BRICS大国による米国債の放棄が進行中
以前、「オペレーション・サンドマン」ということについて、記事で取り上げたことがあります。
(記事)近いうちに「膨大なドルと米国債の破棄」が起きる? ケニアの大統領が、自国民に「即刻ドルを処分するよう」演説で通達。その理由とされているオペレーション・サンドマンとは…
In Deep 2023年3月29日
このオペレーション・サンドマンというのは、
「多数の国が協力して、保有する米国債を同時に売却し、米国に送り返して米ドルを崩壊させること」
だそうですが、まあ「同時に」とか「一斉に」というのは、いろいろな意味で不可能だろうなとは思っていました。
しかし、「じわじわ」とは進んでいるようです。
最近の米メディアでそのことについて報じていたものがありました。
まずはその記事をご紹介したいと思いますが、もうひとつ、アメリカは、この10月はじめの数日で「イベントが目白押し」となっていまして、そのことにも少しふれさせていただこうと思います。
まずは、米国債の放出についての状況です。
警告:BRICS巨人が米国債の放出を開始…
ALERT: BRICS Giant Begins Dumping U.S. Treasuries…
WLT REPORT 2023/09/10
米国の赤字支出が拡大し続け、国家債務が 32兆ドル(約 4800兆円)を超えて膨らむ中、脱ドル化はますます注目を集めるテーマとなっているようだ。
債権者であれば誰でも、常に借金を重ねている借り手に借金を続けさせることには不安を感じるだろう。
さらに、借り手が債権者の債権の価値を切り下げて騙し取っていると分かれば、どんな債権者も融資を完全にやめるだろう。
しかし、このことが現在の米国財務省と連邦政府が置かれている状況だ。
BRICS経済圏のリーダーである中国は、日本に次ぐ外国第2位の米国債保有国だ。
最近のデータによると、BRICS 首脳会議の終了後、中国とサウジアラビアは約 1,140億ドル(約 17兆円)の米国債務の返済を開始した。
メディア Daily Hodl は「中国とBRICS新加盟国サウジアラビアによって1145億ドルの米国債が投げ捨てられている」と題された記事で次の重要な更新情報を提供した。
財務省の新たな数字は、中国が米国債保有を 2022年6月の 9,388億(約 140兆円)ドルから 2023年6月には 8,354億ドルまで削減したことを示しており、これはわずか 12か月で約 1,034億ドル(約15兆ドル)の減少となる。
今年初め CNN は、「なぜ中国と日本は、米国がデフォルトしないことを祈っているのか」という記事で、米国経済の強さに対する中国と日本の懸念を次のように伝えた。
アトランティック・カウンシル地経学センターのアナリスト、ジョシュ・リプスキー氏とフィリップ・メン氏は、「日本と中国は多額の米国債を保有しており、米国債の価値が急落すれば両国に打撃を与える可能性がある」と述べた。
米国債の価値の下落は、日本と中国の外貨準備の減少につながるだろう。
それは、必需品の輸入品の支払い、対外債務の返済、自国の通貨の維持に利用できる資金が少なくなるということを意味する。
それにもかかわらず、「本当のリスク」は世界経済への影響と、デフォルトに伴う可能性のある米国の景気後退によるものだと彼らは述べた。
ここまでです。
上の記事に「米国の債務が 32兆ドルを超え…」とありますが、その後すぐに「 33兆ドル (約 4900兆円)」を超えました。
2005年からの米国の債務の推移
BDW
こんな途方もないことになっているからこそ、CNN でさえ「米国のデフォルト」というような表現を使っているのでしょうけれど、先ほどの記事にありますように、
「米国債保有のトップ国はダントツで日本」
です。
米国債に何かあった場合、日本への被弾の影響は「国家滅亡クラス」のものになる可能性もありますが、それはともかく、実際に、BRICS の中国やサウジアラビアが、
「放り投げるように米国債を売却している」
という現実が先ほどの記事でわかります。アメリカの債務の状況を見ていれば、今後、売却が加速することはあっても、中国などが買い戻すことはなさそうです。
とはいえ、アメリカ財務省の資料を見ますと、外国が保有する米国債は「総計では増加している」という事実もあります。
中国やサウジアラビアなどが売却し続けている中で、「買い増している国も多い」のです。そのため、全体として見れば、米国債に何かあるというようなことはなさそうなのですが、いろいろと不安定な状態ではあるようです。
たとえば、「ヘッジファンドは歴史的な水準で米国債を空売りし続けている一方、資産運用会社は史上最大の買いポジションを築いている」というようなことがデータで示されていたり(記事)、市場に関しても、株式市場にしても国債市場にしても、
「荒れる可能性が高い局面」
に差し掛かっているようです。
規模が極端ですので、荒れるというより「崩壊」の局面にさえ達するような状態なのかもしれません。
資産運用会社とヘッジファンドの売り買いが真逆(しかもどちらも過去最大)
Barchart
これらのこととは関係ないですが、アメリカが「やや混乱する」状態が、10月にあるかもしれないということに少しふれます。
10月はじめに次々とイベントが
10月1日から、アメリカ政府が閉鎖されることについては、避けられない可能性が高まっています。
米下院、つなぎ予算案否決 共和強硬派が反対 政府閉鎖ほぼ確実に
米議会下院は29日、マッカーシー下院議長(共和党)が提案した10月末までのつなぎ予算案を賛成198、反対232で否決した。共和党強硬派が反対に回った。これにより10月1日から連邦政府機関が一部閉鎖されることがほぼ確実となった。
