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2020年からの世界 人類の未来 拡大する自然災害

インドの歴史上最悪のイナゴ襲来のカタストロフに見る世界的な食糧危機、化学物質にまみれる大地。そしてその基本的な原因は異常気象と異常気温だということ

投稿日:2020年5月28日 更新日:


インドのラジャスターンにて。 Balakrishnan Kannan




 

イナゴ襲来の第二波は想像を上回る規模に成長中

アフリカから中東、そしてパキスタンなどが「過去最悪級のイナゴ(サバクトビバッタ)の被害」に見舞われていることを最初に取り上げたのは、2月22日の以下の記事だったと思います。

疫病と蝗害…聖書的な災いが現実に:狂気的な数千億のイナゴの大発生による被害範囲がアフリカ、中東から中国までの20カ国以上に拡大。国連は6月までにイナゴの数が「現在の500倍に膨れあがる可能性」を警告
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この 2月の終わり頃は、中国において急速に新型コロナウイルス感染例が拡大した頃で、少しずつ騒然とした雰囲気が世界中に広がっていった頃でもありましたが、それでも、この頃はまだアメリカやヨーロッパでは、感染事例がほとんど出ていない頃で「新型コロナウイルスはアジアの問題」とされていた時でした。

しかし、今現在、主要な舞台は欧米に変わっています。

以下は、先ほどの記事を書きました 2月22日の新型コロナウイルス感染確認の上位 5カ国と、本日 5月28日の比較です。


Coronavirus cases

世界全体の感染確認数と死亡者数も以下のように変化しました。

● 2月22日 世界の感染確認数   7万7767人 / 死亡者数 2360人

● 5月25日 世界の感染確認数 569万1741人 / 死亡者数 35万5653人

たった3ヶ月で、ずいぶんと世の中は変わってしまいました。

この3ヶ月ほどの間に、世界各地の多くの国や地域でロックダウンなどの政策がとられていく中で、むしろ指数関数的に感染者は増えていきました。

今回、イナゴの歴史的な襲来に見舞われていることについてご紹介するインドも、新型コロナウイルス対策として「2ヶ月の厳格なロックダウン」をおこなっていました。

そして、インドでも、他のロックダウンをおこなっていた国と同じく、「ロックダウンが長引けば長引くほど感染者と死者が増加」していきました。

なお、皮肉な話ですが、インド政府は「 5月31日でロックダウンを解除する」と発表していますが、

「ロックダウンの最後の週となった今週、過去最大の感染者の増加が記録された」

という事態に見舞われています。

以下は、5月28日の報道からです。

インドで新型コロナウイルス症例の急増を記録

インドの新型コロナウイルスの感染拡大が悪化している。インド全土で行われたいロックダウンの期間は2ヶ月に及ぶが、政府は 5月31日にロックダウンを終了すると発表した。

ところが、そのような中で、5月28日には 24時間で感染確認事例が 6500件を超えて、1日での増加としては過去最大の急増となった。

インド保健省は 5月28日に合計 15万8333件の症例を報告し、この 24時間で 6566件の感染者の急増が記録されたと述べた。総死者数は 4531人で、この 24時間では、やはり 194人と死者も急増した。

感染拡大のほとんどは、マハラシュトラ州、グジャラート州、タミルナードゥ州、デリー、マディヤプラデーシュ州、ラジャスタン州に集中している。

インド政府は、今週末に、経済活動を促進するための一連の新しいガイドラインを準備しているが、感染拡大が最悪の地域ではロックダウンを延長する可能性があるという。 Canberra Times

このような2ヶ月間のロックダウンの中で、農業などにもかなりの影響が出ていると見られる中で、今度は、

「インドで史上最悪級のイナゴの襲来」

が発生したことがここ数日伝えられています。

先ほどのインドでの新型コロナウイルスの感染事例が多い地域として、いくつかの州が挙げられていますが、非情なことに、「イナゴの被害の大きな地域もその州と重なる」のです。

5月27日までの時点で、イナゴによる最も大きな被害を受けているのは、ラジャスタン州という北部の州で、他に、マディヤプラデーシュ州、マハラシュトラ州などがイナゴの被害を受けていますが、その光景は、以下の写真のように「現実ではないような」雰囲気があるほどのものです。(虫が嫌いな方にはごめんなさい)

この数日のラジャスタン州の様子

dw.com


Rahul Meena

現時点での報道では、過去 30年で最悪というような表現が使われていますが、イナゴの大群はいまだに成長し続けていますので、インドの歴史で最も激しいものとなる可能性もあります。

