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318年前にマグニチュード9クラスの超巨大地震が発生した北米のカスケード沈み込み帯で2日間で数百回に及ぶ振動が発生中。「スロー地震」が起きている可能性が浮上

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北米のカスケード沈み込み帯上で継続する「振動」を伝える報道(振動はその後500回規模に)


More than 150 tremors hit Vancouver Island in last 24 hours

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北米最大の懸念の「断層」でこの48時間に起きていること

北アメリカ大陸で有名な断層に「サンアドレアス断層」というものがあります。これは、2〜3年前にハリウッドで『カリフォルニア・ダウン』という、この断層での巨大地震の発生を描いた映画も作られましたが、これは邦題で、原題は「 San Andreas (サンアドレアス断層)」というもので、つまり、そのままのタイトルの映画でした。

サンアドレアス断層はそれだけアメリカでも認知度の高い「将来、巨大地震が起きると想定されている断層」として知られています。

そのようなこともあり、「アメリカで将来的に最も巨大な地震が発生するとすれば、サンアドレアス断層で起きるだろう」と思っているアメリカ人や、あるいは他の国の人々も多いのですが、ところが、実際には違うのです。

少なくとも、過去に遡った検証によれば、

「北アメリカで起きる可能性のある最も巨大な地震が発生するとすれば、それは、サンアンドレアス断層ではない」

のです。

では、どこかというと、そのサンアンドレアス断層の北にある、「カスケード沈み込み帯」という場所なのです。

大ざっぱに場所を示しますと以下のようになります。

サンアンドレアス断層とカスケード沈み込み帯の場所

Google Map

上の図のカスケード沈み込み帯の後に、

「西暦 1700年にマグニチュード9の地震が発生」

とありますが、マグニチュード9というのは、2011年の東北の地震と同レベルの超巨大地震ということになり、つまり、ここは「そういう場所」なのです。

その地震が発生したのは、西暦 1700年1月26日のことでした。

西暦 1700年にはまだアメリカ合衆国はなく、当時の北アメリカに「文字の記録文明」はありませんでした。

では、どうして、この約 300年前の超巨大地震の存在がわかったかというと、実はこれは日本人研究者たちによって突き止められたのです。

今から 15年前の 2003年に、国立研究開発法人「産業技術総合研究所」の研究者たちが、米国地球物理学会誌に発表した論文によって明らかとなったのでした。

その論文の概要は、今も産業技術総合研究所のウェブサイトにあり、下のリンクとなりますので、興味のある方は直接ご参照下さい。

北米西海岸で西暦1700年に発生した巨大地震の規模を日本の古文書から推定
 産業技術総合研究所 2003年11月21日

この論文のタイトルに「日本の古文書から」とありますように、日本の300年前の文書記録に、1700年1月の「日本の大平洋側での巨大津波の被害の記録」があり、その津波の地震の発生源を突き止めていくうちに、「震源は北アメリカ大陸」だということがわかったのです。

その際、岩手や宮城などの沿岸では、最大で 6メートルの高さの津波に見舞われていたことがわかっています。

1700年1月26日 地震発生から6時間後の津波のシミュレーション


産業技術総合研究所

また、これに関しては、2008年の WIRED の日本語の記事、

巨大津波が日本も襲う、M9の米国北西部地震:50年以内に発生? (WIRED 2008/10/28)

にも詳しく書かれてあります。

そこには、

この「カスケード沈み込み帯」は、ワシントン州オレゴンおよびカナダのブリティッシュコロンビア州南部の沿岸およそ80キロメートルに位置しており、全長がおよそ1100キロメートルに及ぶ。

