ローリング・ストーンズ - 黒くぬれ(Paint It, Black) 1966年 冒頭部分の訳詩
赤いドアを見ると黒く塗りつぶしたくなる
もう色なんていらない
全部黒くしたいんだ夏服で着飾った女の子たちが通り過ぎるのを見た
俺の中の暗黒が過ぎ去るまで
俺はその光景を見ないように反対を向いた※曲は YouTube にあります。
色を獲得したデスバレーの現在
今回は「色」と関係したお話になりそうなんですが、色といえば、少し前の、
・死の谷に花が咲き、ハートの赤い雲が示唆するバレンタインの予言は2016年3月の何を指すのか
2016/02/16
という記事で、「世界で最も暑く、最も不毛に思える大地のひとつ」である米国カリフォルニア州にあるデス・バレーで、2月上旬から、「花が咲き乱れている」ということをご紹介したことがありました。
その後、デスバレーの「自然の息吹」の勢いは止まっていないようで、最近の写真を見ますと、さらに色とりどりの花が咲き乱れていて、次第に「楽園色」が濃厚になっているというような様相を呈しているようです。
最近のデスバレーの光景
もともとのデスバレーは、
このような大地だったわけですが・・・豪雨や気候の変化がもたらした環境変化により、下のような光景となっているようです。
下の写真は、上の中の花が咲き乱れるデスバレーを歩く女性の写真の色合いを少し加工したもので、こうなると、ここが「死の谷と呼ばれる場所」とはちょっとした思えず、絵画的な美しさまで放っている現在のデスバレーなのでありました。
もちろん、この楽園のような風景も長くは続かないはずで、もう少しすると、また岩と砂だけの「色のない風景」に戻っていくはずです・・・けれど、これだけ気候変動が激しい現状ですと、今後もデスバレーの雨量に変化が起きて、ずっとこの様子のままだったりするとこともあり得るのかもしれませんが。
たとえば、中東オマーンにサラーラという都市がありまして、まあ、中東ですので砂漠なんですが、ここは7月から9月くらいまでの間、毎年モンスーンが吹くため、その時「だけ」緑に覆い尽くされることを、昨年の記事、
・「水の意味」: かつて緑豊かだったサハラ砂漠の「大河」の位置と大きさがわかり…
2015/11/13
という記事に載せたことがありました。
デスバレーのような場所でも、気候がそのように変化していけば、毎年今のような「咲き乱れ状態」が発生するようになるのかもしれません。
そして、このような光景から、花とか植物とかが私たちに与えてくれているのは「色」であり、そこに私たちは惹かれるわけです。
style="color: #cb0000;">「植物が緑」であることが地上のすべての生命体系を支えている
昨年の、
・植物が「緑色」であり続ける理由がわかった!…
2015/07/06
という記事で書きましたが、以下の2つのことがら、
- 植物は「光(光合成)で生きている生命としては、最も効率の悪い色である緑」を自分の色として選んだ
- その意味は、「植物が人間と共生するために存在しているから」
だという・・・まあ、これらは推測だとはいえ、個人的には確定的な結論に達したと思っていることを書いたことがありましたが、もし、たとえば、これが進化論的な・・・つまり、「強いものが進化の選択の中で生き残っていく」というような発想での考えですと、「植物は多くが黒くなっていった」はずです。
進化論的な意味合いで、自分だけ生き残るためなら、植物は少なくとも「最も光の吸収の悪い緑」という色は選ばなかったはずです。限りなく「黒に近い色」に「進化」しようとしたはずで(そのほうがエネルギー効率がいいため)、そして、地球上は黒っぼい植物だらけだったかもしれません。
しかし、そうはなりませんでした。
地球のほとんどすべての植物の葉は、光の吸収の最も悪い色の緑であり、そして、植物が緑であることによって、それは地球の環境体系の中に「完ぺきに作用する」ということになっているのです。
たとえば、植物は、おそらく、その緑色のせいもあるのでしょうが、光合成の際に 70%以上のエネルギーの損失を起こしますが、それがあるために、植物の周囲に集う微生物たちは養われるのです。
そして、微生物たちは他のすべての生物たちの根幹を築くわけで、つまりは、
・地上のすべての生命が生きている理由は「植物が緑であるから」であり、植物がエネルギーを「非効率的に」用いているから
だということにも、あの記事を書いた後に気づきました。
地上の生きとし生けるものすべての立脚点は結局「植物が緑であること」だということが今にしてはっきりしてきたということかもしれません。
さて、植物の緑や、花の赤や白や黄色や紫は美しいものですが、植物の葉にも花にも「ほとんどない」色が「黒」です。
