史上最悪の風邪
イギリス最大手のひとつである大衆紙デイリー・ミラー紙が、「ワクチンを二回接種した数十万の英国人たちがひどい風邪に見舞われている」ということを報じていました。
Double-jabbed Brits suffering 'worst colds ever' could have Covid without realising
「史上最悪の風邪」に苦しんでいるワクチン二度接種の英国人たちは、気付かずに Covid を持っている可能性がある
デイリーミラーのその記事の冒頭は以下のようなものです。
過去数週間、英国において、何十万人もの人々が激しい風邪の復帰に見舞われている。
これらの事例証拠は、「英国での史上最悪の風邪」が広がっていることを示唆しており、おそらくは社会的距離の 1年半後の免疫力の低下とマスク着用が感染の可能性を制限したことによって煽られたと見られている。
この風邪は、通常の鼻水や咳ではなく、非常に人々を苦しめている。
デイリーミラーの読者のひとりは、「これまでに経験したことのないひどい風邪なのです」と述べた。
調査によると、二度のコロナワクチン接種をした後にかかっている風邪の上位 5つの症状は、頭痛、鼻水、くしゃみ、喉の痛み、臭いの喪失だった。 (mirror.co.uk)
この、「ワクチンの二度の接種者を中心に過去にないようなひどい風邪が広く流行している」という言葉から想定されるのは、ごく普通に考えますと、以下のどれかだと思われます。
1. 抗体依存性増強(ADE)が起きている。
2. 何らかの理由でワクチン接種者の免疫が下がり、単なる風邪に対して感染・重症化しやすくなった。
3. 英国そのものに、ふだんより重い風邪かインフルエンザが流行している。
このような感じだと思いますが、しかし、記事では「二度のワクチン接種者たちに」とありますので、「3」ではないと思われます。
「1」か「2」かはわかりません。
「1」の場合だと、コロナに再感染したということになりますが、先ほどの読者という方は、以下のように述べていました。
「私は二度のワクチン接種を受けていますが、もしかするとコロナに感染したのではないかと心配しました。しかし、PCR検査は陰性でした」
ただ、現在流行している英国の「ひどい風邪」の上位 5の症状のひとつに、
> 臭いの喪失
というものがあり、これは普通の風邪ではあまり起きないようには思います。
もっとも、風邪やインフルエンザでも、高熱や鼻水がひどいような時には、嗅覚が効かなくなることはありますけれども。
しかし……それでも、どうしても「これは ADE 的なものなのでは…」という思いは拭えないのですが、推定はともかく、まずは、このミラーの報道を伝えていた米ゼロヘッジの記事をご紹介します。
英メディアは、ひどい風邪をひいている「ワクチン二度接種の」英国人たちが苦しんでいるのは、風邪ではなく実際には COVID だと主張している
Media Now Claims That "Double Jabbed" Brits Who Have Bad Colds Are Actually Suffering From COVID
ZeroHedge 2021/10/12
英メディアは現在ひどい風邪に苦しんでいる「ワクチン二度接種の」英国人たちは実際には COVID-19 に感染していると主張している。
イギリスで最大の新聞のひとつであるデイリーミラー紙は、以下のように報告している。
「悲惨な風邪に苦しんでいる英国人たちは、実際はコロナのブレイクスルー感染である可能性があるが、本人たちが気づいていないと見られる。それはウイルスを蔓延させ続けている可能性がある」
どうやら、「史上最悪の風邪」に苦しんでいると報告している人々は、実際には COVID-19 に感染しているためだと伝えたいようだ。
報告書は、ZOE Covid 研究アプリの主任科学者であるティム・スペクター教授による以下のコメントを伝えている。
「これらの風邪のような症状が Covid である可能性があるという事実に目覚めなければ、私たちは今後もコロナ感染者数を高く保ち続けることになるでしょう」と、主張した。
この報告は、一般的な風邪の症状を COVID と同一視しているため、当惑していることを述べる。
