上、消えてしまった」ことについて、前回の以下のブログでふれました。
ネットから消されたシュタイナー研究家の文書を探していて知った、全体主義を追ったドイツ人女性哲学者の言葉。それは、いつの時代でも「悪の本質は《システムを無批判に受け入れること》」
投稿日:2021年2月10日
今のところ(2月11日)はテリー・ボードマンさんのウェブサイトの状況は同じで、国際機関によるドメインの一時停止が続いていまして、表示されない状態です。
それで、「ああ残念だな」と思っていたのですけれど、やや執念を燃やして、いろいろと探していましたら、テリー・ボードマン氏の論文の一部がイタリアのサイトにアーカイブされて収められてることを突き止めたことまでを前回書かせていただきました。
イタリアのサイトでした。
その後、このイタリアのサイトを見てみましたらですね……これがもう宝の山であることを知りましてですね。
収められているアーカイブ一覧を見てみましたら、いろいろとあるわあるわ。
中でも収穫だったのは、ルドルフ・シュタイナーの、
「会議での議事録」
が PDF に変換されて、数多く資料として残されていたのでした(全部イタリア語に変換されていますけれど)。
それらの資料には「会議 (Conferenza)」としか記載がないですので、それぞれ何の会議なのかわからないのですが、議事録とはいっても、基本的にシュタイナーの言葉しか収められていないですので、おそらくは、ヨーロッパ各地での「人智学協会」の会議なのではないかと思います。
シュタイナーの人智学協会は、Wikipedia によれば、以下のようなものと説明されています。
(シュタイナーは)1902年1月には正式に神智学協会の会員となり、ドイツを中心にヨーロッパ各地で講義などの精力的な活動を繰り広げる。
1912年、神智学協会幹部との方向性の違いから同会を脱退、同年12月に当時の神智学協会ドイツ支部の会員ほぼ全員を引き連れてケルンにて人智学協会を設立する。 (人智学)
歴史はともかく、いろいろと面白そうな会議のテーマが並んでいましたので、昨晩、お酒を飲みながら、いくつかの会議の議事録(とはいっても、シュタイナーの言葉だけです)を適当に見ていたのですが、その中に、1919年11月1日にスイスのドルナッハで開催された会議の記録があり、そのタイトルが、
「《 アーリマン 》がやってくる! (《Arimane》 è in arrivo!)」
というものだったのでした。
この「《 》」と「!」は、オリジナルの資料タイトルにつけられているもので、他の議事録のタイトルに「!」とビックリマークがついているものはないようですので、シュタイナーにしてみても、
「びっくりしたなあもう」
という感じの話をしているということになるのかもしれません。
以下がその資料の表紙です。
議事録は 24ページもある上に、シュタイナーさんの書くこと言うことは、書籍を含めて全体的にそうですが、難解な言い回しが多く、相変わらず内容はわかりにくいです。
ただ、ほぼ最後のあたりに以下のようなシュタイナーの言葉が出ていまして、
「なるほどねー」
と思った次第でした。
1919年のシュタイナーの議事録より
「数字」は、アーリマンが「特定の方向に人類を誘導するため」に使用するツールであり、それによってアーリマンは、三千年紀の次の化身(受肉)のための利益を、よりよく見いだすことができるのです。
これを読みまして、
「そうなんだよ、今の時代も数字でやられてんだよ、シュタイナーさんよ」
と思わず呟いてしまいましたけれど、現実として、コロナウイルスのパンデミックでも「数字」が非常に効率よく使用されています。そしてそれが扇動の主要なツールとなりました。次第に世界の人々は「数だけに踊らされる状況」となりました。
昨日の記事に書きました「無思考性」も「数字が真実と直結するという勘違い」から来ています。
今後機会があるときに、部分的にでも 102年前のこのシュタイナーの議事録の印象的な部分を、少しずつご紹介したいとも思います。
まあ、テリー・ボードマンさんのシュタイナーに関する論文を読めなくなってしまったからこそ、このイタリアのサイトを見つけることもできましたし、冒頭のほうにも書きましたけれど、捨てる神あれば広いダイニングでかんざしを頭に乗せ……ん?