厳密には、植物にもいくつか黒い葉や、黒い花を持つものはありますが、やはり通常はほとんど目にしないものです。
こういうところから見ても、一般的には「黒の反対色は白」とされていますが、私は、おそらく、
「黒の本当の反対色は緑」
だと思っています。
ちなみに、補色といわれる正式な色相環の概念では、緑の反対色は赤です。
つまり、色学では「緑と赤が反対の場所にある」ということで、これは、
・緑 → 植物の色
・赤 → 血の色
ということで、植物と人間が「対」であるという考えから、緑の体を持つ植物と赤い血を持つ人間が「それぞれの極にいる」ということは理解はできますが、しかし、私個人は、さきほどリンクしました植物が緑色であり続ける理由にも書きましたが、「植物と人間は対極にあるのではなく、共にひとつ」だと考えています。
そういう見地からは、緑の体を持つ植物と赤い血を持つ人間は「対極」というより「一対」ということで、つまり、「緑と赤は、反対色ではなく、同じグループ」だとさえ考えます。
では、その一対である「緑と赤」のどちらに対しても反対色というのは何か・・・といいますと、それが先ほどの「黒」なのだと思います。
「緑と黒」に関しては、さきほど書きました「植物の緑の正反対の色が黒」であり、赤に関しても、過去記事にも「赤い月と黒い太陽」というようなタイトルの記事がありますように、「赤と黒」の対極は似合います。
何を書いているんだか、自分でもややわからなくなってきましたが、とにかく、黒という色は、
・植物を意味する「緑」の最も対極にある
・人間(の血)を意味する「赤」の最も対極にある
というもので、黒はやはり特別な色のように思います。
そういう意味では、冒頭に掲げましたローリング・ストーンズの、「黒くぬれ」の冒頭の歌詞、
> 赤いドアを見ると黒く塗りつぶしたくなる
とか
> もう色なんていらない
なんてのは、悪魔的な響きにも聞こえますが、それはともかく、どうして「黒」なんて色のことを書いているかといいますと、最近、「黒」に関する報道が多いのですよ。比喩の話ではなく、色としての黒の話です。
「黒」が噴出し始める時
最近、立て続けに、「黒」と関係するニュースをご紹介したことがあります。
下の3つです。
・リアル・ブラックレイン : 米国ミシガン州の町を覆った「ネバネバした黒い雨」
地球の記録 2016/02/20
・ブラック・ウォーター USA :米国テキサス州のクリスタルという名前の町の水道から流れる「黒い水」
地球の記録 2016/02/22
・アマゾンの黒い河 : ペルーの国有石油会社のパイプラインで大規模な原油流出が発生し、非常事態が宣言される
地球の記録 2016/03/02
最初のアメリカのミシガン州の報道は、何か正体のわからない「ネバネバしたもの」が大量に降ってきて、街中のほとんどの車や建物がそれで汚されてしまったということについてのニュースでした。
テキサス州では、「クリスタル」という名前の町の水道から、一斉に「黒い水」が流れ始めたということが報じられました。水道会社の問題らしいんですが、突然一気にそれが起こったというのが衝撃的な感じだったようです。
そして、ペルーでは国有石油会社のパイプラインが破裂して、アマゾンの川が「真っ黒」に染まっています。おそらく、今現在もまだ収拾はついていないと思われます。
そういう「黒」に関してのニュースが妙に連続したということで、「黒ってどんな意味なのかな」と考えて、先ほどのような「黒の色の意味」という、ややわけのわからないことを書いてしまった次第です。
黒といえば、昨年の春に、キプロスに「黒いフラミンゴが出現した」という出来事がありました。
2015年4月のサイエンスの報道より
・過去記事「ブラック・フラミンゴが現れた地球…」より。
このキプロスというのは、2013年3月16日・・・というと、ほぼちょうど3年ほど前ですが、政府が突然の「預金封鎖」をした国でもあります。
そういう経歴のある国に「ブラックスワン」ならぬ「ブラック・フラミンゴ」が出現したというのが印象的でした。
これまで、 In Deep では、自然現象で「赤くなる」ことについての、
・赤の意味
をよく取り上げることがありました。
そして、植物と人間の関係の中で浮かび上がった、
・緑の意味
というものもこの地球の重要な要素であることにも気づきました。
しかしどうやら今は、
・黒の意味
も考えなければならない時なのかもしれません。
何となくですが、今、「黒い現象」が広がっていて、これからも広がるような気がするからです。
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