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2019年からの世界 中国という国

アフリカ豚コレラによる被害額が15兆円を超え、豚肉価格が85%上昇している中国で、遺伝子操作により作り出される体重500キロを超える「巨大な豚」たち

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2019年10月7日のブルームバーグより

Bloomberg




食のディストピア

アフリカ豚コレラの流行については、日本でも大きな問題となっていますけれど、中国での感染拡大はものすごいものであり、すでに、昨年以来、中国国内で飼育されていた豚のうちの「半数が殺処分」されていまして、頭数としては、1億頭に達するとされています。

直接的な経済被害は、すでに 1兆元(15兆円)に達していると中国の財界メディアは述べています。

下は、国際獣疫事務局(OIE)に対して、アフリカ豚コレラの発生が報告された地点を示したものです。アジア全体に広がっていますが、中国の流行状況は壊滅的ともいえます。

アジアでのアフリカ豚コレラの発生場所

アジアでのASFの発生

このアフリカ豚コレラは、発生したどの国でも大きな問題となるものですが、中国が他の国と違うのは、「豚肉の消費量が圧倒的に多い」ことにあります。

そんな中で、現在、中国国内の豚肉の価格が急激に上昇していると共に、

「2020年には、中国で 1000万トンの豚肉が不足する可能性がある」

ことを中国政府が述べています。

この 1000万トンというのは、ブルームバーグによれば、全世界で取り引きされる豚肉の取引量を上回る途方もない数でして、そのような「食糧難」が、現実に起きようとしています。

2011年からの中国の豚肉価格の推移

Global AgriTrends

先ほどのように、今後 1000万トンもの豚肉が不足する可能性があるということは、中国での豚肉価格の上昇もさらに過激化する可能性があり、食糧供給の不安定化は、政治の不安定化ともつながるだけに、さまざまな懸念があるようです。

現在、中国共産党では、

「豚肉の供給と価格の安定化は、重要な政治的課題」

だと宣言するほどで、香港の問題より大きくなる可能性があると言う政治家がいるほどです。

そうはいっても、先ほど書きましたように、14億人の人口を持つ中国での豚肉消費量はあまりにも巨大で、その不足分の豚肉を供給できる国などありません。

以下は、1年間の豚肉の生産量の比較ですが、中国はもう圧倒的です。

2017年の豚肉生産量の比較

USDA

このグラフを見て、

「中国の豚の半数が殺処分された」

ことを改めて思いますと、ものすごいことが起きていることがわかります。

中国の豚の半数が殺処分されたということは、その数は EU全体の豚肉生産量と同じほどということになり、そして、そのような量が「それまで中国国内で消費されてきた」ということでもあり、人口の多さだけではなく、とにかく中国の人はよく豚肉を食べるということもわかります。

それが不足しているわけですから、問題も増えてくるのでしょうね。

そのような中で、

「中国で豚を巨大化している」

という報道がブルームバーグで報じられていました。

巨大化する方法は、各農家で異なるようですが、大手のテクノロジー企業では、遺伝子レベルの操作からの方法をとっているところもあるようです。

ブルームバーグの報道をご紹介します。


China Is Breeding Giant Pigs That Are as Heavy as Polar Bears
Bloomberg 2019/10/06

中国でホッキョクグマと同じほどの体重のある巨大ブタが育て始められている

中国南部の奥深くにある農場では、ホッキョクグマと同じほどの体重がある非常に大きな豚たちが育てられている。

上の写真の、人が背中に乗っている豚の体重は 750キログラムに達している。

この豚は、500キログラム以上の体重の豚になるように育てられている中の一頭だ。これらの巨大な豚は、食肉として売られる際は、一頭 10,000元 (約 15万円)の価格がつけられるという。この 10,000元というお金の価値は、比較すれば、広西省の州都である南寧の人たちの平均月収より高い。

この農場で育てられている豚は、農家の人々が、中国の豚肉不足問題を解決しようとしている中での極端な例かもしれないが、世界で元も豚肉を多く消費する国家である中国では、豚のサイズは大きいほうが良いという考え方が広がりつつある。

中国吉林省でも豚肉価格の高騰により、農家の人たちは、一頭の豚の平均体重を、通常は 125キログラムほどのものを、175キログラムから 200キログラムにまで大きく育てるようになっている。地元の養豚農家の話では、多くの養豚家たちができるだけ豚を大きく育てたいと考えているという。

ここまで紹介した農場は、どこも小規模な農家だが、しかし、この「豚を巨大化する」という傾向は、小さな農家に限定されていない。

中国で養豚のトップ企業である「中粮肉食控股有限公司 (Cofco Meat Holdings Ltd)」と、「北京大北農科技集団 (Beijing Dabeinong Technology Group Co)」は、遺伝子技術で、豚の平均体重を増加せようと試みている。

現在、一部の大手の養豚場では、豚の体重を平均 14%上げることを目標としており、すでに、通常の約 110キログラムから、140キログラムに上げることができているという。これは利益を 30%以上押し上げる可能性があるとアナリストは言う。

現在、中国で猛威を奮うアフリカ豚コレラは、中国の養豚業界に絶望的な影響を与えているが、巨大な豚はこのような中で生まれている。

豚コレラでは、中国国内の豚の半数が殺処分され、豚肉価格は急激に上昇した。そのため、中国政府は、豚肉価格の上昇を抑えるために、農家に対して豚肉の生産量を上げるように促し続けている。

中国国務院副総理の胡春華氏は、2020年前半までの豚肉の供給状況は「極めて厳しくなる」と警告した。胡氏によると、中国は今後、1000万トンの豚肉不足に直面する可能性があるという。これは、全世界で取り引きされている豚肉の量を上回る量だ。

最近、山東省、河北省、河南省の主要畜産省を訪問した際、胡氏は地方自治体に対し、来年は、豚肉の生産量を通常のレベルに戻すことを目標に、できるだけ早く豚の生産を再開するように促した。

それでも、多くの中国の農民たちは、これまでの豚コレラ流行による痛手の経験から、豚を補充することに警戒感を示している。また、現在、子豚と種豚の価格が急騰しており、それが小規模養豚家たちが経営を再建させることを、さらに困難にしているという。


 

ここまでです。

そういえば、やはり今日(10月7日)のニュースで、「ゲノム食品」という言葉が使われた報道を見かけました。日本国内のニュースです。

ゲノム食品、年内にも食卓へ=安全審査、表示義務なく

時事通信 2019/10/07

遺伝子を効率良く改変できる「ゲノム編集」技術を使った食品について、開発者が国へ届け出る制度が今月から始まり、早ければ年内にもゲノム編集食品が流通し、食卓に並ぶ見通しとなった。

一部については安全性審査が義務付けられておらず、国への届け出や食品への表示も販売側の任意とされており、安全性について懸念する声も上がっている。

これらは、遺伝子組み換えではないもの( DNAを特定の場所で切断したりするような改変など)については、表示義務がないそうですので、こういう食べものも、実際にもうじき出回ることになります。

そして、中国の巨大化した豚のような改変を受けた肉なども、いつかはお店に並ぶ時も来るのかもしれないですけれど・・・遺伝子操作をして巨大化した動物を食べるのって大丈夫なことなんですかね。食べた人間も巨大化したり・・・はないですかね。

「食」については、最近は混沌とした感じも大きくなっていますけれど、自然環境の悪化や、豚コレラのような感染症の増加などに従って、そういう「作られた自然の食べ物」はさらに増えていくことになってくのかもしれません。





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