In Deep

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肉食のアルマゲドンは意外な形でやってくる。その70%以上がスーパー耐性菌を持っていることがわかっている鶏……たとえばアメリカで食肉として処理される鶏の数は「年間80億羽」……

      2017/12/06

畜産動物と耐性菌についての報道記事

livekindly.co

アメリカで屠殺される動物の数

humanesociety.org

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私たちの文明が作り出した耐性菌工場。あるいは、私たちは毎日「耐性菌を食べている」

今回の記事は、いわゆる「肉食の批判」というものとは関係ないです。

確かに今の世の中は誰もが肉を食べ過ぎだとは思いますし、冒頭に載せたような「アメリカだけでも1年間で 90億匹以上の動物が食材として殺されている」という数はものすごいもので、倫理的な思想にも及ぶところがあるものですが、しかし、今回の話は倫理面の話ではありません。

そうではなく、

「現実の人類の脅威」

についての話です。

それは冒頭の記事を先にご紹介したほうがわかりやすいかと思いますので、その記事を最初にご紹介したいと思います。

以前から、In Deep でも、「抗生物質に対しての耐性菌」の脅威についての記事を書くことはありましたけれど、私は何となく「医療での抗生物質の使いすぎ」というものを強く思っていたのですが、実際には、

「流通している医療用抗生物質の多数(70%以上)は、人間にではなく、飼育されている畜産動物に使われている」

のです。

これはつまり、「畜産動物たちが、スーパー耐性菌の誕生と拡大の場なっている」という意味でもあります。

かつて人類の歴史ではなかったほどの「人間による肉食の拡大」と共に、私たちは「抗生物質が完全に効かなくなる日」というアルマゲドンを迎えることになりそうです。

しかも、それを食い止める手段は今の世の中のシステムには存在しません。

では、記事をご紹介します。


HOW EATING CHICKEN COULD (SERIOUSLY) CAUSE AN APOCALYPSE
livekindly.co 2017/12/03

鶏肉を食べることは黙示録を生み出す(真面目な話)

赤身の肉の危険性について話題になることはあるが、鶏肉の悪影響について議論されることはほとんどない。

ニワトリを愛する人たちはとても多く、こういう書き方をするのは気が引けるが、実際にはニワトリは地球上で最も虐待されている動物だ。しかし、その現実を別としても、安価な鶏肉に執着することはニワトリたちを殺すというだけではなく、それは私たち人間自身をも殺している。

もう長い間、農場の動物たちは頻繁に抗生物質を投与されている。これは、公衆衛生への脅威である鶏肉の消費だけではなく、主流の農産物産業のすべての製品でそうなっていることを意味する。

抗生物質は動物たちの病気を防ぐための手助けとなり、同時に急速な成長を促す。市場投入までの時間を短縮することによって、できるだけ多くの収入を得るために、成長のための抗生物質投与は一般的となっている。

しかし、その中で、私たち人間は抗生物質を日々食べ、また抗生物質に適応し始めた耐性菌をも食べていることになっているかもしれないのだ。

それはスーパー耐性菌と呼ばれるもので、抗生物質に対して耐性があり、それまで有効だった抗生物質が無効となってしまう。

今年の世界保健機関(WHO)の報告書では、「抗生物質耐性菌の増大する脅威に対抗するための新しい抗生物質の深刻な欠如を示している」と述べている。この意味は、つまり「世界は抗生物質を使い尽くした」ということだ。

多くの医師や科学者たちが新しい抗生物質の誕生に期待してもいるが、その一方で、動物肉製品の摂取量を減らすか、あるいは完全に肉製品をなくすことによって耐性菌の増大に対して、より直接的なアプローチを主張する人もいる。

米国の非営利組織『ピュー慈善信託 (Pew Charitable Trusts)』は、医学的に重要な抗生物質の 70パーセントが農場で飼育されている動物に使用されていることを突き止めている。これは、「ヒトが使うよりも多く動物に使われている」こと、そして、「そこからこそ、スーパー耐性菌が生まれている可能性」を意味する。

これを食い止めるには、人々が自分たちの食肉消費の習慣を変えるしかなく、それがない限り問題は悪化するのみだと思われる。

現実的に、耐性菌の増大は人類の存亡に関わることでもある。具体的には「 MCR -1 」と呼ばれる遺伝子が大きな脅威だ。この遺伝子は、多くの医師たちが「最終救世主としての抗生物質」と見なすコリスチンに対する耐性を高めるのだ。

言い換えれば、医者たちは他のすべての抗生物質が無効だった場合にこのコリスチンを使用する。ところが、中国では、病院の患者の 25パーセントがこの遺伝子 MCR -1 を持っていたのだ。25パーセントという数字は冗談ではない。

この最後の手段が人類に効かなくなれば、この世には使える抗生物質がなくなるということになる。科学者たちは、これは現代人類が直面する最大の危険の一つだと述べてもいる。

英国医療研究評議会の感染症部局の局長ジョナサン・ピアース(Jonathan Pearce)氏は、「多くの手術や関節置換、帝王切開、化学療法もまた抗生物質に依存しており、それらが危険にさらされています」と述べている。

私たちは、あまりにも多くの人たちが医療へのアクセスなしで生きられないような時代に生きているが、これからは、一時的な緊急処置としての医療ではなく、自分たちの体を自分でケアしていくよう、予防的な医療に集中していく必要があるようにも思える。

