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3月22日にメルマガ悪魔に乾杯を発行させていただきました。

2023年からの世界 人類の未来 日本の未来 資本主義の終焉

「最初は徐々に、次に突然すべてが崩壊する」

投稿日:




 

いつ起きるのかは誰にもわからないですが

以前、スイスでゴールドでの資産管理をおこなっている企業のゴールド・スイッツァランド社の創設者であるエゴン・フォン・グレイアーツさんという方の記事を翻訳させていただいたことがありました。

過去数百年続いたマネーの「死」までの秒読み
 In Deep 2023年3月21日

 

その記事は、「金融システムは究極的に壊れている」というタイトルのものでしたが、最近また、グレイアーツさんの記事を読みまして、ご紹介させていただこうかなと思いました。

なんか今はこう、世間的には穏やかな経済や金融の状況の気配が漂っているのですけれど、日本はともかく、最近のアメリカの数値やデータを見ていますと、

「よく崩壊せずに維持されているなあ」

と感嘆することもあります。

最近は、ブルームバーグのマクロストラテジストの方の「アメリカの債務コストの凄さ」について読みました、以下に翻訳しています。

米国の年間債務コストは8,000億ドルを超える (2023/04/17)

2000年から2023年1月までのアメリカの債務コストの推移

Bloomberg、 ZeroHedge

 

時期として過去最大の約 107兆円などとなっているのですが、年末までには、130兆円を超えていくと見られています。

ブルームバーグのマクロストラテジストの方の文章からは、

 

「なあ、よお、これどうすんだよ、オイ!」

 

という雰囲気が伝わってきまして、「妥当な終着点がねえじゃねえかよ」という雰囲気も伝わります。

こんな状況で気楽に政権が運営されていれば、各国の「ドルの放棄」の意志は強くなるばかりだとも思います。

もう何の価値もなくなりつつある。

ドルの崩壊が、曖昧ではなく始まった
 In Deep 2023年4月6日

 

アメリカに関しては、気になる数字やデータを見るたびに、記録していますが、最近だと以下のようなものがあります。

 

アメリカの第一四半期の赤字は昨年同時期比134%増加の約90兆円 (2023/04/13)

アメリカの集合住宅の売上高が74%減少、2008年以来最大。価格も高値から20%下落 (2023/04/09)

モルガン・スタンレーが、米国の商業用不動産の今後の「壊滅的な崩壊」を警告 (2023/04/09)

アメリカの銀行の預金額は最新の週のデータで前年比「過去最低」級 (2023/4/11)

米サンフランシスコのオフィスの空き室率が30%に達する (2023/04/15)

 

商業用不動産に関しては「問題が始まったばかりでこれ」ですから、今年後半などまでにどのようなことになるのかはわからないにしても、多くの専門家たちが極度に悪い予測を持っています。

ウルトラCかウルトラセブンでも出てこない限り、今年中、あるいは来年までにはアメリカの極端な景気と金融の混乱は避けられないと見られます。

史上最悪の景気後退の予兆はほぼ出尽くした
 In Deep 2023年3月19日

 

いつまで平穏な状況が保てるのかは誰にもわからないですが、それが起きた時には、相当な状態に突き進む可能性が高いです。いろいろな数値が桁違いになっています

なんでもそうですけれども、結構「突然起きたように見える」のですけれども、でも、さすがに、その要因は「見える部分でさえ」積み上がり過ぎていて、ちょっとの衝撃で崩壊するところにまで来ている気はします。当然、数値として見えない部分もあるでしょうし。

エゴン・フォン・グレイアーツさんの記事をご紹介します。

なお、以前にも書きましたけれど、この方はゴールドの資産管理をする企業の方ですので、最終的にゴールドを勧める形となっていますが、そのあたりは、自己判断としか言いようがないです。

ゴールドの価格自体は上昇し続けるかもしれないですが、たとえば、「元日銀マンが教える預金封鎖」という著作の中にある以下のような可能性が、「日本には」あるかもしれないという懸念もないではないです。

