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肉食、菜食… : イギリス医師会誌BMJに掲載されたヴィーガンに関してのふたつの論文から「脳とコリン」の関係を思い出す

投稿日:

2019年8月29日の英国インディペンデントの報道より


independent.co.uk




菜食とコリンの関係

このブログでは、イギリス医師会の発行する「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」略して BMJ と呼ばれますが、その内容をご紹介することは、比較的多いかと思います。

先日、その BMJ において、ちがう研究グループによる、ふたつの「菜食主義」についての記事があることを見出しました。

ひとつは冒頭のインディペンデントの記事のタイトルにあるように、「菜食主義は、必須栄養素の不足を招くリスクがある」ということが述べられているもので、その栄養素は「コリン」というものです。

これは、冒頭のインディペンデントの記事では、「脳の健康に」とありますが、特に重要なのは、妊娠している女性の胎内の赤ちゃんの脳の成長に対して必須の栄養素だという部分といえるとは思います。

コリンを摂取しないからといって、ただちに大人の脳がどうだこうだということではないと思いますが、ただ、後述しますが、コリン不足が認知症と関係するという研究は複数ありますので、成人の脳機能にも多少関与するようです。

そのコリンが、「野菜だけの食事では、大きく不足する」と BMJ に掲載された論文では述べられているのですね。

そのコリンの不足を解消するには、肉食のようなものを加えていく必要があるということらしいのですが、しかしまあ、ちょっと調べてみますと、納豆を含む大豆にも豊富に含まれているようですので、日本の食事ではそんなに強く肉食を意識する必要はないとは思います。

特にコリンが多く含まれる食品は、

・レバー
・卵
・納豆

などです。

しかし、菜食だと、「コリン」が不足傾向に陥る可能性があるということを知らなかったこともあり、その内容をご紹介しようと思います。

これは、「さあ、肉を食べましょう」という意味でご紹介するのではないです。

実は私自身、ここずっと肉食から離れがちとなっていまして、卵などは食べますけれども、肉そのものは、放っておけば何日も何週間も食べない日があったりします。

これは健康とか環境への意志とかの美しい話ではなく、「肉を食べたいと思うことがなくなり、また、食べてもおいしいと感じなくなった」というだけの理由なんですが、おいしくないと感じますと、自然に離れちゃうんですよ。

そのような状態が長引いている中、「肉食を避けるということは、いろいろな意味で、どういうものなのだろうなあ」とは思っていまして、それだけに、今回の記事のタイトルに興味を持ったのです。

あとですね、この「コリン」というのは、つまり、体内の、

「アセチルコリン」

であるわけです。

このアセチルコリンという存在は、脳細胞の記憶力や学習能力と密接に関連していることを、この自分の In Deep ブログの記事を書く中で知ったのですね。

それは私が、「西洋薬は基本的に良くない」ということを知った時のことでした。

しかし、このことは、あまり関係のない流れとなりますので、最後のほうにでも少しふれさせていただくかもしれません。

まずは、冒頭の BMJ の研究について、アメリカの科学メディア「サイエンス・デイリー」が取り上げていたものをご紹介します。

 


Suggested move to plant-based diets risks worsening brain health nutrient deficiency
sciencedaily.com 2019/08/29

植物ベースの食事への移行の提案は、脳の健康栄養欠乏を悪化させるリスクがある

植物ベースの食事を基本とするヴィーガン(完全菜食主義)に移行することは、地球環境のためにはとても素晴らしいことだ。しかし、ヴィーガン食が、脳の健康に関与する必須栄養素の摂取量の低下を招き、脳の状態を悪化させるリスクがあると医学誌 BMJ で医学博士が警告した。

栄養学および生物医学科学が専門のエマ・ダービーシャー博士 (Dr Emma Derbyshire)は、ヴィーガン食は、必須栄養素のひとつであるコリンが不足する可能性があることを指摘する。

コリンは、特に胎児の発育中の脳の健康にとって非常に重要だという。また、人の肝機能にも影響を与え、コリンの不足は、血液脂肪代謝の異常やフリーラジカル細胞の過剰な損傷に関与すると述べる。

食事からのコリンの主要な供給源は、牛肉、卵、乳製品、魚、鶏肉等であり、植物性では、ナッツ、大豆、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜に含まれているが、含有レベルは、動物性よりはるかに低い。

アメリカ医学研究所は、コリンの重要性を認識し、1998年に、1日の推奨摂取量を規定した。それによれば、必要最低量は、女性の場合は 425 mg /日、男性の場合は 550 mg /日となっている。

コリンは、胎児の発達に重要な役割を果たしている栄養素であるため、妊娠中の女性は、 450 mg /日、および授乳中の女性の場合は、550 mg /日となっている。

2016年、欧州食品安全機関も同様の要件を公開したが、しかし、北米、オーストラリア、およびヨーロッパで行われた全国的な食事に関する調査では、習慣的なコリン摂取量の平均値は、これらの推奨量を満たしていなかった。