このカスケード沈み込み帯はサンアンドレアス断層が持つ最大威力よりも30倍以上強力な、マグニチュード9の地震を引き起こす力を秘めている。

というようにあり、また、同じ記事には以下のようにあります。

幸運なことに、こうした断層による巨大地震は数百年に1回程度しか発生しない。だが不幸なことに、次の「数百年に1回」に、今日か明日にも遭遇する可能性があるのだ。

この「今日か明日にも遭遇する可能性があるのだ」はどういうことかといいますと、簡単に書けば、

カスケード沈み込み帯での巨大地震の発生間隔の平均は「 270年」だとわかっている。

のです。

あくまで平均値ですので、何も具体的なこととは関係しないですが、平均としては、その程度の間隔で、少なくともマグニチュード 8以上の地震が起きていることがわかっています。

前回のこの場所でのマグニチュード 9前後と推定される巨大地震が起きたのは西暦 1700年で、そして、今は 2018年です。

つまり、「すでに 318年経過している」ということで、巨大地震発生間隔の平均 270年をすでに上回っているというのが現在の状況です。

そういう意味では、「いつ起きても不思議ではない」というのは、それほど誇張でもないということもいえます。

今の状態で、西暦 1700年に起きたような地震が起きれば、少なくとも、アメリカのオレゴン州からワシントン州、そしてカナダのバンクーバーを含む州は基本的に壊滅するとされていて、「起きては困る地震」ではあります。

日本での南海トラフでの地震も「起きては困る地震」ということになっていますが、似ているのは、「起きては困るけれど、おそらく必ず起きる」という点です。

南海トラフ地震がいつかは必ず起きるということが地質学者たちの間で確定的になっているのと同様に、カスケード沈み込み帯での地震も必ず起きるといえる理由は、産業技術総合研究所の論文以降、本国アメリカでのこの場所についての研究が進む中で、このカスケード沈み込み帯では、「他にもマグニチュード 8クラスの地震が多数起きていた」ことが明らかになっているということがあります。

つまり、このカスケード沈み込み帯という場所は、西暦 1700年に1度だけ巨大地震が起きたという場所ではなく、歴史の中で、しかも 200〜 300年の間隔という比較的短い周期の中で、何度もマグニチュード 8以上の巨大地震が起きていた場所ということになります。

アメリカ合衆国という国は、「カスケード沈み込み帯での最後の巨大地震が起きた後に建国された」ので、そのような地震を知りません。

合衆国が建国されてからのアメリカもいろいろと大きな地震はありましたけれど、この 1700年のような地震をこの国は経験していません。

 

・・・というわけで、カスケード沈み込み帯の説明で何だか長くなってしまいましたが、今回ご紹介したいと思ったのは、

そのカスケード沈み込み帯で、おそらく現在、スロー地震が起きている。

という話なのです。

スロー地震(スロースリップ)といえば、最近、千葉沖で発生していたものについて報道されていたことを下の記事で取りあげたことがあります。

6月初めより千葉・房総沖で「スロー地震」が発生。プレート境界の地盤が数センチメートル動く。防災科学技術研究所は今後の地震に注意をと

「スロー地震」というのは妙な表現ですが、基本的には、揺れを伴わない地殻変動のことで、つまり、スロー地震そのもので何か影響があるというものではないですが、「スロー地震は、近い将来の巨大地震と関係している可能性がある」とする説が強いことから、注目されることがあります。

たとえば、スロースリップ - Wikipediaには、以下の記述があります。

一般的なスロースリップについては、スリップが固着域に影響を及ぼして大地震を誘発する可能性があるとの見方がある。

2007年8月16日および18日の千葉県東方沖地震と同時期、また、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の1カ月強前以後など、地震と同時期にスロースリップが観測されて分析されている。

というように、2011年3月の東北の地震の際にもスロー地震が観測されていたというようなこともあるために、スロー地震が巨大地震と関係あるのではないかという考えは強くあります。

ただ、メカニズムとしての関係性がわかっているというわけではなく、私個人は、スロー地震はそれほど気にするものではないようにも思っています。

その理由は、それよりも超巨大地震には、直接的な大地震のトリガーが存在すると私個人は考えているためで、たとえば最近の以下の記事など、他にいろいろとあるというような思いはあります。

