花が咲き乱れる2016年2月上旬の米国デスバレー
・Death Valley Exposed: Wildflowers - February 2016
アメリカのカリフォルニア州にあるデスバレー( Death Valley =「死の谷」の意)といえば、不毛な風景と共に、「動く岩」でも有名な場所です。
100キロ、200キロとあるような巨石が、「ひとりで動いている」ことが、長年の謎となっていた場所でもありました。
デスバレーの「動く岩」
「謎となっていた」と過去形で書きましたが、最近、このデスバレーの岩たちが動く理由が解明されたのです。
アメリカの EMA という環境関係の組織が2年がかりで調査し、2014年8月に発表していたのでした。
簡単に書けば、雨量がとても少ないデスバレーですが、ときに雨が降ります。冬である場合は、この地の夜間は非常に気温が下がるため、デスバレーの平地全体の表面が「氷」と化すのだそう。
そして、日中、その氷が溶け始める時に「流氷」が発生し、強風が吹き荒れるデスバレーでは、その「風」と「氷」によって岩が移動していることが、ついに突き止められたのでした。
下はそれを記録した動画の一部です。
そういうわけで、この世にさまざまある謎の中でも「巨石が、誰もいない時に動いている」という、とても不思議な現象だったデスバレーの「動く岩」も、この地の過酷な気温と激しい強風によってもたらされていたということがわかったということです。
それにしても、原因がわかったことで、この不思議さはさらに増す感じです。
なぜなら、世界に同じ現象が起きる場所は他にないからです。
他にも「そこでしか起こらない現象」というのは地球にはたくさんあるでしょうが、それでもなお、「世界に唯一の自然現象をもたらす」という現実は、なかなかのものではないかと思う次第ではあります。
このデスバレーの謎の解明は、2年間の調査という、それなりの執念と根気によって達成されたものですが、他にも多く存在する「この世の謎」というようなものも、これだけ末世感が強い今ですと次々とわかっていきそうな気もします。
ちなみに、現代で不思議とされる現象ベスト10は、媒体によって取り上げられる現象は違うでしょうけれど、米国「サイエンス・アンカバー」が 2013年にピックアップした「科学的に解明されていない 10の現象」は下のようなものでした。
科学的に説明されない10の奇妙な現象
1. 地震前の発光現象(参考リンク)
・2011年4月7日の宮城沖震源の地震発生時の仙台の光。NHK より
2. ナスカの地上絵
3. オオカバマダラ(蝶)の長距離移動
これに関しては、「おそらく人間を含めた「全生物」は磁場により生きている…」という記事に、そのナビゲーション能力が、クリプトクロムと MagR という複合体の働きによってなされていることが解明されたことを記事にしたことがあります。下はその記事に載せた図です。もちろん、メカニズムはある程度わかってきたとはいえ、その完ぺきな仕組みの存在は(他の生物にしてもそうですが)謎というか、驚異的ではあります。
4. 球電(空中を丸い発光体が浮遊する現象) ( Wikipedia )
5. デスバレーの動く岩
6. 謎の低周波と轟音
これは、「謎の音」に関して、以前いくつか記事を記したことがありましたが、特に、「…2004年の「謎の音」に関しての研究論文から思い出す「良い周波数」と「悪い周波数」 (2014/10/16)」では、アメリカなどでは「謎の音」の報告例が激増していることにふれたことがあります。
7. 周期ゼミ(13年ゼミや17年ゼミ)の生態と生殖( Wikipedia )
8. 空から動物などが降ってくる現象(ファフロツキーズ)の仕組み
最近も、エチオピアで「魚の雨」が降ったことが現地の新聞の一面を飾ったことを「歴史上「初めて」隕石の直撃での死者がインドで記録された時、エチオピアでは記録上初めて魚の雨が降る」という記事でご紹介したことがあります。
わかりそうでわからないのが、この「いろいろと降ってくる」現象ではあります。
9. コスタリカの巨大な石球 ( Wikipedia )
現在までに、この球がコスタリカで 200以上見つかっています。人為的に作られたものであるこみとは確かなのですが、作られた年代は基本的に不明。そして、「何のために作られたのか」という目的については、さらに不明です。限りなく真球(完全な円)に近いものもあるようです。
10. ビルトダウン人にまつわること
これは何だか複雑な話のようなのですが、この「ビルトダウン人」というものについての、Wikipedia の最初の部分を掲載しておくにとどめたいと思います。
ピルトダウン人は、近代科学史上で最大のいかさまとして知られる捏造された化石人類。
20世紀初頭の英国イースト・サセックス州のピルトダウンにて「発見」され、20世紀の前半期の古人類学研究に多大な悪影響を与え、迷走させた。(略)
戦前には化石は厳重に保管されて理化学的検査も認められなかったため、捏造を立証し得る確たる材料も無く、1940年代の終わりまでに250編もの論文が発表された。ピルトダウン人化石の正体が暴かれたのは、1950年のことである。
なんだかデスバレーの話から、本題が何だかわからなくなってきましたが、書こうと思ったのは、その不毛の地のイメージのあるデスバレーに現在、「花が咲き乱れている」ということなのでした。
不毛な地の花たち
過酷な地に花が咲くということに関しましては、世界で最も乾燥した場所であるチリのアタカマ砂漠が、歴史上最悪の被害を出した大洪水の後、その洪水の影響で後に花が咲き乱れたということをご紹介したことがあります。
