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2020年からの世界 中国という国 人類の未来

新型ウイルスが発生した中国武漢は「世界で最も危険な病原体(バイオセーフティーレベル4)」を研究する施設がある場所だった。そこで沸き起こる「兵器化された病原体が流出したのではないか」という懸念

投稿日:2020年1月24日 更新日:

武漢のバイオ研究所の特集を組んだ2017年2月22日の科学誌ネイチャーより

nature

2020年1月22日に武漢を調査した香港大学のSARS専門家グアン・イー教授の見解

感染拡大制御のタイミングは既に逸している。武漢は既に制御不能だ。これまでどんな感染症でも、食い止める方法があると思ってきたが、今回は無理だ。Business Insider




 

過去に何度も SARS を施設から外部へ流出させている中国で

中国の武漢で発生した新型コロナウイルスは、その患者数が大変な勢いで増加していまして、1月24日午後の時点で、中国政府の公式発表で、

・感染者数 830人
・死亡者 25人

となっています。

1月18日時点の公式発表は 41人でしたので、1週間で「 20倍ほど増えた」ということになるのでしょうか。

また、中国に 31ある省や自治区など地方自治体のうち、29で感染が確認されていまして、わりとあっという間に、ほぼ中国全土に感染が広まったことになります。

国土面積が広い中国での感染拡大の速度としては、ものすごいものだと思います。

また、香港の報道では、「医療従事者たちがどんどん感染している」ということが報じられています。

実際、中国のソーシャルネットに投稿されている動画を見ますと「病院内部自体が混乱している」様子がわかります。

以下は、そのうちのいくつか動画をつないだものです。医療関係者と思われる男性が病院内で倒れている様子などがわかります。

https://youtu.be/pTXE4DMbnkU

厳戒態勢で治療に臨んでいる医療関係者がこの様子というのは、正直、「いくら何でも感染力が強すぎないか?」とは思います。

世界屈指の医学部を有する米ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院の教授は以下のように述べていたことが報じられていました。

「爆発的流行において、医療従事者が感染するのはまれです。医療従事者が感染したとしたら、それは常に警告信号となります。医療従事者が感染しないよう防護している状況の中で感染したということは、ウイルスは容易に感染する可能性があることを意味しているからです。」

現在の勢いで猛烈に感染が拡大していった場合、手に負えなくなる可能性もあるのかもしれません。

以下の記事で書きましたが、中国政府は、武漢を始めとする 7都市を隔離し、2300万人の住民たちの移動を制限しました(その後、隔離を 10都市に拡大)。

新型コロナウイルス感染拡大防止のために、中国政府は武漢市に続いて周辺6都市、人口にして2300万人を事実上隔離

しかし、たとえば、武漢は 1100万人の人口を誇る大都市ですが、日経新聞などによれば、春節の前に旅行や帰省で、隔離前に武漢を出た人が 300万人以上いるという観測もあるようで、そのくらいの数の人たちが、すでに全世界に旅立っている可能性がありそうです。

唯一幸いというか、この新型ウイルスの「毒性」つまり致死率や重症化率が「低いかもしれない」ということです。

2003年の SARS の致死率は 9.6%でしたが、今の新型コロナウイルスの致死率は、1月23日時点で 2.8%(618人が感染して 17名が死亡)ということになっていまして、また、重症化するのも基礎疾患を持った高齢者が圧倒的ですので、健康な人たちはあまり脅威に感じなくてもいいのかもしれません。

ただ、「今後、毒性が変異したら?」という懸念はあります。

感染者数が増えていけばいくほど、ウイルスが変異する可能性も増えますので、今後については何ともいえません。また、現在の 830人の患者のうち、170人以上が重症化しているという報道もありますので、今はまだ毒性云々を言うときではないのかもしれません。

 

そして、今、全世界で噂されているのが、

「このウイルスは兵器用に設計されたものではないか」

ということなのです。それが、何らかの原因で流出してしまったのではないかと。

そういう話が出てきた理由は、この中国の武漢には、現在、中国で唯一、最高危険度のバイオセーフティーレベル4(BSL-4)の病原体を研究するバイオ施設があることがわかったことからです。

バイオセーフティーレベルとは、危険な細菌やウイルスなどを取り扱う実験室・施設の格付けで、以下のように分類されています。

バイオセーフティーレベルとは

人に対する病原体の危険度をレベル1〜4段階(BSL:バイオセーフティレベル:1〜4)に分類し、レベル4を最高危険度の病原体として位置づけています。

このレベル4の病原体に感染した場合は重症で致死率が高く、しかも有効な予防法または治療法がないエボラ出血熱やラッサ出血熱など、国内には存在しないウイルス性の病原体であります。

