2023年5月20日、ウクライナのバフムートでロシア国旗とワグネル旗を振るワグネル軍中隊。politico.com
クーデターの行方
アメリカより先に、ロシアが物騒な感じになってきています。
事態はとてもわかりにくいのですが、およそ以下のような流れで、現在に至っているようです。
・ここ数日、民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏が、ロシア軍部を非難していた
・内容は、ロシア軍が膨大な数のワグネル軍戦闘員を死亡させたというもの
・プリゴジン氏はロシア国防省を「処罰する」と声明
・ロシア政府とロシア国防省はこれに反応し、「反乱罪」としてプリゴジン氏への刑事捜査を開始
・プリゴジン氏は、現在、ワグネル軍をモスクワに進軍させていると主張
かなりめまぐるしく状況が変化しているようですが、最新の米エポックタイムズの記事をご紹介しようと思います。その前に、ギリシャの軍事サイトは、
「アメリカ当局は、このロシアのクーデターは本物であると評価している」
と記しており、真偽はわからないですが、以下のように書いています。
ギリシャ War News 247 より
ロシア危機 - 米国当局者は、「プリゴジン氏は、クーデターを試みており、彼はショイグ国防相の死を望んでいる」と述べる
warnews247.gr 2023/06/24
モスクワでは、政府の建物や重要施設を守るための命令を受け、ロシア陸軍が首都の主要地点に配備されており、今後数時間が極めて重要な時間になると見られる。
ロシア国内の事態の急速で突然のエスカレーションには、アメリカ人たちさえ驚いている。
最初のアメリカの反応は、今から 1時間前に起きた。ロシアのクーデターは、「本物」であると評価し、「状況を非常に注意深く監視している」と述べた。
同時に、ホワイトハウスの国家安全保障問題を担当する大統領補佐官は、バイデン氏に状況を伝えたと述べ、「この展開について、同盟国やパートナーと協議する」と強調した。
さらに、アメリカの情報局関係者は、ワグネルはモスクワ入りするために「総動員」の準備をしていると強調した。
これらが嘘か真実かは数時間後にはわかる。
また、ワグネルの創設者プリゴジン氏のテレグラムの音声メッセージの内容を載せていました。
(ワグネルの創設者プリゴジン氏の音声メッセージ)
> 我々はあらゆる地域で国境を超えてきた。国境警備隊が私たちに向かってやって来て、その戦闘員たちは私たちを抱きしめた。
>
> さて、これからロストフ州に入る。私たちの行く手を阻もうとしたロシア国防省の部隊は排除した。我々は進む。どこまでも進む。抵抗するロシア兵はいない。
>
> 我々は子供とは喧嘩しない。子供は殺さない。ショイグ (国防大臣)は、徴兵を含む未訓練の兵士たちを戦争に投入して子供たちを殺している。
>
> 我々はプロフェッショナルとだけ戦う。しかし、もし我々の邪魔をするなら、我々はそれらを破壊する。我々は進み続ける。
プリゴジン氏の主張では、現在、ワグネル軍は、ロストフというロシアの領内に入ったとしています。
ロストフは以下です。
ロストフ州のロストフ・ナ・ドヌ市では、すでにワグネル軍の姿が撮影され、SNS などに投稿されています。300人ほどが確認されているそう。
ロストフ・ナ・ドヌ市で撮影されたワグネル軍部隊
dailymail.co.uk
同市で撮影された戦車。どの軍のものか所属は不明
dailymail.co.uk
このロストフ市と首都モスクワの距離は、目算では、1000キロ以上ありますので、すぐにどうこうという距離ではないように見えますが、それでも、車両で進軍し続ければ、2、3日のうちには到達できる距離ではないでしょうか。
プリゴジン氏の言うように、「もし我々の邪魔をするなら、我々はそれらを破壊する」と氏が本気で考えているのだとすると、
「ロシア正規軍とワグネル軍の戦闘が勃発する」
という、ちょっと予想外のロシア危機となってしまうようですが、どうなんでしょうかね。
今、アメリカでも「目的不明の大軍事動員」が確認されており、どうも世界中でリスキーな状態が拡大しているようです。
エポックタイムズの記事をご紹介します。
ワグネル部隊がロシアのロストフに入った。ロシア連邦保安局は、武装反乱を扇動した疑いで指導者プリゴジン氏を刑事告発
Wagner Forces Have Entered Russian City of Rostov, Leader Says as Russia Charges Him With Inciting Armed Mutiny