さて、このような自らの「脳の混乱」を鑑みまして、話はまったく逸れるのですけれど、メルマガに書こうとしている内容の一部でご紹介したいことがあります。
メルマガで書こうとしている内容は、とても暗い上に陰謀論的な雰囲気もある話ですので、その全体にはふれないですが、ここでは、最近のネイチャーに掲載された「医学論文」のことに少しだけふれさせていただきます。その論文の事実だけを記させていただきます。
「脳」の話です。
もしかすると、ワクチンと関係する話かもしれないですけれど、純粋に最近発見された医学の話としてお聞き下さればと思います。
血管から脳への異物の侵入を防ぐバリア「血液脳関門」を楽勝で通過するもの
新型コロナウイルスに関して、最近やたらと「後遺症」的な記事を目にします。多くは深刻なもののようで、「思考や記憶障害、血管の障害、心臓の障害、そして脳や神経的な障害」なども含まれることが日本でも多く伝えられています。
しかし、症状が多彩でもあり、現実的な原因がよくわからないままなのです。
たとえば、日本のこちらの報道では、お医者様が「サイトカインストーム」という免疫細胞の暴走が原因ではないかとする説を述べられていますが、しかし、サイトカインストームにしても、「完治してウイルスが身体から完全に排除された後に、多数の人たちにそんなに長い期間、後遺症が続くことは基本的にはないのでは」と普通には思ってしまいます。
完治後に何ヶ月も神経障害や血管障害が続くことが、サイトカインストームのようなもので説明できるのかどうかは私にはわからないにしても、何か違うような気はしていました。
しかし、現実として、「ウイルスはすでに検出されないのに」後遺症のような症状が長く続く。
後遺症とは異なりますが、昨年のフランスでのコロナ重症患者を対象にしておこなわれた調査を述べた医学論文では、
・80%以上に神経・精神症状
・最も重い患者の100%に脳の灌流異常(脳血管障害に起因する認知症)
が見られたとするデータもあり、しかし、たとえば剖検(検死)などを含めて、患者の脳へ新型コロナウイルスが侵入するという明確な証拠はないままだと記憶しています。
脳などから新型コロナウイルスが検出されないのに、感染後も完治後も「明らかに脳や神経、あるいは血管に物理的な障害が起きる率が非常に高い」のです。
これはどういうことなのだろう、ということが、最近の医学界でのひとつの焦点でもありました。
そんな中で、最近、ネイチャーに掲載されたひとつの論文を読みまして、
「その理由がわかったかもしれない」
という流れになってきています。
以下の論文です。
The S1 protein of SARS-CoV-2 crosses the blood–brain barrier in mice
SARS-CoV-2 (新型コロナウイルス)のS1タンパク質(スパイクタンパク質)は、マウスの血液脳関門を通過する
この「スパイクタンパク質」というのは、以下の図にある「スパイク」と書かれてある部分です。
新型コロナウイルスの構造
早稲田大学
このスパイクタンパク質は、ウイルスがヒトの細胞に感染する際に重要な役割を果たすものですが、その働きはともかく、この「スパイクタンパク質」というものがコロナウイルスにあるということを前提に読まれて下さい。
ネイチャーの論文の概要から短く抜粋します。
オリジナルの論文は、専門用語や専門の略語(記号)が使われていますが、ここでは一般的な日本語にしています。
2020年12月16日のネイチャーの論文より
新型コロナウイルスは、スパイクタンパク質の S1サブユニットを介して細胞に結合する。静脈内注射された放射性ヨウ素化 S1(スパイクタンパク質)は、雄マウスの血液脳関門を容易に通過し、脳領域に取り込まれ、実際の脳空間に入ったことが示された。
新型コロナウイルスのスパイクタンパク質は、肺、脾臓、腎臓、肝臓にも取り込まれた。
鼻腔内投与されたスパイクタンパク質も脳に入りはしたが、静脈内注射による投与後の約 10分の1のレベルだった。 (Nature Neuroscience)
ここに出てきます「血液脳関門」というのは、Wikipedia 的な説明ですと、「血液と脳の組織液との間の物質交換を制限する機構」となりますが、もっと簡単に言えば、この血液脳関門の「英語での表記」を見ればわかりやすいと思います。
