2016年7月5日の米国Voxより
・Why thousands of indigenous women have gone missing in Canada
最近は、「行方不明に関係する不可解」に関しての記事を書くことが何度かありました。
・[人間は消えていっている]知性と健康に溢れた男性たちを「死に導く何か」の正体:「そのもの」たちは何を欲しているのか・・・ボストンの行方不明事件の詳細から浮き出る不可解
2016/07/10
・アメリカの行方不明者たちのいくつかで共通している「異常に不可解」な事実から推測できる「全世界に広がる失踪システム」
2016/06/23
などの記事です。
私は、日本を含めて、世界のいろいろな場所で、多くの行方不明事象が起きているということ自体は何となく知っていたような気がします。
しかし、それらは「いわゆる単なる犯罪」というように、漠然とボーッと考えていたように思います(実際、単なる犯罪が最も多いのは事実ですが)。
こういう姿勢は、ボーッと考えていたというより、「実は何も考えていない」ということと同じですので、私はこのことについて、何も考えないで生きていたように思われます。
現実は、この世界はもう少し複雑な「背後」のようなものが存在するという可能性がおそらくあるのだと今は思っています。
それが何なのかはわかりようがないですが。
そして、過去のいくつかの報道などを思い出しますと、その時とは少し違う視点で見られる部分も出てくる可能性もあるのかもしれないと感じたりもします。
カナダでの先住民女性の膨大な行方不明事例についてもそうです。
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行方不明の女性たちの調査を求めるアボリジニたちの抗議活動
率として異常といえるカナダ先住民族女性の行方不明者数
冒頭の「カナダで何千人もの先住民族の女性が行方不明になっている理由」という記事は最近のものですが、しかし、これは今年2月から報じられています。
たとえば、日本語の記事としては下のようなものがあります。
AFP の記事です。
カナダ先住民女性、数千人が殺人被害の可能性 政府が認める
AFP 2016/02/17
カナダのキャロリン・ベネット先住民相は2月16日、遺族から他殺を疑う声が出ていたのにもかかわらず、自殺や事故死、自然死として処理された先住民女性の数が数千人に上る可能性があると指摘し、警察当局が適切な捜査を怠ったと非難した。
カナダ連邦警察は、2014年に発表し昨年改訂した報告書で、過去30年間で殺害された先住民女性の数を1049人、行方不明者を172人としていた。だがベネット先住民相は、「悲劇の規模はさらに大きい」と指摘。ある女性人権団体は、実際の人数は4000人にも達するという見方を示している。
死亡者や行方不明者についての公式調査開始に先立ち遺族らと面談したベネット先住民相は、多数の事件が自殺、または過失による薬剤の過量摂取、自然死として片付けられたと述べ、「一部の事件について遺族が再捜査を望んでいることに疑問の余地はない」との見解を表明した。
というもので、これだけ読むと、大量の「殺害事件」のほうが大きなイメージとなっていて、そこから受けるのは感覚的には「差別的な概念」を含むようなものでもあります。
しかし、この、カナダでの先住民女性の行方不明の数の割合は、それ以外のカナダの女性の行方不明の割合と明らかに違う多さとなっていて、確かに「異常なこと」が起きているようなのです。
それでも、たとえば、上のような報道を読んだだけでは、当時は特に何を思うわけではなかったのですが、先ほどリンクしました最近のいくつかの記事を書いてから、このカナダの先住民族女性の件を思い出しまして、もう一度、当時の英語の報道などを見てみますと、BBC の報道に下の記述があったのです。
BBCが4月におこなった調査では、少なくとも数十人の先住民女性が行方不明になっていることが明らかになり、その多くは、後から川で遺体となって発見されていた。
> 後から川で見つかる
これは、先ほどもリンクしました記事 [人間は消えていっている]… の多くのケースで見られたものでした。
2016年2月17日の英国BBCより
・Questions over number of missing indigenous women in Canada
この記事は、内容的には AFP のものと同じことを報じていますが、ニュアンスが、やや違いますので、ご紹介しておきたいと思います。
何千人ものカナダの先住民族女性が行方不明になっていることに関しての数々の疑問
1980年から現在に至るまで、行方不明になったか、あるいは殺害されたカナダの先住民族の女性の数が 4,000人を上回っている可能性があることがわかった。
この数字は、それまで連邦政府が推計値として発表していた 1,200人よりはるかに多い。
カナダの先住民担当大臣のキャロリン・ベネット(Carolyn Bennett)先住民相は、きちんとしたデータが残されていないため、正確な数値を出すことは困難だと述べている。
しかし、カナダの先住民女性協会(NWAC)の調査で、その数が 4,000人以上にのぼっていることがわかったのだ。
カナダ連邦政府の正式な調査が間もなく開始される。
