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2020年からの世界 人類の未来 健康の真実

新型コロナと HIV は「ほぼ完全な兄弟」であることが判明。双方のウイルスが「人間の免疫細胞を破壊するメカニズム」において同じであることが見出される

投稿日:2020年5月27日 更新日:


scmp.com




 

新型コロナウイルスが人間の免疫細胞を破壊する方法

新型コロナウイルスに「 HIV (エイズウイルス)」の要素があることが確認されたのは、4月のことでした。

これは以下の記事でご紹介しています。

[衝撃] 新型コロナウイルスは「人間の免疫機能の中心であるT細胞を攻撃」し、免疫系を完全に破壊する「HIV / エイズウイルスと同じ特徴を持っている」ことが米中の研究者により確認される
In Deep

この「新型コロナウイルスが HIV と同様に、人の免疫細胞を攻撃する性質を持っている」ということを知った際には、少し厄介なことになったなとは思いました。

つまり、エイズウイルスにより発症するエイズの特徴のひとつとして「体内からウイルスが消えない」ということがあったからです。

これはあくまで、「もしかしたら」ということですけれど、同じような特性が新型コロナウイルスにもあるのかもしれないと思ったのです。

そういう意味では、新型コロナウイルスというのは、本当に驚異的なウイルスなんですけれど、しかし同時に、以前から書いていますように、「とにかく感染力が並外れて高い」ウイルスであることがあり、そういうものに対して、物理的な隔離とか封鎖とか閉鎖とか、そういう手段が通用する相手ではないと確信していまして、隔離や封鎖などの一切の手段を使わずに「平常の生活で立ち向かう」のが正しいと考えています。

さて、それはそれとして、数日前に、香港の有力メディア「サウスチャイナ・モーニングポスト」が、

「中国の科学者たちが、新型コロナウイルスが、どのようにヒトの免疫細胞を破壊しているのかのメカニズムを発見した」

と報じていました。

論文は査読前ですが、以下にあります。

The ORF8 Protein of SARS-CoV-2 Mediates Immune Evasion through Potently Downregulating MHC-I
(SARS-CoV-2 の ORF8 タンパク質は MHC の強力なダウンレギュレーションを通じて免疫回避を仲介する)

今回は、まず、そのサウスチャイナ・モーニングポストの記事をご紹介しようと思いますが、上の論文のタイトルでもおわかりかと思うのですけれど、聞いたことのない専門用語が飛び交いますので、記事に出てくる用語をご説明しておきます。

主要組織適合性複合体(MHC) → 免疫応答を制御する重要な分子
スパイクタンパク質 → ウイルスが細胞に感染する際に働く突起物
ORF8遺伝子 → 新型コロナの2つの型(L型とS型)をわける重要な要素
キラーT細胞 → 細胞に侵入したウイルスなどの異物を破壊する免疫細胞
ダウンレギュレーション → 神経伝達物質などへの応答反応が低下すること

この「主要組織適合性複合体 (MHC)」という細胞内の分子は、人間の免疫反応に非常に重要な存在なのですが、何と、

「新型コロナウイルスに感染すると、この主要組織適合性複合体の分子が消えてしまう」

ようなのです。

それにより、人の主要な免疫システム働かなくなってしまうのですね。

ここから記事です。

 


新型コロナウイルスが HIV と同じ戦略を使って人間の免疫反応から逃れていることを中国の研究者たちが発見

Coronavirus uses same strategy as HIV to dodge immune response, Chinese study finds
South China Morning Post 2020/02/27

中国の研究者たちによると、HIVと新型コロナウイルスは共に、人の細胞への侵入者(病原体など)を特定するために使用する感染細胞の表面上のマーカー分子を除去する。これは、Sars-CoV-2 が長い間(体内に)存在する可能性があることを意味するかもしれないと研究者は言う。

