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4月19日にメルマガ私たち現生人類は「鉄の種族」であることから思う生き方を発行させていただきました。

2023年からの世界 中国という国 人類の未来 日本の未来 軍事的カオス

中国は「世界を餓死させようとしている」という記事を見て、今起きていることをいくつか知る

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中国により引き起こされている海の問題

最近、「中国は他国の漁業能力と自給自足能力を破壊することにより世界を飢えさせようとしている」というタイトルの米ナチュラルニュースの記事を読みました。

このナチュラルニュースというのは、いろいろと表現が大げさではあるので、「ふーん」くらいに思っていたのですが、しかし、いろいろと辿っていくと、中国は、ものすごい勢いで、

「世界中の魚介類を根こそぎ獲る」

ということを続けているようで、たとえば、南米のニュースサイトでは、アルゼンチンの EEZ (排他的経済水域)が、ものすごい攻撃を受けていることが報じられています。

以下は、その記事にある写真で、街の明かりのようにも見えますが、これは全部中国の漁船の灯りで、「水上都市」と比喩されています。

アルゼンチンの EEZ で、違法(しかし違法ではない)イカ漁に従事する中国漁船の水上都市

dialogo-americas.com

記事は以下のように始まります。

アルゼンチン沖の海域には、公海における法の欠如を利用して海洋生態系を略奪する漁船の「水上都市」のような独特の現象が発生している。

そのほとんどは中国の巨大な漁船団の一部であり、その数は数百に上り、何の監視も規制もなく公海で操業し、法の抜け穴を悪用して漁を行っている。

海洋保護と違法漁業の専門家であるアルゼンチンの研究者ミルコ・シュヴァルツマン氏は、我々に以下のように述べた。

「遠くから見ると、これらの光の塊は日の出のように見えます。その光は宇宙から見ても、その一部はペルーの首都リマよりも明るく輝いているのです」

この水上都市は約 600隻の船舶で構成されており、その 80%に中国国旗が掲げられている。

dialogo-americas.com

ここで何を捕獲しているかというと、「イカ」のようです。記事は以下のように続きます。

これらの船団の主な目的はイカ漁だ。大西洋地域では、最も一般的に捕獲されるのはタイセイヨウアオリイカであり、太平洋ではフンボルトイカだ。太平洋の季節は冬、大西洋の季節は夏であるため、これら 600隻の船のほとんどは単に太平洋と大西洋を行き来するだけだ。

シュバルツマン氏は以下のように言う。

「約 600隻の船舶が制御なしで運航しています。…これらの船舶は、漁業シーズンが始まる 2か月前の 1月中旬にアルゼンチンに到着し、数か月後にそこから出発します」

「この種の持続可能性に関するいかなる基準も尊重されていません」

海洋保護団体オセアナの広報担当マーラ・バレンタイン氏は、以下のように述べる。

これらのイカの寿命は非常に短く、1年ほどです。これらの船は何百トンもの魚を捕獲するため、今後何年も繁殖することができません」

「これらの船舶は依然としてアルゼンチン領海の沖合にあるため、これらの船舶の活動は、確かに違法ではないかもしれないですが、それは彼らが正しいことを行っているわけではなく、環境に悪影響を与えていないことを意味するものでもありません」

dialogo-americas.com

 

今後もこのようなことが毎年のように続けられれば、「イカがこの海域からいなくなってしまう」というようなことと関係するようです。

こういう問題というのは、「イカがなければ、タコを食べればいいじゃない」という問題ではないです(まあそうだ)。

その後、匿名でツイッターに投稿された文章を、リボルバーというメディアが紹介していたのですが、まあ、内容の信憑性はよくわからないにしても、アルゼンチンの漁業関係者とおぼしき方からの投稿で、現実に起きていることから見れば、全体的に信じられないものでもなさそうです。投稿には以下のように書かれていました。


