大方の予測と反対に進む太陽活動
最近、太陽活動のほうをあまり見ていなかったのですが、
「黒点が 100を超えていますよ」
と、読者の方から教えていただきまして、NASA のデータを見てみましたら、確かに黒点数は 100を超えていました。以下の記事でご紹介しています。
地味ながらも強力に太陽黒点が増加中
地球の記録 2021年12月20日
11月20日から 12月19日までの太陽黒点数の推移
nict.go.jp
「いやあ、本当にこの方向に来ているのかあ…」
と、しみじみとデータを眺めていました。
本当にこの方向に来ているのかあ……というのは、すなわち、
「予想外」
という意味です。この数年あるいは 10年近くの私個人の太陽活動の予想と「真逆」の方向に進んでいるのです。
現在の太陽活動周期であるサイクル25というのは、昨年始まったばかりです。NASA と NOAA (アメリカ海洋大気庁)がサイクル25が始まったと正式に発表したのは、昨年の 9月のことでした。
新しい太陽活動周期「サイクル25」が始まったとNASAとNOAAが公式に発表
投稿日:2020年9月16日
そして、昨年くらいまで、NASA などを含めた世界中のほとんどの機関や組織は、
「次のサイクルの太陽活動は非常に弱くなる」
と予測していました。
以下は 2019年の過去記事です。
米NASAが次の太陽活動周期サイクル25は「過去200年間で最も弱くなる」という予測を公式に発表。2032年頃まで続くその環境の中の地球はどうなる?
投稿日:2019年6月23日
太陽活動周期というのは、おおむね 11年前後をひとつのサイクルとしたもので、「太陽活動が次第に強くなり(黒点が多く出現するようになり)、そしてまた弱くなり(黒点が減少していき)終了する」というものです。
そして、やはりおおむねですが、「サイクルの中間あたりの時期が最も太陽活動が強くなる」のです。
始まったばかりの太陽活動周期サイクル25は、普通に考えれば、今から 3年後、4年後のほうが太陽活動が大きくなります。
しかし、現在の太陽活動周期であるサイクル25は、
「たった 1年目で黒点 100に到達している」
ということになり、これは「非常に強い太陽活動」だと見てもいいと思われます。
たとえば、以下は 1978年から始まった「サイクル21」から 2020年に終了した「サイクル24」の黒点数の比較です。
サイクル21からの黒点の推移 (1978年 - 2021年)
それぞれの太陽活動周期サイクルでの、「サイクル開始から 1年目の平均値(濃い青のライン)」あたりを見ていただきたいのですが、比較しますと、以下のようになります。
・サイクル21 黒点数 100 前後
・サイクル22 黒点数 80 前後
・サイクル23 黒点数 60 前後
・サイクル24 黒点数 20 前後
現在のサイクル25は、すでに黒点数 100を何度も超えており、少なくとも、この40年間くらいでは「最も強い太陽活動となる可能性がある」ということになってしまいます。
私などは、もう 5年か 10年かわからないですが、それくらい以前から、
「次の太陽活動は非常に弱くなると確信していた」
だけに、現在のこの太陽の動きは、ちょっとショックですね。
なお、世界中のほとんどの科学者、太陽学者たちは、太陽活動周期サイクル25はきわめて弱くなると予測していましたが、ほんの少数、そうではない科学者たちもいました。
以下の記事では、アメリカ国立大気研究センターという米国政府系気象研究所の科学者たちによる文章をご紹介しています。
太陽活動が異様に早い段階で活溌化していることに疑問を感じ、調べると、米国政府系研究所が「太陽活動周期サイクル25は近年最大のものとなる可能性がある」と発表していたことを知る
投稿日:2020年11月28日
この文章の冒頭は以下のようになっていました。
発表された学術論文は、太陽活動周期サイクル25はこれまでで最強の活動周期の1つになる可能性があると予測している
米国コロラド州ボルダーにあるアメリカ国立大気研究センターの副所長スコットW.マッキントッシュ氏を中心とした研究者によって発表された研究論文『重複する磁気活動周期と太陽活動周期:サイクル25の振幅の予測』は、現在の太陽活動周期であるサイクル25が、これまで観測された中で最も強い太陽黒点周期の 1つになると述べている。
