昨日の、
・2016年の十の災い(1):米国、そして欧州と全世界に拡大しつつあるジカウイルスが蚊だけではなく「性行為で感染する可能性」に感じる憂鬱
2016/01/27
という記事を書いた後、ジカウイルスについての報道はさらに多くなっていますが、英国 BBC では「ジカウイルスは爆発的なパンデミックになるかもしれない」というタイトルの報道もしています。
2016年1月28日の BBC より
・Zika virus could become 'explosive pandemic’
ところで、今回の記事のタイトルにも含まれていますが、前回の記事の中で、旧約聖書の「十の災い」ということを取り上げまして、それらは、
1. 水を血に変える(川や海が赤くなる)
2. カエルの大群を放つ
3. ぶよを放つ
4. アブを放つ
5. 疫病を流行らせる
6. 腫れ物を生じさせる
7. 雹(ひょう)を降らせる
8. イナゴを放つ
9. 暗闇でエジプトを覆う
10.初子(長子)をすべて殺す
というようなものなのですが、このうちの 10の「初子をすべて殺す」というものについては、ユダヤ教の重要な祭事である過越(すぎこし)の祭りというものの意味が、
> 十番目の災いが過ぎ越していった(被害はなかった)
ということを祝うものだということを、
・「神の意志、あるいは悪魔の輪郭」 : 北緯 33度線にある韓国の済州島。そして「血の月」の連続と共にユダヤ教では祭りに突入
2014/04/18
などで書いたことがありますが。これを書いた頃は、「大量死を伴う大事故が続いた」出来でもあり、また、地中海などでの難民の死者が大量に出始めていた時期でもあります。そして、この時期は 2014年から1年間ほど続いた「皆既月食とユダヤの宗教的祭事の日が何度も一致する」という時期であることを、何度か記事にしたことがありました。
2014年4月15日から2015年9月28日までのユダヤ教の宗教的祭事と日付けが一致した赤い月(皆既月食)
この「皆既月食とユダヤの宗教的祭事の日付けの完ぺきな一致」について、最初に書きましたのは、2014年4月の、
・赤い月と黒い太陽: 2014年から 2015年まで「4回連続する皆既月食」がすべてユダヤ教の重要宗教祭事の日とシンクロ。そして、過去の同じ現象の時に「イスラエルの建国」があった
2014/04/06
という記事ですが、このことなども合わせて考えてみますと、
「ある種の宗教的な意味からみれば 2014年から 2015年はとても重要な年だった」
ということがいえる気がします。
そして、 2016年も、ユダヤ教的な観点から見れば、今現在は、ユダヤ教での、やはり大きな年である「ヨベルの年」というものに当たるはずで、これも大変に重要な年なのです。
ヨベルの年 - Wikipedia
ヨベルの年( The Jubilee year )とは、ユダヤ教とカトリック教会の聖日。
旧約聖書レビ記第25章に基づき、ユダヤ教では50年に1度の大恩赦の年(ヨベルの年)を迎えるようになっており、カトリック教会では、25年に1度「聖年」として記念してきた。すべてのものが元に戻る年。
というようにありますように、今は「そのような立場」からの視点としては、
> すべてのものが元に戻る年
になっているのですね。
「元に戻る」というのがどういう意味かは難しい解釈ですが、とにかく何もかもが(それらの宗教的視点からは)元に戻ると。
たとえば、前回のヨベルの年( 1967年)は、第三次中東戦争(六日戦争)によって、イスラエルが国家としての基盤を確立した年で、その前のヨベルの年( 1917年)は、イギリス政府が、パレスチナにおけるユダヤ人の居住地の建設を支援することを表明し、実質的な「イスラエルの再建」が始まった「バルフォア宣言」というものががなされた、イスラエルにとっては歴史的な年でした(他の中東の多くにとっては逆)。
近代史から見てこのようなヨベルの年が昨年の 9月14日から始まっています。