そうなる理由も示すことができます。

まず、以下は、現状についてのドイツ DW の報道からです。

 


インドは過去30年で最悪のイナゴの大群と直面している

India faces its worst locust swarm in nearly 30 years
DW 2020/05/27

インド政府が新型コロナウイルスを封じ込めるための戦いを行う中、膨大な害虫が、インドの 50,000ヘクタール以上の耕作地を破壊しており、インドの食糧供給にさらに負担をかけている。

5月26日、インド政府は無人機とトラクターで、サバクトビバッタの大群を追跡し、殺虫剤を散布した。

これはインドが過去 30年近くのあいだに経験した最悪のイナゴの大群の 1つだ。このイナゴたちによって約 50,000ヘクタールの耕作地が破壊され、インドは 1993年以来の最悪の食糧不足の危機に直面している。

インドのイナゴ警告機関によると、ラジャスタン州とマディヤプラデーシュ州では、地域により 1平方キロメートルあたり 8〜 10個の大群が活動しており、マハラシュトラ州やウッタルプラデーシュ州などにも拡大している。

今後、風速と風向によっては、イナゴがインドの首都デリーに向かって移動する可能性があると警告している。

国連食糧農業機関(FAO)によると、サバクトビバッタは通常、6月から 11月にかけて、インド西部とグジャラート州などの一部で発生する。ところが、インド農業省によれば、今年 4月にイナゴの群れが発見されている。

FAO の推定によると、4000万匹のイナゴの群れは 35,000人分もの食糧を食べるという。すでに、インドのイナゴは、ラジャスタン州とマディヤプラデーシュ州の農作物を破壊している。これにより、通常よりも生産量が低下しており、食料品の価格の上昇が発生している。

農業危機とそれに続く食糧インフレは、新型コロナウイルスのパンデミックに対するインド政府の対応を著しく妨げている。

インド政府が新型コロナウイルスの拡散を阻止するために突然、全国的なロックダウンを強要した後、インドの多くの労働者たちが経済的に困難に陥り、何千人もの移民労働者が飢餓で亡くなった。イナゴの群れによる農業危機は、政府の救援活動をさらに妨げている。


 

ここまでです。

記事に、

> 何千人もの移民労働者が飢餓で亡くなった。

とありますので、すでにインドでは「ロックダウン中に、飢餓による死が発生していた」ということのようです。

なお、なぜインドで今年、このような「通常はないようなイナゴの大量の出現」が起きてしまったのかというと、基本的には、

「異常気象」

によるものなんです。

たとえば、今現在、インドは「信じられないほど暑い」です。

なんと、まだ 5月だというのに、たとえば、新型コロナウイルスとイナゴの被害に同時に見舞われている北部のラジャスタン州などは、

「気温が 50℃に達している」

ようなのです。

5月27日の報道より

India wilts as temperature hits 50 degrees Celsius

この熱波の直接的な原因は、サイクロンによるものでした。

先週、インドは「アンファン (Amphan)」というサイクロンに見舞われたのですが、そのサイクロンの反時計回りの大気の流れの循環が「インドの風の方向を変えてしまった」のです。

ちなみに、このサイクロンの被害そのものも大きく、インドで 100人以上が亡くなった他、農業にも甚大な被害を与えています。被害を受けた人の数は、450万人に上るとインド政府は述べています。

それ以前も、今年のインドは「とにかく雨が多い」のです。

以下は、5月25日のインドの報道からの抜粋翻訳です。

インド気象庁のデータによると、ラジャスタン州では 3月1日から 5月25日までに 25の地域で、平年の 60%以上の大量の雨量が記録された。さらにマディヤプラデーシュ州では 39の地域で平年をはるかに上回る大量の降雨が記録された。

ウッタルプラデーシュ州とハリヤーナ州でも多くの地域が平年より多い雨に見舞われている。downtoearth.org

このような中で何が起きたのかというと、インド研究評議会の専門家が以下のように述べたことが伝えられています。

「サバクトビバッタは、古く乾燥した葉や植物よりも、新しくて柔らかい葉を好むのです。それらのほうが容易に消化されるタンパク質や炭水化物を含んでいるからです。イナゴは、どこに移動しても、そのような若い葉を探すのです」downtoearth.org.in

つまり、「雨が多かった中で、イナゴの好きな軟らかい葉のある植物のある面積が格段に増えた」ということになり、それに加えて、異様な気温の上昇もむしろイナゴには好都合で、サバクトビバッタは、砂漠の極限の暑さと乾燥の中でさえ生き残ることができる昆虫ですので、「暑い上に湿気が高く、エサとなる軟らかい植物が多い」という

