機能獲得研究がもたらすいくつかの可能性
アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の元所長が、鳥インフルエンザの「機能獲得研究」について、厳しく警告を発していることが報じられています。
機能獲得研究とは、ウイルスにさまざまな機能を獲得させるために「ウイルスをいじくり回す」研究ですが、最も多く行われていると考えられるのが、
「伝染性または致死性を変更する」
ものであり、そして、さらに具体的には、
「動物の間でだけ感染しているウイルス株をヒトにも感染させられるようにする」
というものです。
なぜ、そんなことをするのかというと、科学者たちの大義名分は、「実際にそのように(ヒトに感染するように)なった場合に、予防や治療などの手段に結びつけられるようにするため」ということになっていますが、元CDC所長のレッドフィールド博士という方は、「それは大変に危険だ」と述べていまして、そして、
「機能獲得研究が繰り返されていると、鳥インフルエンザによるパンデミックにつながりかねない」
と述べています。
鳥インフルエンザのパンデミックに関しては、たとえば、WHO のパンデミック条約のようなものと絡んで、やや陰謀論的に語られることもありますが、それはそれとしても、
「機能獲得研究が、新たなモンスターウイルスを作り出す可能性は否定できない」
とは本当に思います。
コロナの時も、パンデミックより 20年も遡る頃から「コロナウイルスの機能獲得研究」が行われ続けていました。
今から 4年前のこちらの記事にそのタイムラインを書いていますが、機能獲得研究の項目をピックアップしますと、以下のようになります。
新型コロナのパンデミックまでの機能獲得研究の歴史
2002年
・11月: 米ノースカロライナ大学の研究者であるラルフ・バリック博士が、ウイルスの機能獲得研究において「画期的な研究」を発表した。それは「天然のマウスのコロナウイルスの合成クローンの作成について」のものだった (論文)。2003年
・10月28日: ノースカロライナ大学のバリック博士の研究グループによって、 「以前には説明されていない」SARS コロナウイルスの合成を説明した。2020年の論文では、バリック博士のウイルス学者チームは、自然ウイルスから合成クローンを作成し、その結果、コロナウイルスに対して遺伝子組換えを行うことができることを示した。2011年
・12月30日: 国立アレルギー感染症研究所所長アンソニー・ファウチ博士は、鳥インフルエンザウイルスに関する機能獲得研究を推進し、その研究はリスクに見合う価値があると主張した。しかし、このリスクは他のウイルス学に精通した研究者たちに懸念を生じさせた。2015年
・パンデミックを防止する目的で組織された非政府組織エコヘルス・アライアンスは、「コウモリのコロナウイルス出現のリスク」に関する機能獲得研究を実施した (論文)。・アメリカ国立アレルギー感染症研究所が、コウモリのコロナウイルスが存在する現場でのサンプル収集と分析の大部分を行っていた中国武漢ウイルス研究所に助成金を贈る。
・9月24日: ノースカロライナ大学のバリック博士が、キメラコロナウイルス(遺伝子構造が作り替えられたコロナウイルス)のスパイクタンパク質の作成に関する特許を取得 。
・11月9日: 武漢ウイルス研究所の石正麗(シ・ツェンリ/ 中国の著名なコロナウイルスの機能獲得研究者)は、「機能獲得ウイルス学論文」として最も有名な合成キメラコロナウイルスに関する論文を科学誌ネイチャーに発表 (論文)。
2017年
・武漢ウイルス研究所の石正麗は、科学誌で 8つの新しい合成コロナウイルスの作成について説明した論文を公開した (論文)。
タイムラインの全体は以下の記事にあります。
・21世紀という時代は「ウイルスの機能獲得学」を巡ってウイルス学者たちとゲイツ財団が共に進んだ人類統制のためのパンデミックへの道だった(かもしれない)
In Deep 2020年5月24日
まあ、このタイトルにある「人類統制」とかの概念が存在していたとしても、していないとしても、