スーパー耐性菌の拡大が現在も継続しているのなら、次第に医療は効果的なものではなくなり、私たちは予防的なヘルスケアしかとれなくなる。


 

ここまでです。

畜産動物たちが「耐性菌の工場」となっていることは知られていまして、昨年のイギリスの調査では「3分の2以上のニワトリが耐性菌を保持していた」ということが判明しています。

2016年11月の英国デイリーメールより

Daily Mail

上の記事の中に「コリスチン」という薬の名前が出てきます。名前だけなら、小リスのチンチンみたいで可愛いのですが、これについては、過去記事の、

バクテリアが人類に勝利した日:「最終救済薬コリスチン」を含めた「すべての抗生物質が無効」のウルトラ耐性菌が猛スピードで全世界に拡大している
 In Deep 2015/12/07

でふれたことがありまして、「最後の抗生物質の救世主」と言われているもなのです。

しかし、この最後の抗生物質への耐性菌が中国で発見されます。発見されたのは 2015年11月のことでした。下はその時の報道です。

最強の抗生物質でも殺せない細菌、中国で発見される 世界に広まるのか

THP 2015/12/04

コリスチンは、毒性の強い大腸菌と肺炎菌を殺すための「最後の砦」と言われる強力な抗生物質だ。ところが、このコリスチンに対して耐性を持つ細菌が発見された。

イギリスの医学雑誌「The Lancet Infectious Diseases(ランセット・感染症)」に掲載されたレポートによれば、これは突然変異した細菌で「MCR-1」という遺伝子を持つ。初めに中国の養豚場で発見され、その後、生肉(豚)と人間からも発見された。

現在MCR-1は中国国内でしか発見されていないが、コリスチンの使い過ぎを止めなけれはどんどん広まるだろうと科学者たちは警告している。

「我々をこの問題を訴え続け、政府が動きを起こすよう働きかけなければいけません。さもなくば、増え続ける患者に対して『申し訳ありませんが、あなたの感染症を治療する薬はありません』と言わなければならなくなるでしょう」

 

そして、先ほどの記事によれば、中国の病院では、このコリスチンの耐性菌を持つ人たちが相当数いるということになっています。どんどん広がっているのです。

記事にあるような、

> 「申し訳ありませんが、あなたの感染症を治療する薬はありません」

という状況は、現時点で医療の現場でかなり広がっていることが日本でもたまに報じられますので、ご存じの方も多いと思われます。

たとえば、以前ならどうということのなかった子どもの中耳炎も、抗生物質が効かない耐性菌が蔓延していて「治すことができない」ケースが多くなっています(ただし、本来的に中耳炎は放っておけば治る病気ですので、抗生物質を最初から使うのが間違いのような気がしますが)。

上の記事にありましたように、どうということのない手術や帝王切開などでも、まったく抗生物質が効かないということになれば、それぞれが命の問題に関わるわけです。

そういうものが、「動物経由でやって来る」というのが今回の主題です。

この「終末」を回避するための方法としては、基本的には「人類が肉食のための動物飼育を中止する」という方向しかないのですが、それが無理なことは今の世の中の状況でおわかりになるのではないでしょうか。

冒頭にアメリカでの食肉処理の数を載せたのは「現時点での人類の肉食の中止は不可能」だということを数字で体感していただきたいと思ったからです。

ちなみに、この数字が提示されていた資料には、1950年からのアメリカでの畜産動物の処理数が示されていまして、見やすくはないですが、下のようになっています。

1950年から2015年までのアメリカでの畜産動物の処理数

humanesociety.org

この中でも、ニワトリさんの数は突出しています。下は 2015年のものです。

 

これはアメリカの事例ですが、日本でも、農林水産省の資料では、おおむね、ブタさんで1年間に 1600万頭、ウシさんで 180万頭が食用として殺されています。

こういうとても大きな数の世界ですので、「世界で」となると、ちょっと想像が難しい面もありますが「ニワトリさんだけ」で考えてみると、非常に大ざっぱには、

「一日に 7000万 から 8000万羽のニワトリが殺されている」

くらいの数になるのではないかと思います。

1年間だと 200億とか 300億というような数にはなると思われます。

それらの鶏たちのほぼすべてが抗生物質と共に育てられ、3分の2が耐性菌を持っているというわけですから、「鶏の黙示録」という言葉も、あながち大げさではないのかもしれません。

この過剰な食肉生産が止まるということもなさそうですし、それに対して批判的な意見も私は持ちません。何もかもが「止まらずに進んでいくブレーキの壊れた車」のように時代が進んでいるわけで、これもそのひとつだという認識がある程度です。

今年の夏に、

完全絶滅プロトコル : 魚たちが次々と「男性から女性へと変化」しているその原因が判明。そこから気づいた「人間から水循環システムの中へ排出されている薬たちによる皆殺し」
 In Deep 2017/07/08

という記事を書いたことがあります。

それは、「排水と共に川に流れ込んだ薬剤が、魚、そして人間に影響を与え始めている」ことなどを記しましたけれど、今の時代は、めぐりめぐって人間の社会を滅亡させるために機能し始めているというようなことがたくさんあります。

まあしかし、これまで人に食べられるために殺された数千億羽のトリさんたちにもいろいろと文句もあったかもしれないですが、彼らの子孫のニワトリくんたち自身が、今や最大の「人類滅亡装置」として働きはじめているいうことを、死んでいったトリの先代たちに教えても……まあ、別に喜んではくれないか。



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