英語では、
「ブラッド - ブレイン・バリヤー (blood-brain barrier)」
というように「血液と脳のバリヤ」という名称となっていまして、「血液脳関門」というのは、
「血液の中の異物が、脳内に入らないように防いでいる場所」
といっていいかと思われます。
私たちの血液には、特に今の時代ですと、薬や化学物質を含めて、いろいろな物質が血液内に流れますが、基本的はそういうものは「脳に入ると困る」ものですので、「脳に異物が入らないように制御している」という重要な場所です。
これがあるおかげで、かなりの血液中の異物や不純物が「脳に入ることを食い止められている」と考えてもいいかと思います。
少なくとも、ウイルスや細菌などのようなものは基本的に脳へ行けないといえそうです。
ところが、先ほどのネイチャーの論文には、
新型コロナウイルスのスパイクタンパク質は、雄マウスの血液脳関門を容易に通過し、脳領域に取り込まれ、脳空間に入った
とあるわけです。
新型コロナウイルスのスパイクタンパク質は「血液脳関門で食い止められない」ということがわかったのです。
ウイルスそのものはここを通過しなくとも、「ウイルスの一部分であるスパイクタンパク質は通過する」ようなのです。
論文に「容易に」とありますように、かなりのフリー状態で、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質が次々と「脳の中に入っていく」ことがわかったのです。
さらに論文で注目すべきは、「静脈内注射されたスパイクタンパク質は、血液脳関門を容易に通過し」にありますように、
> 血管に注射されたスパイクタンパク質は通過する
という点です。
一方で、たとえば、通常の気道感染症のように「鼻腔内などの気道に感染したような状態」では、以下のようになることが書かれています。
> 鼻腔内投与されたスパイクタンパク質も脳に入りはしたが、静脈内注射による投与後の約 10分の1のレベルだった。
普通の(風邪の場合のような)気道上への感染の場合、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質は「ほとんど脳内に入らない」ということです。
「注射したときだけ、次々と脳内にスパイクタンパク質が入っていく」
と。
これが何を意味するのかを書いているわけではないです。
また、この「スパイクタンパク質が脳内に入りやすい」という性質が、コロナに後遺症が多いことや、神経症状や脳血管障害が多いことと関係しているかどうかはわかりません。
しかしとにかく、「血管に注射すると、大量のスパイクタンパク質が脳内に入る」という事実が少なくともマウスで認められています。
参考までに、コロナワクチン(mRNAベース)が体内で「どのような作用」をするのかを、メーカーのウェブサイトから短くご紹介します。
米ファイザーのウェブサイトには、消費者からの質問に答えるページがあり、質問の多い 9つの質問に答えていますが、そのふたつめは、
「 mRNA ワクチンは人の DNA を改変しますか?」
というもので、以下がファイザーの回答です。
「mRNA ワクチンは人の DNA を改変しますか?」という質問に対してのファイザーの回答
いえ、そのようなことはありません。mRNA は人間の DNA に組み込まれません。情報の一時的な運搬場所です。
不活化したウイルスや実際のウイルスの一部を使用して免疫応答を促進する従来のワクチンとは異なり、mRNA ワクチンは、コロナウイルスの表面にあるスパイクタンパク質を生成するように細胞に指示する脂質ナノ粒子エンベロープを介して体の細胞にメッセージを配信します。
スパイクタンパク質を生成するように細胞に指示すると、SARS-CoV-2 スパイクタンパク質に特異的な抗体の生成を含む免疫応答が促進されます。 (pfizer.com)
とありました。
このファイザーのワクチンは、ここにありますように、
> スパイクタンパク質を生成するように細胞に指示する
ものであり、つまり、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を「体内に作り出す指令を出すもの」といえそうです。
先ほどのネイチャーの論文の説明にある
