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4月26日にメルマガ40兆個による細胞への攻撃が延々と続いていくを発行させていただきました。

2023年からの世界 人類の未来 人類の覚醒と真実

「ロシア敗北という魔法の思考はもうやめるべきだ」というウォールストリート・ジャーナルの報道を見て思う、欧米のメジャーメディアの「ほんの少し」の変化

投稿日:


10月20日 ヨルダン川西岸のデモ参加者らがロシアとパレスチナの旗を振り、
プーチン大統領と北朝鮮の金正恩氏の肖像画を掲げている。




 

現実を少しずつ報じ始めたメディア

昨日、アメリカのウォールストリート・ジャーナルが、

「ロシアの敗北についての魔法のような考えを終わらせる時が来た」

というタイトルの長い記事を掲載していました。

記事を書いたのは、アメリカ政府の諮問機関である「国家情報会議」の元・対ロシア情報将校と、カーネギー国際平和基金の副学長とのことでしたが、ここでいう「魔法のような考え」というのは、つまり、これまで、

・対ロシア制裁でロシア経済はボロボロになっている

とか、

・プーチン大統領はロシア国内で孤立していて、クーデターが近い

とか、

・ウクライナの反撃は成功し続けている

とか、まあ、そういうような、この 1年半など、西側のメジャー報道が続けてきた内容です。

それらは明らかに間違っていたと述べている記事でした。

ウォールストリート・ジャーナルは、アメリカで最大の発行数を誇るメディアですが、これまで上に並べたようなことを報道し続けていたメディアのひとつでもあります。

今回の記事は、「それは魔法の思考であり、空想の世界だ」というように断言しているものでした。

もちろん、これは、ロシアを褒める記事では決してありません。「ならず者国家としてのロシア」との今後の対応を変化させなければならない、というようなものでしょうか。

長い記事ですが、今回はこの全文をご紹介します。

 

現実的には、ロシアとウクライナの戦争が始まって、すぐに、

「すべてがロシアに有利に働いている」

ことは明白でした。

対ロシア制裁が始まって「いきなりロシア経済が活況を呈し始めた」ことが、昨年の 3月に判明しています。以下で米ブルームバーグの記事をご紹介しています。

(記事)「西側の制裁によりロシアが儲ける金額」はブルームバーグのアナリストの試算では日本円で約40兆円…。西側が一丸となってロシアの経済を強化する理由は何?
 In Deep 2022年4月7日

 

そして、わりとショックだったのは、ロシアは、戦争開始とほぼ同時に「非友好国への肥料の輸出を停止する」と発表していましたが、

「肥料は戦争後も、まったくそれまでと同じように非友好国、つまり西側に輸出していた」

ことが、価格報告機関であるフレイトウェーブ社の調査で判明しています。

小麦輸出もエネルギー輸出も何もかも「以前と同じ」(あるいはむしろ価格が以前より高くなった状態で)輸出を続け、西側諸国はそれを受け取り続けていました。以下の記事にあります。

(記事)ロシアの経済戦争の巧妙さに愕然とする。むしろ西側の方がバカ正直だったとか?(前者の単語に比重あり)
 In Deep 2023年5月13日

なお、ロシアの小麦輸出は、今年、過去最高となりました。

(記事)ロシアの穀物輸出が過去最高を記録
 BDW 2023年8月3日

過去のどんな時より、ロシアは対ロシア制裁で潤ったのが現実です。

 

さらにいえば、

「この戦争が長引けば長引くほど、ロシアにとって経済的に有利であり、軍事面でも西側に対して有利になる」

ともいえます。

西側がウクライナへの兵器の提供で軍事面で疲弊していく中、ロシアの軍事生産力は、この間に驚くほど増強され、ニューヨークタイムズは、「ロシアの弾薬生産量は西側の生産量の 7倍」だと、今年 9月に報じていました。以下の記事に一部を翻訳しています。