この問題は、もし仮に、現在何十万人もが苦しんでいる「ひどい風邪」がコロナであるというこの専門家の主張が真実なら、この報告書は、「ワクチン二回接種した人々が、いまだに COVID に感染し、ひどく衰弱する症状に苦しんでいる」ことを述べていることになり、つまりワクチンは事実上役に立たないものだということを強調していることになってしまう。
しかし、この話の背後にある最も可能性の高い説明は、風邪やインフルエンザの一般的な症例を COVID とラベル付けする当局によって、英国が別のロックダウンの準備をしているということかもしれない。
今年の 2月に強調したように、英国の保健当局は、2月に、「2021年は、これまでに英国でのインフルエンザの症例は 1件も記録されていない」という奇妙な主張をしていた。
その後、保健当局は、インフルエンザが流行しなかったのは、マスクの着用義務がインフルエンザ・ウイルスの完全な消失に貢献したと述べ、英国でのマスク義務が再導入されるべきであることを示唆するために用いられた。
実際には、著名な疫学者であるナット・ウィッコウスキー (Knut Wittkowski)氏が主張したように、前回のシーズンにインフルエンザの症例が大幅に減少したのは、インフルエンザの症例の多くが COVID-19 の症例として誤って数えられていたという事実に起因する可能性がある。
ウィッコウスキー氏は報道に以下のように述べていた。
「 COVID-19 症状と誤解されるインフルエンザの症状を持っている人たちで、検査を受けていない人々の推定 COVID-19 カテゴリーには、かなりの数のインフルエンザ症例が含まれる可能性があります」
ここまでです。
どうも、以下のような意見の対立があるのですね。
・英国の専門家は、現在流行している「ひどい風邪」はコロナの感染だと。
・しかしいっぽうで、これらは実際にはインフルエンザだという主張があると。
さあ、どちらなんだか、それはわかりませんが、しかし、仮に「 ADE 」的なものであった場合、気温が低くなるこれからが正念場だと思われます。
英国で「二度の完全なワクチン接種」を受けた人の数は、10月10日時点で 4519万人にのぼります。
そして、この 4500万人のワクチンを接種されたうちの多くの人たちが、それが生じる時期はいつかはわからないですが、
「感染増強抗体を持つに至る」
ことは否定しようがありません。
以下の記事で日本の大学の論文をご紹介しましたが、「今後の変異株には、中和抗体は、ほぼ、あるいはまったく効かない」ことが確実となっています。
東京大学等や大阪大学の異なる論文に見る「ワクチンによる逃げ道はナシ」という実感。強行した後に残るのは「無」
投稿日:2021年9月11日
ここでご紹介しました大阪大学等の研究論文には以下のようにあります。
> 中和抗体ではなく、増強抗体のエピトープは、デルタ変異体を含むほとんどの SARS-CoV-2 変異体でよく保存されている。
>
> したがって、SARS-CoV-2 変異体に由来するスパイクタンパク質の追加免疫は、以前に野生型 SARS-CoV-2 に感染した、または野生型スパイクタンパク質で構成されるワクチンで免疫された個体において、中和抗体よりも増強抗体を増強する可能性がある。 (biorxiv.org)
追加免疫とは、ブースターショットのことですが、ここに書かれてあることを簡単に書きますと、
「感染増強抗体は残り続けるので、ブースターショットは、中和抗体よりも増強抗体を増強してしまう」
というようなことになると思われます。
この大阪大学等の論文で、初めて「感染増強抗体は、打てば打つほど増強される」ことを知りました。
中和抗体は、そのうち効果が消えますけれど、感染増強抗体は「消えない」。
つまり「ブースターショットはリスクを増大させるだけ」だということを、大阪大学等の研究者たちも、そして同じ記事でご紹介しました東京大学等の研究者たちも、みんなそれを懸念しています。
「増強抗体を増強する」という意味は、抗体依存性増強(ADE)の程度をより重くしてしまうという解釈でいいと思います。