「イナゴにとってのパラダイス」

が作り上げられてしまったようなのです。

 

 

南アジアは化学薬品の大地と化す

必然的にそうなるでしょうけれど、さまざまな報道を読んでいますと、「イナゴへの対策は、基本的に大量の殺虫剤散布」なのですね。

基本的には、インドのイナゴ対策の殺虫剤散布は、

・空中からの広範囲への殺虫剤散布
・農場単位での無人機による殺虫剤散布
・トラクターなどによる陸地からの殺虫剤散布

というように、陸空共に徹底的に化学物質が散布されているようです。

インドの報道より、農地に殺虫剤を散布する無人機

ETV Telangana

最近は、地球単位で「消毒の時代」となっていまして、以下の記事のように、それについての懸念を書かせていただくこともありますけれど、もはや止めようがないほどの進行ぶりとなってもいます。

人類絶滅への道 : コロナウイルスとイナゴに対しての「殺菌と消毒の嵐」が吹き荒れる中、地球の微生物と昆虫類が「大絶滅」に向かう可能性。そしてその次は…
In Deep

基本的に、消毒剤も殺虫剤も共に「人間の健康にとても悪い」という事実があります。最近では以下の記事などに記させていただいています。

過剰な消毒と殺菌が「人間の肺を破壊するメカニズム」がわかった
In Deep

インドでは現在、殺虫剤散布が広範囲で行われていますが、インドより早くイナゴの被害に遭っていたパキスタンでも大規模な殺虫剤噴霧が続いていまして、つい最近は、「パキスタン政府は、中国政府から大量の化学物質の提供を受けた」ことが報じられていて、さらに激しくなっていくようです。

イナゴと戦うためにパキスタンは中国政府から37万5000リットルの化学物質の提供を受けた

パキスタン国家食糧安全保障調査大臣は 5月27日、中国政府からイナゴと戦うために 37万5000リットルの化学物質を提供を受けたと述べた。

パキスタンは現在、新型コロナウイルスの拡大に直面しており、そしてイナゴの大群もパキスタンの農業の存続に関して深刻な挑戦になっていると大臣は述べた。 thenews.com.pk

中国政府としては、自国にイナゴが入ることだけは避けたいと考えていて、隣国パキスタンでイナゴの進行が止まってほしいと考えているでしょうから、今後もいくらでもイナゴ駆除に薬品の提供などの協力を続けるはずです。

それにしても……パキスタンは、今年 2月の時点から殺虫剤散布を続けているのですが、「その時よりさらにイナゴは増えている」という……。

いずれにしましても、これはもう止まらないと思われます。

このように、インドとパキスタンという南アジアを代表する国が、イナゴ駆除のために全国的に「化学物質の大散布」を行っています。

そして、先ほどのドイツの報道にありましたように、

「インドでは、イナゴの繁殖は 11月まで続く」

のです。

そのあいだ、数カ月間、化学物質の散布が南アジアの全域で展開され、そして都市部では、新型コロナウイルス対策での街頭と人々への消毒が続くというなかなか壮絶な展開となっています。

これからどうなっちゃうんでしょうね。

ちなみに、10年前のことですが、オーストラリアでイナゴが大量に発生した際に、「イナゴ駆除のために大量散布された殺虫剤フィプロニルでミツバチが大量死した」という報道があったことも思い出しました。

イナゴは昆虫ですから、「ひとつの種の昆虫を殺そうとすれば、他の昆虫も死ぬ」のはある程度は当然のことで、昆虫の絶滅もさらに進みそうです。以下は参考記事です。

地球上の昆虫の減少が「カタストロフ的なレベル」であることが包括的な科学的調査により判明。科学者たちは「100年以内にすべての昆虫が絶滅しても不思議ではない」と発表
In Deep

いずれにしても、インドでは、地域により、異様な高温、異様な大雨、歴史的な暴風雨などで、すでに農作は壊滅的なダメージを受けています。本来ならこれからのシーズンが本格的な農作の開始となるのですが、一体どうなっていくのかわからない状況となっています。

何より、南アジアは人口の影響が大きい。人口の多いパキスタン(2億1000万人)とインド(13億5000万人)で深刻な食糧問題の発生が近い、あるいはすでに起きているということから、この影響は時間と共に世界的なものに拡大していく可能性もありそうです。

そして、仮にイナゴの大群が中国に侵入するようなことがあった場合、それは非常にカタストロフな状態となっていくと思われます。

 
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