前例を見ますと、今年の中東も単に穏やかで進むという感じはしないのですが、そのあたりは今はわからないです。
まあ、そういう時だけに、なお「十の災い」という概念が気になるところなのかもしれません。
参考区までに、「最近の十の災いに倣った出来事」を思い出してみました。
ここ数年の「十の災い」的イベント
1. 水が血のようになる
これはいくらでも例があるのですが、過去記事から象徴的なものだけですと、以下のようなものがあります。
赤く染まった中国・長江 2012年9月6日
・過去記事「赤く染まるユーラシア大陸最大の川と…」
この長江というのはアジア最大の川で、全長は6300キロメートルあり、上海あたりからを起点として「中国という国を分割して流れている」ような川なんですね。
それが真っ赤に染まったという意味では象徴的でした。
あとは、その後、内戦で血まみれになるウクライナのアゾフ海が赤く染まったり。
赤く染まったウクライナのアゾフ海
・過去記事「赤の意味: 再び現れた赤い海と赤い雨」より
他にも「世界中で流れ続ける「血の川」(2012/02/18)」などの記事で多数の「赤化する水」についての例を載せております。
これらの「赤い水の現象」は 2012年以降、加速して起きている感じがあります。
2. カエルの大群
これは最近ではあまり聞かないです。
少し古いですが、6年ほど前に中国とギリシャで「カエルの大移動」が報じられたことはありました。
3. ぶよを放つ / 4. アブを放つ
この「ぶよ」とが「アブ」というものは、現在の日常ではあまり接点のないもののようにも思うのですが、キリスト教系の教会のブログ記事に以下のような記述を見つけたことがあります。「蚊」と聖書についてです。記述には、
> 聖書には「蚊」は出て来ません。
とあり、その後、
限りなく「蚊」に近いのが「出エジプト記」8章の「蚋(ぶゆ)の災い」です。エジプトに下された「十大災厄」の3番目です。日本語聖書には「ぶよ」と書いてありますが、日本の学術語では「ぶゆ」が正式だそうです。
英米の註解書では「Prosimulium yeroense」と同定されていて、和名に直せば「きあしおおぶゆ」と言います。しかし、取り敢えず「蚋(ぶゆ)」と訳されてはいるものの、ヘブル語の「ケーン」が「蚋」と確定した訳ではありません。「蚊」も「蚋」も含めた害虫なのでしょう。
ということで、どうやら、ヘブライ語では、「蚊」と「ぶゆ」も、同じカテゴリーで含まれるような虫のたぐいのようなのです。
ということは、もし、旧約聖書のこの「ぶよを放つ」というものが、
「大量の蚊を放つ」
という文脈と同じと理解してもいいのなら、これは、ジカウイルスのこと、あるいはマラリア(今でも年間2億人以上が感染)などを含めましても、とても納得のいく現代の世界ということがいえそうな気もします。
5. 疫病を流行らせる
これはもう、「近代の人類史そのものが、疫病と関わってきた歴史」だということもいえるわけで、特別に「十の災い」というようなものでなくとも、とにかく、人類史は病気と共に歩んできました。
では、「何のために病気(主に細菌やウイルスによる)が存在するのか」ということを考えることが、私たちのこれからのすることのひとつなのかもしれないということを、先日の、
・微生物、植物…。地球上のすべてが人類と共生関係であり表裏一体であるかもしれないことを確認させてくれる「人間と細菌たちの共存=マイクロバイオーム」の概念
2016/01/26
に書いた次第でした。
6. 腫れ物を生じさせる
これは何だかドンマイですが・・・・・ああそうだ。
実は昨日、お風呂に入っている時に、「視界のどこかに赤いハートマークのようなものの影が走った」のですね。
「なんだ?」
と思い、周囲を見回してみても、それらしきものはなし。
「やや発狂したのかな」
と思いつつ、もう一度よく周囲を見てみると、自分の腕に何だかわからない小さな傷跡が三つあり、その3つの傷が赤くなり連なって「ハート型」となっていたのでした。
