2019年5月10日 雹で埋め尽くされたロシアのエカテリンブルグ
2019年5月10日 メキシコのモンテレイに降った雹のサイズ
現在のアメリカでの雹による被害額は毎年「2兆円」以上
さまざまな気象の中でも、雹 (ひょう)というのは特に印象深いものですが、雹はこの数年、特に一昨年あたりから世界各地で急激に激しくなっていまして、ブログでもたびたび取り上げてもいました。
最近は、以下のような記事でもふれています。
虹が神と人間の契約なら雹(ひょう)の意味は? 皇居にかかった二重の虹と、ローマに降り落ちた異常な雹嵐を見て思う、最近の自然を介した示唆
その雹が、この 5月9日から 11日に、
「まるで全世界でいっせいに降り落ちたような状態」
となっていたのですね。
もちろん、全世界というのは大げさな表現ですけれど、北半球も南半球も、そしてアジアでもアメリカでもヨーロッパでも、どこでもここでも、この 3日間は雹の報道や投稿が殺到していました。
後でそれらの概要をご紹介したいと思いますが、特に驚いたのは、ロシアのエカテリンブルグというロシア中央部にある都市が「雹で埋め尽くされた」という出来事があったことでした。冒頭の光景は動画で撮影されていまして、下がその様子です。
2019年5月10日 ロシア・エカテリンブルグ
https://youtu.be/oLW17c00bNU
ロシアでも、雹が降ることはあるでしょうけれど、まだ 5月にロシアがこのような雹嵐に見舞われたという光景は、おそらく初めて見ました。
このような光景が、その 5月9日から 11日にかけて、世界を駆け巡っていたのですね。
どの雹嵐も非常に激しいもので、また、最近は「雹のサイズが大きい」のです。
5月9日 メキシコのヌエボ・レオンに降った雹の大きさ
・Nuevo Leon Mexico , May 9, 2019
果物か何かを「はいどうぞ」としているような感じのサイズですが、こういうようなものが「大量に空から降ってくる」わけですから、いろいろと被害は出ます。
4月には、インドとパキスタンを襲った嵐による雹と豪雨で 103名の方が亡くなったという出来事が報じられていました。
昨年までのブログでも、「世界中で急激に雹嵐の規模と被害が大きくなっている」というようなことを何度か記したことがありましたけれど、
「 2019年はさらに激しくなっている」
と断言できると思います。
先月のアメリカの CBS ニュースによれば、アメリカでは、2017年が最も雹による被害が多かったそうですが、今年 2019年は、すでにそれを超え始めているのだそうです。
その 2017年の雹による被害額は、保険の支払い額のベースで、何と「 2兆4千億円」だったとか。
雹被害の急激な増加を報じるアメリカCBSニュース
・CBS
この記事の概要をご紹介しておきたいと思います。
面白いのは、この記事の中にミュンヘン最大の保険会社の調査が記されているのですが、
「 21世紀に入ってから雹嵐による顕著な被害が出現し始めた」
ということになっていることでした。
もちろん、それ以前にも、雹はどこでも降っていたでしょうけれど、「こんなに大きな被害を出し始めたのは、21世紀になってから」なのです。
Are hailstorms getting worse in U.S.? Why 2019 could produce record damage
CBS 2019/04/19
アメリカでの雹嵐が悪化している? 2019年は記録的な雹の被害が生じる可能性がある理由
2017年は、アメリカの歴史で最悪の雹(ひょう)が発生した年だったが、2019年は、すでに「それを越えてきている」と保険の専門家は言う。
雹は現在のアメリカで、住宅、車、作物、人的被害などへの損害で、年間 220億ドル (2兆4000億円)もの損害を与えている。
降る雹は、野球ボールのサイズが一般的だが、今年、アメリカで降った最大のものはグレープフルーツほどの大きさだった。雹はサイズが大きいほど、スピードも速くなり、野球ボールサイズの雹は最大で 170kmほどの速度で落ちてくる。
アメリカ南部では今年、複数の激しい天気の中で幾度となく雹が発生し、すでに 23人が死亡している。
