地球最期のニュースと資料

In Deep

★ メルマガに関して、「まぐまぐ大賞2019」の投票が始まりした。昨年は、新人賞というのをいただきましたが、今年も投票していただければ幸いです。投票期間は12月3日までです。投票はこちらのページの「このメルマガをまぐまぐ大賞2019に推薦する」から行うことができます。メルマガ読者様でない方も投票できますので、よろしくお願いいたします。 In Deep オカ

アメリカの憂鬱 人類の未来 資本主義の終焉

アメリカで農家の破産が増加中。しかも農業従事者たちは46兆円という過去最大の借金を積み上げており、「農家の破綻の連鎖」の一触即発状態に

投稿日:

2019年9月までに連邦破産法を申請した農家の地域ごとの昨年比


AFB




記録的な気象に貫かれた1年の中で

米国最大の農業圧力団体「アメリカ・ファームビューロー連合 (AFB)」が、今年のアメリカの「農家の破産」が、前年比で夥しく増加していることを発表していました。

アメリカで破産した農家の数(アメリカ合衆国連邦破産法が申請された数)は、9月までに 580件にのぼり、前年比で 24%の増加だそうです。

遡れば、今年のアメリカは、春までの激しい寒波から中西部などの大洪水によって、作物の植え付けが大幅に遅れ、トウモロコシや大豆などにおいて収穫量の不足が予測されていました。これは、6月の以下の記事で取りあげています。

アメリカでのトウモロコシと大豆の歴史的な収穫不足が決定的に。納豆、豆腐、油揚げ…日本の国民食の根幹の大豆はそのほとんどがアメリカからやってきていて…

そして、今度は、10月になると、平年とはまるで違う規模の「大寒波」に見舞われる地域が多くなり、やはり作物の収穫が厳しくなっていると思われます。

これは、5日ほど前の以下の記事で取りあげさせていただいています。

ミニ氷河期の渦中のアメリカ : 観測史上最低の気温が次々と更新され、各地で100年来の早い降雪に。その影響で全米各地で農作物の収穫が完全に停止

このあたりの流れからは、今年の集計が終わった 9月より後に、さらに深刻な影響が明らかとなってくる農家の数は増えるのだと思われます。

気象や自然災害による農作物の損害に対しては、基本的には保険が支払われますので、損害そのものはカバーできるとしても、今のような「破産の連鎖」に至った理由のひとつとして、アメリカファームビューロー連合の報告にあった、以下のグラフがあるように思います。

それが示すのは、農家の世帯の「債務」つまり借金の増加です。下のグラフは、アメリカの農家の借金の満期(返済期間)の推移で、どんどん長くなっていることがわかります。

アメリカの農家の債務返済の満期(月)の推移


Average Maturity on Non-Real Estate Loans by Loan Category

赤いラインの「農家のすべての種類のローン」は、1980年頃には、債務は平均 6ヵ月くらいで返済されていたものが、2017年には、返済するのに平均 16ヵ月と 1年以上かかっています。

これは普通に考えれば、「農作期間の1サイクルで返済し終えていない」ということになり、しかも、アメリカ・ファームビューロー連合の報告では、低金利のために、農家の人たちは以前よりも借金がしやすくなっているため、農家の債務は段階的に増加しているのだそう。

2019年のアメリカ農家の債務の合計は、4160億ドル(約 46兆円)となる見込みだそうで、比較してみますと、ノルウェーあたりの GDP と変わらないような額となっています。

このように過度に肥大した債務と、現在の気象状況、そして農家の高齢化、などを考えると、アメリカも農業の未来は明るいとは言えないかもしれません。

農家の高齢化というより「アメリカでは農業人口自体がおそろしく減少している」ということがあり、こちらの過去記事で以下のグラフをご紹介したことがあります。

1840年から2000年までのアメリカの「全労働者に対しての農業従事者の割合」

VOX

現在のアメリカは、農家の平均年齢が 58歳であり、さらには、全体の3分の1が 65歳以上という高齢化にも見舞われています。

農業人口の減少と農家の高齢化は、日本はもっと深刻でしょうが、アメリカの場合は、

「他の国の食糧事情への影響が極めて大きい」

ということが問題でして、アメリカの農業が苦境に陥るようなことがあれば、影響は世界に迅速に広がっていくと思われます。

アメリカは、そういう人的な不足などの現実を補うためもあり、大規模生産のために、さまざまなテクノロジーを用いています。

遺伝子組み換えや、強すぎる除草剤、殺菌剤、防かび剤の使用などもそうでしょうけれど、そして、それらはそれらでいろいろと問題を起こしているものでもありますが、次第に、

