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パンデミックと宗教戦争: 新型コロナウイルス禍の中国で「宗教の完全な禁止」に関する法律が施行される。日本で6世紀の疫病大流行の後に起きた政権と信仰者の衝突は勃発するか?

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NY Post




中国政府による私有財産の没収が可能に

前回の以下の記事では、中国で、戦時統制命令という通常は「戦時下でのみ適用される」統制が始められたことを書きました。

世界は戦時下へ : 湖北省に中国史上初めてとなる「戦時統制命令」が発令される。アメリカ軍は全米でパンデミック対応作戦を展開

その後、2月15日までに、中国で戦時統制命令が発動された地域は 4カ所となったことを中国グローバルタイムズは伝えています。

また、中国広東省では、「政府による私有財産の強制的没収を可能とする」とする緊急法を施行したことが報じられていました。

2020年2月11日の香港メディアの報道より

HTK

広東省というか、これは中国政府の緊急法ということでいいのだと思いますが、新型コロナウイルス感染拡大阻止のためには、政府による私有財産の強制没収を許可するということになったようです。

以下のような報道でした。

広東省の緊急法により、新型ウイルスの流行と戦うための政府による私有財産の徴用が許可された

HKT 2020/02/11

広州および深センの市政府は、必要な場合の緊急時の対応として、家屋、施設、材料などを収用する権限を与えられた。

広東省人民代表大会の常任委員会は緊急会議を招集し、広州および深セン市政府に対し、必要な場合の緊急流行防止対策として、家、施設、資材などを緊急に要請することを直ちに承認した。政府は私有財産の徴用を許可された。

常任委員会は、緊急会議において、「広州市人民代表大会の常任委員会の決定」を採択した。伝染病の予防と制御の要請に応じて、医療と健康管理、金融の安全、輸送、市場管理、野生生物管理の分野で彼らは、一時的な緊急管理措置を実施したり決定を出す権利を持つことになった。

車両と関連施設は、流行の予防と制御に使用され、関連する企業と組織は、流行の予防と制御の材料と必需品を提供する必要がある場合がある。

なお、中国政府は、中国全土 217の医療救助団体から、総勢 2万5,633人の医師団を湖北省に派遣したと発表しています。この 2万5000人規模の医師団の派遣というのは、8万人以上の死者と、4000万人以上の被災者を出した 2008年5月の四川大地震の時に派遣された医師団の数より多いそうで、つまり中国の歴史の中で、「建国史上最大の医師団の派遣」となっているようです。

ところで、今回の新型コロナウイルスの爆発的流行の話題に隠れてしまっていたのですが、実は中国では、2月1日に大きな法律が施行されました。

それは、「宗教の禁止」に関する法律でした。

 

 

中国政府は事実上あらゆる宗教を禁止に

中国で、実質的に「宗教の排除」を意図とする法律が 2月1日に施行されたことがアメリカの各メディアで報じられていました。

この法律は、宗教省国家管理局命令第13号「宗教団体の行政措置」というもので、公布されたのは、昨年の 11月ですので、中国政府も、新型コロナウイルスが流行するなどということは予測していない時期ですが、施行が今年 2月1日だったために、印象としては、

「新型コロナウイルス流行のどさくさの中で宗教禁止令を発令した」

というように見えなくもなかったようです。

逆に、キリスト教徒的な人の中には、「こういう法律を強行したから、こんなこと(パンデミック)が起きた」というような「神の怒り」的なことを述べる人たちもアメリカにはいましたけれど、それはともかく、この 2020年 2月1日をもって、中国政府は、「実質的に中国でのあらゆる宗教を禁止とした」のでした。

先ほどのニューヨークポストの記事の概要をご紹介させていただきます。

 


中国の習近平はいかに宗教を破壊し、自分自身を神にしたのか

How China’s Xi Jinping destroyed religion and made himself God
NY Post 2020/02/01

中国では現在、カトリック教会が取り壊され続けており、十字架や彫像が剥奪されていることが知られている。聖母マリアの絵画は「人民の指導者」である習近平の写真に置き換えら続けている。中国では 2018年以来、18歳未満の若者はキリスト教の教会に入ることも許されていない。

これらは中国共産党が中国のキリスト教徒を迫害している例のほんの一部に過ぎないが、その対象はキリスト教徒だけではない。中国の極西では、100万人以上のイスラム教徒が強制収容所に収用されている。

中国の他の場所でも、数々の仏教寺院が習近平を祝福する神社に変わりつつある。中国の古代の民俗宗教である道教でさえ、中国の迫害を免れていない。1,000年以上前から存在していた道教寺院は閉鎖されており、古代の像はすべて「宗教問題」当局の命令で破壊された。

そして、その最終形として発令されたのが、2020年2月1日に施行された、「あらゆる形態の宗教活動に対する新しい制限」に関する法律だ。

この法律では、宗教の儀式の開催やその内容から、指導者や年次会合、資金などを含めて、すべてを事前に中国政府直属の「宗教問題事務所」の承認を受けるために報告されなければならない。

