11月18日の報道より
新約聖書「マタイによる福音書」 24章 06節
民は民に、国は国に敵対して立ち上がり、方々に飢饉や地震が起こる。
しかし、これらはすべて産みの苦しみの始まりである。
世界中の国々で分裂する人々
海外の報道で、「New Cold War 」つまり「新たな冷戦」という言葉が飛び交っています。
これは、中国とアメリカの間の現在の状態を述べているものですが、このことも加えて、昨年以来、
「まっぷたつに割れる」
という概念について何度か書かせていただいたことがあります。
たとえば、下のような記事などがそうです。
「まっぷたつにわかれていく人類」 : 2017年は「社会的な地獄」と「精神的な変容」が同居する年になるかもしれないという希望的観測を
これは 2017年の記事ですが、今年 2018年の元旦の記事で、数秘術的な観点から、2018年という年は、2017年から始まった概念が「最大限まで進んでいく」のかもしれない、ということを、
・2018年は「2017年に芽生えた概念」が崩壊まで突き進む年のはじめ……かも
In Deep 2018年1月1日
という記事でふれたことがあります。
先ほどリンクしました記事のタイトルに、「まっぷたつにわかれていく人類」というような言葉が入っていますが、2018年は、「それがさらに突き進んでいくのではないか」というようなことを書いたりしていました。
実際には、今「新しい冷戦」として騒がれているようなことが、さらに進んでいくのかどうかわからないですが、それはそれとして、最近この「まっぷたつにわかれる人類」という意味において、
「世界中がその渦に巻き込まれているのではないか」
という気がするのです。
たとえば、昨日(11月18日)、韓国の朝鮮日報の記事で、とても興味深いものを見つけました。
最近は、日本と韓国の関係がまたアレなせいもあり、「韓国国内の人々の様子」というようなことについては、あまり考えたことがありませんでした。
そんな中で、11月18日の朝鮮日報の、
・【コラム】葛藤と分裂の大韓民国
朝鮮日報 2018/11/18
という記事を読みますと、
「韓国もまた、かつてないほど《まっぷたつ》になっている」
ことがわかるのでした。
これを書いた記者の方の非常に切実な感情が伝わる記事ですので、ぜひお読みになってほしいと思いますが、ところどころを抜粋しますと、記事は、
文在寅政権が発足すれば、デモくらいはなくなると思っていた。少なくとも減るのではないかと思っていた。
という文言から始まりますが、
ところがデモが行われなかった日は、1日たりとも存在しない。ソウル市光化門は、デモ隊に乗っ取られて久しい。
先週末、光化門一帯には計22件のデモに3万-4万人の群衆が詰め掛けた。昨年1年間、ソウル市鍾路区一帯で行われたデモは2563件で、2016年よりも43%増えている。
文在寅政権が発足してからは31%も増加しているという。
さらに、現在の韓国国内のさまざまなことにふれたあと、この記者は、以下のように述べます。
50年以上にわたって私は、韓国社会の多くの葛藤と分裂をこの目で見て経験し、取材してきた。
しかし、このように社会のほとんど全ての価値感がまるで瓶をひっくり返したかのように変化するのは初めてだ。
世の中がここまで急激に分裂するのを初めて目にした。
過ちを正していくのが発展への道だ。しかし、ある団体の自称「改革者」という者たちがやって来て、何らの検証過程もなしに過去を「積弊」と規定。国の基本フレームを揺さぶりにかかるのが発展であるわけがない。
過去暗黒の軍部独裁時代にも、批判に対する物理的な圧迫は存在していたものの、現在のように韓国社会がここまで二極化へと進んだのを感じたのは初めてのことだ。
この 50年以上記者をやっているというこの方は、
> 社会のほとんど全ての価値感がまるで瓶をひっくり返したかのように変化するのは初めてだ。
と書かれているほど韓国の社会はカオス化しているようなのです。
そして、この朝鮮日報の記者さんの文章の中に、「私がアメリカの現在の大統領に対して持っている感じ方と同じこと」が書かれてあったのも印象的でした。