現在イギリスで、ワクチンを二度接種した人たちを中心として数十万人に流行している「過去最悪の風邪」が、コロナの再感染なのか、インフルエンザなのかはわからないですが、しかし、同じようなことが、どこのどんな国(ファイザーかモデルナかアストラゼネカのワクチンを接種した国)でも、
「いつかは確実に起きる」
ということです。
それが起きるのは、今度の冬ではないかもしれません。2年後、3年後かもしれません。
しかし、
> 増強抗体のエピトープは … よく保存されている。
ものであり、ADE を誘発する感染増強抗体は、おそらくは永久的に残るものだと思われます。それは、新型コロナではなくとも、「どんなコロナウイルス」でも、再感染すれば、感染が憎悪する可能性があるのです。
過去の動物実験では、基本的にすべて死亡しています。
それと、あまり関係のない話かもしれないですが、先ほどのデイリーミラー紙の読者からのコメントで「 PCR検査は陰性だった」というようなことが書かれてありましたけれど、かなり前ですけれど、
「 PCR 検査や抗原検査を回避できるコロナ変異体」
のことが、論文で示されていたことがありました。
探しますと、以下の 5月の論文です。
A SARS-CoV-2 Nucleocapsid Variant that Affects Antigen Test Performance
抗原検査のパフォーマンスに影響を与えるSARS-CoV-2ヌクレオカプシド変異体
これを紹介していた医学メディアの記事はこちらです。 T205I という変異株と、D399N という変異株は、「コロナ検査での検出を回避できる」という能力を持っているようです。
いろいろな変異株の中には、こういうようなものもあるということで、今後も従来の検査では「検出できないコロナ」が出てくるものだと思っています。
しかし、それが新型コロナの変異株だろうと「風邪」だろうと、何であったとしても、現在のイギリスのように「過去最悪の風邪」と言われる厳しい感染症の症状が実際に出ています。
さらには、最近の以下の記事で書きましたけれど、ワクチン接種後に、その持続期間は正確には不明ですが、
「免疫が著しく抑制される時期がある」
ということがあります。
ワクチンとガン発生について改めて考える
投稿日:2021年10月11日
接種後に、「どんな感染症にもかかりやすくなり、重症化しやすくなる」という時期があることにもなります。
結局は気温次第ということになるのでしょうが、今後の冬の気温が低ければ、単なる風邪を含めたあらゆる感染症が流行する状況もあり得るでしょうし、それは、冬になってみないとわかりません。
ただし、今回の話題となったイギリスでは、「今後非常に厳しい低温」が来ます。
前回の冬も何度か取り上げました、北極上空を循環している「極渦」の崩壊が予測されているのです。以下は、10月12日の報道です。
Snow To Blanket UK As Rare Polar Vortex Collapse Could Spell Trouble For Power Grid
まれな極渦の崩壊が英国を雪で覆い隠し、電力網の問題を引き起こす可能性がある
この極渦が崩壊した場合、北半球の高緯度などに壊滅的な低温をもたらします。
前回の冬シーズンは、「成層圏の温暖化による極渦の崩壊により超低温が各国にもたらされた」ということがありましたが、この冬も同じことが起きるだろうことが英国の気象当局などによって指摘されているのです。
以下は、今年 1月の過去記事です。
成層圏の気温が突然上昇する現象により北極の大気循環が崩壊。これにより2月にかけて北半球に超低温がもたらされる可能性が。そして低気温とウイルスの関係…
投稿日:2021年1月9日
この極渦の崩壊は、日本にまで影響を与えることはあまりないと思いますが、気温によっては、日本でも現在のイギリスで起きている「史上最悪の風邪」が広く流行する可能性もあるのかもしれません。
このイギリスの例とは関係なく、経験したことのないような社会の状態が数年のうちに出現する可能性が高くなっています(早ければこの冬)。
もはやそれを食い止める手段はないはずです。
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