2016年6月14日のアメリカ AOL ニュースより
・Aol
土星および土星の環というのは、存在自体が奇跡のような見事に整然とした美しい存在であります。
たとえば、下は 2006年に NASA の探査衛星カッシーニが撮影した「土星食」の際の土星と土星の環です。これはイラストではなく、現実の光景です。
土星 2006年9月15日
こういう光景を醸し出す惑星は、地球から観測できるぶんにおいては、他にあまりないように思いますが、そのような奇跡的な惑星である土星で・・・まあ、それほど何がどうということではないのかもしれないですが、NASA の衛星カッシーニが、土星の環に「奇妙な動き」が生じている光景を撮影していたことが報じられていました。
その光景は、感覚的に「土星の環が壊れていくような」感じを受けましたので、ご紹介しておたきいと思いました。
拡大しますと、下のような感じとなっています。
・NASA
この変化が生じている環の直径は場所により違いますが、30キロメートルから 500キロメートルあるそうですから、その意味では、それほど小さな変化というわけでもないようです。
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地球が10億個入る面積に広がり、その厚さは数十メートルしかないという奇跡的な土星の環が示すこと
これがどんな現象なのかは明確なところはわかりようがないものの、NASA は、土星の環の中心にある物質との相互作用ではないかとしています。
ちなみに、冒頭の AOL ニュースの記事のタイトルに「F環」とありますが、土星の輪は、天文学的には、いくつかに区分されています。
この他に、この外側に広がる環も区分されていますが、ここ数年、この土星の環というものの大きさが「桁違い」であることが徐々にわかってきています。
輪の最も外側にあることが最近確認された「フェーベ環」という土星の環は、土星の 7000倍もの範囲に広がっていることがわかったのです。距離にして、1600万キロメートルの範囲に広がっていて、これは地球の 63000倍にあたると思うと、なかなかの範囲だということがわかります。
土星が、そのような果てしない遠くまで「環」を持っているということは、土星はこの途方もない範囲を制御しているということになります。
これが正確に発表されたのは、ごく最近ですが、今から6年くらい前には「土星が途方もない影響圏を持っている」ことがわかりつつありました。
2010年9月の In Deep でもそのことにふれています。
・NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡が土星の周囲にある地球 10 億個分に相当する超巨大なリングを発見
2010/09/27
この記事を書いた6年前は、この範囲は 1200万キロメートルと計算されていたのですが、その後の観測で、1600万キロメートルにまで広がっていることがわかったそうです。
いずれにしましても、このようなすさまじい範囲にまで土星の環が広がっていて、それらはまさに「一糸乱れぬ」という感じの秩序と整然を見せているわけですが、その「整然さ」は、土星の環の「厚さ」にも現れています。
たとえば、2014年に、探査機カッシーニは、「土星の環が消えた瞬間」を撮影しています。
どういうことかといいますと、環と水平の位置から撮影すると、土星の環は数十メートルしかないですから、「一筋の光線のようにしか見えない」のです。
下の写真の、青い光線のようなものが、完全な水平から見た土星の環です。
2014年3月2日の科学メディア io9 より
・io9
地球が 10億個以上入る面積を持ちながら、その厚さは数十メートルしかないという、あまりに完全な造形と、そして、そのどこにも毀損が生じない完ぺきなまでの整然さを持つ土星の環。
それがほんの一部であろうと「壊れた」という意味に少なからず感じる部分があったということなのかもしれません。
今まで、この広大な土星の環のどの部分であろうと、
「その形が毀損される」
という光景を見たことがないですので・・・。
そのこともあり、この「土星の環が欠けたかのような動き」が、何だか土星の環全体に何かが起きるのではないかというような感覚につながったのかもしれません。
実際には、何か大きな影響があるということではないのでしょうけれど、最近数年は太陽系の惑星の異変が続いていますので、その一環なのかもしれません。
過去の太陽系の惑星の異変などにつきましては、
・太陽系の状態も何かおかしい中、土星ではオーロラが踊り出し、911には月面で観測史上最大の爆発が発生していた
2014/03/08
・木星・土星などに続いて「金星の極点」でも確認される奇妙な巨大渦巻き
2013/03/26
・太陽系が荒れている: 土星と天王星でスーパーストーム
2011/11/20
などに記したことがあります。
今回は土星のについての記事ですので、土星という惑星が持つ、とても奇妙な「極での動き」をご紹介しておきます。
土星の極は状況がよくわからないカオスの場所
外観として、土星で最も奇妙なのは、南と北の極にある「躍る六角」です。
何のことかよくおわかりにならないかもしれないですが、以下の写真の南と北の極で光っている部分が六角の渦を巻いているのです。
これが下のような感じで常時渦巻いているのです。
この渦の大きさは、ほぼ地球2個分に相当します。
さらに、NASA は 2014年に、ウェブサイトに、土星の極で「踊るオーロラ」を撮影します。
https://www.youtube.com/watch?v=3sDM_yEKPts
このように、土星の極は「わけがわからない」、とてもカオスな状態になっている場所であるということが言えそうです。
「土星は何を象徴しているのか」という興味深い話もあるのですが、今日は時間がないですので、いずれ書ければ書いてみたいと思います。
そういえば、ルドルフ・シュタイナーに『星と人間―精神科学と天体』という著作があり、そこには、シュタイナーの言う「太陽系と人間の関係」が記されています。
この著作の冒頭は、シュタイナーのその宇宙観がこめられた詩で始まりますが。ここでシュタイナーは、土星に「太古の精神の内面性」という概念を当てています。
今回は、それをご紹介して締めたいと思います。
『エフェソスの密儀』
宇宙の芽生える存在よ おまえは光の形姿のなかで、
月の力のなかで太陽に力づけられる。
火星の創造の響きがおまえに贈られ、
水星の手足の動きの振動がおまえに贈られる。
木星の輝く叡智がおまえを照らし、
金星の愛を担った美がおまえを照らす。
土星の太古の精神の内面性が
空間存在と時間存在におまえを捧げる。
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