「元日銀マンが教える預金封鎖」より

預金封鎖・財産税を免れるために、実物資産としてゴールドを持つという方法をすすめる人もいる。

これはおすすめすることができない。なぜならば、ゴールドでもっていたとしても、いずれは通貨に換えなければ役に立たない。まさか金塊を持って買い物に行き、金貨で支払いをするわけにもいくまい。

そこで金の地金を通貨に換える必要が出てくる。しかし、預金封鎖・財産税が実施されているような状況で、金が自由市場で簡単に売買できるはずはない。

当然のことながら、そうした貴金属の売買は国家管理となるであろう。実際、戦時中はそうした方策で金を自由に売買することができなかった

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可能性ならどんなことでもあり得ますが、事態が究極的になると国家も究極的な行動に出るということは、特にこの日本の歴史で示されています

文章は全文訳しますが、ゴールドについて私に何か述べる資格はないですので、皆様ご自身でご判断下さい。

ここからです。

なお、オリジナルの文章では、「すべてが崩壊する」 (The Everything Collapse)という部分が、すべて赤い字の太字で強調されていますので、オリジナルに従います。

図やグラフは一部を割愛しています。




 


最初は徐々に、次に突然 - すべてが崩壊する

FIRST GRADUALLY THEN SUDDENLY – THE EVERYTHING COLLAPSE
Egon von Greyerz 2023/04/16

現在の世界的な債務バブルの必然的な結果は、金融システムとその参加者の多くの破綻だ。

倒産したスイスの 1つの銀行と米国の 3つの銀行は、これから起こることの前触れにすぎない。

米国と欧州の銀行システムが圧力にさらされる中、すべてが崩壊する史上かつてない規模の金融市場の崩壊を引き起こすだろう。

グローバルな金融システムは、政府から個人に至るまで、世界中のすべての金融関係者に到達する歯車構造であるため、すべてが崩壊することからは誰も逃れることはできない。

では、すべてが崩壊する、または破綻開始…これはすでに始まっているが、世界はまだそれに気づいていない。

破綻した 4つの銀行は、中央銀行の数千億ドルのアスピリンによって治癒した軽い頭痛の種として、投資家たちによってすでに払いのけられている。

ヘミングウェイが言ったように、最初は徐々に破産し、次に突然倒産する。

しかし、私たちが現在直面している倒産や崩壊の段階に誰もだまされてはならない。我々はすでに最終警告を受けとっている状態だ。

この段階は数か月またはそれ以上続くかもしれないが、これは投資家たちが持ち家を整理しなければならない最後のチャンスだ。突然の段階まで待つと、回復を待つ間、パニックで身動きが取れなくなるが、今回は回復は起こらない。代わりに、膨大な損失が悪化するだけだ。

実際に何が崩壊するのだろうか。

それは明らかだ。すべてが崩壊するが、主に債務危機だ。世界の債務は今世紀中に 3倍になり、デリバティブ (その大部分が債務だ)を含めると、最大で 3,000兆ドル (約 40京円)になると考えられている。これは世界の GDPの 20倍であり、明らかに世界に大きな損害を与える規模だ。

 

米国と欧州の銀行の危険なバランスシート

米国と EU の両方で金利が上昇するにつれて、信用残高は縮小している。

米国では、すべての銀行の Tier 1資本 (※ 資本勘定のうち資本金、法定準備金、利益剰余金、優先株、優先出資証券等から構成される資本)までのバランスシートが 30年ぶりの高水準にある。

これは、米国の銀行システムを非常に脆弱な立場に置く不安定なレベルだ。米国の銀行は現在、ローンの返済を要求して、バランスシートを大幅に縮小する必要がある。

ヨーロッパの状況も同様に悲惨だ。ユーロ圏の銀行は、2011年以来最も企業の信用を引き締めており、今後もそうなると予想される。

 

高金利と信用収縮の影響

高金利と強制的な信用収縮が相まって、借り手だけでなく、米国と EU の銀行システムにも圧力がかかる。銀行の債務不履行が加速するにつれて、中央銀行の紙幣印刷のスライドは、これまで以上のペースで再開される。