・2015年のハロウィンの日に : ベルギーで原子炉が爆発し、ロシア機が空中爆発。コロンビアでは川が血の赤に変色し、世界一乾燥するアカタマ砂漠は色とりどりの花に取り囲まれて
2015/11/02
2015年11月初旬のチリ・アタカマ砂漠
そして、アタカマ砂漠ほど不毛な土地ではないでしょうが、やはり極端に水の少ないアタカマ砂漠も、今、花盛りとなっていることが報じられていたのでした。
2月上旬のデスバレーの花
・Death Valley Exposed: Wildflowers - February 2016
このデスバレーには 1,000種類を超える植物が存在しているそうですが、何しろ環境が過酷で、夏は気温が 50℃を越えたり、1年を通じて雨がほとんどない状態が続いたりで、植物が多く育ったり、たくさんの花が咲く、という状況が訪れる機会はめったに来ないようです。「例外的な大雨に見舞われる」などの条件の際に、何年、何十年といった間隔の中であることだそうです。
ちなみに、このデスバレーには、この地域固有の「砂漠の魚」も生息しているのだそう。
デザート・パプフィッシュ( Desert Pupfish )という魚で、ナショナルジオグラフィックの「米国の小魚、息を5時間止められる」という記事によれば、この記事タイトルの通り、この魚は、
> 最長で連続5時間も酸素をほとんど取り込まずに生きていられる
のだとか。
5時間、酸素なしで生きられる! これは、魚とかそういう範囲ではなく、大型の多細胞生物ではとても珍しいのではないでしょうか。
この魚、下のようなデスバレーの「わずかな水」の環境で暮らしているようです。
デスバレーの砂漠にすむデザート・パプフィッシュ
そして、場合によっては、長いこと息を止めて暮らしている・・・と。デスバレーは気温も高いも低いもどちらもムチャクチャですが、そのあたりも大変そうです。
「なんでそんなに過酷な生き方をしている・・・」
と、声をかけたくなるような魚ですが、まあ、本人としては、ここが慣れた環境ですので、さほどつらいわけではないのかもしれません。
いずれにしても、そんなデスバレーに花が咲いたことで、この不毛に見える地にも、花が咲き乱れて、魚が泳いでいるということを知るに至ったのでした。生命というものは強いものだと、つくづく思います。
そして、「花が咲き乱れる予兆」というのは、そんなに悪いものではないような気もしまして、ご紹介した次第です。
そういえば、少し前は、もはや個人的には何の意味もない日でしかなくなっていますが、バレンタインデーでした。
愛の日なのか血まみれの日なのか定かではないですけれど
奥さんがうちの子どもに買ってきたチョコレートのセットみたいなものの中に「ハート型でピンク色のコーティング」をしたチョコがあったのですね。
それを見て、昨年の秋にニュージーランドに出現した雲を思い出したのでした。
2015年7月 ニュージーランドのマウントクック国立公園に出た雲
セットの中にあったのも、こんな形と色のハート型チョコレートだったんですが、こういうのも「吉兆」として考えれば、めでたい予兆なのかもしれないですし、あるいは、私のようにひねくれた人間は、
「血にまみれた心臓みたいな雲だよな」
というように思ってしまう人間には吉兆ではないかもしれないですし、いろいろです。
ところで、「聖バレンタインデー」の意味はいろいろとあるようですが、Wikipedia などでの説明は、ローマ帝国の時代、キリスト教司祭だったバレンタイン(ウァレンティヌス)という人が、祭に捧げる生けにえとして処刑された日が 2月14日だったそうです。それが何の経緯か、「愛の告白の日」と転じていったようです。
諸説はともかく、「キリスト教司祭が生贄として処刑された記念日」が「バレンタインデー」ということになったようで、「血にまみれた心臓」という見解も、あながち的はずれではないようです。
ちなみに、シェイクスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』には、シーザーが 2月14日のバレンタインの日に、
「 3月15日に気をつけろ」
という不吉な警告を占い師から受ける場面があります。
そして現代では、投資家のジム・ロジャースさんが、
「 2016年3月危機に気をつけろ」
と言っていることなどが、最近、報じられています。
このジム・ロジャースさんはもまた、バレンタインデーの頃に『ジュリアス・シーザー』の占い師のように、不吉な警告を述べていました。
2月18日の日経ビジネスのインタビュー記事で、「リーマンショックよりもっとひどい時代がくる」と述べたそうです。
そうなるのかどうなのかはわからないですが、全体的に考えてみましても、これから荒れてくることはある程度は避けられなさそうです。何しろ、この数年間と今年で「打てる手はすべて打った」ように思われ、もう後は「手はない」ようにしかうつらないからです。
でも、荒れることが悪いことかどうかはわからないことで、未来にとってはいいことかもしれないです。
デスバレーやアタカマ砂漠の圧倒的な量の花も「災害クラスの豪雨」があったからこそ、もたらされたものであり、「良い面と悪い面」は本当にひとつだと思います。
しかし、私も含めて、そう簡単に「良いも悪いも同じで、その差はない」とは納得できないこともまた事実ですが。
これからの時代は、そういうことを学んでいくチャンスなのかもしれません。
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