中国の科学者たちによる新しい研究によると、新型コロナウイルスは HIV (エイズウイルス)と同じ戦略を使用して人間の免疫システムからの攻撃を回避していることが判明した。

HIVも新型コロナウイルスも、どちらのウイルスも、感染した細胞の表面にある、細胞が侵入者を特定するために免疫システムが使用しているマーカー分子を除去していると研究者たちは 5月24日に、 bioRxiv.org に投稿した未査読の論文で発表した。

彼らは、この共通性により、新型コロナウイルスが HIV のように、しばらくの間、体内に存在し続ける可能性があることを意味すると警告した。

ウイルス学者のツァン・ヒュイ(Zhang Hui)博士と広州の孫文大学のチームは、新型コロナウイルスが「慢性感染を引き起こすウイルスのいくつかの特徴」を示しているという臨床観察に重みを加えたとも述べている。

彼らの研究は、新型コロナウイルスによって引き起こされる Covid-19 から最近回復した 5人の患者から、人の重要な免疫細胞であるキラーT細胞を収集することが含まれた。

これらの免疫細胞は、新型コロナウイルスに感染した後、生成される。彼らキラーT細胞の仕事は、ウイルスを見つけて、それを破壊することだ。

ところが、研究で使用された(新型コロナウイルスから回復した人たちの細胞から採取された)キラーT細胞は、感染した細胞内のウイルスを除去することができなかったのだ。

科学者たちがさらに詳しく調べたところ、これら回復した人たちの細胞には、「主要組織適合性複合体(MHC)」として知られている分子が欠落していることがわかった。

この MHC と呼ばれる分子は、通常、健康な細胞の膜の細胞に存在する識別タグだ。MHC は、感染によって変化し、体内の細胞が健康か、それともウイルスに感染しているかを免疫系に警告する働きを持つ。この MHC は、重症急性呼吸器症候群(SARS)や、他のコロナウイルスに感染した場合でも細胞内に見出される。しかし、新型コロナウイルスに感染した細胞からは見出されないのだ。

HIV も同じように、MHC 分子を細胞内から除去することが知られている。

エイズウイルスに感染した細胞にもまた、新型コロナウイルスに感染した細胞と同様に、MHC 分子が存在しないことがわかっている。

ツァン博士は以下のように述べる。

「新型コロナウイルスにあるこの機能(このような免疫系の攻撃システム)は、同じコロナウイルスである SARS にはありません」

新型コロナウイルスは ORF8(あるいはORF8遺伝子)と呼ばれるタンパク質を生成することでこれらのマーカーを取り除く。ORF8 は MHC 分子と結合し、感染した細胞内にそれらを引っ張り破壊する。

ORF8 はウイルスの複製に重要な役割を果たすことが知られており、ほとんどの市販のウイルスのテストキットはこの遺伝子を標的にして鼻や口腔のウイルス量を検出している。

新型コロナウイルス感染症の患者の治療に使用されている薬物は、主にウイルス複製に必要な酵素または構造タンパク質を標的としたものだが、ツァン博士とチームは、「 ORF8 による MHC の障害を特異的に標的とすることで、 Sars-CoV-2 の免疫監視を強化する化合物」を開発することを提案している。

以前の研究では、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質は多くのタイプのヒト細胞に入り、それらの受容体と結合することを可能にする構造を持っていることがわかっている。

これと同じ構造が HIV にも見られるが、しかし、コウモリやセンザンコウなどの動物に見られる他のコロナウイルスには、このような性質は見られない。

ニューヨークと上海の研究者たちによる別の研究でも、新型コロナウイルスがキラーT細胞を殺すことができることが判明している。この発見は、中国の検死の中で、死亡した患者が、エイズによって引き起こされたものと同様の免疫系の破壊が発見された後に行われた研究で見出されたものだ。

世界保健機関によると、免疫システムを攻撃するウイルスである HIV が出現してから 40年が経ち、これまで、世界中で約 3200万人が亡くなっているが、今もなお完全にエイズを治療できるワクチンや薬は開発されていない。