「機能獲得研究は純粋に危険なもの」
であることは間違いありません。
特に、高病原性鳥インフルエンザのように、ヒトに感染した場合、わりと重大な致死率にいたるようなものの「伝染性を変化させる」というのは、一種狂気の沙汰だとも思います。
何しろ、根底に陰謀的な観点があろうがなかろうが、
「人間は失敗する」
という特性を持つからです。
単純なところで、「研究室からの漏洩」ですが、あるいは、改変したウイルスが予期せぬ変異を行い出したりといったようなこともないではないとは思います。
いくら人為的に手を加えたものでも、ウイルスはもともと自ら変異していく性質を持つものですので、何がどう変化していくのかは実は誰にもわからない。
単に「ヒトに感染するようになりました」というところで研究が停止されたとしても、そのウイルスがどう進化していくのかはわからない。
結局、これに関しても「どうするべきか」という結論は、はっきりしています。感染症にまつわる他のさまざまと、まったく同じです。
それは、
「最初から何もしない」
ということです。
オリジナルのウイルスには一切人為的に手を加えないという原則です。
「他のさまざまとまったく同じ」というのは、たとえば、コロナが流行した際の「感染対策」というものがありましたが、あんなものも「最初から何もしない」に勝るものはなかったわけです。
予防医学もそうです。
ありとあらゆる歴史上の感染症の歴史を数字とグラフで見ますと、
「どんなものであっても、時間の経過と共に消えていく」
のです。
以下の記事で少しふれています。
・麻疹の歴史に見る「ワクチンの威力」。そして、感染症の流行を制御できるのは自然の成り行きだけ、と改めて思う
In Deep 2024年2月13日
これは、ウイルスが弱くなっていくということではなく、人間のほうが(特に生き残ったほうと、その遺伝子が)それらの病原菌に対して何の問題もないものとして強化されるということです。いわゆる(生き残らなかった人たちの)淘汰のような形を取りながらウイルスの存在自体が減少していくのですが、そのような経過を辿った場合、その後の歴史にまったくその感染症のしこりは残りません。
過去のグラフを見ますと、本当に「これらの疾患は地上から消えていく」のですが、それはウイルスのほうから消えたというより、歴史の流れと共に(生き残った)人間が強くなったということです。
そして、生き残った者たちの遺伝子が次の世代に引き継がれていくのです。
感染症が流行した場合は、
「最初から何もしない」
という選択が、その後の人類社会のことを考えると最適なはずです。
しかし、医療介入が一般的になった現代では「人為的に介入することが当然」となっている。
その状況の中、次々と新しい感染症が登場し、感染症とは関係ないさまざまな病気も増える一方です。
さまざまな病気が増えると、当然、「そこに医療介入する」という永遠の輪廻が繰り返されているだけなのです。
どこまでその輪廻が続くかというと、個人でいえば、「その個人が亡くなるまで」であり、社会全体でいえば、「社会が完全に機能しなくなるまで」続くことになるのだと思います。
今その渦中にいることは間違いないですが、前回の記事でも書きましたけれど、医師…というより、医療従事者の「医療信仰」が消えることはありません。この世の他のどんなカルトよりも強固に心の中に根付いています。
変わることができるとすれば、受け手の私たちのほうです。
ともかく、陰謀や策略を別にしても、「機能獲得によってヒトへの感染性を獲得した高病原性の鳥インフルエンザ」のアウトブレイクが近づいている可能性はあります。
現在、鳥インフルエンザの機能獲得研究が、さまざまなところで行われている以上、いつかはその株が「外へと抜け出していく」ことは避けられないと思われます。これまでの「研究室からの漏洩」の多くの歴史がそれを示しています。
そのパンデミックが、コロナのような偽りの部分の多かったパンデミックとは異なるかどうかを知るのは非常に簡単なことで、
「実際に社会や周囲で人がバタバタ死亡しているかどうか」
だけでわかります。