サイクル25は、終了したサイクル24(最大平均太陽黒点数 116)よりも、ほぼ確実に強くなるという。そして研究者たちは、それがサイクル23(最大平均太陽黒点数 180)よりも強くなる可能性が高いと述べる。 (ARRL)
どうやら、こちらの方向に太陽が進み始めている可能性が出ているのですが、先ほど「ショック」と書きましたけれど、何がショックかというと、
「弱い太陽活動と、強い太陽活動では、社会的な状態が異なってくる」
のです。
平たくいえば、太陽活動が極端に高い場合、社会を支配するのは、
・暴力
・戦争
・革命
もっと平たくいえば、「命が粗末になりやすい」のです。
これはオカルトではなく、ずいぶん以前からデータとして科学的に統計づけられている事実です。
このことについて少し書かせていただきます。
暴力を誘発する地磁気
もともと、このような「太陽と社会の相関の学問」に興味を持ったのは、20世紀初頭のロシアの科学者であるアレクサンドル・チジェフスキー博士(1897-1964年)の研究を知ったことによるものでした。
チジェフスキー博士の研究を日本で最初に詳細に紹介したのは、三菱UFJモルガン・スタンレー景気循環研究所長で同証券参与の嶋中雄二さんが 1987年に書かれた名著『太陽活動と景気』だと思います。
チジェフスキー博士について最初に書いたのは、10年近く前だと思いますが、以下は、2014年3月の記事です。戦争や暴力が「太陽活動とシンクロしている」ことを示させていただいています。
太陽と暴動。そして、太陽と戦争
投稿日:2014年03月04日
最近では、以下のような記事でも取り上げました。
太陽活動と人類の革命と戦争の歴史を振り返る
投稿日:2018年3月15日
チジェフスキー博士の学説について嶋中雄二さんは以下のように書かれています。
嶋中雄二著『太陽活動と景気』 第6章より
チジェフスキーによれば、太陽の影響力は、個体から集団、群生に至る生物系のすべての組織レベルに及んでいるとされた。そして彼は、動物の血液、リンパ液、原形質等のコロイド電気変化が、太陽活動の変化やバクテリアの成長と平行関係にあることを突きとめた。
こうして、チジェフスキーは、地球上のあらゆる生物の発達は、太陽宇宙因子の直接的影響下に進んだものであり、人類もその例外ではないと考えた。
彼は、戦争や革命など人間の不穏状態に関する徴候、あるいは「大衆の興奮も太陽の周期に従っている」とした。
端的にいえば、
「歴史上の大きな戦争も革命も大きな暴動もほぼすべて太陽活動が強い時に起きている」
のです。
チジェフスキー博士の研究は、100年以上前のものですが、この実際の出来事と太陽活動との相関は、最近では、ポーランドのポジャギエロニア大学の教授が 1990年に発表した「太陽と人類社会の相関」という論文を以下の記事でご紹介しています。
太陽活動と人類の革命と戦争の歴史
投稿日:2018年3月16日
以下は、その論文にあった図に日本語を入れたものです。赤いグラフが黒点数です。
あるいは、先ほど図で示しました、サイクル21から現在までの 40年間あまりについても、大ざっぱですが、大きな事象を入れてみますと、以下のようになりました。
1978年から2021年までの太陽活動(黒点数)の最大時に起きたこと
2001年の新宿歌舞伎町の雑居ビル火災は 44名が死亡した出来事で、放火と見られていますが、2003年に韓国のテグで発生した地下鉄放火事件では 192人の方が亡くなっています。
太陽活動が大きな時は、戦争、暴動、殺人、暴力、混乱が増加する傾向を歴史は示しています。
チジェフスキー博士は、太陽活動を、以下の4つに区分していました。
第1期 黒点最小期
第2期 黒点増加期
第3期 黒点最大期
第4期 黒点減少期
この中の「第3期(黒点最大期)」は、いろいろと細かく書かれていますが、さまざまな要因の中で、社会は以下のようになりやすいとしています。
第3期(黒点最大期)の特徴
大衆ははるかに気が短くなり、自分たちの目標の実現の障害となるものはすべて破壊し突っ走る。暴動、革命、衝突など流血を伴う惨事が相次ぐ。
黒点最大期にはこのような特徴の結果として、革命、暴動、大殺戮、戦争、新しい指導者の出現、反乱、社会変革、専制政治への反発、移民、処刑などの激しい現象が発生するとしている。
これは、2015年の以下の記事に記しています。