バイオハザードの発生と病原体の危険度分類

冒頭の科学誌ネイチャーの 2017年の記事は、武漢の施設についてのもので、そこではこの施設の「可能性」と「危険性」に、共にふれています。

そのネイチャーの記事をご紹介します。

2017年当時から、アメリカなどの一部の科学者たちは、中国にこのようなバイオ施設が作られることに懸念を持っていたことが書かれています。

 


Inside the Chinese lab poised to study world's most dangerous pathogens
nature 2017/02/22

世界で最も危険な病原体を研究する態勢を整えている中国の研究室の内部

この武漢の世界最大のバイオラボは、中国全土に BSL-4 施設のネットワークを構築する計画の一部だ。

中国武漢にある研究室が、世界で最も危険な病原体の研究に協力することを許可された。この動きは、2025年までに中国本土に 5つから 7つのバイオセーフティレベル4(BSL-4)の研究施設を建設する計画の一部であり、その成果が大変に期待されていると同時に、懸念も生み出している。。

中国以外の一部の科学者たちは、これらの BSL-4 研究施設から病原体が外部へと広がることを不安視しており、あるいは、中国と他の国々との間の地政学的な緊張に生物学的側面が加わることも懸念している。

しかし、中国の微生物学者たちは、世界最大の生物学的脅威に取り組むことのできる微生物研究者としてのエリートの立場を与えられたことを喜んでいる。

北京にある中国科学アカデミーの病原微生物学および免疫学研究所の代表であるジョージ・ガオ(George Gao)氏は、以下のように述べる。

「中国の研究者たちに、より多くの機会を提供することにより生じるバイオセーフティレベル 4 の病原体に対する私たちの貢献は、世界に利益をもたらすことになると思われます」

台湾にはすでに 2つの BSL-4 施設があるが、中国本土では、この武漢の国立生物安全研究所が最初の BSL-4 施設となる。

この実験室は、2017年 1月に中国国家認証機関(CNAS)によって BSL-4 の安全基準を満たしていると認定された。国家認証機関は、研究所の設備、機器、および管理状態を調査した。評価がスムーズに進んだ場合、2017年 6月末までに検査施設を承認する可能性がある。

BSL-4 実験室は最高レベルの物理的封じ込めとなり、その基準には、実験室を出る前に空気をろ過し、水と廃棄物を処理し、研究者たちが実験施設を使用する前後に衣服とシャワーを着替えることが規定されている。

このような BSL-4 の研究施設は、しばしば議論される。たとえば、日本で最初に作られた BSL-4 ラボは 1981年に建設されたが、安全性の懸念が最終的に克服された 2015年までは、リスクの低い病原体だけを研究していた。

過去 15年間にわたり、米国およびヨーロッパでの BSL-4 ラボネットワークは拡大しており、各地域で現在 12を超える BSL-4 施設が運用または建設中だが、各地域で、施設の必要性に関する質問を含む非常に多くの住民などの抵抗に直面した。

この武漢の研究室の建設費用は 3億元(約 48億円)で、安全上の懸念を和らげるために、洪水が発生した場合の想定水面よりはるかに高い場所に位置し、また、マグニチュード 7の地震にも耐えられる設計が施されている。しかし、この地域には歴史的に大きな地震の発生が記録されたことはない。

この施設は、新しく出現した疾患の病原体の制御に焦点を当てており、精製されたウイルスを保存し、世界中の同様の研究所にリンクされた世界保健機関の「参照研究所」として機能する。

施設の所長であるユアン・ジミン(Yuan Zhiming)氏は、「ここは、グローバルなバイオセーフティ研究ネットワークの重要な拠点となるでしょう」と述べた。

中国科学院は 2003年に BSL-4 研究所の建設を承認し、SARS(重症急性呼吸器症候群)の流行の際には、このプロジェクトの実現を加速させた。

この施設は、新しい感染症の予防と制御に関する 2004年の協同協定の一環として、フランスの支援により設計および建設された。しかし、プロジェクトの複雑さや、中国側の経験不足、または、資金維持の難しさ、そして中国政府の承認手続きに長い期間が必要だったため、2014年末まで建設は完了しなかった。

実験室の最初のプロジェクトは、クリミア・コンゴ出血熱を引き起こす BSL-3 病原体を研究することだ。これは、中国北西部を含む世界中の家畜に影響を及ぼし、人に感染する可能性のある致命的なダニ媒介性ウイルスだ。

そして、今後の計画には、SARS の原因となったコロナウイルス病原体の研究も含まれる。

コロナウイルスの実験は、最高のバイオセキュリティレベル(BSL-4)を必要としないが、エボラウイルスと西アフリカ・ラッサウイルスの研究の前に、コロナウイルスの研究を行う。