(記事)現在のロシアの弾薬生産量は「西側の生産量の7倍」だとニューヨークタイムズが報じる
 BDW 2023年9月15日

西側の「疲弊」は、ドイツなどは顕著で、昨年の時点で「ドイツ国内の弾薬が 2日分しかない」ことが判明したり、ドイツのウクライナ戦争での損失が「 1年で25兆円になる」と見積もられていたりという、ブレインデッド政策(場合によってはスーサイド政策)の一端が垣間見られます。

それぞれ以下にあります。

(記事)ウクライナに武器を支給し続けた結果、ドイツの自国の弾薬は「戦時での1日か2日分」となってしまいました
BDW 2022年10月11日

(記事)ドイツのウクライナ戦争での損失は「2023年だけで25兆円に」と試算
BDW 2023年2月15日

 

今回のウォールストリート・ジャーナルの記事の寄稿者は、「西側は、魔法から目ざめて、その現実に気付かなければならない」と述べている内容です。

しかし、現時点では、特に食糧安全保障とエネルギーの問題については、もう西側とロシアは差がつきすぎている気はします。

 

それにしても、最近は、欧米のメジャーメディアの「報道の方向」がやや変化している感じはします。

英国のテレグラフは、最近立て続けに、コロナワクチン被害者の実相を報道し続けていて、それを米 Yahoo! ニュースが転載したりもしています。

以下などにあります。

(記事)アストラゼネカ社ワクチン接種後に「脳機能と視力を失った」男性の2年半の記録
 地球の記録 2023年11月15日

これは障害の原因がワクチンだと「断定」しているものであり、また、政府の対応を激しく非難していたりと、少し前までとは「やや違うなあ」と思いました。

ドイツの新聞なんかは、最近「インフルエンザワクチンの無効性」について明確に報じています。以下に一部があります。

(記事)「インフルエンザワクチンは高齢者や小さな子どもには完全に無意味」という米国の論文を取り上げたドイツの新聞
 BDW 2023年11月17日

 

いまだに、あらゆるワクチン接種を推奨しているような日本の報道メディアはどうなのかよくわからないですが、全体として、少しでも報道の傾向が変化していくといいですね。

世界的なメディア統制能力に「何か起きている」のかもしれないですが、そのあたりは私たちにはわかりようがありません。

ここからウォールストリート・ジャーナルの記事です。




 


ロシアの敗北についての魔法のような考えを終わらせる時が来た

プーチン大統領は、ウクライナ侵攻を阻止しようとする西側諸国の制裁に耐え、その権力の掌握は強固だ。米国とその同盟国は封じ込めるための新たな戦略を必要としている。

It’s Time to End Magical Thinking About Russia’s Defeat
wsj.com 2023/11/16


11月4日、モスクワで行われた国家統一の日の式典に出席したウラジーミル・プーチン大統領。

 

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナへの全面攻撃から2周年を迎える中、彼の自信に満ちた表情を見逃すことはできない。

待望されていたウクライナの反撃は、キエフ政権に強力な交渉力を与えるほどの突破口を開くには至っていない。中東の混乱が報道の見出しを独占し、米国のウクライナに対する超党派の支持は、議会の二極化と機能不全によってひっくり返されている。

プーチン大統領には時間が味方してくれると信じる理由がある。最前線では消耗戦となったロシアが負ける気配はない。

ロシア経済は打撃を受けてはいるが、ボロボロではない。

逆説的だが、6月のエフゲニー・プリゴージンの反乱失敗後、プーチン大統領の権力掌握は強化された。戦争に対する国民の支持は依然として堅固であり、プーチン大統領に対するエリート層の支持は崩壊していない。

一方、対ロシア制裁と輸出規制は、プーチン大統領の戦争遂行を妨げるものではなく、予想よりもはるかに障壁は少なかった。ロシアの防衛工場は生産量を増やしており、砲弾など切望されている品目に関しては、旧ソ連の工場が西側の工場を上回っている。

