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4月19日にメルマガ私たち現生人類は「鉄の種族」であることから思う生き方を発行させていただきました。

2019年からの世界 人類の未来 拡大する自然災害

アメリカのイエローストーンが過去と同じ規模の噴火を起こした場合、「地球上で50億人が死亡する」とポーランドの地質学者が警告

投稿日:

20世紀最大の噴火である1991年のピナトゥボ山の噴火


The June 12, 1991 eruption column from Mount Pinatubo

(※)このピナトゥボ火山の噴火も激しいものではありましたけれど、あくまでも「普通の火山」の噴火ですので、今回ご紹介する「超巨大火山」の噴火とは比較にならないほど小さなものだと言えると思われます。




 

イエローストーンは地球で最も危険な火山だとポーランドの科学者は言う

アメリカのメディアの見出しを適当に見ていましたら、その中に、

「イエローストーンの噴火で50億人が死ぬと専門家が警告」

というタイトルのものがありました。


mysteriousuniverse.org

 

「 50億人? そんな話聞いたことないなあ。誰がそんなこと言ってる?」

と、この記事から元記事へのリンクを辿りますと、ポーランドの大学の地質学者が、ポーランドの科学メディアとのインタビューの中で話していることなのでした。

読んでみますと、それほど突飛な話ではなく、巨大な噴火によって大気中に放出される火山性噴出物やガスにより、地球は長い間の寒冷期になり、餓死などを主要因として、50億人程度が死亡するだろうという話でした。

語っていたのは、ポーランドにあるシレジア大学の地質学部の教授であり、学部長でもあるジャージー・ザバさんという方です。

シレジア大学のジャージー・ザバ地質学部長

tech.wp.pl

今回は、このポーランドのメディアのインタビュー記事を翻訳してご紹介させていただこうと思います。ポーランド語はわからないですので、「ポーランド語 → 英語」へと Google 翻訳したものを日本語に翻訳したものですので、単語や固有名詞に間違いがある可能性があります。

なお、このインタビューに出てくる「 50億人が死亡する」という理論の根拠は、約 7万5000年前に噴火した超巨大火山のインドネシア・トバ火山の噴火の後に地球に起きたと考えられている「トバ・カタストロフ理論」と同様の理由によるものだと思われます。

その説明について、Wikipedia から抜粋しておきます。

トバ・カタストロフ理論 - Wikipedia

いまから7万-7万5000年前に、トバ火山が火山爆発指数でカテゴリー8の大規模な噴火を起こした。この噴火の規模は過去10万年の間で最大であった。

トバ・カタストロフ理論によれば、大気中に巻き上げられた大量の火山灰が日光を遮断し、地球の気温は平均5℃も低下したという。劇的な寒冷化はおよそ6000年間続いたとされる。

その後も気候は断続的に寒冷化するようになり、地球はヴュルム氷期へと突入する。この時期まで生存していたホモ属の傍系の種は絶滅した。現世人類も、トバ事変の気候変動によって総人口が1万人にまで激減したという。

ということで、この理論が正しければ、トバ火山の噴火の後、

・地球の気温は平均5℃も低下し、それが6000年間続いた

・現世人類の人口は1万人にまで激減した

ということが起きていたとされるのですれど、次にイエローストーンが噴火した場合には、これと同じようなことが起きる可能性があるということを、今回ご紹介させていただくポーランドの地質学者は指摘しているのでした。

まあ、超巨大火山の噴火については、その予測ができるわけでもないですし、起きた場合の想定も、数々の科学的な調査の根拠があるとはいえ、仮定と推定の物語ではあるので、実際にどうなるのかは誰にもわかりません。

しかし最近、イエローストーンの活動が活発になってきているということはありまして、それについては、本記事の後に過去記事などをリンクさせていただきます。

ちなみに、この地球での超巨大火山の噴火は、数十万年に1度という極めて稀な出来事ですので、普通に考えれば、数十年程度の人生を持つ私たちがそれと遭遇する可能性は天文学的に低いです。

しかしまた、「いつかは起きる」ということも事実としか言いようがありません。

ここからです。


Jeden wybuch może zabić 5 mld osób. W przeszłości uśmiercił ponad połowę populacji Ziemi
WP tech 219/05/01

イエローストーンの噴火は1度の爆発で50億人が死亡する可能性がある。過去にその噴火は地球の人口の半分以上を殺した

アメリカの超巨大火山(スーパーボルケーノ)イエローストーンで破局的な大噴火が発生した場合、それは大きな悲劇を招く可能性がある。NASA の研究者たちでさえ、この悲劇のシナリオを回避するための具体的な行動計画を立てていることが伝えられている。

このイエローストーンの巨大噴火に関して、ポーランドのカトヴィツェにあるシレジア大学 一般地質学部の学部長であるジャージー・ザバ (Jerzy Zaba)教授は、以下のように述べる。

「アメリカでの悲劇を回避する方法があるとするなら、すべてのアメリカ人を他の大陸に避難させることくらいでしょう」

今回、ザバ教授にイエローストーンの巨大噴火について、お話を伺った。

(以下、太字が質問で、その下がザバ教授の回答です)

 

超巨大火山と普通の火山の差は何なのですか? 火山のサイズですか?