「そのようなテクノロジーを用いても対抗できない気象が定着しつつある」

というようにも言えなくもなく、そして、そのような中、農家の方々は、どんどんと借金を増やしている・・・という図式でして、相当危うい感じがいたします。

「食糧」という根幹の問題について、この先、10年くらいのあいだに、ものすごく大きな問題が明らかになってきそうな感じはあります。

アメリカ・ファームビューロー連合の報告をご紹介して締めさせていただきます。

 


Farm Bankruptcies Rise Again
American Farm Bureau Federation 2019/10/30

農家の破産数が再び上昇

連邦破産法申請は前年比で24%増加

アメリカ合衆国農務省 (USDA)は、2019年の農業収入を 880億ドル (9兆7000億円)と予測している。これは、2014年の 920億ドル (10兆1000億円)以来の最高の純農業収入だが、2013年の最高記録をまだ 29%下回っている。

さらに、その農業収入の約 40%(合計 330億ドル / 3兆6000億円)は、貿易援助や災害援助、そして農場手形や保険の補償と関連しており、農家や牧場主は、今のことろまだ完全には受け取っていない。

実際、以前の報告で述べたが、地価や賃料そして債務などから総合的に判断すると、アメリカの農業経済指標は実際には落ち込んでいる。

さらに、2019年の農家の債務は、過去最高の4,160億ドル (約46兆円)になると予測されている。内訳は、不動産債務が 2,570億ドル(25兆円)で、非不動産債務が 1,590億ドル(17兆円)となっている。

連邦準備制度のデータによると、この債務の返済条件は、さまざまな分野で過去最高を記録した。

すべての非不動産ローンの平均満期は 15.4か月、家禽農家の平均満期は 13か月、その他の飼育動物農家の満期は 18か月と過去最高を更新している。これは簡単に言えば、農家は借金を返済するのに以前より長い時間がかかっていることを示す。

歴史的な低金利のために、この傾向が容易となった。

 

連邦破産法による破産の増加

過去最高の借金と返済期間を延長する農家が増えたことで、連邦破産法による農家の破産が依然として増え続けていることは驚くには当たらない。

裁判所のデータによると、2019年 9月までの 12か月間で、連邦破産法による農家の破産は合計 580件となり、前年から 24%増加した。これは、2011年の 676件以来の最高レベルだ。

過去12か月間の破産率は、米国のすべての地域において前年に比べて高くなった。

農家の破産の 40%以上にあたる 255件は、アメリカ中西部 13州のものだった。中西部の破産は、前年度のレベルと比較して 13%増加し、過去 10年以上で最高レベルだった。中西部に続いて、南東部では過去 1年間に 118件の破産があり、前年比で 31%増加した。

これらの連邦破産法による破産の件数は、過去最悪だった 1980年代に経験した過去最大数を下回ってはいるが、この傾向が増加していることが懸念される。

2018年と 2019年に農家に提供された支援は、農家の経済的ストレスの一部を軽減すると予想されるが、すべての農家が、援助、農法案プログラム、作物保険または災害援助の恩恵を受けられるわけではない。そのため、農家の破産傾向に、財政的救済が現れるまでに時間がかかる可能性がある。





  • この記事を書いた人
Oka In Deep

Oka In Deep

世界で起き続ける様々なことをお伝えさせていただいています。

人気の記事

1

ハイヤンから2年…瞬間的に生まれて消えていった史上最大のハリケーン、パトリシア ▲ 2015年10月24日のデイリー・ギャラクシーより。   次々と記録を塗り替える暴風雨の勢力 つい2日ほど ...

2

戦争も経済競争もすべてを超越した「確定した衰退」が日本にも韓国にもある ・gefira.org   今日、「韓国政府が、仮想通貨の取引を全面的に禁止する草案を提出」という速報が流れていました ...

3

現行の進化論が現実的な崩壊に直面している大ニュースなのに、日本ではまったく報道されないという事実も 科学メディア Phys.org の5月28日の記事より ・Sweeping gene survey ...

4

カルデラ破局噴火のイメージ ・Newton   サイクル的にはいつ起きても不思議ではない日本のカルデラ噴火 このブログでは、過去に何度か「カルデラ噴火」というものについて書いたことがありまし ...

5

2019年8月26日の米フォーブスより ・Forbes   扇動と誤りの結果が アマゾンでの森林火災については、最近大きな話題となっていましたが、私も以下の記事で少しふれました。 地球の生物 ...

6

2019年4月23日の徳島新聞より ・100年に1度の珍現象 小松島で竹の開花   平成が終わるその年に開花し続ける神秘の植物「竹」 最近、やけに「竹の花」のニュースを目にするようになりまし ...

7

放射能をめぐる生物の多様性が示す真実はいったいどのようなものなのか ・2011年12月に米国サウスカロライナ州で「微生物が見つかった」原子力発電所の核貯蔵プール。io9.gizmodo.com 「放射 ...

-アメリカの憂鬱, 人類の未来, 資本主義の終焉
-, , , , , ,

Copyright© In Deep , 2019 All Rights Reserved.