ロシア経済の運営を担うテクノクラートたちは、回復力があり、順応性があり、機知に富んでいることを証明している。

サウジアラビアとの緊密な協力もあって原油価格が高騰し、国庫が潤っている。対照的に、ウクライナは西側からの資金注入に大きく依存している。

プーチン大統領は自身の外交政策の実績にも満足しているだろう。重要な関係への彼の投資は報われた。中国とインドは、ロシアの石油やその他の商品の輸入を増やすことで、ロシア経済に重要なバックストップを提供してきた。

プーチン大統領は、西ヨーロッパで失われた市場よりも、単に経済分野で中国のジュニアパートナーになるほうが短期的には有利だと判断した。

中国からの製品はロシアの輸入品の 50%近くを占めており、ロシアのトップエネルギー企業は現在、中国への販売に夢中になっている。

アルメニア、グルジア、カザフスタン、キルギスなど、プーチン大統領の攻撃的な戦術を恐れる十分な理由がある近隣諸国でさえ、制裁回避の実現者として、またロシアが直接輸入していた商品の積み替え地点として機能することで莫大な利益を得ている。

国際刑事裁判所によるプーチン大統領の起訴と、ウクライナにおけるロシア国家主導の戦争犯罪の豊富な証拠にもかかわらず、プーチン大統領は依然として、いわゆる「グローバル・サウス」のさまざまな地域で受け入れられている。

米国と欧州の二重基準、あるいは自国に関わる問題への関与の欠如と認識していることに憤慨している多くの国にとって、ウクライナ戦争はそれほど重要ではない。

これは驚くべきことではない。 2022年2月のウクライナへの本格侵攻の半年以上前に、プーチン大統領はロシアの新たな国家安全保障戦略に署名した。

この文書の主な目的は、ロシアを西側諸国との長期的な対立に備えることであった。今日、プーチン大統領は国民に対し、自身の戦略がうまくいっていると伝えることができる状態にある。

プーチン大統領は戦争を終わらせなければならないというプレッシャーを感じておらず、多かれ少なかれ戦争を無期限に維持する能力について心配もしていない。

冬が近づく中、ロシア軍は独自の限定的な地上攻撃を開始しており、ウクライナの都市、発電所、工業用地、その他の重要なインフラに対するミサイルやドローン攻撃を拡大するのは確実だ。

少なくとも、プーチン大統領は、米国と欧州のウクライナへの支持が消え、ウクライナ国民が彼らに与えられる終わりのないテロと破壊にうんざりし、この2つを組み合わせることで、ウクライナ戦争終結に向けた合意の条件を決定できるようになるだろうと予想している。これは、戦争の勝利を主張できるという意味だ。

プーチン氏の観点からすれば、そのような協定をまとめる理想的な人物はドナルド・トランプ氏だという。もちろん、彼が、2025年1月にホワイトハウスに復帰した場合だ。

プーチン大統領は、ウクライナでの戦争に勝つために、自由に使えるすべてのものを兵器化する準備ができている。

核軍備管理と欧州の安全保障は現在、西側諸国によるウクライナ支援の停止を求めるロシアの要求の人質となっている。

冷戦時代の軍備管理の枠組みは 2026年には完全に消滅し、米国、ロシア、中国の間で予測不可能な三つ巴の核軍拡競争が起こるリスクが高まっている。

プーチン大統領は、イスラエル・ガザ戦争、食糧安全保障、気候変動対策など、あらゆる世界的・地域的問題を、ウクライナと西側諸国との戦争に勝つためのテコとして利用するだろう。

総合すると、この情勢は西側諸国の指導者たちにとって前例のない課題となっている。米国政府とその同盟国は、この問題の最も緊急な側面、すなわちウクライナの崩壊を阻止し、先進兵器とリアルタイム情報を十分に供給し続け、ロシアに対する制裁を考案するという課題に驚くほど効果的に取り組んできた。