崩壊するものに戻ると、それが主に銀行債務であることは明らかだ。そのため、クレジットは高価になるだけでなく、不足することにもなる。これにより、借り手による大規模な債務不履行が発生し、銀行の支払い能力が低下する。

中央銀行家たちは、決して真実を語ることのできない日和見主義者たちだ。

彼らの主な目的は、彼らと銀行家の友人たちに有利なように金融システムをコントロールすることだ。彼らは愚かではなく、彼らの絶え間ない市場操作と偽のお金の製造の結果を最も確実に理解している。

彼らの行動は、1700年代後半にドイツの銀行家である マイアー・アムシェル・ロートシルト (ロスチャイルド)が述べたことと完全に一致している。

先ほど述べたように、銀行のバランスシートを縮小することのもう一つの側面は、銀行の無限の流動性要件だ。

ということで、次のステージはすべてが崩壊する西側の銀行の流動性と支払能力には絶え間ない圧力がかかる。そしてその結果は明らかだ – 歴史上かつて見たことのない規模の無制限のお金の印刷だ。

中央銀行にはリアルマネーがないため、バランスシートが非常に弱いことを忘れないでほしい。

彼らが商業銀行であったならば、ずっと前に倒産していただろう。しかし、彼らには犯罪の非常に友好的なパートナーがいて、彼らが知っている唯一の解決策を提供するために共謀することを余儀なくされている。

 

すべてが崩壊する結果

私たちのような普通の人間にとって、目的が満たされないときは、収入を増やすか、支出を減らす必要がある。

しかし、それは政府がめったに実践することのない公式であり、過去 50年以上にわたって彼らはまったく実践していない。彼らは、借金問題を解決するために借金を増やすという 1つの解決策しか知らない。それは明らかにばかげているように聞こえるが、政府が票を購入して権力を維持できる唯一の方法だ。

繰り返しになるが、信用サイクルの最終段階での結果は、明らかに破滅的なものになる。

すぐに続くのは次のとおりだ。

 - 崩壊につながる通貨の下落
 - ハイパーインフレにつながる高インフレ
 - 食料とエネルギーの不足
 - 債務崩壊につながる債務不履行
 - 実質ベースのバブル資産(株、債券、不動産)の崩壊
 - 金融システムの破綻
 - 政治的および社会的混乱 – 内戦
 - 地政学的問題
 - 西側の崩壊と東と南の台頭

では、これにはどれくらいの時間がかかるだろうか。それは、明らかに誰にもわからない。

しかし、私たちが知っていることは、現在、そのリスクが歴史上どの時期よりも大きく、これが世界規模であるということだ。

ヨーロッパ、北アメリカ、日本が特に危険にさらされ、世界の隅々が被害を受けるだろう。

したがって、最初は徐々に起こるが、ある時点で、数か月後または数年後に 突然次の段階が発生する。

差し迫ったリスクと同様に、重要なことは、今、そのリスクから身を守ることだ。何度も強調してきたが、火災が発生してから火災保険に入ることはできない。火災が始まる前に保険に加入することが不可欠だ。

 

破産 – バンカ・ロッタ

破産という言葉は、イタリア語の Banca Rotta または壊れたベンチに由来する。16世紀のイタリアの銀行家たちは、ベンチやテーブルで業務を行っていた。

彼らが義務を果たすことができなくなったとき、彼らのベンチは廃業したことを示すために壊された。腐った (rotten)という言葉は古い北欧に由来すると言われているが、起源がロッタと同じである可能性は低い。

しかし、この、壊れた、または腐ったベンチが今日の世界の金融システムの状態だ。世界の銀行システムは壊れているだけでなく、その核心まで腐敗している。

過去数週間で、米国の 3つの銀行とスイスの 1つの銀行が数日のうちに破綻した。米国の銀行、シルバーゲート、シリコンバレー銀行、シグネーチャー銀行はすべて、数時間または数日のうちに崩壊した。彼らは皆、テクノロジーと暗号産業に関わっていた。