2年前に厚生労働省が各地方自治体に通達を出した「広域火葬計画」のようなことを実施せざるを得ない状況になるかどうかでわかります。
2022年2月7日に発行された厚生労働省部局からの事務連絡
厚生労働省
内容については、上の厚生労働省のリンクに書類もありますし、以下の記事では全文おこしています。
・戦時そのもの: 厚生労働省部局が各都道府県に通達した「オミクロン株の感染流行に対応した広域火葬計画の整備について」という事務連絡
地球の記録 2022年2月13日
コロナの流行期の文書ですのに、ここに、
> 新型インフルエンザ等の感染症のまん延時においても…
とあることは注目できます。
あるいは、現在も続いていると見られる「社会全体の免疫低下」の中で、高病原性鳥インフルエンザのようなものが出てきた場合、一体どうなるのかという懸念もあります。
北半球はこれから夏に向かいますので、本来的にはインフルエンザ関係の流行の季節ではないのですが、コロナウイルスも「新型」の前のコロナウイルスの流行は、非常に「温度に依存」していたものでした(気温が低いと感染が拡大する)。
しかし、オミクロンあたりからは「気温は何も関係なくなった」ことがあります。真夏の感染流行、あるいは気温の高い国や地域での大流行が何度起きたことか(夏などの流行の一部には、ワクチンによる ADE / 抗体依存性感染増強の影響もあったかもしれないですが)。
ともかく、何が起きても、どんな状況下であっても、医療介入と予防医学が役に立つことは「ない」ということを厳然と認識することだけが、混乱に巻き込まれない上で最も重要だと思います。
医療介入を受けて死ぬか、医療介入を受けないで死ぬかという選択は、どこかガンとも似ています。
ここから、 CDC 元所長の発言について報じていた米エポックタイムズの記事です。
元CDC所長、鳥インフルエンザの機能獲得研究が「大パンデミック」を引き起こす可能性があると警告
Ex-CDC Director Warns Gain-of-Function Research on Bird Flu Could Spark ‘Great Pandemic’
Epoch Times 2024/05/13
2023年3月8日、ワシントン州議会議事堂で議会で証言する CDC の元所長ロバート・レッドフィールド博士。
アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の元所長であるロバート・レッドフィールド博士は、ウイルスの機能獲得研究の危険性について厳しい警告を発し、科学者たちが鳥インフルエンザウイルスの感染力を高めることをいじくり回していることが、結果的にどうなるかを予測しており、これが次の「大パンデミック」を引き起こす懸念があると述べた。
レッドフィールド博士は過去に、新型コロナウイルス感染症の起源論争の中心である中国の武漢ウイルス研究所の機能獲得研究に資金を提供するために米国の税金が使われることを激しく非難したが、再びウイルスの危険性について警鐘を鳴らしている。博士は、この危険な科学実験は大失敗に終わると警告している。
ニュース・ネーションでの最近のインタビューで、レッドフィールド博士は、病原体の毒性などの特性を改変することを含む機能獲得研究の一時停止を求めたウォール・ストリート・ジャーナルに最近書いた論説を引用した。これは、ウイルスの機能獲得研究が人間の健康に対する潜在的な影響を述べたものだ。
機能獲得研究の支持者たちは、その目的は、ウイルスがどのように挙動し、拡散するかをよりよく学び、科学者たちが、より効果的な対策を立てるのに役立つと主張している。
しかし、反対派たちは、機能獲得研究はウイルスの致死性を高めるため、そのような研究がもたらすリスクの方が潜在的な利益を上回っていると主張している。
レッドフィールド博士はニュース・ネーションに以下のように語った。
「そのような研究は行われるべきではないと思います。それが本当の脅威となり得ます。それこそが本当のバイオセキュリティの脅威なのです」
「これらの大学の研究室では、ウイルスを意図的に改変するバイオ実験を行っています。そこで研究者たちは、ウイルスにどうすればより良く人間にも感染するかを教えているのです。これが、鳥インフルエンザの大パンデミックの原因になってしまう」