巨大地震の前兆の正体がさらに明らかに : 2011年3月11日の東北の巨大地震の前に過去最大の日本列島周辺の《重力異常》が起きていたことをNASAの人工衛星が検知していた

まあしかし、そのことはともかくとして、直接的なトリガーではなくとも、その「超巨大地震の前段階としての条件」としてスロー地震などはあり得るのかもしれません。何しろ、スロー地震の前後に地震が頻発することは確かなのですし。

そんなわけで、スロー地震と巨大地震の実際の関係性は曖昧ですけれど、「何らかの関係性はあるかもしれない」という中で、冒頭のカナダの報道にある出来事は、

「カスケード沈み込み帯でスロー地震が起きているかもしれない」

という示唆なのです。

ただし、カナダの地質学者は、「スロー地震が起きている」とは述べていません。

これについては、かなり慎重なようで、冒頭の報道には以下のように書かれてあります。

地震学者たちは、この数百回の振動がスリップ(スロー地震)事象となるかどうかを現在確認している。

スリップが発生しているかどうかを確認するための状況を監視するには 1週間ほどかかる。

とのことです。

なお、この「振動」(カナダ地質当局は「地震ではない」と強調していますので「振動」としています)の発生しているバンクーバー島は、先ほどのカスケード沈み込み帯の地図で示しますと、以下の位置となります。


Google Map

この 48時間ほどの間に発生した振動の数は、時間と共に増えていて、現在の正確なところはわからないですが、少なくとも 500回は越えているようです。

この振動がスロー地震などの地殻変動と関係しているのかどうかも明らかではないですし、何もなく過ぎていく可能性が強いかと思いますが、それでも書かせていただきましたのは、やはり「時期」というものがあります。

最近の下の記事のように「2018年から地震や噴火が多発する」という主張もあり、これは「時間的な周期」による分析ですが、主張そのものはそれなりに合理性があるものではあります。

「ハワイとグアテマラは序章に過ぎない」 : 2011年の東北の大震災を正確に当てていた金融の世界で知られる驚くべき地震と火山噴火のサイクル理論が示す「2018年から2020年は怒濤の自然災害の時代」に (前半)

現実として、世界中で火山の噴火と、そして地震も増加しています。そのような事実がある中で、「世界に最も影響を与えているかもしれない国家(アメリカ)で起き得る最大クラスの自然災害」が発生する可能性のあるカスケード沈み込み帯と関係するニュースということで、ご紹介させていただきました。

まあ、先ほど書きましたように、カスケード沈み込み帯での超巨大地震は、今起きなくても、この先、「いつかは必ず」発生するわけで、それがいつかはわかりませんけれども、今の時点で前回から 318年経過しているという中では、「そんなにものすごく遠い先というわけではない」という可能性が高そうです。

そういう状況にある断層が存在するのは、日本も同じかとも思います。

「起きることには起きるけれども。それがいつかはわからない」というだけで、そういう場所の上に生きて、さまざまな文明を築いてきました。

そして、おそらく今は「築いてきたこの文明の衰退か崩壊の局面」へと、まさに「スロースリップ」している段階の時代だとは思います。

 

それでも地震だけなら乗り越えていけるはずで、実際、日本の国家としての歴史はそういうものでもあります。

ただ、地震だけではなく、「複合していろいろなことがある」となりますと、なかなか大変な時代になっていく可能性もあるのかもしれません。その「複合していろいろなことがある」ということが予測される方向は多岐にわたって存在していまして、私たちはそういう時代に生きてはいます。

ただ……今後何が起きたとしても、それは現代の人類の生活を見つめ直すという「機会」にもつながることではないかと思う部分もあります。何しろ、今は多くの人たちが「見つめ直す時間も何もない」ほど私たちは(何かに)追い立てられた生活をし過ぎています。

見つめ直す「機会」は必要かとも感じる最近です。

穏やかに改善していくという方向があれば一番いいのですが、過去の歴史を見ても、あまりそういうものは見当たりません。


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