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2019年からの世界 拡大する自然災害 未来の地球

史上初めてとなる「過去400年間のエルニーニョ現象の状況」を調査する研究で、エルニーニョはほんの過去十数年で頻度も強さも急激に上昇していたことが判明

投稿日:

2019年5月7日の米メディア「ザ・カンバセーション」より


The Conversation




 

エルニーニョは21世紀直前の十数年間に信じられないほど激しくなった

昨日(5月7日)、科学誌ネイチャー・ジオサイエンスにメルボルン大学やオーストラリア国立大学など、オーストラリアの複数の大学や研究機関によって、

「過去400年間のエルニーニョ現象の発生状況の研究」

という論文が発表されました。

エルニーニョの実際の観測が始まったのは 1900年代初頭くらいのようですが、それ以前をどう調査したかといいますと「サンゴの体内に残る記録」を調べたのだそうです。

サンゴは、長い期間に渡る「海の状態の変化」をその体内に化学的組成として残しているのだそうで、サンゴを調査することで、過去のエルニーニョの発生の頻度や発生位置がわかるのだそう。

そして、それによりわかったことは、以下のような衝撃的な記録でした。

西暦 1600年からの、太平洋でのエルニーニョの発生頻度です。


nature geoscience

赤いラインは実際の観測値で、緑のラインがサンゴによる記録です。多少一致していない部分はあるにしても、おおまかの流れとしては、過去 400年では、このようになっていることが初めてわかったのでした。

どう見ても、

「 21世紀直前になって、エルニーニョは異様なほど増えた」

ということになっていたようなのです。

これを見ていまして、「地球の気候も荒れていくはずだよな」と、21世紀になってからの異常気象の状況に妙に納得しましたが、まずは、その研究に関しての記事をご紹介します。

ここからです。


El Niño has rapidly become stronger and stranger, according to coral records
The Conversation 2019/05/07

サンゴの記録は、エルニーニョ現象は最近になり急速に強くなり、そして以前とは違うものとなったことを示す

過去 400年の間に発生したさまざまなタイプのエルニーニョ現象を識別するものとしての最初となる記録によれば、エルニーニョのパターンが、近年劇的に変化していることがわかった。

エルニーニョは、この過去数十年の間に、過去 400年のどの時点よりもはるかに広く行き渡っていて、同時に、その数十年に、過去よりもはるかに激しくなっている。

この新たな発見は、間違いなく、エルニーニョ現象に対する私たちの理解を変えていくだろう。エルニーニョ現象の変化は、オーストラリア、東南アジア、そして南北アメリカの降水量あるいは気温の極値(過去最高の気温が観測されるなど)のパターンに影響を与える。

いくつかの気候モデル研究は、エルニーニョの最近の変化のタイプが気候変動に起因しているかもしれないことを示唆している。

しかし、これまで、エルニーニョに対しての長期間の観察の期間は限られたものだった。

そのような中、今日の科学誌ネイチャー・ジオサイエンス ( Nature Geoscience )に掲載された論文では、過去 400年間のエルニーニョ現象の状況を再現するために、サンゴの記録を使って、エルニーニョの長期観察の空白を埋めていくという作業をおこなったことが記されている。

 

エルニーニョとは何か

エルニーニョは、太平洋熱帯域の海洋の表面で、ほぼ一年にわたり海水温度が上昇する現象だ。これらの海水表面の温度の上昇は非常に極端で強力であり、それらの影響は世界中で感じられることになる。

激しいエルニーニョ現象の間、たとえば、オーストラリアとアジアの一部の地域では、通常の年よりも、はるかに少ない降雨量となる。南北アメリカの西部では、この反対となり、異常に暖かい海水上のより強い上昇の動きがしばしば大雨をもたらし、大規模な洪水を引き起こす。

