ウワサの真相
「中国でクーデターが発生しているかもしれない」
こういう噂がこの 2、3日語られています。
武漢でコロナウイルスのパンデミックが始まった頃、中国語のさまざまな情報等を翻訳して投稿し続けていたエポックタイムズの記者だったジェニファー・ツェン (Jennifer Zeng)さんなどがツイッターに以下のように投稿していたのが最初の頃かもしれません。
ジェニファー・ツェンさんのツイートより
動画は、9月22日に、北京に向かう中国人民解放軍の軍用車両です。 一方、習近平は、中国共産党の高官が彼を人民解放軍の指導者から解任した後、逮捕されたという噂があります。
その後、米エポックタイムズでも「習主席が公の場に姿を見せず、憶測が飛び交う」というタイトルの記事を 9月24日に報じましたが、結論としては、
「クーデターがあったとは思わない」
という中国のアナリストの言葉などを紹介していますが、ただ、そのアナリストは、
「何かが起こっているようですが、正確にはわかりません」
と述べています。
まあ、クーデターという大仰なものではないにしても、中国国内で何かが起きている可能性がないではないのかもしれません。
これら一連のことを報じていた米ゼロヘッジの記事をご紹介しようと思いますが、基本的には「噂に過ぎないとみられる」というように書いています。
ただ……。
今日、日本の株式市場なんかが結構な急落などをしていたのですけれど、そのついでにいろいろと株式市場を見ていますと、中国の「上海B株」という市場が、 -7%以上という、一種の「暴落」を見せていました。
この上海B株というのは、以下のような市場で、外国人投資家向けの市場のようです。
> 中国本土の上海B株市場に上場されている中国企業株のこと。上海B株市場は、もともと外国人投資家向けとしてスタートした市場であり、その規模は上海A株市場に比べると小さい。2001年の規制緩和により、海外の投資家に加え中国本土投資家も投資可能となった。米ドルによって売買されている。 (野村證券)
ここが突然の崩壊をしていました。
上海B株の9月26日の急落
sbisec.co.jp
これは日経平均でいえば、1日で 1,800円とか 1,900円などのような暴落に相当するもので、こういう落ち方は、普通だと「なんかがないと、こうはならない」というようには思いますが、まあ、世界中の市場が全体的に不安定であるため、そういう影響もあるのかもしれないですが、なんだか変な感じではあります。
まずは、ゼロヘッジの記事をご紹介します。
この記事では、途中からドイツのメディア「シュピーゲル」の記者による、現在の中国の北京の様子になどの投稿が示されていますが、そちらは割愛します。
中国の「クーデター」の噂について
About Those Rumors Of A Chinese "Coup"
zerohedge.com 2022/09/25
中国での噂の拡大は、過去 48時間で制御不能になった。その噂を聞いていない人たちのために説明すると、「習氏は 10月の中国党大会前にクーデターで解任されたと思われる」という噂だ。
ジェニファー・ツェン氏らが、9月23日に投稿した。
その後、9月24日までに、習近平氏の名前は Twitter のトップトレンドのトピックの 1つになった。エポックタイムズの記事によると、習氏の名前はハッシュタグに 42,000 回以上表示され、「中国のクーデター」という用語はプラットフォーム上で 9,300回広まった。
4月までインドの元閣僚で国会議員だったサブラマニアン・スワミー氏は、「習近平氏が北京で自宅軟禁されている可能性があるのだろうか」と書いた。
これらのような憶測は、中国国民が全国で大量の飛行便のキャンセルの疑いがあることを指摘したときにも起こった。
10,000近くのフライトが 9月24日にキャンセルされたと思われ、同じ日に国防と軍事改革に関する重要な会議が北京で召集された。
一方、中央アジアの地域首脳会議でロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談した後、9月16日に中国の首都に戻った習主席は、北京での会合には出席しなかった。