上海公衆衛生クリニカルセンターの主任研究者であるチャン・シュエ氏は、今回の広州のこれらの研究結果は、「まったく驚きではない」と言う。

無関係のウイルス(たとえば、HIV と新型コロナウイルスのようなまったく関係のないウイルス)でも、同様の選択的圧力にさらされた場合、同じような特性を示す可能性があると述べた。 MHC 分子の抑制は、一部のヘルペスウイルスなどの他のウイルスでも起こったとチャン氏は述べた。

チャン氏は、新型コロナウイルスは、キラーT細胞をハイジャックはしておらず、 HIV のように T細胞を増殖させる手段に変えていないことを指摘し、新型コロナウイルスは、はるかに遅いペースで変異しており、死亡率は「エイズよりはるかに低い」と付け加えた。

「この新型コロナウイルスには、私たちがまだ予期していない特徴があるという可能性はあります。しかし、大多数の患者は回復するのです」とチャン氏は述べる。


 

ここまでです。

……ま、このぉ(田中角栄さんかよ)……いやはや、すごいですね。

この「主要組織適合性複合体(MHC)」の働きを、私はそれほど理解しているわけではないのですが、間違っている可能性があることを前提に少しご説明したいと思います。

 

 

「細胞内のそこを狙うのか!」という驚き

この MHC という分子の免疫に対しての作用は重大で、以下は、京都大学 再生医科学研究所の「免疫のしくみを学ぼう!」という一般向けのページにある説明からの抜粋です。

補足しておきますと、前提として、「免疫」の機能というのは、当然ながら、

「自分に対して悪い影響を与える病原体を攻撃する」

ものです。悪くないものを攻撃するのでは意味がないのです。

これを行うのが「 T細胞(キラーT細胞)」と呼ばれる免疫細胞ですが、しかし、体内には「悪くない細胞」や「役に立たない細胞」もたくさんあります。

T細胞はどのようにターゲットを見つけているのか。

ここに主要組織適合性複合体(MHC)が関係するようなのです。

「免疫のしくみを学ぼう!」には以下のようにあります。

遺伝子再構成は、例えばサイコロを振るみたいに自由な組み合わせで起こるので、実際には一度は自分の体を攻撃してしまうような細胞もできてきます。また一方で、異物をみるのにまったく役にたちそうもない細胞も沢山できてきます。ではどうやってこの中から役立つものだけを選ぶのでしょうか。 京都大学再生医科学研究所

ここにある「役立つものだけを選ぶ方法」に、主要組織適合性複合体(MHC)が、関与するのです。

ページから続けます。

そのメカニズムを理解するには、まず図7に示すことを理解していただく必要があります。

T細胞受容体は直接異物を見るのではなくて、MHCという分子の上のくぼみにはさまるようにくっついた異物の破片(抗原)を、MHCという分子とセットにして見るということです。京都大学再生医科学研究所

つまり、以下のような私の説明が合っているのかどうかはともかく、進入した病原体を殺してくれる T細胞は、

「攻撃する相手を、MHCという分子とセットにして見ている」

のです。

ということは、

「 MHC が消えてしまえば、T細胞は、病原体のウイルスを攻撃できない(対象を判断できない)」

ようなのです。

新型コロナウイルスは、免疫に重要なこの分子を破壊あるいは消してしまうようなのですね。

自分を攻撃するキラーT細胞が機能しないのですから、この新型コロナウイルスは細胞内で殺されることがないということになり、つまり、いつまで経っても、細胞からウイルスは消えないということになるのだと思います。

 

これが新型コロナウイルスの特性です。

 

