中国政府のキリスト教への弾圧を報じる9月10日の米FOXニュース
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最近の欧米のいくつかの報道などで、現在、中国で「異常なほど、キリスト教への弾圧がエスカレートしている」ことを知りました。
たとえば、下のような報道のように、「聖書が燃やされて、十字架が破壊されている」とか、「インターネットでのキリスト教関連コンテンツの表示がすべて禁止された」とか、この9月になって、いろいろと報じられています。
中国内で十字架と聖書が排除されていることを報じる英国エクスプレス
中国でインターネット上のキリスト教コンテンツが禁止されたことを報じる米メディア
今回は、それらの状況について、「バリバリのクリスチャン」であると考えられるアメリカ人の作家の人が、最近の報道を自らのサイトでまとめて書いていたものをご紹介したいと思います。
この方は、「これはこの世の終わりに起きるとされているキリスト教徒への迫害だ」というように述べていますが、そういう問題はよくわからないにしても、キリスト教という大きな団体にとって問題なのは、
「西洋社会全体でキリスト教徒が減る中で中国では増加し続けていた」
ということだと思います。
2016年のデータでは、キリスト教信者の数の多い国は上から、
・アメリカ 2億4700万人
・ブラジル 1億7500万人
・メキシコ 1億人
・中国 6700万人
となっていて、キリスト教にとって南米と中国は、とても重要なのです。
その中で中国政府が本格的にキリスト教の排除に乗り出しているということの意味は……まあ、いろいろあるのでしょうけれど、複雑な話として思い出すのは、19世紀後半の人物で、アメリカ南北戦争時の南部連合の将軍であり、フリーメーソンの最高位にいたと考えられているアルバート・パイクという人がいて、その人が述べていたとされることです。
この人が 1871年に書いたとされる「第三次世界大戦」に関しての手紙には、
キリスト教と無神論の両方を破壊する動きが続くだろう。共に征服され、この世から消滅するのだ。
という下りがあることを、ふと思い出しました。
今の中国は「キリスト教 vs 無神論」という構図そのものとなっていて、世界に先駆けた「世界大戦の様相」を呈しているようです。
このあたりに関しては、以下の記事に記したことがあります。
いずれしにても、まずは、現在の中国のキリスト教弾圧の様子を各報道からピックアップしたそのアメリカの記事の翻訳をご紹介させていただこうと思います。
ここからです。
End Times Persecution Is Here: The Largest Country In The World Is Destroying 1000s Of Crosses And Bibles
The American Dream 2018/09/16
この世の終わりのキリスト教の迫害が始まっている : 世界最大の国家である中国は何千もの十字架を破壊し、そして聖書を燃やしている
西側諸国の多くのキリスト教徒は、終末の時代の迫害がすでに始まっていることに気づいていない。世界中のキリスト教徒たちが今、攻撃を受けている。聖書は焼かれ、教会は閉鎖され続けている。
この迫害はかなり長い期間にわたり拡大しているが、今回この記事を書くに思い至ったのは、今年、中国で目にした劇的な変化によるものだ。
最近まで、中国政府は中国の国内で盛んに行われていた「家庭内にキリスト教の教会を設ける」というの動きに関して黙認していた。ところが、この黙認の姿勢が正式に終わりを告げたのだ。
今年 2月に施行された中国政府の宗教に対する新しい規制は、キリスト教に対して容赦のないものとなっており、この規制に対して、中国共産党とナチスドイツの驚くべき相似を指摘する人たちもいるほどだ。
アメリカの FOX ニュースによれば、この新たな取り締まりの中、中国政府関係者は「十字架を破壊し、聖書を焼き、教会を閉鎖し、キリスト教徒の信者たちに自分たちの信仰を放棄する書類に署名させている」という。FOX ニュースは以下のように報じている。
中国政府は、十字架を破壊し、聖書を焼き、教会を閉鎖し、キリスト教徒の信者たちに、その信仰を放棄する書類に署名させようとしている。北京といくつかの省ではキリスト教の集会の鎮圧が強化されている。
