現感染状況の実相
オミクロン株は「症状が軽い」というように言われるのが定説となっていて、そういうような研究についての報道も見かけます。
しかし、海外の論文と、そして最初の頃にオミクロン株が登場した南アフリカの今のデータなどを見ていて、
「そうでもないかもしれない」
ということが気になってきています。現在感染が拡大している地域では、「今から数週間、数ヶ月後にいろいろな問題が起きるのではないか」というような懸念があります。
ただ、最初に書いておきますと、それがどんな感染性の高い株だろうが、致死性のはるかに高い株だろうが、現行のあらゆる対策や措置は、一貫して「無意味」だと 2年前から私は考えていまして、それは今も同じです。
蔓延防止何とかだ緊急事態何とかだ、などの行動制限には悪い影響しかないですし(自然の状態の免疫獲得の機会を失い、後になり集団の感染状況が悪化する)、マスク着用は論外で(マスクは感染を拡大させる)、ワクチンは口にするのも困ったような「単なる感染拡大薬」です。
これらについては1年半くらい前からいろいろと書かせていただいていましたが、以下の記事などをご参照いだければ幸いです。前半はワクチンによる感染拡大、更新はマスクによる感染拡大について論文をご紹介しています。
[参考記事] ワクチンとマスクがコロナ感染をさらに拡大させる上に、人の免疫を根底から破壊するメカニズム
In Deep 2021年7月27日
デルタ株までのコロナには「フーリン切断部位」というややこしい部位がありまして(新型ではないコロナウイルスにはないもの)、この部位の特性により、
「マスクによる酸素飽和度低下によってコロナウイルスの能力が上昇する」
ことが論文でわかっています。
まあ、これらのことはともかくとして、すでに多くの方々が接種をしてしまっている現状で、そして、多くの方が理由が明白でないままマスクをしている現状では、従来の意味の「感染症に対しての自然の防御(自然免疫)」というものは全体的に希薄になっていると思われまして、現状で起きているような「繰り返し感染の拡大が起きる」ことは、今後もほぼ永遠に続いていくと見られます(感染する人間がいなくなるまで)。
世界全体規模で見ましても、この2年間の全期間で「現在が最も感染者、入院患者の数が多く、また増加スピードも過去最大」となっていることが WHO から伝えられています。
(報道) 世界の感染者数が 3週連続でパンデミック以来最多 (共同 2022/01/18)
この共同通信の報道には、
> 世界保健機関の新型コロナウイルス感染者の速報値で、10日からの1週間の感染者数が世界全体で1873万人となり、3週連続で過去最多を大幅に更新した
とありますが、この爆発的な増加を担っているのは、完全に「欧米」であり、報道には「世界の…」とありますが、実際にはヨーロッパと北米を中心とした爆発的な増加が世界の数値を押し上げているだけです。
以下は、人口100万人あたりの大陸別の感染数の推移です。
アジアやアフリカは現時点では、ですが、世界全体の増加グラフにはほとんど影響を与えていません。先ほどの共同通信の報道は、あえて、
> 世界全体で
とだけを記して、その中心を担っているのが欧米だということを、おそらく意図的に書いていないと見られます。
それはともかく、多くの国や地域で、いわゆるオミクロン株と呼ばれている変異株が感染の主流となってきていますが、ボツワナに続いて、この株が最初に検出された南アフリカでは、昨年 12月下旬には「ピークアウトした」と報じられました。
そして、たとえば以下のように「オミクロン株は、死亡率が低い」ともよく報じられていました。
オミクロン株では死亡率が急減、4分の1以下に 南アフリカで報告 (朝日新聞デジタル 2022/01/08)
このあたりから、「オミクロン株は、症状も軽く致死率も低い」という話が一般的になって現在に至ります。
ところが、「その後」が問題になってきています。
今は何ともいえないですが、春が近づくにつれて、ちょっとマズイ状況も出てくるのではないかという気もしています。そのことを少し書かせていただきます。
オミクロン株は、その「感染の構造」がまったく異なっている
南アフリカで最も権威ある機関に「科学産業研究評議会(CSIR)」という組織がありますが、そこに所属するケンブリッジ大学の科学者であるリッドワーン・スリマン (Ridhwaan Suliman)博士という方が、最近のツイートで、
「感染数が劇的に減ってから、ずいぶんと時間が経過してから死者が増えている」
ということをデータと共に何度も投稿しています。
以下などにあります。
Weekly summary of COVID19 in South Africa
スリマン博士は、1月17日の投稿で以下のように書いています。
オミクロンの感染波が後退している間、報告された Covid 19 の死亡事例が時間的に遅れて現れており、いまだに死亡事例は上昇し続けている。
・感染数は 34%減少
・検査数は 4%減少
・入院患者数は 17%減少
・死亡事例は 36%「増加」
これを読み、いつも使わせていただいています米ジョンスホプキンス大学のデータを見てみましたら、確かに、
「これまでとはまったく異なる死亡の時間的な遅れ」
が生じていることがわかりました。
以下のグラフです。10月からの 3ヶ月です。
オミクロン株が登場してからの南アフリカの感染と死亡事例
ourworldindata.org
感染拡大が「ほぼ完全に収束し始めた」頃、グラフでは、12月の終わり頃から「突然、死亡事例だけが上昇している」のです。感染のピークから 1ヶ月ほど遅れて、現在、死亡数のピークに向かっている。