レッドフィールド博士の発言は、一般に鳥インフルエンザとして知られる高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)H5N1ウイルスが乳牛で複数の州で発生している最中に発表された。
アメリカ国内家畜におけるHPAIの確認症例(10州)
USDA
(※ 参考記事)米国で小売りされている牛乳サンプルの20%が「高病原性鳥インフルエンザ検査に陽性」(BDW 2024/04/27)
アメリカ農務省(USDA)によると、5月13日の時点で、アメリカ 9州の 42の乳牛群でウイルスが検出されている。このウイルスによる人への感染例は 1件のみ報告されている。
鳥インフルエンザの機能獲得研究とは
レッドフィールド博士は、ウイルスが人間に感染するためには自然の突然変異を通じて乗り越えなければならない「かなり重い」種の壁(5つのアミノ酸の変化からなる)があるとしながらも、その壁は人間の介入によって簡単に消去できると述べた。
レッドフィールド氏は、科学界の人々に対して、鳥インフルエンザウイルスの機能獲得研究を拒否するよう促しながら、「実験室では、数カ月以内に人間への感染力を高めることができた」と述べた。
レッドフィールド博士の警告は、アメリカの心臓専門医のピーター・マッカロー博士の同僚たちが投稿で、アメリカ農務省が鳥インフルエンザウイルスの「連続継代」を含む研究に関して2021年から中国科学院と協力していると主張してからわずか数週間後に発せられた。
(※)「継代」とは、植え継ぎとも呼ばれ、培養系から培地を除去し、細胞を新しい培地に移す操作を指し、細胞系および細胞株がさらに増殖することを可能にする方法。thermofisher.com
「連続継代は、加速度的に自然な人獣共通感染症のジャンプ(動物だけに感染していたウイルスが人間にも感染するようになる)を模倣し、異なる種間の伝播性の強化につながるため、機能獲得研究とみなされます」とジョン・リーク氏とニコラス・ハルシャー氏は書いている。
「この方法には、人為的に新しい病原体を野生に持ち込んだ歴史があります」
リーク氏とハルシャー氏は、鳥インフルエンザウイルスに関する農務省の研究の大部分は、ジョージア州アテネにあるアメリカ国立家禽研究センター南東家禽研究所の施設で行われていると述べた。
アメリカ農務省と中国科学院の協力による鳥インフルエンザウイルスに関する進行中の研究プロジェクトの一つは、家禽研究所施設での「生体内チャレンジ研究」の実施であり、それは、鳥インフルエンザウイルスを生体(通常は動物)に導入し、その行動、ウイルスによって引き起こされる免疫反応、複製のダイナミクス、病原性を観察することだ。
リーク氏とハルシャー氏は、2021年の「この機能獲得の試み」開始から数カ月後、米国の野鳥に新たな H5N1ウイルス(クレード2.3.4.4b)が出現したという。これは、現在の流行株だ。
多くの研究者は、現在の H5N1ウイルスはアジアからの野生の渡り鳥によって北米にもたらされたと主張しているが、リーク氏とハルシャー氏は、「それは疑わしい」と述べ、家禽研究所施設で漏洩があった可能性について調査するよう求めている。
「ジョージア州アテネの家禽研究所施設やその他の施設で、実験室で改変された H5N1型鳥インフルエンザ株の流出につながる可能性のある実験室漏洩がなかったことを確認するために、緊急の調査が必要だ」と彼らは書いている。
私たちはアメリカ農務省に対し、レッドフィールド博士の警告や、鳥インフルエンザウイルスの機能獲得研究に関する家禽研究所研究を農務省が考慮しているかどうかについてコメントを求めている。
一方、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、鳥インフルエンザが人間の間で広がり始めるシナリオを準備している。
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