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全世界で進む「蚊の絶滅計画」は自然への反逆か人間文明への恵みか。アメリカでは広範囲でバイオモスキートが大量に自然環境に放出されることが決定

      2017/11/10

2017年11月6日のネイチャーより


US government approves ‘killer’ mosquitoes to fight disease

昨年、「遺伝子操作した蚊」あるいは「故意にバクテリアに感染させ培養した蚊」などについて、以下のような記事書いたことがあります。

ブラジルでの「遺伝子操作を施された蚊の放出」と、現在のジカウイルスの流行の関係を私が完全に無視することができない理由

WHOは「ジカ熱対策のために遺伝子操作した蚊をおおいに活用しなさい」というけれど……。感染症医学の中心に立ちはだかるパスツールの亡霊たち

これらはすべて「ヒトの感染症撲滅のため」に、「蚊を滅亡させることを目的」に行われているプロジェクトたちでもあります。

そういうプロジェクトの世界最大規模の試みがアメリカで始まることを冒頭のネイチャーの記事で知りました。

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その根底にある「〇〇はこの世から絶滅してもいい」という概念が広がるこの世界はどこへ導かれる?

今回は冒頭のネイチャーの記事をご紹介しようと思いますが、この仕組みについては簡単に書きますと、今回ご紹介するネイチャーの本文から抜粋しますと以下のようになります。ボルバキアというのは、昆虫などに広く共生している細菌の一種です。

ボルバキアに感染させた蚊のオスがボルバキア細菌を保有していない野生のメスと交配すると、父性染色体が適切に形成されないために結果として生じる受精卵は孵化しない。

ということで、理論上は「受精卵は孵化しない」ということは蚊そのものが消滅していくということになります。

そして、このボルバキアに感染された蚊を大量にアメリカの自然環境中に放出する、というのが今回の計画で、ネイチャーの記事によりますと、アメリカにおいて、すでにアメリカ環境保護庁の承認が得られることになったということで「実行」されるようです。

先ほどリンクした以前の記事の方法はこれとは違い、「蚊の遺伝子を操作して、蚊が成虫になる前に死ぬようにする」というものでした。


Oxitec

この方法は今回のものとは違いますが、今回ご紹介するものも、自然界の「掟」が出来上がっている「共生バクテリア」の世界に介入するものであり、そして、結局は「蚊の絶滅を目指している」ということで、やはり、何だかなあとは思います。

なぜかというと、生物の共生バクテリアの関係が崩壊していくと、おそらく「その生物のコミュニティや存在自体も崩壊に導かれるのではないか」と思うからです。

この世に「意味のない存在の生き物はいない」というのが私のスタンスですが、近代科学や近代の科学者たちには「逆」の発想が多いです。

そして、そういう考えが出て来る根底には、おそらく、今の多くの科学者たちの頭の中には、まあもちろん「この世の病気をなくしたい」という情熱もあるのかもしれないですが、それと共に、

「この世には、存在しなくてもいい生物がいる」

という概念を科学者の方々が持っているとしか思えません。

そういう概念の中で、「絶滅していもいい生物」を規定しようとしている。

それはたとえば、昔のネイチャーの下の特集を見てもわかります。

今から7年前の2010年のネイチャーより「蚊のいない世界」


A WORLD WITHOUT MOSQUITOES

これは「この世から蚊を絶滅させて人間に何か不利益はあるだろうか」ということへの科学者たちの意見を集めた記事です。

多くの科学者たちは「絶滅してもいい」という傾向になびいています。

かつて白人たちが南米大陸や北米大陸にやって来たときも、基本的にはほぼ同じ発想で領土を拡大しています。

「〇〇は絶滅してもいい」

実際、多くの南米や北米の人たち、あるいはいろいろな「人間」たちが絶滅していますが、時代が進んでも、この発想は同じだとつくづく思います。

まして、人間よりはるかに昔から、それはもう何億年という昔から生存し続けている蚊を「絶滅させる」という発想。

もっとも、蚊はそのようにどんな環境でも何億年も生きのびていたわけで、人間の遺伝子処理ごときで滅亡することなどあり得ないですが、それより現実として恐ろしいのは、

「こういうことを繰り返しているうちに、とんでもないモンスター蚊や、モンスターバクテリアが生まれる可能性」

についてです。

先ほどリンクした記事に以下のように書いたことがあります。

2016年3月20日のIn Deep 記事より

でも、現実には、パスツールの言っていた「細菌を絶滅させれば人類は病気から解放される」というのは間違いであるどころか、

「細菌を絶滅させれば人類も絶滅する」

ことが明らかになっているわけです(細菌が絶滅するなんてことはあり得ないでしょうけれど)。

細菌と人間は明らかに共生して、長い地球の歴史を生きてきています。

まあしかし、ジカ熱にしても、その他の蚊が媒介する病気の問題にしても、それぞれが複雑な問題を生み出していて、何とかしなければならいなということは確かだと思います。

でも、それでもやはり「遺伝子操作した蚊」を・・・そんなものを世界中に大量に放出するような日が来た場合は・・・それこそ、聖書のアルマゲドンが近い時だという雰囲気があります。

場合によっては、さらに厄介なモンスター・バクテリアが登場してくるような感じもあります。

 

そして、科学者たちが「蚊」という存在をどう考えているのかはわからないですが、過去記事の、

ウイルス、そして「蚊」の意味とは何か?