ザバ教授「もちろん火山のサイズも異なりますが、主要な違いは、普通の火山は、円錐形の山頂などに単一、あるいは複数の噴火口を持つものですが、超巨大火山というものは、そういうものではないということです」

 

現在、地球にはどのくらいの活火山があるのですか?

ザバ教授「陸上だけで 400 〜800 ほどの活火山があると推定されていますが、これは普通の火山です」

 

超巨大火山とはどのようなものなのですか?

ザバ教授「超巨大火山は、火山口を持つのではなく、前回の巨大噴火で地面が吹き飛ばされ形成されたカルデラと呼ばれる広大な窪地で形成されています。ですので、専門家の中には、火山という言葉ではなく、「ホットスポット」という呼び方をする人たちもいます」

 

超巨大火山の噴火は普通の噴火と何が違うのですか?

ザバ教授「普通の火山の影響は地域的な範囲にとどまりますが、超巨大火山の噴火は地球全体の生命を脅かす可能性があり、地球規模で影響を及ぼすというところが決定的に違います」

 

地球に超巨大火山はどれほどあるのですか?

ザバ教授「判明しているものは 7つありますが、しかし、この分類は最大の脅威の観点から言及されているものではありません。実は、地球の超巨大火山の中で、最も危険なのが、米国のイエローストーン国立公園にあるものなのです」

(※ 訳者注)地球にある超巨大火山は以下の7つです。

1.セージア渓谷(イタリア)
2.イエローストーン(米国)
3.薩摩硫黄島(日本)
4.トバ(インドネシア)
5.タウポ(ニュージーランド)
6.シャツキー海台(太平洋の日本側)
7.オントンジャワ海台(ソロモン諸島)

 

ザバ教授「イエローストーンに相当する別の非常に危険な火山として、インドネシアのトバ火山があります。 75000年前のトバ火山の噴火は、地球と人類の最近の歴史の中で最も危険なものの 1つでした」

 

どのように危険だったのですか?

ザバ教授「これまでのさまざまな地質学的な推定によると、当時のインドネシアのトバ火山の噴火では、当時の地球上の人口の 70% から 90%が死亡したと考えられています。もちろん、そのような地球全体に対しての壊滅的な影響はなかったと考える楽観的な科学者たちもいます」

 

現在の私たちも、そのような噴火に直面しているのですか?

ザバ教授「はい」

 

いつ起きるのですか?

ザバ教授「それは誰にもわからないことです。地球では、過去 3600万年の間に、42回の超巨大火山の噴火がありました。これは、平均すると、100万年以内に 1回の超巨大火山の噴火が起きていたことになります。その意味では、決して頻繁に起きるというものではないですが、地球の歴史の観点からは、いつかは必ず起きるものでもあります」

「火山は、地球の歴史の中で、さまざまな地質時代に活動していたことも知っておきたいです。たとえば、我がポーランドにも火山があったのですよ」

 

そうなんですか?

ザバ教授「 2100万年ほど前に活動していたセントアンナという火山があります。また、80万年前にも、ポーランドでは火山活動があったことがわかっています」

 

イエローストーンに話を戻しますと、その活動についての懸念等はあるのですか?

ザバ教授「もちろん、あります。何しろ、イエローストーンは、トバ火山と並んで、地球上で最も危険な火山のひとつなのですから。イエローストーンは私たちの知る限りでは、過去に3度の大噴火が起きた強力なスーパーボルケーノです」

「1度目は、今から 200万年以上前に起こり、2度目は 300万年前に起きました。そして、よく知られている3度目の噴火は 64万年前に発生しました。この最後の噴火が、イエローストーンの最も強い噴火だったと考えられています。火山の噴火のエネルギーほ示す火山爆発指数は、最高規模に達しました」

「そして、その後、噴火は、地球の大気中に 1000立方キロメートルを超える火山灰や火山砕屑物を投げ込んだのです」

 

1000立方キロメートルとはどのくらいの量でしょうか

ザバ教授「火山灰や火山性の塵の量で比較しますと、たとえば、2010年にアイスランドでエイヤフィヤトラヨークトル火山が噴火した際には、上空の視界の問題で旅客機の航行が停止されましたが、あのアイスランドの噴火で大気中に入った火山砕屑物は、およそ 0.1立方キロメートルでした。これで、規模の差がおわかりになりますでしょうか」