しかし、習氏は、中国軍は戦争の準備に集中すべきであるとの指示を伝えたとされている。同様に姿を現していないのは、習氏が抜擢した中国軍の将軍で、現在国防相を務めている魏鳳和氏だ。
いずれにしても、これらは噂にすぎなく、伝えられることに実証的な証拠はない。
北京の現場からのいくつかの実際の事実は、ドイツ・シュピーゲルの特派員であるゲオルグ・ファーリオン氏の投稿で見られる。
中国のアナリストであるゴードン・チャン氏は、クーデターが起こる可能性は低いと断言し、現場で裏付けとなる証拠が不足していることを指摘した。
チャン氏は、以下のようにエポックタイムズに述べた。
「クーデターがあったとは思わない。クーデターが起きれば、たとえば北京の中心部にたくさんの軍用車両が見られるはずだからです。その報告はありません。また、(クーデターがあた場合)戒厳令が発令される可能性がありますが、そのような報告もありません」
そして、チャン氏は以下のように付け加えた。
「何かが起こっているようですが、正確にはわかりません」
中国語の著作「中国の平和的移行への道」の著者である張天亮氏も同様に、自宅軟禁説は常識に合わないとして一蹴した。
この 1週間で、2人の元閣僚級高官を含む 6人の中国政府高官が汚職関連の罪で重い判決を言い渡され、2012年後半に習主席が開始した反汚職キャンペーンで追放された一連の高官が追加された。
メディア Sinocism のビル・ビショップ氏は「クーデターの噂について」という記事で以下のように記している。
この噂はもともと、虚偽の主張を行った実績を持つアカウントによって誇張されたものであり、熱狂的に噂が拡大したが、誰も信頼できる情報源や証拠を提示しておらず、多くの希望的観測にすぎない。
今日、新華社は第 20回党大会の完全な代議員名簿と選出に関する声明を発表し、9月25日の CCTV イブニング ニュースでも読み上げられたが、それは、
「習近平同志を中核とする党中央委員会の強力な指導の下で」
という言葉で始まっていた。
同時に、中国党代表大会に選出された 2296名を発表したが、習氏の名前が入っている。
噂には、大規模な飛行のキャンセルの主張と、それが何かが起きていることを示す方法も含まれていたが、これらの主張が間違っていることも判明している。
仮に、しばらく習氏が姿を見せない場合、その「失踪」は、このような噂や、おそらく他の噂を助長し続けるかもしれないが、しかし、習主席が公の場に姿を現すかどうかは、ほとんど重要ではないと中国の時事問題に関する米国を拠点とするコメンテーターであるワン・ヘー氏は述べる。
公の注目をこれほど長期間にわたって遠ざけているのは、習主席にとって珍しいことではないと指摘した。党大会前の習主席の海外行きは自信の表れだったとワン・ヘー氏は述べている。
「絶対的な保証がなければ、彼は簡単にリスクを冒すことはしない」と習主席について語った。
ここまでです。
まあ、これ以上は「わかりようがない」ということなのかもしれないですが、確かにドイツのシュピーゲルの特派員が投稿した北京の様子はのどかなもので、特に緊張感があるものではありませんでした。
ただまあ、ふと思うのは、先日、ロシアが部分的動員を発表したことを以下の記事で書きました。
[記事] 「私たちは西側の軍事機構全体と戦っています」 : ロシア連邦政府ウェブサイトに掲載されたプーチン大統領による部分的動員に関しての国民への演説:全文
In Deep 2022年9月25日
この発表の後、
「中国がロシアに、対話による停戦を求めた」
ことがアルジャジーラなどによって報じられていました。
プーチン大統領の演説後、中国は「対話による停戦」を要求
China calls for ‘ceasefire through dialogue’ after Putin address
aljazeera.com 2022/09/21ロシアのウラジミール・プーチン大統領がウクライナでの戦争中に部分的な軍事動員を発表した後、中国は「対話による停戦」を求めた。
