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3月22日にメルマガ悪魔に乾杯を発行させていただきました。

2022年からの世界 これからの太陽活動 人類の未来 宇宙の中の地球

太陽フレアは大地震を誘発する : 太陽と地震の関係を過去20年のデータ分析から「確定させた」2020年のネイチャーの論文を、黒点活動が過激化している今再び読み返してみる

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salon.com




 

この理論が間違いである確率は10,000分の1以下だと研究者たちは言う

前回、太陽活動についての記事を書かせていただきました。

 

[記事] やっぱり今の太陽は変だ
 In Deep 2022年3月28日

 

これは、最近ではなかったような複雑で強力なエネルギー構造を持つ大きな黒点が現在の太陽に出現しているということについてのものです。記事を投稿した後、これらの黒点から Mクラスのフレアが複数回起きたことが NOAA のデータに記録されています。

 

それで、この記事を書いた後に、ふと思い出したのですが、コロナの最初の頃のゴタゴタの渦中だった 2020年の夏に、

「太陽活動が大地震と関係があることは、ほほぼ確定的」

だとする査読済みの論文が発表され、それをめぐって科学界で論争が巻き起こっていたことを思い出しました。

あの頃は、コロナというより、マスクとか消毒とか緊急事態宣言とかでイヤになっていた頃でもあり、このことは記事にはしていませんでした。

何より、「これから太陽活動が大きくなるわけがない」と、当時の私は思っていたのです。「太陽活動は縮小していく一方」だと思い込んでいたのですね。

しかし、現実は今の通り、太陽活動は近年最大級の急激な成長が続いています。

その論文は、科学誌ネイチャーに査読済み論文として掲載されました。以下にあります。

 

太陽活動と世界中の大地震との相関について
On the correlation between solar activity and large earthquakes worldwide
nature.com 2020/07/13

 

大変に難しい論文で、私の苦手な数式がたくさん出てくるものですが、それはともかく、この研究者たちは「この分析はほぼ完全に正しい」と断言しています。

論文の中には以下の記述があります。

 

> 信頼水準は非常に高く、99.999%以上となる。 nature.com

 

太陽活動が地球の大地震に「関係していない」確率は「 1万分の1以下」だと述べているのです。

ここで研究者たちが着目したのは、「大気中の陽子の密度」で、それと地震が関係あるということを見出したのでした。

ここでの陽子は、南野陽子さんとか夏樹陽子さんのほうの名前の陽子ではなく、「ようし / プロトン」のほうです(何も説明せずとも)。

太陽フレアは、宇宙空間と地球上での陽子の密度を上昇させます。

以下は、国立科学博物館「宇宙の質問箱」からです。

 

「太陽から風が吹いているのですか?」

太陽から吹いている風を太陽風とよびます。太陽フレアが起こると、電気をおびた電子や陽子などの素粒子が太陽から飛び出しますが、フレアがおきていないときでも、太陽からはこれらの素粒子が休むことなく飛び出しています。これを太陽風とよぶのです。電気をおびた粒子でできているガスのことをプラズマとよびますが、太陽風はプラズマの流れなのです。 kahaku.go.jp

 

太陽フレアが発生すると、このように、大気中の陽子の密度が急激に上昇しますが、「それと大地震が関係ある」ことを研究者たちは突きとめたのです。

 

しかし、このネイチャーの論文の発表後、議論が起きたようでして、つまり、

「太陽活動と地震に関係があるわけがない」

と考える科学者も多く、実際のデータと計算を提示されているにも関わらず、それに懐疑的な意見が多く出ました。

 

まあしかし、11年前の東北の震災の時から、「原因は宇宙のほうにある」ことはずいぶんとわかってきていました。以下は、マサチューセッツ工科大学のニュースリリースで NASA のデータを引用した記事をご紹介した 2011年の記事です。

 

[記事] 衝撃のデータ: 3月11日の地震前に観測された日本上空の赤外線と電子量の急激な変化
 In Deep 2011年05月20日

 

また、以下は、京都大学の研究者たちによる「地震直前の電離圏の異常」の研究をご紹介したものです。やはり、地震の原因は「宇宙のほうにある」可能性を示すものでした。

 

[記事] 「地震の原因は宇宙からやって来ている決定的な証拠」が、京都大学の科学者たちによる高層大気圏の「電離層の研究」から改めて提示される
 投稿日:2019年10月23日

 

ですので、最先端の科学では、地震の原因は、「下(大地)」にあるのではなく、「上(宇宙圏)」にあるということは、ほぼグリグリのガチの方向で進んでいました。

私自身、 2011年以来、「地震のトリガーの原因は宇宙にある」と確信しています。

しかし、それが太陽活動とリンクしているかどうかはわかっていなかったのですが、今回ご紹介している論文の内容からは(他にも地震の原因はあるかもしれないにしても)、

「太陽活動は、地球の地震のひとつの要因であることはほぼ確定的」

だとわかります。

他の宇宙からの要素(宇宙線など)もいろいろとあるだろうにしても、いずれにしても、直接的な地震のトリガーのほとんどは「宇宙のほうにある」ということになりそうです。

 