 


paradigmsmasher

匿名の投稿より

アルゼンチン沖の中国最大の「水上都市」の衛星写真は、私たちの首都よりも大きい巨大な都市の規模となっている。

同海域は、アルゼンチンから 200海里を超えているため、「厳密には」公海内にあり、違法には当たらない。

これらの船舶は一度に何年もそこに停泊し、母船システムを使用して、海産物を中国に送っている。

ここでは税金もかからないし、物資や燃料も購入しなくていい。そして、 彼らは私たちのすぐ隣にいるにもかかわらず、私たちとまったく交流しない。 しかし、彼らは、魚が絶滅して次の場所に移るまで、何年もの間すべての漁業場を占領している。

このままでは数年以内に南大西洋は空っぽになってしまうだろう。

200海里を超えているので、これらは法的には「私たちアルゼンチンの魚」ではない。しかし、この海域は私たちアルゼンチンの漁師たちが生計を立てるために行く場所であり、年々困難になっている。

これについて何かできることがあるだろうか。

中国はすでに海洋生態系に取り返しのつかないダメージを与えている。

南太平洋は現在、食物連鎖の欠落による死のスパイラルに陥っており、今後 5年間で生物多様性の 80%が失われるだろう。

大西洋では現在、年間 25~ 100種の絶滅種が記録されている。

アラスカのカニの個体数は減少した。 彼らが永久に姿を消すまでには、おそらくあと 2〜 3年は獲り続ける必要があるだろうが、 現在、北大西洋で生きた罠の代わりに偽装ボートを使ってロブスターを一掃するという変化が起きている。

つまり、飼育者も卵を運ぶロブスターも救われず、中国人がすべて奪ってしまうということだ。

中国は、たった 2年間で 100年間にわたるロブスター漁の管理を無効にした。 彼らの漁船団は 5年前に沈められるべきだった。 それについて何かをするにはすでに遅すぎる。

今後 40年間全面的に漁業を禁止しなければ、海は死んでしまう。

これは競争の意味ではない。

中国政府は「他国の自国を養う能力を破壊し」、中国からの購入を強制することを唯一の目的として漁船団を運営している。

中国は貿易協定の一環としてイランからペルシャ湾の漁業権を取得し、 500隻の船を派遣して 1年間沿岸でトロール漁を行い、通電地引き網を使って海底のあらゆるものを殺しただけだった。

すべてが死んだため、イランの漁業全体は 12か月で 78%縮小した。

paradigmsmasher


 

ここまでです。

思い出しますと、海に関しての最近のいろいろな報道を思い出します。

アラスカとロシアにはさまれているベーリング海では、昨年、「数十億匹のズワイガニが消えた」と報じられていました。以下は、日本語版ニューズウィークの昨年 10月の記事からの抜粋です。

「70億匹が消えた......」アラスカ・ベーリング海のズワイガニが大幅に減少し、禁漁に

ベーリング海に生息するズワイガニが大幅に減少している。ズワイガニの個体数は2018年時点の約80億匹から2021年には10億匹に減少したという。

アメリカ海洋大気庁(NOAA)が2022年5月30日から7月29日にかけてベーリング海東部の海底375カ所で実施した調査では、ズワイガニの成体と未成体雌の個体数はこの50年で最少であった2021年からさらに減少し、成体の個体数は22%減、未成体雌では33%減となった。

米CNNの報道によると、ズワイガニの個体数は2018年時点の約80億匹から2021年には10億匹に減少したという。

newsweekjapan.jp

 

日本にも数年前、「数百隻の中国漁船団」が来ていました。

(報道) 日本のEEZ内に数百隻の大船団 (産経新聞 2017/03/02)
(報道) 中国の漁船数百隻、北朝鮮の海域で違法操業 (AFP 2020/07/23)

 

こういうことが徹底して継続されていった場合は、先ほどの投稿者の方が書かれていた、

「今後 40年間全面的に漁業を禁止しなければ、海は死んでしまう」

というようなことになるかどうかはわからなくとも、「非常に獲れなくなる魚介類が出てくる」ということはあり得そうですし、もう起きているかもしれません。

昨年には、ガラパゴス諸島の周辺に中国の大漁船団がやってきていることが報じられていました。

(報道) 中国の魚船団300隻、数千キロ離れたガラパゴスで漁獲 境界ギリギリ、時に違法行為も (GLOBE 2022/11/10)