エボラウイルスと西アフリカ・ラッサウイルスの研究については、約 100万人の中国人がアフリカで働いていることから、不測の事態に備える必要があるとユアン氏は言う。

「ウイルスに国境はないのです」

ガオ氏は、最近のエボラ出血熱の流行の際にアフリカのシエラレオネを訪れ、ウイルスが新しい株に変異した速度をチームが報告できるようにした。武漢の研究室では、このようなウイルスがどのように病気を引き起こすかを研究し、抗体と小分子に基づいた治療法を開発する機会を与えるとガオ氏は言う。

一方、国際協力の機会としては、緊急疾患の遺伝分析と疫学を支援する。

「世界はより多くの新しいウイルスに直面しているため、中国からのさらなる貢献が必要なのです」とガオ氏は言う。

特に、人獣共通感染ウイルスの出現。それは SARS やエボラなど他の動物からヒトに感染が拡大するものが懸念されると、フランスのリヨンにあるバーパス・ウイルス研究室の代表であるブルーノ・リナ(Bruno Lina)氏は言う。

武漢研究所の多くのスタッフは、リヨンの BSL-4 研究室でトレーニングを行っている。

しかし、中国のこの研究室に懸念を持つ科学者たちも多い。

米ニュージャージー州にあるラトガース大学の分子生物学者であるリチャード・エブライト(Richard Ebright)氏は、 SARS ウイルスが、何度も北京の高レベルの保管施設から外部へと流出したことを指摘する。

米メリーランド州のバイオセーフティ施設の代表であるティム・トレバン(Tim Trevan)氏は、BSL-4 施設を安全に保つには、フラットでオープンな文化が重要であり、階層を重視している社会である中国で、BSL-4 施設を安全に保つことができるかどうかを疑問視している。

「高いレベルのバイオセーフティ施設を安全に保つには、視点の多様性、誰もが自由に発言できる平等な構造、そして情報の公開性が重要です」と氏は言う。

中国の最高バイオセーフティーレベル施設の全国への拡張計画は進行している。ハルビンにある BSL-4 実験室の 1つは、すでに認定を待っている。他の BSL-4 実験室は、北京と昆明にあり、昆明の施設では、サルのモデルを使って病原体を研究することに焦点を当てている。

リヨンのブルーノ氏は、霊長類の研究に関して、BSL-4と数多くのサルの研究を組み合わせる機会は、研究に強力に寄与する可能性があると述べる。

「ワクチンまたは抗ウイルス薬をテストしたい場合、ヒトではない霊長類モデルが必要なのです」とブルーノ氏は言う。

しかし、ラトガース大学のエブライト氏は、中国本土に複数の BSL-4 研究施設が必要であるとは思えないという。中国の BSL-4 施設の全国への拡大は、アメリカとヨーロッパのネットワークに対応した行動なのではないかと疑っている。

エブライト氏は、中国政府がこのような過剰な研究能力を拡張しているのは、生物兵器の潜在的な開発のためであると仮定していると言う。

トレバン氏は、BSL-4 施設への中国政府の投資は、何より、中国が競争力を持っていることを世界に証明する方法であると述べている。

「それは生物学上の大きなステータス・シンボルであることは事実です。しかし、果たして、このような大規模な施設の拡張が実際に必要であるのかどうかは疑問です」


 

ここまでです。

まあ、今回の新型ウイルスが、この研究所と関係している証拠があるわけではないですし、そもそも、発生源がヘビやコウモリだろうと、武漢研究所から流出したものである可能性があろうと、「すでにアウトブレイクは起きてしまっていて、対応の方法がない」という状況となっているわけで、それはどちらでも同じことなのかもしれません。

それにしても、施設の所長であるユアン・ジミン氏の言う、

「ウイルスに国境はないのです」

という言葉は、多くの中国人の人たちが海外に飛び立つ春節の今を思うと、何と皮肉な響きに聞こえることか。

冒頭にも載せましたが、ビジネスインサイダーは、武漢で今回の新型コロナウイルスの調査をおこなった SARS 専門家である香港大学のグアン・イー教授の見解を掲載していますが、その中で、グアン教授は以下のように述べていました。

「保守的に見積もっても、今回の感染規模は SARS の 10倍以上になる。武漢は既に制御不能だ。これまでどんな感染症でも、食い止める方法があると思ってきたが、今回は無理だ。恐ろしい」

グアン教授は、1月26日頃から発症者がさらに増えるだろうとしています。

いずれにしましても、現在の状況が急激に好転する可能性は今のところはなさそうで、出来得るなら、変異により毒性に変化が出ないことを祈るばかりです。

なお、現時点で予防法は「ない」と考えていたほうがいいと思います。

厳戒態勢の医療従事者の方々が次々と感染している状況で、市販のマスクをしたりしたところで、ほとんど何の効用も示さないように思われます。

いずれにしましても、「最も多くの中国の人たちが渡航する日本」には、春節に時期に通常よりたくさんの訪問者があることは、ある程度は確実ですので、進んで人混みに行くようなことはしない方がいい時期なのかもしれません。

 
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