私はこの1年半ほど、ずいぶんとこのジョンスホプキンスのデータを見続けていますが、感染数と死亡例がこのような相関を見せていた例は、
「ひとつもなかった」
と思います。
たとえば、以下は南アフリカのパンデミックのすべての期間の「感染数」と「死者数」の推移です。黒いラインが感染確認数で、赤いラインが死者数ですが、おおむね「連動」してきたことがわかります。オミクロン株の流行時だけ、それがないのです。
どこのどんな国や地域でも、どんな時期でも、一ヶ月以上遅れて死亡例のピークが感染事例のピークに続くことはなかったです。
これまでのコロナの感染数と死亡事例の波のグラフは、感染数のグラフに 1、2週間ほど遅れて死亡事例のグラフも上昇していくという例であり、こんなに遅延した例は見たことがありません。
「どうしてだろう?」
と思っていたのですけれど、ドイツの研究者たちによる「オミクロン株の分析」が示された論文があることを知りました。
これが難解でちっともわからないのですが(まずは出てくる言葉がわからない)、以下にあります。
電荷の問題:オミクロン変異体の変異は細胞への結合に有利に働く
Charge Matters: Mutations in Omicron variant favor Binding to Cells
この論文の内容を説明している海外の記事があったのですが、内容はなんだかわからないながらも、オミクロン株というのは、
「感染する主要な受容体が、これまでの株とはまったく異なる」
ものなのだそうで、つまり、感染の「ずいぶんと後から」症状や、あるいは死亡事例といったものが出てくる可能性があるとその記事では書いています。
この記事も、タイトルに出てくる単語がいきなりわからないというものですが、以下のようなタイトルです。
オミクロン株は、ヘパラン硫酸のような細胞性ポリアニオン受容体を使用して細胞に結合できるため、数週間後にあなたの体に大混乱をもたらす可能性がある
Omicron Will Wreak Havoc On Your Body Weeks Later As It Can Bind To Cells Using Cellular Polyanionic Receptors Like Heparan Sulfate! - Thailand Medical News
この「ヘパラン硫酸」というのも「細胞性ポリアニオン受容体」というのもどちらもわからないのですが(調べてもよくわかりません)、記事は結構長く、抜粋しますと、以下のように書かれている部分がありました。
ドイツの論文を紹介していた記事より
オミクロン株は症状が穏やかであると、いわゆる専門家たちによって西側の主流メディアを介して公に伝えられている。しかし、過去 5日間で 1日あたり平均 300万件以上の新しい COVID-19 感染が見られ、入院者の数もほとんどの国で記録的なレベルに達している。世界の死亡率もまた 1日あたり平均 8 ,000人以上の死亡率で推移している。
これらの死亡率は、南アフリカで起こったことや起こっていることをエミュレートする場合、今後数週間で指数関数的に増加すると予想される。
オミクロン変異体に感染したときには、多くの人たちが無症候性であるか、軽度の症状しか見られないが、数週間、数か月、数年後、彼らに何が起こるのかを知ることはさらに重要だ。
オミクロンが ACE-2 受容体 (※ 武漢型などの従来のコロナが細胞に受容する主要部分)を主要なターゲットにはしていないことはすでにわかっていたが、DDP4 やニューロピリン1などの他の受容体を使用し、エンドソーム融合を介した細胞侵入にカテプシンを使用している可能性があることは、今回のドイツの研究が初めて示したものだ。
ACE-2 受容体から他の受容体への移行、または ACE2 受容体への結合を強化するために他の方法を使用することでさえ、それが多くの新しい異なる方法でヒト宿主に影響を及ぼし、他の組織や臓器を静かに徐々に攻撃する可能性があることを意味する可能性がある。
これは、後で現れるさまざまな医学的および健康状態につながる可能性があり、そのうちのいくつかは致命的な結果をもたらす可能性もある。
なんとも今後のことはわからないとはいえ、南アフリカのようなデータが今後、他の国で現出してくるとした場合、「後になっていろいろと出てくる」ということになるのかもしれません。
ここまで書いた後に、報道を見ましたら、「日本の感染者数が過去最多」とありました。
【速報】新型コロナ 全国の感染者数 初めて3万人超える 過去最多 16府県で最多更新 (FNN 2022/01/18)
コロナに関しては、いまだに風邪やインフルエンザのような発熱や喉が痛いなどの「呼吸器感染症」的なとらえられ方がされることが多いようですが、実態はもともとまるで違うもので、少なくともデルタ株までは「血液と神経系の病気」でした。
オミクロン株では、さらに変化したようです。
事態は深化していくのかもしれません。
そんな中で、また蔓延防止云々、緊急事態云々、マスクにワクチン…では、事態の混迷さを深化させるばかりです。
このあたりで一歩立ち止まり、
「人の身体を健全にする」
というのが感染症対策の基本だと認識する時期のような気はします。
マスク着用の「禁止」、ワクチンの即時停止、行動制限の禁止を含む本当に健全な感染症対策が打ち出されない限り、行くところまで行くように思います(たくさん亡くなるという意味です)。
そして、コロナはすでに次の変異に向かっているはずです。
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