着々と「太陽黒点ゼロ時代」へと進んでいく中、この先の時代はどのようなものになるかをチジェフスキー博士の研究に求めてみました
投稿日:2015年05月01日
これまでの数年間、あるいは 21世紀に入ってからの十数年は、太陽活動が弱い状態が続いていました。
このような「太陽活動が弱い(黒点が少ない)」状態の社会、そして市民はどうなる傾向があるかといいますと、チジェフスキー博士は以下のように述べています。
第1期(黒点最小期)の特徴 (※ 2021年までの数年がここにあたります)
この時期の特徴:
・大衆の統合性の欠如
・大衆は政治的、軍事的な問題に関心を示さない
・穏やかで平和的な大衆
・寛容で忍耐強い大衆こうした特徴のもたらす結果:正しい思想を守るために戦うことの情熱の欠如。闘争を放棄し簡単に断念してしまう。
この時期に現れる社会的な現象:平和条約の締結、降伏、占領、問題解決の場としての議会の活発化、独裁や専制の強化、少数エリートによる統治の強化
人々に「寛容で忍耐強い大衆」という傾向が出やすい中でパンデミックが発生し、世界中でロックダウンや行動規制が行われ、
「多くの人々がそれに従った」
のですが、
「太陽活動が極端に強くなった場合、このような寛容性は失われる」
可能性が高いのです。
仮に、現在の太陽活動の推移のまま、「とても強い太陽活動」となっていった場合、これまでの当局の方法は通じなくなるはずです。
人々は、次第に、
> 自分たちの目標の実現の障害となるものはすべて破壊し突っ走る。暴動、革命、衝突など流血を伴う惨事が相次ぐ。
という状態に突入していき、一種の「熱狂」が社会を支配します。
そうなった場合、たとえば、「内戦の問題を抱えている」ような国の場合は、内戦になるでしょう。
国家紛争や戦争の懸念を持っている国家間では、戦争が起こるでしょう。
個人レベルでも、衝動的な犯罪、殺人、暴力が増えるでしょう。
太陽活動最大期には「自死が増える」ことも数十年前にドイツの研究者たちによって突き止められています。メンタル疾患が増えることもわかっています。
嶋中雄二『太陽活動と景気』 より
二人のドイツ人研究者、B・デュールとT・デュールは、 50年ほど前に、黒点、磁気嵐オーロラといった太陽活動と人間の自殺との関係について、太陽活動が特に活発な日には自殺が約 8パーセント増加することを見いだした。
1963年、アメリカの整形外科医R・ベッカーは、精神病院への入院が太陽フレアと相関していることを見いだした。後に彼は、地磁気の乱れと入院中の精神患者の行動の乱れとの間に、相関を見いだした。さらに、磁場や宇宙線の放射量が変化すると、患者の反応時間や課題遂行にも影響があらわれることを報告した。
太陽活動や地磁気撹乱は、ヒトの精神活動を乱すことが知られており、精神分裂病の患者数は、約 10年の周期的変化を繰り返していることがわかっている。
先ほどご紹介しましたアメリカ国立大気研究センターの科学者たちの言うように、
「サイクル25は近年最大の太陽活動となる」
という予測通りになった場合、「これらが全部」来ます。
心境的には、2001年のアメリカ同時多発テロの時の、あるいは IS がテロを繰り返していた頃の、その報道を見ていたそれぞれの方々の「あの時の感じ」を思い出されるとわかりやすいかもしれません。
「制御できない内部的な熱狂」に包まれるのです。それがプラスの熱狂でもマイナスの熱狂でも、どちらの方向に対しても最大となっていく。
私はずっと、今後の太陽活動は「極端に弱くなる」と考えていて、そういう社会となっていくのだろうと考えていました。
太陽活動が弱い中では、「大衆は管理体制に従順になりやすい」のです。
そういう社会になっていってしまうのかなと思っていました。
しかし、今後の太陽活動次第では、非常に暴力的な状態が少しずつ顕在化していくかもしれません。
通常なら、太陽活動の大小が明確になるのは、サイクル開始から3年、4年後ですので、それまでは明確にはわからないですが、今の時点で、近年ないほどの黒点数の増加を示しているところからは、「非常に強い太陽活動」に成長する可能性があります。
その場合、太陽フレアなどのリスクも懸念されますが、それよりも社会そのものの騒乱が拡大することもまた懸念されるような気はします。
もう少し経つと、明確になってくるかもしれません。
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