世界で最も華やかだった夢のニューヨーク5番街が
最近とても衝撃的な動画を見まして、投稿されたのは、8月7日となっていますけれど、いわゆる「ニューヨーク5番街」と呼ばれる、ニューヨークで最も華やかで、高級品店が建ち並ぶ場所があるのですけれど、その5番街を車で撮影した動画でした。
本来は、撮影者は、「マンハッタンの賑わいがどれほど戻っているのかを撮影して、SNS で伝えたい」として、赴いたようなのですが、行ってみると、
「何もない」
のです。
ロレックスやマイクロソフトなどを含めたほとんどの高級店が壁と窓に板を張り付けて「完全に閉まっている」のです。
そして、街にまるで人がいないのです。
以下はその動画の一部です。実際はもっと長いです。
https://youtu.be/nqeJm5NEwcg
字幕はつけていないですが、投稿者が喋っているのは、店舗や企業の名称で、「〇〇も閉まっている。〇〇も閉まっている」と見ている光景を言っています。
最初に見た時は、フェイクビデオか何かとも思いましたが、ここがマンハッタンであることは疑いようがないですし、どこまで歴史を遡っても、「マンハッタンの高級店のドアとすべての窓に板が打ち付けられている」なんて光景があったとも思えず、
「これは現実なのかよ」
と改めて思った次第です。
このニューヨーク5番街という場所は、たとえば、旅行サイトに「ショッピング天国、5番街を歩く!」というようなタイトルの記事がウェブ上にもたくさんあるような華やかな場所で、アメリカの物質文明を象徴する代表的な場所でもあります。世界一賃料の高い場所としても著名です。
以前の「通常の」ニューヨーク5番街
・newyorknavi.com
先ほどの旅行サイトの記事の冒頭には、
ニューヨークといえば誰もが思い浮かぶのが5番街でお買い物。ブランドショップに代表される高級イメージに加えて、最近では若者ターゲットのショップが激増。
とありますが、今は、ここで営業されていたほとんどの高級店は店を閉めているようです。
窓やドアに板が打ち付けられているのは、おそらくは盗難や強盗対策だと思われます。その理由は、後でご紹介します記事にもありますが、
「現在ニューヨークで犯罪が異常に増加している」
ようなのです。
そうなると、どうなるかといいますと、そんな物騒な場所には、特に富裕層は暮らしたいとは思わなくなりますので、つまり、「ニューヨークからの超富裕層の流出が止まらない」状態が続いています。
5月のニューヨークタイムズの記事によると、
3月1日から5月1日までの間に42万人のニューヨーカーの大量脱出があった。
とあり、この 42万人というのは、ニューヨークの人口の 5%ですが、しかし、「富裕層が中心の地域に至っては、40%が脱出」しているとありました。そして、これは「まだ 5月の記事」なのです。
抗議デモなどを含む「新しい問題」が発生したのはその後であり、その後も流出は加速していると見られます。
先日、ニューヨーク州のクオモ知事が、
「富裕層にはぜひニューヨークに戻ってきてほしい」
と懇願していたことが報じられていました。
どうしてそんなことを言うのかというと、「ニューヨークの税収の半分は、人口の 1%の超富裕層から支払われているから」なのだそうです。
つまり、多くの富裕層がニューヨークから「脱出」した場合、ニューヨークは歳入の多くを失ってしまい、「貧困な地方自治体となってしまう」のです。
しかし、先ほどの動画のマンハッタンの惨状を見ますと、ニューヨークには、確かにすでに富裕層はほとんど残っていないのかもしれません。富裕層もいなければ、旅行者も来ない状況では、世界一賃料が高く維持費がかかるマンハッタンの店を開いている意味はなくなります。
アメリカのメディアが、最近のニューヨークの状況について、メジャーメディアの報道の記事から引用して紹介していましたので、今回はそれを取り上げさせていただきます。
ニューヨークからの脱出 : 街が地獄と化していく中で、裕福な住民たちは、多くがニューヨークから逃げている
Escape From New York: Wealthy Residents Flee In Droves As The City Degenerates Into A Hellhole
TMIN 2020/08/07
何十万人もの裕福な居住者たちが、すでにニューヨーク市を去っており、アメリカの最大のこの都市が急速に地獄へと退化するにつれて、今もなお毎日さらに多くの人々がニューヨークから去っている。
多くの点でニューヨークは過去数十年にわたって信じられないほどのサクセスストーリーの拠点であったため、これは私たちアメリカ人には非常に悲しいことだ。