宗教上の自由を抑圧することは、無神論である共産党への忠誠心を要求し、国の党の権力に対する潜在的な脅威を取り除くことによって、宗教を「一掃する」ための公式キャンペーンの一環だ。
これではまるで、ナチスドイツや、あるいは他の独裁政権と同じではないだろうか。
中国のキリスト教徒たちが、この中国政府に突きつけられる書類に署名することを拒否すれば、彼らは仕事を失うか、政府のすべての利益から切り離される。
英国エクスプレスは、中国当局はまた「宗教的シンボルを排除し、教会のメンバーたちを逮捕して家庭内教会を撲滅するためにキリスト教の家を急襲した」と報じている。
河南省だけで、7,000本以上の十字架が破壊されたという。
しかし、現在のアメリカでは、FOX ニュース以外の主流メディアの大部分は、この非常に重要な話について完全に沈黙しており、報じようとしない。
聖書が集められて焼かれる光景は、SNS でも見ることができるが、時間が経つごとに、その規模は悪くなっている。下の写真はツイッターに投稿されたものだ。
集められた聖書が焼かれている光景
・twitter.com
今月の始め、キリスト教の教会が襲撃された際、中国当局が十字架、聖書、教会の家具などを燃やした後に、牧師が嘆き悲しむ姿が以下のように伝えられている。
河南省南陽市の牧師は、9月5日の教会への襲撃で、十字架、聖書、教会の室内装備品が燃やされていることを確認した。牧師は、地方自治体と教会の改革について話し合っていたが、合意は得られなかったと述べている。
中国の法律によると、宗教的信者は政府認可の集会でのみ礼拝することが許されている。しかし、中国には何千万人ものキリスト教徒がおり、その人々は政府の規制を無視した地下、または家庭内に作った教会で信仰を続けている。
当局がどのような「改革」を念頭に置いているのかは知らないが、中国は基本的に、教会がジョージ・オーウェルの小説「1984」のようになること(宗教が崩壊すること)を望んでいる。以下は CBN の報道からのものだ。
中国のキリスト教徒たちからの報告によると、教会の指導者たちは、教会からイエス・キリストの絵を排除し、その代わりに中国への愛国心を示すポスターか、習近平国家主席のポスターを教会に貼るように当局から要請されているのだという。また、当局は、賛美歌を歌うのをやめ、「中国共産党の素晴らしさ」について歌うような愛国心のある歌に置き換えることを提案している。
それと共に、中国当局は最先端の人工知能ソフトウェアを使って教会の出席者を監視しているとしている。ある人物は以下のように述べている。
「以前、北京のある牧師が当局からこう言われました。『あなたが教会での教えを続けるのならば、私たちは教会に集まる人たちを監視するためのカメラを設置するつもりだ。その顔認識ソフトウェアは、誰が教会に来るのか、彼らが何をしているのか、どのようにキリスト教と関わっているのかを私たちに知らせることになる』と」。
このようなことを公にされた場合は、その教会に行きたいと思う人はいなくなるだろう。これは明らかに終末の迫害であり、それは悪化してくばかりだ。
それ以外にも、中国政府はインターネット上のあらゆる信仰を禁止している。下は、アメリカのメディアの記事だ。
これらの攻撃(教会やキリスト教徒たちへの実際の攻撃)に加えて、中国政府は宗教に関連するオンラインコンテンツに厳格な制限を導入した。
宗教的活動のイメージや説明は大部分が禁止されているが、政府からのライセンスを取得した団体の場合を除き、共有することができる種類の宗教的コンテンツは限られている。
テレグラフの報告によれば、「個人は、宗教活動に関する写真やビデオ、テキストをインターネット上に投稿することや宗教的内容と関連するコンテンツへのリンクを共有することが禁じられている」のだという。
このようなことは、中国だけではなく、たとえばアメリカ国内にしても、私たちキリスト教徒が戦わなければ、いつでも起こり得ることでもある。
現実に、キリスト教徒への迫害は、中国だけではなく、他の各地においても増加している。
8月には、エジプトでキリスト教徒の共同体の村が数百人の地元民たちにより襲撃され、家に火がつけられたことが報じられている。
エチオピアでは、イスラム教過激派によって合計 69の教会が焼かれた。
キリスト教とキリスト教徒たちへの憎悪が地球上で急速に増大しているのだ。
私たちは、各国の政府に、キリスト教徒への迫害をやめるよう圧力をかけるためにできるすべてのことをするべきだが、それでも、最終的には迫害が拡大し続けるのではないかと思われる。