 

このようなことを含めて、冒頭のナチュラルニュースは、「中国は、意図的に海産資源を破壊しようとしている」というニュアンスで伝えたのだと思われます。

意図的かどうかは難しいところですが、行っていることの現実として、「海産自然の枯渇」が出てくる可能性はあると思われます。

昨年、以下のような記事を書かせていただいたことがあります。

[記事] 歴史上最悪の食糧危機の「最期のトリガー」を引くのは「中国」。それが故意か故意ではないかは別として
 In Deep 2022年4月21日

 

ここでは、「穀物」のことを書きました。

昨年の時点で、中国はものすごいペースでアメリカなどからあらゆる穀物を「爆買い」しています。

これは今年も同じで、中国が海外から輸入した穀物の量は、「史上最大」となっています。

[記事] 中国の穀物「輸入」量が過去最高を記録。猛烈な勢いで世界中から食糧を買い続けている
 地球の記録 2023年4月22日

 

今年の中国の小麦の海外からの輸入量は「 2018年の 3倍」です。

最近、今年の小麦の流通が不安定な局面を迎える可能性があることを書いたことがありますが、その状況でも中国が爆買いを続ければ、小麦の混乱にさらに拍車がかかることにもなりかねません。

[記事] ラボバンクのアナリストが「今年、世界は小麦不足に直面する可能性がある」と警告
 地球の記録 2023年7月21日

 

そして、この「穀物戦争」の一方で、「中国は、地球の海産物を破滅にもたらそうとしている」という可能性が現在の行動から伺えます。繰り返しますが、「これが故意か、そうではないのか」はわかりません。

 

それにしても、なんとなく、こう……「本当の戦争の前準備」なような気もしないでもなく、つまり、戦争の効率的な前準備というのは、

「敵を弱くする」

ことになると思われます。

 

食糧、エネルギー、インフレーション、通貨の問題、貿易の問題…こういうようなものが現代の社会での国家の云々になるわけですが、食糧の問題、あるいは「食糧価格」の問題を、

「中国が意図的に起こそうとしている」

というようにも見えなくもないです。

先ほどのアルゼンチンの話では、イカが出てきましたけれど、日本でもイカはわりと大変のようです。

(報道) 「イカ 全然いない」「ずっと赤字」過去最悪の不漁も (2023/07/01)

 

あと、2、3年くらいすると、現在中国が行っている壊滅的な乱獲あるいは虐殺の結果がかなり明確に出てくるのではないかとも思います。

そして、8月中旬頃には、BRICs (ブラジル、ロシア、インド、中国)の会合が始まります。ここにおいて、「新たな通貨の話が出るのではないか」というような憶測が数多く出ています。

金融作家のジェームス・リッカーズ氏という方は「新しい BRICs 通貨はゴールドを押し上げ、ドルを破壊するだろう」とインタビューで述べています。もちろん、それはわからないですが、この「 8月」という時期には、大きな節目が来る可能性があり得ます (そうなれば、株式市場や為替取引市場にも影響が出るかもしれません)。

BRICs のロシアは、ウクライナの港からの小麦の輸出を承認していた黒海協定を停止しました。インドは、コメの輸出を基本的に全面停止しました。そして、中国は、穀物の爆買いを続け、それと共に世界中の海産物を荒し回っています。

食糧安全保障…というより、単純に「食べ物の価格の上昇」が世界中の懸念となっている中、BRICs は何だか一致して、食料体系に圧力をかけ始めています。

日本の食糧安全保障の破綻までに残された期間がどれだけあるのかはわからないですが、近づいているようです。

その期間が 10年なのか、2年なのか、半年なのか、それは今のところ誰にもわかりません。

 

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