このような性質は、わかってはいたとはいえ、改めてこのように提示させられると、いろいろ考えちゃいますねー。

だいたいやねぇ(お、竹村健一さん)、こんなメカニズムじゃ、感染が簡単には治らないやないの。

……いや、これに関してはですね、自分を含めて個人的に周囲の方々の話も聞くのですけれど、

「新型コロナウイルス(らしきもの)に感染した後は、とにかく軽微な症状が長く続く」

傾向があるようなのですね。

新型コロナウイルスは、若い人たちを中心に「まったく症状が出ない」人たちが非常に多いですが、しかし、ある程度の年齢の人は、ものすごく軽い風邪のような症状とか、軽い胃腸や目や鼻や味覚の不調だとか、そういうのが非常に長く続く傾向があるのです。

たとえば、アメリカの投稿型のソーシャルウェブのレディット(Reddit)には、「新型コロナウイルスだと確定診断された人たちのフォーラム」があります。

ここには、「果てしなく長く症状が続いている人たち」の書き込みが数多く見られます。たとえば、以下のような人は普通です。

私は、新型コロナウイルスと診断されてから 51日目になりますが、まだ良くなった感じがありません。まだ肺も痛いです。最近は呼吸の状態はそれほど悪くなかったために、呼吸の症状は終わったと思っていたのですが、今朝、また息切れを感じています。

あまりにも症状が長く、昨夜、台所で泣いてしまいました。

こういうように症状が 2ヵ月とかにわたって続く人たちがとても多いのです。

ただ同時に、症状は長く続いても、高齢ではなく基礎疾患がない人は、これ以上悪くなるということでもないようです。同じような症状が終わらない。

こういうのも含めて、あるいは個人的に知ったいくつかの例から、ものすごく軽い症状でも、何らかの症状が出てしまった場合は、どうやら1ヶ月以上続くのはごく普通であり、2ヶ月、3ヶ月も珍しくないと思われます。

ここが、風邪やインフルエンザと違うところです。

1ヶ月や2ヶ月も続く風邪は、普通はそうあるものではないです。ましてインフルエンザではあり得ないです。

そのような長期間症状が続く原因が、今回ご紹介した新型コロナウイルスの持つ HIV と似た「人間の免疫細胞を攻撃することに特化した性質」にあるようです。

ちなみに、今回の話は、このウイルスが人為的であるか、自然の産物かという話とは関係ないです

このウイルスが人工物であっても自然由来であっても、この新型コロナウイルスというものが、HIV と同じ特徴を持つことは、ほぼ確定しているのです。

そして、このような特徴を知りますと、今回のサウスチャイナ・モーニングポストの記事あります以下の部分を思うのです。

世界保健機関によると、免疫システムを攻撃するウイルスである HIV が出現してから 40年が経ち、これまで、世界中で約 3200万人が亡くなっているが、今もなお完全にエイズを治療できるワクチンや薬は開発されていない。

普通に考えれば、新型コロナウイルスが HIV と同様の性質を持っているなら、ここにありますような HIV と同じ歴史を歩んでいく可能性も高そうです。

以前思った「最も困る展開」は、新型コロナウイルスが「本当によく HIV と似てしまっている」場合です。つまり、HIV の性質は「一生その人から出て行かない」ということですが、この点で同じだったら、ちょっとなあとは思います。

ちなみに、以下の記事にありますように「緑茶」は、新型ウイルスにも HIV にも、感染防止にも発症抑止にもとても有効です。

HIVからも防御 : 緑茶のエピガロカテキンガレートは、エイズウイルスの感染と発症を防ぐ。そして、仮に新型コロナウイルスとの付き合いが「一生」になるのなら考えてみたい「ウイルス干渉の原則」のこと
In Deep

実際の話、今後の世の中というのは、食事にある程度気をつかって、ストレスをなるべく感じず、そして太陽光をたくさん浴びて生活するという「感染症予防の原則」に従って生きるのが最も良い方法だと思います。

HIV もですが、新型コロナウイルスにしても、感染したことをくよくよ思っても仕方ないです。

それと共に、今後もこの新型ウイルスの未知の性質と能力がさらに示されていくのかもしれません。

 
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