もちろん、これは私たちキリスト教徒にとって悪いことばかりではない。過去の例からも、キリスト教への迫害は、その信徒たちに、常に「神の民」としての最高のものを引き出してきているからだ。その意味で、教会は前進し続けていると私は考える。
今は、世界中の迫害されている兄弟姉妹たちのために祈ることを呼びかけたい。そして、次に、いつ私たちが迫害を受けるかわからないことを考えても、進行している巨大な迫害のために各々が準備してほしい。
ここまでです。
この記事の中で、牧師さんが中国当局から、
「イエスの画の代わりに、習近平国家主席のポスターを教会に貼るように」
と言われたということには、やや苦笑しましたが(それでは、すでに教会ではないので)、そういうようことが、おそらく中国の特に都市部の広い範囲で行われているようです。
記事にリンクされている中国人の信者の方や牧師さんの苦悩はかなりのものであることも何となくですけれど、わかります。
かつての日本の、「踏み絵」みたいなものが信者たちに求められているようなのですね。
なお、最近の中国のキリスト教徒の増え方はかなりのもので、今から 8年ほど前の過去記事を見ますと、以下のような記述がありました。
中国のクリスチャンの数は、すでにイタリアより多い
キリスト教は中国国内で急速に拡大しており、2010年現在、中国には約 5,400万人のキリスト教徒がいる。比率は、プロテスタントが 4,000万人で、カトリック教徒は 1,400万人だ。
対して、人口 6000万人のイタリアでは、現在では、その約 79パーセントのみがクリスチャンであり、現在のイタリアのクリスチャンの数は 4,740万人だ。
中国のキリスト教徒の数はすでにイタリアの信者の数を越えている。
それが、今は 7000万人に近づこうとしています。
確かにその数はものすごいものですが、しかし、多くの中国人は、この「中国式の弾圧」に従うしかないのだろうなとも、やや思います。
というのも、今年の 4月の以下の記事でご紹介しましたように、現在の中国では、「世界一のデストピア的な管理社会」が完成しようとしています。
未来世紀チャイナが作り出す中国式デストピア : 人々はシミュレーションゲームのような「変動するポイント制度」による信用システムの中で生きていく
現在の中国では、社会体制から「ポイントを減点」されると、あらゆる場面で不利となるようになっているようなのです。
それは進学や就職から、ついには「パスポートの発行もされない」という烙印を押されてしまうということがあるようなのです。なお、現時点で、中国当局からそのような「社会的不適合者」とされた人の数は 700万人いるとされています。
中国政府が本気でキリスト教を排除しようとしていて、そしてこの「ポイント制」を厳密に適用すると、中国のキリスト教の信者数である 6000万人以上の人が、「生きてく上でとても不利になる」という烙印を押される可能性があります。
聖書でいう「ヨハネの黙示録」の下のような「〇〇をしなければ、何もできない」という社会が、中国ではすでに比較的完成しつつあるということなのかもしれません。
新約聖書「ヨハネの黙示録」 13章16-17節
また、小さな者にも大きな者にも、富める者にも貧しい者にも、自由な身分の者にも奴隷にも、すべての者にその右手か額に刻印を押させた。
そこで、この刻印のある者でなければ、物を買うことも、売ることもできないようになった。この刻印とはあの獣の名、あるいはその名の数字である。
昔は夢物語だったこのような概念も、コンピュータ管理とカード社会の完成によって「社会的に認められていなければ、物を買うこともできない」というのはとても現実的なこととなりつつあります。
今では、聖書の時代にはなかった、顔認証ソフトウェアとのテクノロジーの融合で、「人間を動物のように管理する」ことが、かなり確実にできるようになったということもあり、十数年前まではSF映画のネタでしかなかった社会が、現実となっているようです。
そんな中で、本格的に乗り出した中国の「キリスト弾圧」がどのような形で進展していくのだろうなとは思います。
信者側が「無抵抗」で物事が進展するようなら、「当局の勝ち」ということになりますが…。
なお、日本はかつて 300年間(大体 1587年 - 1873年)キリスト教を国から排除した歴史を持っています。その際の日本社会は、少なくともデストピア的なものではなかったですが、中国はどのようになるのですかね。