「新型コロナウイルスのスパイクタンパク質は、容易に脳に入りこみ脳の全域に広がる」
ということと、
「 mRNA ワクチンは、体内に新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を作る指令を出す」
というふたつのことを大体同時期に知りまして、「なるほど」と思った次第でして、ご紹介させていただきました。
先ほども書きましたけれど、ここでは「それが何かの状況を導く可能性」だとか「このようなことが予測される」というようなことは一切述べませんし、それは私にはわかりません。
しかし賢明な方々、あるいは、お詳しい方々には、「これから世界で起こり得ること」が、ほんの少しでもご想像されることができる方もいらっしゃるのかもしれません。
なお、先ほどのネイチャーの論文で研究者たちは、「あくまで可能性」としてですが、「脳へのスパイクタンパク質の広範な侵入が、脳炎、呼吸困難、匂いの喪失などの多様な神経学的影響を説明できる可能性」に言及しており、また、注入されたスパイクタンパク質は、「マウスの肺、脾臓、腎臓、肝臓にも見られた」ことを記していました。
というわけで、血液脳関門をいろいろなものが通過する時代が始まりを告げたのかもしれないですが、今回は、最初に取り上げましたシュタイナーの「アーリマンがやってくる!」の冒頭部分をご紹介して締めさせていただこうと思います。
1919年の議事録「アーリマンがやってくる! / シュタイナー」の冒頭より
私たちの文化は、キリスト教以前の異教にルーツがあります。
東洋からギリシャまで、キリストの前の千年は、それとは別の道徳的な衝動のない原始的な知恵によって特徴づけられました。
この原始的な知恵は、紀元前三千年紀の初めに、ルシファーによって東洋での彼の唯一の化身を通してもたらされました。
キリスト後の三千年紀に起きる、アーリマンのただ一度の化身(受肉)は必ず西洋で起きる必要があります。アーリマンが彼自身がやってくる準備をする方法を人類が知っていることが重要なのです。
アーリマンの策略は、科学での唯物論です。
そして、物質的なものの数々を得ることに対して(人々を向かわせる)人生の方向性もアーリマンの策略です。
第三のアーリマンの策略はナショナリズムであり、人類を思想と政治的に分断することです。
福音書(イエス・キリストの言行録)の単純な読み方を主張することは、実際には一方的なものであり、それはキリストに対して「幻覚的な理解」を生み出すだけであり、福音書を単純に理解することは、これまで以上にアーリマンの成功に貢献しています。
唯物論と幻想的な唯心論は相互に有益です。
何よりも統計と数字によって行動するアーリマンの存在に対して、人類は、精神科学の真剣な精緻化によって、それを乗り越えられるのです。
ここまでです。
実は、この中に1カ所、どうしても意味が通る日本語として訳せない部分がありまして、それはイタリア語から英語にすると、以下のような文章でした。
The common agreement between Lucifer and Ahriman : only the instincts act in the stomachs, in the heads the heartless "canned boxes", that is libraries and deeds
直訳しますと、
「ルシファーとアーリマンの間の共通の合意:胃の中では本能だけが作用し、頭の中では無情な「缶の箱」 - それは保管庫と証書 - が作用します」
となり、ちょっと意味がよくわかりませんでした。
この 1919年のシュタイナーの「アーリマンがやってくる!」については、それと関係したような話題が出る時に、部分的にでもご紹介できればと思います。
他にも相当興味深い資料をたくさん見出すことができまして、時間があれば読みたいものもありますけれど、時間に追いつけますかどうか。
>> In Deep メルマガのご案内
In Deepではメルマガも発行しています。ブログではあまりふれにくいことなどを含めて、毎週金曜日に配信させていたただいています。お試し月は無料で、その期間中におやめになることもできますので、お試し下されば幸いです。こちらをクリックされるか以下からご登録できます。
▶ ご登録へ進む