なお、このような 2年前の論文の内容を今ご紹介しようと思いましたのは、先ほども書きましたけれど、

「 2年前の私は太陽活動が今後大きくなっていくとはまったく考えていなかった」

からです。

そのこともあり、つまり、太陽フレアが頻発するような時代にはならないだろうという思い込みから、当時は記事にしなかったのですが、前回の記事「やっぱり今の太陽は変だ」や、あるいは、昨年の段階で、「太陽活動周期サイクル25は過去最大の太陽活動となる可能性がある」と発表していたアメリカ国立大気研究センターの研究員たちの主張を掲載した昨年 11月の記事などを振り返りましても、

「どうやら、サイクル25は、強い太陽活動周期になる方向であることは確実っぽい」

ということが今にしてわかってきた次第です。

そして、太陽活動と地震が関係があるとするなら、「今後、大地震が増加する時代になる可能性が高い」とも言えます。

すなわち、サイクル25の活動が最大になるのは、おおむね今から 4年から 5年後くらいになるとみられますが、太陽活動の増加と共に、太陽フレアが数多く発生するようになっていくことが予測され、フレアの直接の脅威もありますが、それと共に、今後数年間は、

「太陽フレアがトリガーとなる大きな地震の増加」

を伴う可能性があります。

今後の世界というのは、他にも食糧の問題だとか経済だとか戦争だとか、あるいはお忘れの方もいらっしゃるかもしれないですが、「コロナのパンデミック」とか、ワクチンによるガンや自己免疫疾患などの指数関数的な増加とか、いろいろと面倒なことが大きくなっていく時代だとは思っていましたけれど、「大地震まで気にしなければならなくなった」ということかもしれません。

いろいろと大変な時代ではあります。

その論文ですが、論文の内容は難解すぎますので、その論文についての「科学界での議論」を取り上げていた海外の記事をご紹介します。

ここからです。




 


太陽活動と地震を結びつける研究が、科学の世界に衝撃波を送っている

A study that links solar activity to earthquakes is sending shockwaves through the science world
salon.com 2020/07/20

太陽活動による宇宙天気と地球の地震とのあいだに相関関係があるのだろうか? 査読付きの論文をめぐって地震についての議論が起こっている

太陽活動と地震の相関関係を見出した査読付きの論文が科学界に震撼を与えている。我々は、この研究論文の地震学的結論の後、調査のために何人かの科学者たちに連絡を取り、この論文に懐疑的な地球物理学者たちと地震学者たちの間の驚くべき量の懐疑的意見を発見した。

科学誌ネイチャーのサイエンティフィック・リポートに掲載されたこの論文は、太陽からの陽子のクラスターが地球上の大地震と相関している可能性があると理論付けている。

太陽は、すべての活動的な星と同様に、電子、陽子、イオン化されたヘリウム原子などの粒子を含む太陽風の形で物質を絶えず放出している。太陽は地球と同じように「天気」が変化するため、これらの粒子の分布と密度は太陽の状態によつて変化する。

論文の研究者たちは、地震と太陽活動に関するデータを調べ上げ、相関関係があることを確認した。

彼らのデータは、世界中の地震データと、1995年に打ち上げられ現在も活動している NASA と欧州宇宙機関が共同して運営している観測衛星からの太陽「陽子」の測定値から構成されている。

研究者たちの論文を理解するには、統計への簡単な理解が必要だ。地震が 1日の完全にランダムな時間に発生した場合、時間を表すチャートにそれらをマッピングすることができ、そのドットはランダムに分布するはずで、地震の発生に明らかな規則性はない。さらに、それらが発生する速度は、ランダムだが、統計的には一定だ。つまり、他のどの時間よりも(地震発生が)優先されることはない。

しかし、明らかに、地震はこのパターンに適合しない。 (※ 地震はランダムには起きていないということ)

研究者たちは以下のように記述している。

「世界中で発生する大地震は、ポアソン分布(一定時間内にランダムな事象が何回発生するかを表す分布)ではないことが長い間認識されてきた」

ポアソン分布とは、事象が一定の割合で発生し、以前の事象とは無関係に発生する上記の状況を正式に説明する統計用語だ。

たとえば放射性崩壊は、ポアソン分布を観察する良い例だ。原子崩壊の個々の事象はランダムに分布するが、時間の経過とともに平均して予測可能な一定の値になる。これが、物理学者たちが任意の同位体の正確な半減期を予測できる理由だ。

しかし、地震発生のタイミングは目に見えないパターンに適合しているように見えるとして、研究者たちは、

「大地震の発生には、地球の内部または外部にある可能性のある大規模な相関メカニズムを含める必要がある」

と考えた。

彼らは論文でこのように続けている。

「これまで、地球規模の地震活動と考えられるメカニズムの 1つとの統計的に有意な相関関係はまだ実証されていない。この論文では、SOHO 太陽観測衛星によって記録された 20年間の陽子密度と速度のデータ、および世界的な地震活動を分析する」