 

はい。すごい差ですね

ザバ教授「 64万年前のイエローストーンの噴火では、その後、マグマ溜りが崩壊しました。マグマ溜りは火山の下にある溶岩の強力な貯水池で、深さ 100 km以下に達することがあります。しかし、イエローストーンの場合、それがどれほど深いものかを推測することはできないのです」

「しかし、いずれにしても、イエローストーンのマグマ溜りはとても強力で、非常に広大な貯留層であることが知られています。イエローストーンの噴火の後のカルデラ自体は現在 55 x 80 キロメートルの広さを持っています」

「このイエローストーンの地域の活動は現在で続いています。それは、間欠泉、温泉、火山の呼気と呼ばれるガスの発生などがあることが示しています。しかし今のところ溶岩は流れ出ていません」

 

イエローストーンの大噴火が再び起こった場合はどうなりますか?

ザバ教授「その場合、64万年前の噴火と同様の爆発があると予測されています。何年もの間、それはアメリカの大部分を破壊するでしょう。大気中に放出された火山灰は、半径 500キロ内の地域にすべて降り積もるでしょう」

「そして、大量の粉塵、ガス、または酸化硫黄が大気中に放出されるため、一時的に気候が寒冷化に向かうこともあり得るでしょう」

 

火山の噴火と寒冷化が関係あるのですか?

ザバ教授「噴火で発生する酸化硫黄は、太陽光を反射する地球の周囲に硫酸の薄いベールを作り出します。そして、その状態は長い間年持続します。この影響による気候変動のために、約 50億人が餓死するという推定も存在するのです」

 

アメリカの NASA が、この噴火に対する潜在的な脅威への取り組みとして、イエローストーンの内部に冷たい水を送り込むことによって、この超巨大火山を冷却化する計画がありました。これは賢明な解決策になり得ますか?

ザバ教授「その NASA の計画は、内部に水を送り込むのではなく、具体的には、イエローストーンに 10キロメートルの深さの穴を開けてマグマを冷却したいと考えているものです。しかし、私の個人的な意見ですが、この考え方は機能しないでしょう」

「しかし、このことに先入観を持ちたくはありません、なぜなら NASA は私たちがアクセスできないイエローストーンに対してのデータを持っているかもしれないからです。それでも、この NASA の計画には明らかな問題がいくつかあります」

 

どのようなものですか?

ザバ教授「イエローストーンのマグマタ溜まりは非常に広大で、地球の奥深くまで達しています。それに対して、NASA の計画では、そのマグマの表面を冷やすだけなのです。また、それどころか、水が水蒸気に変わり、地球の地殻のこの領域での破裂を加速する可能性さえあるのです」

 

イエローストーンの噴火を防ぐことは可能ですか。

ザバ教授「それはできないでしょう。できる唯一のことは、人々を避難させることです。しかし、噴火がとても巨大なものならば、避難は他の大陸へ行かなければならないほどのものになるはずです」

「世界のどこにいても、イエローストーンの噴火は、フォースのような力を持つ人以外は、影響を避けることは難しいでしょう。私たちは謙虚な気持ちでこの火山の監視を続けなければならないのです」

 


 

ここまでです。

以前の記事において、日本の九州沖にある鬼界カルデラで破局噴火が起きた場合には、「 1億人が死亡する」という神戸大学の教授の言葉などを引用した以下の記事を記したことがあります。

「噴火すれば最悪1億人が死亡と想定」 : 九州南方にある鬼界カルデラの活動の徴候の報道から再び「破局噴火の時代」をおもう

今度は「 50億人」というものすごい数字が出てきたわけですけれど、しかし、数はともかく、地球の環境を何千年も変えてしまうような変化を起こす力は、すべての超巨大火山にあるのだと思われます。

そして、今回の主役であるイエローストーンは、2017年に群発地震が 1000回規模に及び、昨年 2018年は、間欠泉の噴出記録が過去最大となっています。

それぞれ以下の記事で取りあげさせていただきました。

イエローストーンの群発地震が1000回に迫る中、今年8月の「アメリカ横断皆既日食」まで2ヶ月を切る時期に思う「地表の変化のトリガーはすべて宇宙から来ている」こと

通常ほぼ噴出しない米国イエローストーンの世界最大の間欠泉スチームボート・ガイザーが「今年はすでに半年で8回の噴出」を起こしている…。過去に一度も観測されたことのない、この事態に対しての適切な説明はない

今、地球の環境は、人的な影響も含めて、いろいろな意味で大きく変わってきていますが、それらを「一気に、しかも完全にリセットする」ような力があるのは、巨大天体の地球への衝突と、この超巨大火山の噴火だけだと思われます。

大きな変化の時代にどういうことが起きるのかに興味があります。





  • この記事を書いた人

Oka In Deep

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