これらの経営陣は、リスク管理についてゼロの理解を持っており、低金利で長期債に投資し、巨額の損失を出して清算しなければならなかった。

基本的な AI (人工知能) コンピュータープログラムは、基本的な要件として貪欲にプログラムされていない限り、これらの銀行をより適切に管理できたはずだ。

数週間前にクレディ・スイスの破綻について書いた時に、「金融システムは終焉を迎える」と私は書いた。

そのため、スイスの 2番目の銀行である破綻したクレディ・スイスは、スイスの No.1銀行である UBS に吸収された。

問題は、この合併が、物事を覆い隠すことをリードするための物事を覆い隠しなのか、それとも 1+1 で 1/2 になるのかということだ。

UBS は、1998年にスイスの 2つの銀行が合併して誕生した。たとえば、2008年に UBSは 200億スイスフランを失い、それ以来、罰金と取引損失で数十億ドルを失っている。その後、未申告の米国口座 (スイスの銀行はすべて持っていた) への攻撃があり、銀行に大きな圧力をかけた。

問題は、新しい UBS/クレディ・スイス がスイスの GDP の 200%であることだ。それに加えて、スイス国立銀行 (SNB)もスイスの GDPよりも大きい。また、スイス国立銀行は 2022年に通貨と投資のポジションで 1,220億フランを失っている。

スイスの銀行システムはどの銀行システムよりも実際に悪いわけではないが、その冒険は、どの国のどの銀行にも主要な資産を保有するべきではないという私の見解を裏付けている。

先ほど強調したように、西側の金融システムは腐敗しており、投資家たちの資産を保有するのには適していない。

銀行システムに関係なく、スイス経済は西側諸国、そしておそらく全世界で最強だ。GDPに対する債務は 40%未満で、財政赤字は非常に小さく、インフレ率は西側諸国で最も低い。そして、直接民主制の政治体制は世界一だ。

 

金融システム全体が完全に相互接続されており、1つの主要銀行が崩壊すると、システム全体でドミノ倒しが始まることを忘れないでほしい。

確かに、中央銀行は当初、無制限の金額を印刷する。しかし、デリバティブが崩壊し始めると、その時点でのお金は無価値になるため、お金の印刷は無意味になる。

私たちは、20年以上にわたり、クライアントと私たち自身のために、銀行システムの外で保有されている現物のゴールドに投資してきた。

その間、ゴールドはほとんどの通貨で少なくとも 7~ 8倍、ベネズエラ、アルゼンチン、ジンバブエ、トルコなどの通貨の弱い国では数百倍から数千倍に上昇した。

今世紀、西側諸国でゴールドの価値が 700~ 800%上昇したにもかかわらず、ゴールドに投資されているのは世界の金融資産の 0.5%未満だ。

銀行、投資顧問、ファンドマネージャーたちはゴールドについて理解していない。私はこのいわゆる専門家たちのグループを無能であるだけでなく怠慢と呼んでいる。

歴史を通じてすべての法定通貨は確実にゼロになっているため、資金を現金で保持している個人または投資マネージャーたちは、時間の経過とともに価値が蒸発するのを見ることが保証されている。

法定通貨は、1971年以来、すべての通貨で少なくとも 97~ 99%下落していることを覚えておいてほしい。

中央銀行家たちはゴールドの親友であることも忘れないでほしい。

歴史を通して、彼らは常にマネーの価値を破壊してきたため、ゴールドを支持してきた。 そして今日、歴史上最大の紙幣印刷が始まろうとしているとき、銀行システムの外で物理的なゴールドを保持することは、SINE QUA NON (絶対に不可欠)だ。

物理的なゴールドは実質的にすべての主要な投資を実質的に上回り、今後数年間、資産の完全な破壊を回避したい場合、ゴールドを所有することが重要だ。

安全な管轄区域で、壊れた金融システムの外に物理的な形で保持することを忘れないでほしい。

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