「へえ、いつのまにか自分の腕にハートがあったのか」
と思いながら、しかし、傷が何の傷だかわからないままでした。
奥さんにその腕のハート型の赤いのを見せると、「へえ、おもしろいね」と言っていましたが、これもまた腫れ物のたぐいではありますが、全然関係ない与太話で失礼しました。
7. 雹(ひょう)を降らせる
雹はこの2〜3年ものすごいことになっていて、ゴルフボールサイズくらいのものが降るのは今では普通のことになっていますが、2014年3月にエリトリアという国の新聞に載っていたのは「直径1メートルの雹」という見出しの記事で、それには驚きました。
雹(ヒョウ)の嵐が過ぎ去った後のエリトリアの首都アスマラ 2014年3月14日
・過去記事「 直径1メートルのヒョウが雨あられと降り注いだエリトリアの…」
そして、残りは、
8. イナゴを放つ
9. 暗闇でエジプトを覆う
10.初子(長子)をすべて殺す
となっていて、「初子をすべて殺す」というものに関しては先ほどのユダヤ教のさまざまと関係していそうな部分はあるのですが、これはヨベルの年と含めて、物騒ながら「今後の大量死と関係していそうな気もします」ので、今度書いてみたいと思います。
それと「9」の、暗闇でエジプトを覆うというものも、やや思うところはありますが、これも別の機会にこれも記してみたいと思っています。
そして、「8」のイナゴ。
今、アルゼンチンで、過去半世紀で最も規模の大きな「イナゴの大発生」が発生しつつあることが、アメリカのニューヨーク・タイムズで報じられていまして、それを読みまして、いろいろと過去の出来事などを思い出しました。
2016年1月26日の米国ニューヨーク・タイムズより
そして、アルゼンチンだげてはなく、「世界の多くの地域で、今年、イナゴの被害が激しく増加する」ことが国連により予測されています。
世界のイナゴ襲来のクライマックスはこれから
ちなみに、現在のそのアルゼンチンのイナゴの大群の面積は「アメリカのデラウェア州と同じほどある」とのこと。
デラウェア州とはアメリカの下の場所にある州で、アメリカの中では小さい(2番目に小さな州)ですが、それでも 6400平方キロメートルほどの面積があり、これは東京都の3倍ほどもあります。
どうやら、今のアルゼンチンでは「東京都の面積の3倍の広さのイナゴの大群が空を飛んでいる」ということになり、しかも、今回のニューヨーク・タイムズの報道では、「これからさらに本格化する」ということで、大群はさらに大きくなる可能性もあり、農作物への被害が懸念されています。
それにしても、ここ1〜2年は、各地でイナゴの大発生のニュースを聞きます。
中でも印象的だったのは、2013年3月のもので、イスラエルからエジプトにかけてイナゴが大発生し、その大群がイスラエルとエジプトの空を覆い尽くしたことから、「黙示録的」というようなことも言われていたことを、
・聖書に記載されているユダヤ教の祭の直前にイスラエルへ向かった3000万のイナゴの大群
In Deep 2013/03/05
に記したことがあります。
2013年3月4日の米国タイムより
・Locust Swarms Descend on Egypt Like Biblical Plague
昨年は、ロシア南部でイナゴの大発生により、農作物に大きな被害が出ています。
国連食糧農業機関( FAO )などの警告からは、これかせ、さらに世界全体でイナゴの被害は拡大しつつありそうで、「食糧の未来について」というようなことも考えないでもないです。
ニューヨークタイムズの報道をご紹介して今回の記事をしめたいと思います。
Argentina Scrambles to Fight Biggest Plague of Locusts in 60 Years
アルゼンチンは、過去60年間で最大のイナゴの害との戦いの準備を始めた
アルゼンチンの農家と消毒業者たちは、過去半世紀で最悪のイナゴの被害への対処を進めているが、すでに時間が足りないとして、 1月25日に当局は警告を発令した。