同時に、世界中で記録されている最も暑い年の多くは、エルニーニョ現象と同時に起こっている。

そのような広範囲にわたり天候へと影響を与える理由は、エルニーニョが大気循環に変化を引き起こすためだ。

通常は、ウォーカー循環と呼ばれる大規模な大気の循環パターンが、熱帯太平洋の赤道に沿って空気を移動させる。

ところが、エルニーニョ現象の間は、熱帯太平洋の表面温度が暖かくなり、これにより通常の循環パターンを混乱させたり、あるいは、逆転させるのだ。このように大気の混乱が起きることによって気候への影響が生じる。

どの地域に気候の混乱があらわれるかは、エルニーニョの暖かい水のある大平洋の海域の場所によって異なる。

 

エルニーニョの新しいタイプ

そして今、新しいタイプのエルニーニョが、熱帯太平洋で確認されている。

このタイプのエルニーニョは、南米の海岸近くの極東太平洋で発生する海域の場所としては典型的な海水温度の高温化ではなく、中部太平洋の海の温度が高くなることを特徴としている。

中部太平洋のエルニーニョは、2014年から 2015年、そして最も最近では、2018年から 2019年を含む最近の数十年ではっきりと観測されている。

過去 400年間の大半にわたって、エルニーニョ現象は、中部太平洋と東部太平洋でほぼ同じ割合で起こっていた。

ところが、私たちの研究は、「 20世紀の終わりまでに起きたエルニーニョの突然の変化」を示していた。特に、中央太平洋でのエルニーニョ現象が急激に増加していたことが明らかとなっている。

また、以前は、東部太平洋地域で発生するエルニーニョ事象は、比較的弱い状態のままだったが、1982年から 1983年、1997年から 1998年、および 2015年から 2016年に発生した最近の 3つの東部太平洋でのエルニーニョは異常に強力なものだった。

 

過去の歴史を読むためにサンゴを使う

この新しいタイプといえる中部太平洋で発生するエルニーニョへの理解は、私たちが、「エルニーニョは、2年から 7年ごとにのみ発生する」という事実によって妨げられる。

現在のエルニーニョへの理解だけでは、この中部太平洋で発生するエルニーニョを本当に理解するのには十分ではなく、また、この中部太平洋でのエルニーニョが、今後一般的になりつつあるのかどうかの理解にも十分ではない。

そのような中で、研究者たちは、熱帯太平洋のサンゴを調査することにした。

サンゴたちは、科学者たちが機器を使ってエルニーニョを観測し始める以前から、何十年も何百年も成長し続けている。

サンゴは、エルニーニョに関連する海の温度の変化を含む、海の水の状態の変化の優れた記録倉庫だ。サンゴの成長の中に、過去の海水温度の変化が示されているのだ。その過去の状況が体内に保存されているサンゴから情報を収集した。

その方法で、季節的な時間スケールで、サンゴの体内の化学における過去のエルニーニョ現象の特徴的なパターンを見ることができる。これらのパターンから、過去 400年間の、それぞれのエルニーニョを識別できるのだ。

サンゴの倉庫から得られた過去のエルニーニョの連続的な記録から、太平洋のエルニーニョのタイプの最近の異常な変化の明確な光景が見つかった。

 

なぜこの変化が気になるのか

このエルニーニョの状況の推移の異常な変化は、世界中の社会や生態系に深刻な影響を及ぼしている。たとえば、2015年から 2016年の間の最新の東部太平洋でのエルニーニョ現象は、世界中で病気の発生を引き起こした。

気候変動の影響が拡大し続けているため、記録的に暑い年の多くもエルニーニョと一致している。

さらに、太平洋には現在なおエルニーニョが居座っている。これらの交錯した出来事により、世界中の多くの研究者たちが、今後数ヶ月から数年のうちにどのような極端な天候が地球に出現するのだろうと考えているのが現状だ。