Epoch Times 2023/06/24
ロシア政府は、民間軍事請負会社ワグネルの創設者でトップのエフゲニー・プリゴジン氏に対し、ロシア軍指導部に対する武装反乱を扇動した容疑で刑事捜査を開始した。
有罪判決が下された場合、プリゴジン氏は最長 20年の懲役刑に処される可能性がある。同氏を起訴し捜査する決定は、「ロシア軍が空爆で約 2000人のワグネル兵士を殺害した」と、プリゴジン氏が主張し、ロシア軍指導部を処罰すると約束した後になされた。
同氏はまた、2万5000人の強力な民兵組織が現在、モスクワの国防省指導部を打倒するべく向かわせており、自軍部隊がロシア南部の都市ロストフ市に入ったことを示唆したようだ。
ここには、南部地域のロシア軍司令部があり、ウクライナでの戦闘も監督している。
プリゴジン氏のワグネル軍はロシアに代わってウクライナで戦っている。同氏はテレグラムへのメッセージの中で、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣が 6月23日にウクライナにあるワグネルの野戦キャンプへのロケット攻撃を命令したと非難する一連のビデオと音声記録を投稿した。
エポックタイムズは、この主張を独自には検証することができていない。
「軍事クーデターではない」
プリゴジン氏は、ワグネル傭兵団の兵士たちが武装反乱でショイグ氏を処罰するだろうと述べ、ロシア軍に対し抵抗をしないよう求めた。
「これは軍事クーデターではなく、正義の行進だ」と彼は語った。
「我々の若者たちを破壊した者たち、何万人ものロシア兵の命を破壊した者たちは罰せられるだろう」
ロシア国防省はワグネル軍に対するロケット弾攻撃への関与を否定する声明を発表した。同省はまた、プリゴジン氏の告発は「事実ではなく、情報提供による挑発だ」とも述べた。
ロシア国営タス通信がロシア連邦保安庁の一部である国家反テロ委員会の話として報じたところによると、連邦保安庁はプリゴジン氏に対する刑事捜査を開始し、武装反乱を扇動した容疑で捜査される予定であると報じた。
ロシア連邦保安庁はまた、ワグネルの兵士たちに対し、プリゴジン氏の「犯罪的で背信的な命令」に従うことを拒否し、プリゴジン氏を逮捕するよう呼び掛けた。
タス通信の報道によると、連邦保安庁は「プリゴジン氏の発言と行動は事実上、ロシア領土での武力内戦と、親ナチス・ウクライナ軍と交戦するロシア軍人の背後からの刺殺を求める呼びかけに相当する」と述べた 。
かつてプーチン大統領の同盟者だったプリゴジン氏は、ここ数カ月、ショイグ氏とロシア軍最高司令官ワレリー・ゲラシモフ氏をまったくの無能だと公然と非難してきた。
6月23日、プリゴジン氏は再び強く非難し、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻した理由は、ロシア軍指導部の嘘に基づいていると述べた。
ワグネル軍はロシアに入った:プリゴジン氏
プリゴジン氏は 24日、現地時間午前2時頃、ワグネル軍がウクライナから国境を越えロシアのロストフ・ナ・ドヌに入ったと主張した。
同氏は、彼らの邪魔をする者は「誰であろうとも破壊する」と述べ、「我々は前進しており、最後まで行くつもりだ」と付け加えた。
プリゴジン氏はまた、これまでのところ彼の部隊はさまざまな検問所で抵抗に遭っていないと述べた。
タス通信が法執行機関関係者の話として伝えたところによると、23日遅くにモスクワの重要施設で警備が強化され、首都でも警備が強化された。ロシア国家警備隊の特殊部隊が厳戒態勢を敷いている。
また、南部軍管区司令部近くのロストフ・ナ・ドヌに警察と軍の検問所が設置されたと報じた。
クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、ロシアのすべての治安機関がプリゴジン氏周辺の状況について「24時間体制で」ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に報告していると述べた。ロシア通信社インタファクスによると、ペスコフ氏は「必要な措置が取られている」と付け加えた。
これとは別に、ウクライナ国防省はツイッターへの投稿で「我々は注視している」と述べた。
ここまでです。
今後を予測することは不可能ですが、少なくとも、2日以内程度には、何が起きているのかわかることになると思われます。
世界的な軍事的カオスが進行しているようです。
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