地方当局とアルゼンチン農畜産品衛生管理機構( SENSANA )は、アルゼンチン北部の乾燥林に飛来するイナゴの大群を駆除するための努力を強化しているが、しかし、彼らの試みは、今後数日間で飛んでくるであろうイナゴの大群を防ぐには不十分かもしれないという懸念がある。
イナゴの大群は、ヒマワリや綿といった農産品、それと、放牧されている牛のエサとなる牧草を食べ尽くしてしまう恐れがある。
政府農業機関のディエゴ・キロガ( Diego Quiroga )氏は、「これは、過去 60年で最悪のイナゴの大量発生です」と述べる。
「これらを完全に根絶することは不可能です。被害はすでに明らかになりつつありますが、私たちは、出来る限りのことをして、被害を少しでも食い止めたいと考えています」
最初にアルゼンチンにイナゴの小さな集団があらわれたのは、南半球の冬の始まりとなる昨年の6月だった。
それが今では、アルゼンチン北部で巨大な集団を作り、その大群の面積は、アメリカのデラウェア州ほどの大きさがある。
昨年のアルゼンチンの冬は、穏やかな気温と雨の多い日が続き、イナゴの大発生の条件となる気候状況が続いた。そんな中で、イナゴの群れは、ついに当局ではコントロールできない規模にまで発達したのだ。
昨年には、イナゴの大群が雲のように見える「イナゴ雲」が報告された。それは、長さ6.4キロメートルにおよぶ巨大なもので、高さは 3.2キロメートルになるものだった。
過去5年間で、アルゼンチン農畜産品衛生管理機構は、アルゼンチン国内における農作物へ被害を与える昆虫の増加を見てきた。
たとえば、柑橘類の果樹園を脅かすミバエもまた、温暖で湿度の高い冬の気候の中で増加した。
国連食糧農業機関( FAO )は、昨年 11月、気候変動が、アフリカのイナゴの厄災の増加に影響を与えるだろうと警告している。
そして、南米のアルゼンチンも、間違いなく、イナゴの被害の増加についての影響を受けている。
農家の人々の多くは、このイナゴの被害について、元大統領のクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル政権の政策を非難している。それは、当時の政権が、このイナゴの災害について十分な警告を発していなかったことによる。
イナゴが増加している原因に確実な理由は見出されていない。気候変動がイナゴの増加につながっていることを示すという意見もあるが、それを具体的な示す学術的な研究は今のところはないとブエノスアイレス大学農学教授のパオラ・カッリゾ( Paola Carrizo )氏は述べる。
教授は、イナゴの大発生の原因として可能性があることとしては、イナゴの駆除が不十分だったのではないかと説明する。
アルゼンチンの農家は、過去 200年間、イナゴの群れをたき火のようなもので威嚇して追い払うという素朴な方法に頼ってきた。
さらに、現在のアルゼンチン政府のイナゴ駆除プログラムは、1891年当時の政府のもとでつくられたアルゼンチン最古の農業政策のひとつだと考えられているものなのだ。
駆除薬噴霧器を装備した消毒業者たちは、先週から業務を強化させており、彼らは、まだ飛ぶことのできない小さなイナゴの群れの巣を潰していっている。
しかし、乾燥林は大部分が把握できない場所でもあり、発見されていない巣や群れがどの程度あるのかは不明だ。
これから 10日程度でイナゴたちは5センチ程度に成長し、食べ物を求めて飛び始めると予測されている。
イナゴが飛び始めた時には燻蒸のための飛行機が必要となる可能性があり、イナゴとの戦いはより複雑なオペレーションを必要とすることになると専門家は言う。
そして、こうも言った。
「飛び始める前に巣を叩いておかないといけない。彼らが飛び始めたら悲惨なことになることはわかっているのです」
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