今回示された新しい記録は、エルニーニョの過去の変化を理解するための扉を開き、将来への影響もあるだろう。

さまざまな種類のエルニーニョが、過去にどのように展開されてきたかを知ることで、将来のエルニーニョと、その広範な影響についてモデル化し、予測、および計画を立てることができるようになる可能性がある。


 

ここまでです。

ちなみに、サンゴというのは「寿命では死なない」もので、100年でも 1000年でも生きるものなのだそう。サンゴは、増殖してクローンを増やすことで拡大するので、基本的には、環境が破壊されない限りは、半永久的に生きるものだそうです。

たとえば、徳島県南部に生息する「千年サンゴ」と呼ばれるサンゴは、大きさから推定すると、「 1700年くらい生きている」と推測されるのだそう。

このあたりから考えますと、サンゴを使った海の状態の変化の調査は、1000年くらいまではできるのかもしれないですね。

ただ、世界中でサンゴ自体が次々と「消滅」していますので、何ともいえない面はあります。これについては、以下の記事などで取りあげています。

サンゴと海藻が全滅に向かい続ける「地球の海」の近い未来

 

ところで、最初のほうに示させていただきました「エルニーニョの発生数の変化」のグラフを見ていますと、過去記事、

自然災害は予想以上の驚異的な勢いで地球の文明を崩壊させ続けている : ドイツの大学が発表した西暦1900年以降の災害損失データベースが示すこと
 In Deep 2016/04/20

でご紹介させていただきました「過去 120年の自然災害での経済的損失の推移」のグラフの形を思い出します。とても似た形をしているのです。

先ほどのエルニーニョの推移のグラフと並べますと、以下のようになります。


nature geoscience


kit.edu

どちらも、「 21世紀に向けてガーッと急激に上昇」していることがわかります。

自然災害の中は、エルニーニョの影響によるものもたくさんあることを考えれば、こういうような似たような推移となるというのも必然なのかもしれないですね。

 

それにしても、エルニーニョは、簡単にいえば、海の海水温度の変化の現象ですから、しみじみと、

「地球の環境を牛耳っているのは海なのだなあ」

と思います。

しかし、では、「なぜ海の温度が一定期間、変化するのか」ということについては、今でも「わからない」ままです。

たとえば、エルニーニョ - Wikipedia には、その発生の原因について、以下のようにあります。

エルニーニョ - Wikipedia「発生の根本的な原因」より

海水温や気圧の異常を引き起こす根本的な原因を突き止めようと研究が行われているが、根本的な原因は未だに詳しく解明されていない。しかし、一部分については解明されてきている。

エルニーニョの場合、海水温の異常が発生する数か月前に東から西に流れる赤道海流が弱まったり反転したりする現象が観測されている。これは、何らかの原因によって海流に変化が起きたことによるものと考えられている。(略)

いずれにしても根本的な原因は確定していないのが現状である。

このように、「一部分については解明されてきている」とはいっても、その解明されてきている部分の説明にも、「何らかの原因によって」と「何らか」ありますようにエルニーニョの根本的な原因は不明のままということになりそうです。

それにしても、 1年間近くも、海の温度を高いままにする力の根源は何なのかということには、とても興味があります。

しかも、それはランダムに適当なものでもなく、場所にしても期間にしても、比較的過去の規則に則って起きる。

とはいっても、ご紹介した中にありますように、ここ数十年、あるいは 21世紀になってから、エルニーニョは、頻度も強さも場所も決定的に変化しているようです。

このような変化がさらに進めば、地球の気候の荒れ方もさらに激しくなっていくのは不可避なのかもしれません。

なお、現時点の地球もエルニーニョの渦中にありまして、気象庁によれば、10月頃まで続く可能性が高いとしています。

これが日本にどのような影響を与えるかは明白なところはわかりませんが、一般的には、エルニーニョの夏は、気温が低くなり、西日本で雨が多くなる傾向があるとされています。

いずれにしても、世界各地で今年の夏から秋も相当荒れた状況となっていくことが予想されます。





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