このバブルの結末は
世の中の景気が良いというようには、どうも見えないのですが、世界の株式市場は、大変なバブルの渦中で、以下のような報道にありますように、アメリカは史上最高値を更新し続け、日本もバブル崩壊後最高値に近づいています。
・NYダウ3カ月半ぶり最高値 景気悲観論が後退(日本経済新聞 11/05)
・日経平均はバブル後最高値をうかがう動きへ(LIMO 11/10)
アメリカの2013年からの株価の動きはもうバブルそのものです。
2013年から2019年の現在までの米の株価(SP500)の推移
・ZeroHedge
しかし、世界中の「超富裕層」は、一時的にしても、このバブルはもうじき終わると見ているようで、世界最大の金融機関である UBS の富裕層向けの金融サービス機関である UBSウェルス・マネジメントが、資産 100万ドル(1億1000万円)以上の顧客だけを対象とした調査により、世界のスーパーリッチたちは、
「 2020年に株式市場が急落する」
と考えている率が半数を超えていることがわかったと報じられていました。
冒頭の記事は、ブルームバーグなどの記事を引用して、そのことを取り上げていた米国ゼロヘッジの記事ですが、オリジナルのブルームバーグの記事をまずはご紹介します。
Some of the World’s Richest Brace for a Major Stock Sell-Off
bloomberg.com 2019/11/12
来たるべき株式市場の暴落に備える世界の富裕層たち
UBS ウェルス・マネジメントによると、世界中の富裕層たちは、2020年に起こり得る可能性のある混乱を避けようと準備している。
UBS グローバル・ウェルス・マネジメントによる世界 3,400人以上の富裕層への調査によると、回答した富裕層投資家の大多数が来年末までに株式市場が大幅に下落すると予測しており、また、富裕層たちは現在、資産の平均 25%を現金として保持していることがわかった。
米中貿易紛争は富裕層たちの地政学的な最大の関心事であり、それと共に、次のアメリカ大統領選挙が株式に対するもう一つの重要な脅威と見られている。
UBS グローバル・ウェルス・マネジメントの顧客戦略責任者であるポーラ・ポリート(Paula Polito)氏は、声明で以下のように述べた。
「急速に変化する地政学的環境は、世界中の投資家にとって最大の関心事になっています」
「彼らは、グローバルな相互接続性と変化の残響が、従来のビジネスの基礎よりもポートフォリオに影響を与えていることを認識しています。これは過去と比較すると、著しい変化といえます」
8月から 10月にかけて行われた調査のレポートによると、富裕層の回答者たちの 5分の 4近くが、来年、株式相場の変動が大きくなると考えており、回答者の 55%が 2020年末までに大幅な株式の下落があると見ていることがわかった。
調査は、少なくとも、100万ドル( 1億1000万円)以上の資産を持つ人たちを対象に行われた。
回答者たちの 60%は、2020年に株式を売却して、現在よりも現金比率を上げることを検討しており、62%は、資産を株式以外に移行し、資産の多様化を進めるつもりだとした。
5月におこなわれた同じ調査より、現金比率を高めるとした人は 32%増加した。
多くの富裕層が、このように現金比率を高める準備をしている傾向がある。
それでも、投資家たちが警戒している期間は長期ではなく、短期的であるように思われる。たとえば、世界の富裕層回答者たちのほぼ 70%は、今後 10年間の投資収益率について楽観的だった。
ここまでです。
記事にあります、
> 世界の富裕層回答者たちのほぼ 70%は、今後 10年間の投資収益率について楽観的だ。
ということについては、地域別には以下のようになっています。
このブルームバーグの記事は、2020年に株式市場に大きな変動が起きる可能性は高いけれども、「長い影響にはならないのではないか」としていますが、しかし、アメリカにしても日本にしても、あるいは、中国などにしても、そういうことが起きた後に、「その影響が残らない」というようなことは考えにくい感じもするのですよね。
少し前に「債務バブル」について、以下の記事を書きました。
国家にしても民間にしても、このような莫大な規模の借金をしていて、それがさらに増加している中での「金融市場の崩壊」というものが起きるとすれば、何となく大変なことになるのかなとも思います。
まあ、私は経済に関しても金融に関しても素人ですので、あまり株式市場などのことについてはふれないですけれど、今回は、「世界中のスーパーリッチの大半が、市場に暴落が起きると考えている」ということでご紹介させていただきました。
金融に関して素人だとはいえ、もともと、この In Deep で取り上げているようなことに興味を持ったキッカケは、2008年の株式市場の崩壊、いわゆるリーマンショックでしたからね。
「世の中はどうなっちゃうんだろう」
と、さすがの私も思いましたもの。
世界のスーパーリッチたちが考えているような「 2020年の市場の大暴落」というのがあるとすれば、それは、国家や厚生の根本的なシステムに影響を与えても不思議ではないようなものになる可能性もあるのかなと。
今の世界で「安定した状態の国や地域」なんてあるのかな、とむしろ思ってしまうような状態の中で、これから起きる(かもしれない)金融の激震が気にならないといえばウソになります。
歴史的な株式市場の崩壊と共に、2京円の債務バブルの爆弾が破裂すれば、いろいろな部分が焼け野原になっていく可能性もあるのかもしれません。
すでに、「新しい経済」という観念を具体的に、それぞれが想定していかないといけない時期になっているのかもしれないですね。
それと共に、私たち人類は、経済という枠を超えて、今、「新しい考え方」に移行しなければならない時期ともいえるのかもしれません。
あまり関係のない引用となるかもしれないですが、今回は、ドイツ人作家のエックハルト・トールという人の『ニュー・アース』という中から引用して締めさせていただきたいと思います。
エックハルト・トール 『ニューアース』より
人類はいま、進化するか死滅するかという重大な選択を迫られている。
古い生き方や相互関係、自然との関わりがうまくいかなくなり、根源的な危機が起こって、どうにも解決不可能と見える問題によって生存が脅かされると、個々の生命体 …… あるいは種 …… は、死ぬか、絶滅するか、進化の飛躍によって置かれた条件の限界を乗り越える。
生存を脅かす根源的な危機に対処する…… これがいま、人類に突きつけられた課題である。
人間の心の構造が変化しなければ、私たちはいつまでも基本的に同じ世界を、同じ悪を、同じ機能不全を繰り返し創造し続けるだろう。