雹では、物的な損害が壊滅的なものになる場合がある。雹の被害において、これまでの最悪の年である 2017年では、米国ビジネス&ホームセーフティ保険協会(IBHS)によると、米国は 220億ドル (2兆4000億円)の損害を被った。
これは平均的なハリケーンの被害のコストを上回っているが、雹は一度に大きな被害を出すのではなく、アメリカ国内のさまざまな地域で個別に発生するために、雹がこれほどまでに大きな被害を出していることは知られていない。
雹によってダメージを受けた住宅の修理も高価なものとなることが多く、家の修復が完了するまでには平均 5か月かかる。
気象学者によると、大気中の水の量が増えると雹の量が増える可能性が高いとのことだが、雹が降る量や、被害の程度を予測することは難しい。
世界最大の再保険会社の1つ、ミュンヘン再保険社によれば、世界全体として雹嵐をもたらす「対流性暴風雨」が数多く発生し始めたのは 21世紀初頭からだという。
2017年と 2018年は、世界的に大規模な暴風雨による被害が続いたが、21世紀に入ってから 2014年までに雹による被害は着実に上昇し続けていたという。
ここまでです。
現在、世界中でごく普通になってきている激しい雹嵐による被害というのは、基本的には、 21世紀になってからのものだということが、ある程度わかります。
そういえば、過去記事で、「山火事は 21世紀の災害」だということを以下の記事で記したことがあります。
そこに、アメリカの 50年間の山火事での被害総数の推移のグラフを載せていますが、「 21世紀とそれ以前は桁違い」であることが示されます。
このグラフは 2010年までですが、それ以降も飛躍的にアメリカの山火事の被害は増加し続けています。おそらくですが、昨年 2018年が、アメリカでのも史上最悪の山火事被害となっていたのではないかと思われます。少なくとも、過去最悪に並ぶほどではあるはずです。
雹に関して、このようなグラフを作成しても、ある程度同じような曲線になるかと思います。
水と氷の災害である雹と、炎の災害である山火事は、共に 21世紀という時代を象徴する災害ではあるといえるようです。
雹に関しては、旧約聖書の出エジプト記に以下のようなくだりがあります。
出エジプト記 09章 23-24節
モーセが天に向かって杖を差し伸べると、主は雷と雹を下され、稲妻が大地に向かって走った。主はエジプトの地に雹を降らせられた。
雹が降り、その間を絶え間なく稲妻が走った。それは甚だ激しく、このような雹が全土に降ったことは、エジプトの国始まって以来かつてなかったほどであった。
今の時代、つまり 21世紀というのは、この中のいくつかの言葉を他の言葉にかえるとわかりやすいのかもしれません。
このような雹が地球に降ったことは、文明史が始まって以来かつてなかったほどであった。
そして、この 5月9日から 11日の 3日間は、まさに「かつてないほどの規模で、世界中で雹が降りまくった」のでした。
この 3日ほどの間に発生した激しい雹嵐のうちのほんのいくつかをご紹介させていただきます。
2019年5月9 - 11日 地球が雹の攻撃を受けた日
5月10日 雹に覆われたオーストラリア・ケイプ・パターソンの海岸
5月10日 雹で覆われたイタリア・ミラノにあるマルペンサ空港
5月10日 爆撃のような雹が降った米ルイジアナ州のサルファーの様子
5月10日 激しい雹嵐の中のメキシコ・モンテレイ
5月11日 パキスタンのパンジャブに降った雹のサイズ
5月11日 ロシアのロデイノイェポリェが雹嵐に見舞われる
5月10日 米テキサス州に降った雹のサイズとその形
このあたりまでとさせていただきます。
これらのような事象や光景を「黙示録的」と表現していいのかどうかはわかりませんけれど、しかし、21世紀に入ってからの、たった 20年ほどの間のこれほどの気象の急激な変化というものは、
「現実の生活への影響という意味では、十分に黙示録的」
ではあると思います。
何しろ、アメリカだけで、毎年 2兆円などという規模の経済被害を出しているわけで、世界全体で雹嵐が増加していることを考えますと、地球規模での経済的被害や人的な被害は壮絶なものとなっているはずで、そして現状の気象状況を見れば、この雹による影響は今後も拡大する一方であることは間違いはないはずです。
まあ・・・やっぱり今は「純粋な黙示録の時代」なのかもしれないですね。