否決を受け、マッカーシー下院議長は記者団に対し「まだ終わりではない。他の案がある」と語った。ただマッカーシー議長は、それがどのような案なのかは明言しなかった。(ロイター 2023/09/30)
アメリカの政府閉鎖はこれまで何度も起きていますから、それ自体は…まあ、いいこととは言えないでしょうが、それ自体は特別なことでもないです。
ただ、先ほど米国債について書きましたけれど、「米政府閉鎖なら「米国債にマイナス」 ムーディーズ警告」(日本経済新聞 2023/09/26)というような報道もあり、時期が時期だけに不安定な感じはあります。
この 10月のはじめには、もうひとつ「全米を巻き込んだイベント」が予定されています。連邦緊急事態管理庁(FEMA)により、
「全米すべてのテレビ、ラジオ、スマートフォンに対しての緊急警報テスト」
が計画されています。
FEMAのページで告知されています。
緊急警報システム (EAS) というものと、無線緊急警報(WEA) の両方を行うとのことで、すごいのは、
「緊急警報システムテストは、全米のすべてのテレビとラジオに流れる」
「無線緊急警報は、全米すべての携帯電話とスマートフォンに流れる」
ということです。
しかし、「アメリカの人たちは、これが行われることをみんな知っているのだろうか」とは思います。
FEMA のページには、「アラートには独自の音と振動が伴います」とあるのですが、10月4日(現地時間午後2時20分)に突然すべてのテレビとラジオで警報が鳴り響き、すべてのスマートフォンに音と振動つきの警報が流れたりした場合には、「混乱とかしないの?」とは思いますが…。まあ、どちらも初めてのテストではないようですので、大丈夫なのかもしれませんが。
一方で、FEMA のページには、以下のように記載されています。
FEMA と連邦通信委員会は、混乱を最小限に抑え、テストの公衆安全の価値を最大化するために、緊急警報システム参加者、無線プロバイダー、緊急事態管理者、その他の関係者と調整して、この国家テストの準備を進めています。
やっぱり、ちょっとだけ混乱を想定しているのですかね。
ただ、FEMA は政府機関ですので、政府機関の閉鎖が 10月1日から始まった場合でも、これが行われるのかどうかは不明です。
もしテストが行われたとした場合、「政府が閉鎖している中で、突然、全米に警報が鳴り響く」という、ややシュールな様相になりそうです。
さらに、これはアメリカと直接関係するものではないですが、
「 10月3日に、ロシア史上初となる全土を対象とした核攻撃への想定演習」
が行われるようです。以下で記事にしています。
(記事)ロシアが、建国以来初めてとなる「全土規模での核攻撃に対しての想定演習」を10月3日に実施
地球の記録 2023年9月30日
つまり、10月最初の数日間は以下のような大きな事柄が続くのです。
・10月1日 アメリカ政府機関の閉鎖
・10月3日 ロシア全土で核攻撃に対しての想定演習
・10月4日 FEMA による全米を対象とした緊急警報システムテスト
株式を含めて、市場そのものに関しては、私はまったくよく知らないですので、それらの個別の問題にふれるつもりはないですが、「荒れる時期に突入する」ということはあるような感じです。
投資等されている方は注意深くされる時期かとも思います。
すでに、アメリカのほうは荒れているようで、米ゼロヘッジは、「トレーダーたちは 9月に「あらゆるものを売却」した」と報じていたり、あるいは、日本語版フォーブスは「新たな「グレート・リセッション」前夜か 状況酷似とJPモルガンが警鐘」(フォーブス 2023/09/30)というタイトルで記事を報じたりしています。
グレート・リセッションというのは、2008年の金融危機をきっかけとして起きた景気後退です。
…ただ、個人的に思うだけのことですが、今度、経済の後退などが起きた場合、それは構造的に大きなものとなりそうですが、
「文明そのものの崩壊に近づくほどの事態へと成長する可能性がある」
と考えています。
これまでのすべての景気後退や大恐慌は「いつかは元に戻った」のですけれど、「戻らない状況」が、少なくともしばらくの間は続くのではないかと考えます。
昨年の以下の記事にそのあたりを書いています。
(記事)人類史上最悪の「あらゆるものの崩壊」はいつ起きるのか
In Deep 2022年6月11日
現在が、6000年に 1度の人類史での変化の渦中にあると主張する人もいますし、「今は 1万3000年に1度の変化の時」だと言う人もかつていました(これはクリフ・ハイさん)。
何かの参考にはならないと思いますが、今から 15年前、2008年11月のウェブボットのクリフ・ハイさんのエッセイから抜粋して締めさせていただきます。
ウェブボット レポート909 パート 1より
クリフ・ハイ 2008年11月9日配信
2012年12月21日、午前11時11分に太陽系は天の川銀河の黄道平面を通過する。
これにより、太陽と地球は銀河中心と一直線で並ぶことになる。このため、地球にはかつてないほどの量のエネルギーが宇宙から降り注ぐことになるはずだ。
最近の太陽の異変は、約 26000年周期の歳差運動のサイクルが 2012年に終わりに来ていることの証左である可能性が大きい。26000年周期を一日に見立てた場合、過去 13000年間は、太陽系にとって歳差運動のサイクルのちょうどよい期間だったといえる。
2012年12月21日午前11時11分、夜の時期が終り、歳差運動の次のサイクルの夜明け、つまり 13000年間続く昼の時期に入る。
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