というものに私は以下のように書いたことがあります。

蚊というのは、「同種や異種間の動物から動物へ血(そこには細胞も遺伝子も含まれている)を伝える」という役目を持つ代表的な生物です。

他にも血液を伝える生物はいますけれど、蚊ほど全世界的に生息していて、また、小さくて移動も自由な生き物はいないはずです。

そのような、大型動物の血液を牛耳っている役割を持つ蚊が地球の生態系に果たしている役割は非常に大きいと私は思います。

唯一ではないにしても、蚊は「地球上の血を他の生き物に伝える最大級の生き物」であり、おそらく蚊こそが地球の生命の進化の一部を担っていると思っています。

ですので、「蚊が絶滅すれば、人類は絶滅する」と私は単純に考えますし、これは絶対に真理のはずです。

今の世は、「蚊に刺されないように気をつける」という概念と「蚊を絶滅させる」という概念を同化して考えることのできる狂った世の中ですけれども、そんな中で、アメリカで「加工した蚊の大量放出」がもうすぐ始まります。

ここから記事です。


US government approves ‘killer’ mosquitoes to fight disease
nature 2017/11/06

アメリカ政府は、感染症と戦うために「殺虫蚊」の放出を承認した

アメリカ環境保護庁(EPA)は、デング熱、黄熱、ジカ熱などのウイルスを感染させる野生の蚊を殺すための共通のバクテリアの使用を承認した。

11月3日、同庁は、バイオテクノロジー企業モスキートメート社(MosquitoMate,)に、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)に対する殺虫ツールとして、昆虫の共生細菌ボルバキア(Wolbachia pipientis)に感染した蚊を自然環境に放出することを許可すると述べたのだ。

研究室で育てられた感染した蚊たちは、野生の蚊の集団にこの細菌ボルバキアを送達することになる。

環境保護庁によるこの決定により、米国ケンタッキー州にあるモスキートメート社は、バクテリアに感染した蚊を全米 20州とワシントンD.C. に放出することが可能となった。

メリーランド大学の昆虫学者ディヴィッド・オーブロッチャ(David O’Brochta)博士は、この決定について以下のように語る。

「この方法は、蚊に対しての非化学的な方法なので(化学的な殺虫剤等を使わないという意味)、その観点からは魅力があるものかもしれない。これらのことは非常に重要なことでもあるので前進していることは嬉しい」

モスキートメイト社は、共生細菌ボルバキアに感染したヒトスジシマカを研究室で回収し、その後メスからオスを分離する。

実験室の蚊のうち人を刺さないオスは処置室に放たれる。そして、これらのオスがボルバキア細菌を保有していない野生のメスと交配すると、父性染色体が適切に形成されないために結果として生じる受精卵は孵化しない。

同社は、ボルバキアに感染したオスの数が増え、野生のメスと交配するにつれて、ヒトスジシマカの生体数が減少するはずだと述べている。

モスキートメイト社の創設者であり、ケンタッキー大学の昆虫学者スティーブン・ドブソン(Stephen Dobson)氏は、蚊の他の種を含む昆虫が、これによって害を受けることはないと述べている。

環境保護庁は、モスキートメイト社のこの製品(商品名「ザップメールズ / ZAP males (オスを消すという意味)」)の放出は、全米のうちの 20州とワシントンD.C. に制限した。

この 20州は、環境保護庁によれば、以前ザップメールズの有効性がテストされたケンタッキー州、ニューヨーク州、カリフォルニア州と同様の気温と降水量を持つ州だという。モスキートメイト社は、圃場(ほじょう)試験を実施しなかったため、蚊の密集した場所が多くあり蚊の季節が長いアメリカ南東部の多くの州は除外されている。

モスキートメイト社はケンタッキー州レキシントンで販売を開始し、そこから近くの都市に販売を拡大する予定だ。 同社は住宅所有者、ゴルフコース、ホテル、その他の顧客と協力してこの製品化された蚊を配備するという。

野生の蚊の集団を防除するためにウルバキア細菌に感染した蚊を開発している別のグループは、ウルバキアに感染した蚊を大量に生産することに成功している。中国広州の孫文大学と、米国ミシガン州立大学の研究者たちは、中国広州で毎週 500万匹のウルバキアに感染したヒトスジシマカを放出していると述べている。

研究室で培養した蚊を使用して蚊を殺すことは近年ブラジルで広範囲に行われている。ブラジル政府は 2015年に始まったジカウイルスの流行に対応して、そのような蚊の大規模な放出を許可している。

ジカは、異常に小さな頭を持つなどの重度の先天性欠損に関連している蚊媒介性ウイルスであり、ヒトスジシマカはの感染の主要な要因として考えられている。

ブラジルで試験されている蚊のタイプの1種類は、英国のオクシテック社(Oxitec)によって開発されたヒトスジシマカの遺伝子組み換え品種だ。改変されたオスの蚊が野生のメスと交配すると、その子孫に死に至る遺伝子を渡すために蚊は死滅する。

オクシテック社は、アメリカで遺伝子組み換え蚊をテストすることに踏み切ったが、昨年のフロリダ州では、このテストに賛成する群と反対する群に割他。

対照的に、モスキートメイト社は、フロリダ州とカリフォルニア州で公衆の注目を集めることなく様々なウルバキア細菌に感染したヒトスジシマカを開発し、テストした。 同社はその蚊をアメリカ全土で放出できるようにアメリカ環境保護庁に申請書を提出する予定だ。



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