言い換えれば、当局の許可がなければ、聖書を教会で読むことも許されないのだ。

中国政府が承認した集会のみ開催することができるが、その宗教団体のリーダーは、共産党が承認した人物でなければならない。事実上、「宗教団体はいかなる活動も実行できない」ことが示されている。

政府は承認されない宗教施設はいつでも閉鎖することができる権限を持つ。

この「統制措置」は習近平の新しい文化革命の一部であり、その目的の 1つは、共産党が管理することのできない宗教グループをすべて排除することだ。

しかし、習近平政権には、毛沢東の文化大革命のような、さらなる野心的な目標があると見られる。つまり、中国から「宗教的な意味での神への信仰」を完全に消滅させ、その信仰を中国共産党へと、そして、「小さな神」としての習近平自身への信仰に置き換えることを目的としている。

現在の中国共産党がおこなっていることは、中国のすべてのキリスト教教会、イスラム教のモスク、道教の神社、仏教寺院を消滅させる試みに他ならない

その最終目標は、いつの日か宗教の信仰者を中国の文化的景観から完全に追放し、共産党と現在の神格化した指導者である習近平が最高位に君臨できるようにすることなのだ。


 

ここまでです。

もともと、中国でのキリスト教の弾圧は、この数年激しくなっていまして、そのことは以下のような過去記事でもふれたことがあります。

「聖書が集めて焼かれ、7000以上の十字架が破壊され…」 : 中国政府によるキリスト教への弾圧が極大化する中で「終末の日のクリスチャンへの迫害が始まった」と語る西洋の信徒たち

中国ではキリスト教徒が増え続けていまして、2010年には、中国のキリスト教徒の数は 5400万人となっていました。この年、イタリアのキリスト教徒の数は 4700万人でしたので、すでにそれを超えていました。

そのようなこともあり、キリスト教が中国政府から迫害されていることは知っていましたけれど、この記事を読みまして、イスラム教や仏教あるいは道教までもが迫害を受けていることを知りました。

いろいろと中国も大変な時ですが、この今の新型コロナウイルスの大流行が、中国のキリスト教徒をはじめとする宗教の信仰者の人たちから、

「ウイルスは神の怒りだ」

などというように思われ始めると、そちらの方でも「中国社会の不安定化」につながる可能性もあるのかもしれません。

何しろ、中国ではキリスト教徒だけで 5000万人はいると思われるわけで、他の宗教も合わせれば、「反発している勢力」はものすごい数になるような気もします。

 

 

かつての日本での宗教戦争は

なお、この「パンデミックと宗教の問題」は日本にもかつてありました。

英国のジャーナリストのデヴィッド・キースさんが記した『カタストロフィ』(邦題:西暦535年の大噴火)には、仏教が日本に入ってきてすぐの西暦 536年くらいから、日本で「天然痘と思われる病気が大流行して、おびただしい数の人々が亡くなった」ことがありました。

これは、当時の日本人から見れば、まるで「仏教と共に天然痘が日本に入ってきた」というようにうつり、あるいは「仏教を日本に入れたから、日本の神々が怒ったのだ」という考えが巻き起こったことが日本書紀に書かれています。これについては以下の記事で取り上げています。

「日本人の精神的崩壊は6世紀に始まり今完成しつつある」 : 宗教的信念はうつ病からの保護効果を持つという医学的研究から思う現代日本に根付く「病の構図」

そして、その後の日本で起きたことについて、日本書紀の記述の引用などから、デヴィッド・キースさんは以下のように述べています。

日本を含む東アジアの全域で飢饉が蔓延し、日本が仏教を部分的に認めたことについての記述の後からの部分となります。

『カタストロフィ』 東洋の悲劇より

そこで天皇は妥協案を用意した。仏教導入に大賛成の蘇我氏だけは「試しに」外国の神を崇拝してもよい、ということにしたのである。

『日本書記』によれば、蘇我氏の筆頭だった宿禰は「ひざまずき、仏像を受けて喜んだ。家に安置し、家を清めて寺とした」。

だがその後、異常事態が起こった。ひどい伝染病(おそらく天然痘)が日本で発生したのである。多くの人びとが亡くなった。日本では何世代も前から天然痘が流行したことはなかったので、免疫もほとんどなかったに違いない。

「国に疫病がはやり、人民に若死にする者が多かった。それが長く続いて、手だてがなかった」と『日本書記』には書いてある。(略)

とくに被害の大きかった地域では、住民の九割が罹患し、生き残れたのは三割だけだったと思われる。以上のような状況では、「天皇が仏教崇拝を許したことが伝染病流行の原因」と見なされても不思議はない。

仏教反対派はもちろん、日本の神々が怒ったのだと主張した。そうした神々は、現在の神道が信奉している神々と同一であり、主に五つに分類されていた。(略)

仏教と天然痘をめぐって、日本国内は意見が大きく割れたに違いない。五三〇年代に起こったさまざまな出来事は、国内に政争を招き、その後の百年の日本史をじかに左右し、日本の将来を形作った。

このように、日本もまた、過去に「宗教とパンデミックで国政が大きく変化した」という歴史を持っているのです。

中国の場合はどうなるでしょうかね。

今はこのパンデミックを終息に導くことが中国共産党の急務でしょうけれど。





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