さらに彼らはこのように述べる。

「私たちは、陽子密度と(マグニチュード 5.6以上の)大地震の発生との間に、1日のタイムシフトで明確な相関関係があることを発見した。この相関関係の有意性は非常に高く、間違っている可能性は、10,000分の1未満であることを意味する」

 

統計的には、これは 2つの事象の間に非常に信頼できる相関関係があることを意味する。つまり、陽子密度とこれらの大地震の発生の相関性を意味する。

それにもかかわらず、複数の地球物理学者たちと地震学者たちは、この論文の結論に非常に懐疑的だった。我々は、この調査結果に批判的な何人かと話した。

アメリカ地質調査所の地球物理学者であるトム・パーソンズ氏は、以下のように述べた。

「私の考えとしては、地震の世界的な時間分布がポアソン分布になるのを妨げているのは余震の発生があるからだということです。カタログがデクラスターされて余震が取り除かれると、ランダムでない事象間の時間を表示することは困難です。余震は主に局所的な現象であるため、地球規模の太陽活動が原因である可能性は低いと思われます」

 
言い換えれば、パーソンズ氏は、地震はランダムに分布しておらず、したがって、地震は独立した事象ではないことが多いため、ポアソン分布に準拠しないと述べている。1つの地震が続いて他の地震を引き起こす可能性があるからだ。「デクラスタリング」とは、地震とそれに伴う余震などの地震と地震の関連する「クラスター」を分離することを指す。

論文の共著者のジュゼッペ・デ・ナターレ氏に、この批判についてメールで質問したが、

「世界的な地震間の大規模な相関関係は、本震の余震シーケンスとして意味される単純なクラスター化によるものだけではありません」

と主張した。

デ・ナターレ氏は、研究者たちは「余震が太陽活動によって引き起こされているとは絶対に言わない」と明言した 。「実際、この場合、推定された相関関係についてそれほど高い統計的有意性は得られません」と彼は続けた。

デ・ナターレ氏はまた、彼らが見つけた相関関係は、以下のように言う。

「世界的な地震活動の非常に独特な振る舞いに関係しています。これは私たちが現在注目し研究しているものであり、世界的な地震活動の傾向を証明しています。数千キロメートル離れて起きる地震は、常識的には「余震」にはなり得ません」

彼は、これは「陽子密度の誘発効果に厳密に関連しているようです」と主張した。陽子密度は、太陽活動と関係している。

 

南カリフォルニア地震センターの所長で、スタンフォード大学の地球物理学の教授であるグレゴリー・ベローザ氏も、パーソンズ氏と同様の懐疑的反応を示し、以下のように述べた。

「この論文の主張は異常に見え、物理的メカニズムが曖昧です。これは統計地震学の例であり、その種の作業に関連する多くの潜在的な落とし穴があります」

しかし、これに対して論文の研究者のひとり、デ・ナターレ氏はこう述べた。

「私たちが提案するこの物理的メカニズムに、より実験的な証拠が必要であることには同意しますが、しかし、これは依然として非常に定性的であり、相関の証拠は非常に強力で、間違っている確率は1 / 100,000未満です。さらに相関を確認するために、いくつかの異なる非常に高度な統計手法を使用しました」

「したがって、物理的なメカニズムが適切でない可能性はあっても、私たちの意見では、陽子密度と世界的な地震との間に明確な相関関係が存在することを否定することはほぼ不可能です」

 

南カリフォルニア大学の地震学者であるジョン・エミリオ・ビデール氏もまた、論文について深い懐疑論を表明した。

「その論文には多くの危険信号があります。査読済み論文となったことに率直に驚いています。数字を調べずに統計分析を再現しようとしたことを認めなければなりません。これが本当に重要です。しかし、彼らは多くのことを誤解していて、私はかなり懐疑的です」

 

これに対してデ・ナターレ氏は以下のように述べた。

「相関関係を推測するために使用するパラメーターは 1つだけです。それは陽子密度のレベルです。さらに、相関関係を統計的にテストするために、さまざまな非常に高度な統計手順を使用しました」

デ・ナターレ氏は、これらの統計手順の 1つである Molchan 誤差ダイアグラムとして知られる地震学的予測アルゴリズムをテストするための有名な方法を引用した。

 

太陽活動が地球上の地震と相関しているかどうかにかかわらず、地震予知は、地質学者たちと保険企業の両方にとって、ある種の聖域と長い間考えられてきた。

確かに、地震を予測する強力な手段は、命を救い、災害の救援と準備を助けることができる。しかし、断層が観察できるようになるまで地球の奥深くを調査することは、岩石の密度のために、あらゆる種類の科学的イメージングにとって不可能な作業だ。

むしろ、現代の地震学は、代わりに間接観測と観測地震データに依存している。実際、 南カリフォルニアの大地震の可能性の高まりを予測したものなど、地震予知技術の最近の進歩は、地震記録と地質モデルを使用したコンピューターモデリングから派生している。

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