しかし今は、クレムリンの傍若無人の政権に対する圧力を強化し、維持する長期戦略に移行する時期だ。

短期的な措置をどのように組み合わせても、プーチン大統領に戦争放棄を強制するのに十分であるという幻想を抱いてはならない。

西側諸国の指導者たちが明らかにしていないのは、大胆で歴史修正主義的なロシアの脅威が永続する性質のものであることについて国民と一致することだ。

彼らは、対ロシア制裁の成功や、ウクライナの反撃の成功、あるいはロシア政府を交渉のテーブルに着かせるための新型兵器の移送などに賭けるという「魔法のような思考」にあまりにも頻繁にふけってきた。

あるいは、ロシア政府内のクーデターでプーチン大統領が打倒されるという夢物語を期待している。

今日の封じ込め政策は、西側による制裁の継続、ロシアを外交的に孤立させ、クレムリンによる我が国(米国)の内政干渉の阻止、そして我が国の防衛産業基盤への米欧の持続的な再投資を含む NATO の抑止力と防衛能力の強化を意味するだろう。

それはまた、プーチン大統領の戦争によって引き起こされる外交、情報、軍事、経済のあらゆる損害を軽減することを意味するだろう。

冷戦をもう一度やり直すべきだと言っているわけではない。

クレムリンとの世界的な競争に乗り出すことは、米国の威信や資源を賢明に投資するものではない。それは私たちをロシアの影響力のありとあらゆる現れに対する無意味なモグラたたきのゲームに送り込むことになるだろう。

プーチン大統領のロシアには、ソ連を世界のさまざまな地域に大きな影響力を与えたハードパワーやイデオロギー的魅力はほとんどない。

さらに、今日の状況はソ連の脅威とは大きく異なる。

ヨーロッパは第二次世界大戦後のような荒廃した荒野ではない。NATOはフィンランドとスウェーデンの 2カ国を新たな加盟国として迎え入れた。

プーチン大統領は北京、テヘラン、平壌などの場所のドアをノックするだけになっている。ことわざにある戦力の相関関係は決定的にロシアに不利に傾いている。

最も重要なことは、あらゆる予想に反して、ウクライナがロシアの猛攻撃に耐えてきたことである。ウクライナ軍は 2年も経たないうちに、10年間にわたるロシア軍の近代化を灰燼に帰した。

バイデン大統領が 10月19日の演説で約束したように、ウクライナを戦闘に参加させ続け、武器や弾薬を供給することは慈善事業ではなく、西側戦略の中で最も緊急で費用対効果の高い要素だ

同様に重要なことは、ウクライナがヨーロッパにおける正当な位置に向かって進むのを支援することだ。

ヨーロッパの共産主義崩壊後のどの国も、ウクライナが現在経験しているようなことを経験していない。国の再建は、自国民だけでなく、多くの友人、パートナー、同盟国にとっても世代を超えた事業となるだろう。

西側同盟国の団結と決意を維持することは、大西洋の両側の指導者にとって不可欠となるだろう。クレムリンはずっと以前に、米国とその同盟国との間にくさびを打ち込む技術を習得していた。

プーチン大統領の最終的な退任の見通しにより、何らかの形でロシアを中国の抱擁から引き離す可能性のあるロシアへの新たな戦略的開放についての議論がすでに巻き起こっている。

しかし、クレムリンの新たな指導者に疑念を持たせることについては、極めて慎重であるべきだ。レーガン元大統領は、ミハイル・ゴルバチョフがソ連の前任者とは違うと感じるまでに多くの説得を必要とした。

プーチン大統領に代わる者が誰であっても、戦争を終わらせ、キエフと真の真剣な交渉に取り組まなければならないことを考えると、その挑戦は今やはるかに困難になっている。

米国とその同盟国は、この事業が長期的なものであることを明確にする必要がある。

戦争が終わっても、それが起こっても、ロシアと他のヨーロッパ諸国との間の対立が静まる可能性は低い。ウクライナ人とその友人たちは、当然のことながら、安全で大陸の政治経済生活に完全に統合された、繁栄した独立したウクライナの台頭を見たいと考えている。

プーチン大統領とその後継者たちは、独立したウクライナの繁栄を見たときに、それをロシアの最終的な敗北とみなすだろう。

ロシアはそれを防ぐために全力を尽くすはずだ。

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