中国外務省の王文彬報道官は、9月21日の定例記者会見で、「対話と協議を通じて停戦を実現し、すべての当事者の正当な安全保障上の懸念に対応する解決策をできるだけ早く見つけるよう、関係当事者に求める」と述べた。
さらに、「私たちは常に、すべての国の主権と領土保全が尊重されるべきであり、国連憲章の目的と原則が遵守されるべきであり、すべての国の正当な安全保障上の懸念が真剣に受け止められ、平和的解決へのすべての努力がなされるべきであると常に主張している」と述べた。
プーチン大統領は演説でロシアの領土を保護するために「利用可能なすべての手段を使用する」ことを誓っている。
先週、中国外務省のスポークスパーソンである毛寧も、対話を通じて停戦を呼びかけた。
「私たちは、関係当事者に対し、対話と交渉を通じて停戦を達成し、すべての関係当事者の正当な安全保障上の懸念にできるだけ早く対処する方法を見つけることを求める。また、国際社会がそのための条件と空間を作り出すことを願っている」
中国がロシアに「停戦を求めていた」ことは、アルジャジーラの報道を読むまで知りませんでした。
「うーん、国際関係っちゅーのは難しいもんじゃのう」と改めて思いますが、しかし、前回の記事のプーチン大統領の言葉からは「停戦」とか想定できないです。
「世界征服を熱望し、祖国を分裂させて奴隷にしようとする者たちを阻止することは、私たちの歴史的伝統であり、国家の運命です」 (プーチン大統領の演説より)
あるいは、元ロシア大統領のメドベージェフ氏などは、最近もっと激しい言い回しをテレグラムに投稿し続けていまして、最近は、相手が西側全部なのか NATO なのか、具体的な相手はいつも書かれていないですが、
「馬鹿」
という単語が頻繁に使われます。
「идиоты」 (発音は、イジオーテ)というロシア語なのですが、英語の意味では、
・idiot (馬鹿)
・moron (馬鹿)
ということが示されるもので、これが連発されています。
9月22日の投稿では、
> したがって、将軍の記章を身に着けている引退した馬鹿どもは、クリミアに対する NATO の攻撃について話すことで私たちを怖がらせる必要はない。極超音速兵器は、ヨーロッパと米国のターゲットにはるかに速く到達できることが保証されている。 teregram、 翻訳記事
とか、9月20日の投稿では、
> しかし今のところ、偏狭な政治家たちと彼らの愚かなシンクタンクは、思慮深くグラスワインを手で回しながら、直接戦争に入ることなく私たちに対処する方法について話し合っているのだろう。古典的な教育を受けた愚鈍な馬鹿どもが。 teregram
この言い回しは、訳していて笑ってしまうような感じでしたが、そして、メドベージェフ元大統領は、
「後に戻る方法はない」
と明記していました。
このような状態であることを知っていて、中国が「停戦しましょう」というのは、何だか違和感があり、「本当に習氏の意志なのかな」と思う部分もありましたけれど、クーデターがあったのなら納得できます(おいおい)。
なお、最近のエポックタイムズの記事の冒頭は以下のようなものでした。
> ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、国民投票が行われているウクライナの地域は、ロシアに併合された場合、クレムリンの「完全な保護」下に置かれ、核兵器の使用の可能性が高まると述べた。 (Epoch Times)
そして、同じ記事では、以下のようにもありました。
> 米国戦略軍司令官である海軍大将チャールズ A. リチャード氏は、数十年ぶりに、米国が「核保有国と直接武力衝突する可能性がある」と述べた。(Epoch Times)
……これまで楽しい人生をありがとう(変な総括はやめろよ)。
まあ、本当に大変な状況に突入しているようですが、私はこれからはスウェーデンのニャンを支えに生きていこうと思います(説明ナシかよ)。
それにしても、中国の本当の状況は気になるところではあります。
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