ダービーシャー博士は、以下のように言う。

「コリン摂取量が基準に達していない理由は、おそらく、現在の食事から肉が減少し、植物ベースの食事に向かう人が多い傾向があることかもしれません」

英国では、コリンの推奨量が規定されていないが、このことに、危機感を抱く。

博士は以下のように述べる。

「コリンの重要な生理学的役割が医学的に承認されていることを考えると、英国当局が、長い間、コリンの重要性を見過してきた理由がわかりません。英国では、コリンは、食品組成データベースや、主要な食事調査、および食事のガイドラインから除外されています」

「食事から必要なレベルのコリンが摂取できていない場合は、特に、妊娠している女性の場合、コリンの摂取は、胎児の発達に重要であることから、栄養補助をすることが必要となるはずです」

 


 

ここまでです。

ここに出てくる「コリン」という言葉は、In Deep の過去記事でも何度か出ているのですが、その中には、以下のようなタイトルの記事を含みます。

花粉症の薬や風邪薬、胃薬にパーキンソン病の薬、そして抗うつ剤や抗不安剤……多くの「抗コリン」一般薬が、認知症発症のリスクを著しく増加させていることが判明

実は、現在の西洋薬の非常に多くが、「コリンを遮断する」ことで作用するのですが(抗コリン薬といいます)、上の記事では、この「コリンを遮断する薬」を服用する高齢者たちに「認知症の発症率がとても高い」ことが示された医学メディアの記事をご紹介しています。

「コリンを遮断する薬」なんていうと、難しく感じられるかもしれないですが、以下のような処方薬や市販薬の多くが「コリンを遮断する薬」です。

・かぜ薬(総合感冒薬)
・鼻炎薬
・胃腸薬
・抗不安剤
・抗うつ薬

このようにきわめて一般的なものです。

アメリカの研究では、このような日常的な薬を「1年間に9日飲むと、認知症のリスクが上がった」という調査結果が出ています。

そういうように、コリンというのは、赤ちゃんの脳の成長にも大事ですし、高齢者の認知機能の維持にも大切なものだということがわかってきます。 2012年にノルウェーで行われた研究では、「コリン不足の人ほど認知力が低い」という結論も出ています。

それだけに、確かに極端にコリンが不足することには、問題もあるのかもしれません。

ただ、先ほど書きましたように、納豆や豆腐を含む大豆からも摂取できますので、日本の食事なら、菜食で問題は生じないとは思いますが。

本題はここまでですが、同じ頃の BMJ に、「菜食主義の人たちの虚血性心疾患と脳卒中のリスク」を調査した結果の論文が出ていまして、それが、4万8000人を対象に、18年間追跡した前代未聞の大調査で、その概要を締めにご紹介させていただこうと思います。

先に結論を書きますと、

「菜食主義の人たちは、虚血性心疾患に関しては肉食の人たちより発症率が大幅に低かったが、脳卒中になる率は肉食の人たちより大幅に高かった」

という相反する結果となっています。

なお、肉食か菜食かというのは、それに至る要因は人それぞれでしょうけれど、私自身は、「人にはいろいろな《体質》があるのだから、一律にどちらがどうといえるものではない」と思っています。

菜食が合う人もいれば、合わない人もいる。あるいは、逆もあるということなんだと思っています。

ここからです。


Risks of ischaemic heart disease and stroke in meat eaters, fish eaters, and vegetarians over 18 years of follow-up: results from the prospective EPIC-Oxford study
BMJ 2019/09/04

18年間の追跡調査における肉食者、魚食者、菜食主義者の虚血性心疾患と脳卒中のリスクの比較 : オックスフォードの研究の結果より

目的
菜食主義と虚血性心疾患および脳卒中のリスクとの関連を調べること。

被験者
英国の 4万8188人の虚血性心疾患、脳卒中、または狭心症(および心血管疾患)の病歴のない人たちを、3種類の異なる以下の食事グループに分類した。

・肉を食べる人のグループ(魚、乳製品、または卵を食べたかどうかに関係なく、肉を食べる人たち:人数は 2万4428人)

・魚を食べる人のグループ(魚を食べるが肉類は食べない人たち:人数は 7506人)

・ヴィーガンを含む菜食主義の人のグループ(人数は 1万6254人)

主な結果の測定値
被験者たちの 2016年までの記録を通じて特定された虚血性心疾患および脳卒中の事例。

結果
追跡調査期間は 18年1ヵ月で、その期間内に、2820件の虚血性心疾患と 1072件の脳卒中 (このうちの 519件が虚血性脳卒中で、300件が出血性脳卒中)が記録された。

社会人口学的および生活習慣の因子を調整した後、虚血性心疾患の率は、肉を食べる人たちの群よりも、魚を食べる人で 13%低く、菜食主義の人たちで 22%低かった。

対照的に、菜食主義の人は、肉食の人よりも脳卒中の発生率が 20%高かった。菜食主義の人は、主に出血性脳卒中の割合が高かった。なお、脳卒中の関連性は、疾患の危険因子をさらに調整しても減衰しなかった。

結論
魚を食べる人と菜食主義の人は、肉食の人より虚血性心疾患の発生率が低かった。しかし、菜食主義の人は、出血性脳卒中の発生率が他の群より高かった。





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