以下がその部分です。
米国のトランプ大統領は、米国を二つに割ってその一方に立ち、毎日もう一方を苦しめながら「喜んでいる」人だ。米国の知識人は、歴史上分裂と対立でここまで米国を二極化してしまった大統領を見た試しがない、と嘆いている。
葛藤と対立が世界的に流行しているとでもいうのか。
記者の方は、
> 葛藤と対立が世界的に流行しているとでもいうのか。
と述べているわけですが、おそらく「世界的に流行している」のだと思われます。
いくつかの主要国の最近の時事を思い出しても、それを思います。
アメリカが「かつてないほど、まっぷたつに分裂している」ことは、誰から見ても明らかでしょうが、今年 6月の記事で、
「このアメリカの分裂は意図されて起きているものだ」
とするアメリカのメディアの記事を翻訳してご紹介したことがあります。
アメリカの専門家が語るその状況は、もう混沌としたもので、その専門家によれば、
・ロシアが外部的作戦によるアメリカのクーデターを行おうとしている
・アメリカ国内で、社会な混乱を巻き起こすことに関心を持っている者たちの団体による悪意のある行いがアメリカの内部に存在する
などを含めて、さまざまな「アメリカ国家の転覆」を企てる勢力が存在するとしています。
なぜ、このようなことをするかといいますと、その目的は、記事から抜粋しますと、以下の通りです。
社会を混乱させることの目標は、アメリカの社会を破壊し、その調和を破り、人々がお互いに反目し、追いやり合うことだ。
とありますが、この「アメリカの調和を破り、人々がお互いに反目し」というのが目的なら、「どんな海外反米勢力よりも、トランプ大統領自身がアメリカ破壊の役割を担っている」というようにも言えなくもなさそうですが、アメリカ以外では中国がこれらの作戦を大変活発におこなっているようです。
記事から抜粋しますと、以下のようにあります。
中国共産党の人民解放軍は「情報の認識方法を変えるための心理戦」、「メディアの報道を制御するためのメディア戦争」、「国際法を操作するための法戦争の戦略に基づいたシステム」などの文書を発表している。
人民解放軍の 2名の大佐は、「文化戦争」、「麻薬戦争」、「経済援助戦争」など、多くの「非軍事」戦術を使用した、道徳のない戦争を概説した『無制限戦』という書籍を出版している。
この中に、
>道徳のない戦争
という言葉(原文は war without morals )が出てくることがおわかりのように、もはや現在の戦争は、特に大国間の戦争戦略は、かつてのドンパチ的なものとはかなり離れたものとなっているようです。
こういうことを考えますと、今の中国とアメリカの対立も、単に表面的に見ていても、おそらく「実際に進行していることとは違う」ことになっているのだろうなとは思います。
それは、共に一緒になって、アメリカの破壊活動をおこなっているかのような光景にも見えなくもないものでもあります。
しかし、それぞれの大国はともかく、結局、仮に「新たな冷戦」というようなものが展開されるとなると、「アジアの多くの国や地域が巻き込まれていく」ということにならざるを得ないのかもしれません。
今日のブルームバーグの「アジアを分断する冷戦の恐れ強まる」という記事の冒頭は、以下のような始まりでした。
1990年代初めのソ連崩壊以来、東南アジア諸国は超大国の争いに巻き込まれないようにしてきた。
しかしトランプ米政権の政策により、各国のこうした立場は次第に維持不可能な様相となりつつある。
少し前のアジアタイムズには、「新たな冷戦の中心地はカンボジアになる」というタイトルの記事が出ていました。
いろいろな国や地域が巻き込まれていき、そして、巻き込まれた国々でもまた、「人々がまっぷたつに割れていく」ということにもなるのかもしれません。
そして、その「分裂」がいろいろありながらも落ち着いていくのならともかく、
「それが極限にまで進んでいったとき」
に、おそらく世界は新しい段階に入るのだと思われます。
それは「破局の段階」にまで突き進む可能性もあるのかもしれません。
何となくこう……予測されていた未来が実行されていく……というような概念が、ふと頭に浮かびます。