これまで、カナダの先住民族女性の行方不明に関してしばしば引用された 1,200人という数は、1980年から 2012年までの期間に関連した行方不明の先住民族の女性に関しての 2014年に作成されたカナダ連邦警察の報告書によるものだ。
2015年12月に、当局は、カナダ国民の抗議を引き起こした1人の先住民族の少女に対する殺人容疑で男を逮捕した。
53歳のレイモンド・コーミアは、2014年に、カナダのレッドリバーで死亡しているのが発見された先住民族の少女、ティナ・フォンテーヌ(15歳)に対しての殺害容疑で、第2級殺人で起訴された。
BBCが4月におこなった調査では、少なくとも数十人の先住民女性が行方不明になっていることが明らかになり、その多くは、後から川で遺体となって発見されていた。
現在カナダ首相のジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)カナダ自由党党首は、先住民の首長に対して、行方不明者たちの調査をおこなうことを約束した。
トルドー党首は、このことが、カナダ自由党の「最優先事項」になると述べた。
また、トルドー党首は、先住民族に関しての法律などの見直しのために予算を増加することを約束した。
カナダ自由党の閣僚は、「先住民女性と女児に対する暴力の原因を調査し、具体的な行動をとることが、将来の暴力を防ぐための推奨事項につながると思われます」と語った。
「その数に関わらず、行方不明になっているか、殺害された先住民族の女性と少女たちの事象はカナダの悲劇です。私たち政府閣僚はすぐにこの問題に対処しなければなりません」
ちなみに、アムネスティによれば、カナダにおける先住民の人口は約 117万人だそうですから、その半数ほどが女性だとすると、その中の 4,000人というのは少ないとは言えない数です。
BBC の記事は「殺害」という概念より、「行方不明」という言葉のほうに大きなウェイトを置いているように見えます。これはどういうことかというと、推測ですが、以下のようなことだと思います。
まずひとつは、「事故死や自然死とされたものが、殺人などの不審死である可能性があるとされそうになった事例」というものがあるとは思いますが、それでも、そういうケースが突然 3,000以上も増えるというのも考えにくく、そこから考えますと、むしろ、たとえば、先ほどの AFP の記事に、
カナダ連邦警察は、2014年に発表し昨年改訂した報告書で、過去30年間で殺害された先住民女性の数を1049人、行方不明者を172人としていた。
とあります。
法治国家カナダで、どの地域であっても、殺人事件やその数をぞんざいに扱うということは、あまり考えられないことで、そこから考えますと、
・過去30年間でカナダでは先住民女性が1,000人以上殺されていた
という事実があったということで、これはこれで多い数ですが、ただ、先住民族が多く住むカナダ北部は、もともと殺人率が高いところではあります。
しかし、その明らかな殺人とは別に
・過去30年間でカナダでは先住民女性が172人行方不明となっていた
とされていたということで、これは、「遺体が見つかっていない」ということだと思われますが、おそらく、この「行方不明者 172人」という部分が、カナダの先住民女性協会などによる調査で、行方不明者がそれ以上に多かったことがわかり、
「死者・行方不明者は 4,000人にのぼる可能性がある」
ということがわかったということだと思います。
殺人事件として成立していれば、遺体が不明ということはあまりないと思われますので、「行方不明者たちの数」の部分が、次第に明らかになってきたということだと思います。
調査はまだ始まったばかりですので、実際にどのような結果となるのかわからないのですが、しかし、このカナダの件とアメリカの件が、大きく違うのは、
・アメリカでの疑問が残る行方不明(後に水の中で遺体が見つかる)の犠牲者は、ほぼすべて男性
・カナダの先住民での行方不明者は、ほぼ女性
というところです。
もちろん、このカナダの行方不明や殺人にしても、その多くが、いわゆる通常の犯罪だと思われますが、こう数が多いと、「その中には単なる犯罪とは言いがたいものも含まれているのではないか」と、どうしても思ってしまいます。
とはいっても、カナダには、いろいろ複雑な人種問題などもありますし、何とも言えない面はあります。
ただ、やはりその数の多さに関しては、個人の犯罪ですべて語ることができる数なのだろうか、とは思ってしまいます。
関係ないことかもしれないですが、未来予測プロジェクト「ウェブボット」の今から7年前のレポートに「世の中から次々と人が消えていく」ことを述べる部分は何度か出てきたことがあります。
・夏から人々が消える現象が相次ぐようになる。しかしながらこの現象はすぐには表面化しない。(ALTAレポート 2009年3月13日)
・大勢の人間が何の理由もなく忽然と消える事件が相次ぐようになる。(ALTAレポート 2009年1月3日)
世界中で起きている行方不明例のうちの、いくつかの「理由がわからない行方不明」に関して、まあ、「理由もなく忽然と消える」というわけではないにしても、そういうようにも見える「人が消える」という現象は確かに増えているのかもしれません。
この世界も、見え方が違ってくると、何だか今までと違う世界に生きている感じが強くなってくるものだと最近感じています。