もちろん、ニューヨークにも、1970年代から1980年代のように悪夢のような時代もあったが、その後の数十年の間に、ニューヨークは、アメリカの裕福な人たち、あるいは著名な人たちにとって仮想の楽園になっていった。その間、犯罪率は非常に低くなり、金融コミュニティは活況となり、かつてないほどの富をニューヨークにもたらした。
しかし、今や、多くの裕福なニューヨーカーは、他の場所へと旅立っている。
このようなことになった最大の理由は、新型コロナウイルスのパンデミックだ。ニューヨークタイムズ紙によれば、パンデミックが発生して以来、 3月1日から 5月1日までに、居住者の約 5%(約 42万人)が街を去った。
しかし、ニューヨークを脱出した率が顕著だった地域は、アッパーイーストサイド、ウェストビレッジ、ソーホー、ブルックリンなどの最も裕福な人たちが暮らす地域で、その期間、これらの地域では 40%もの人口の減少があったとニューヨークタイムズは報じている。
わずか 2か月間で、特定の地区の 40%が街を去るなど想像できるだろうか。
富裕層は、仕事の場所に縛られない人たちが多く、複数の住宅を持っている場合が多いために、迅速に移動できるということも脱出の加速につながっている。
その結果、ニューヨーク州は、かつてない税収の落ち込みの危機に直面しており、8月4日の FOX ニュースは、ニューヨーク州のクオモ知事が、「富裕層のニューヨークからの脱出が、税収に大きな打撃を与えている」と述べ、嘆いた。クオモ知事によれば、ニューヨークの人口の 1%にあたる富裕層が、州の税金の半分を払っていると言い、それを失うことへの危機感を語った。
それ以来、ニューヨーク市の公衆衛生の予算は 1億ドル(約 106億円)以上削減された。
そのため、英デイリーメールの報道では、ニューヨークの街中に「ゴミの山」が堆積し続けているという。ゴミのあふれるニューヨークなど、想像もできないかもしれないが、今では、ゴミや死んだネズミが各所で見られると報じている。
その一方で、ニューヨークの犯罪率は急激に上昇している。
8月4日の FOX ニュースの報道によれば、7月のニューヨーク市内の銃撃事件の数は、前年の同じ月に比べて 177%増加したという。FOX ニュースは以下のように報じている。
ニューヨーク市警によれば、2020年7月は 244件の発砲事件が記録されたが、2019年 7月には 88件だった。これは、177%の増加を示す。また、7月にはニューヨークのすべての地区で銃の乱射事件が発生した。7月31日までに、昨年の同時期と比較して 72%急増した。
ニューヨークでの 7月の殺人件数は、昨年と比べて 59%増加し、2020年には 54件だった。昨年は 34件だった。強盗は、前年比 31%増だった。
これまでと違うのは、このような犯罪の波が、ニューヨークの富裕層の暮らす地域にまで広がっていることだ。デイリーメールの報道によれば、アッパーイーストでの強盗事件は 286% 増加しているというショッキングなデータが示された。
また、高級ホテルの多いマンハッタンのアッパーウエストでは、別の問題も大きくなっている。8月7日のデイリーメールの報道には以下のようにある。
避難シェルターにおいてのホームレスたちの新型コロナウイルスの集団発生を防ぐための取り組みとして、現在、マンハッタンのアッパーウエストサイドにある高級ホテルに何百人ものホームレスの人々を滞在させているが、彼らは、マンハッタンの路上で眠り、排尿し、薬物を服用しながら徘徊する人たちの姿が目立ってきている。ニューヨークのアッパーウエストサイドの富裕層たちは、これらの光景に怯えて暮らしている。
ニューヨーク市内の代表的な高級ホテル 139か所は、ロックダウンで数か月間強制閉鎖されていたが、7月から、ホームレスの人々を 1泊 1人あたり 175ドル(約18000円)で宿泊させることに同意したことが明らかになった。
この宿泊費は当局が支払うものだが、このようなホームレスの中には、警察に登録されている性犯罪者たちが多数いることが、ニューヨークポストの調査で判明している。
もちろん、ホームレスの人たちの存在が悪いのではない。
しかし、富裕層から見れば、この状況がどのように思えていると想像されるだろうか。
それでもニューヨークに住み続けたいという富裕層もいるだろうが、しかし、普通に考えれば、ニューヨークからの人々の脱出は続くように思える。
そして、一度出た人たちは、もう戻ってこないだろう。
ここまでです。
これが起きているのはニューヨークだけではなく、アメリカの他の主要都市でも「都市部からの脱出」という現象が起きているようで、これからアメリカがどのような構造の国となっていくのかが少しわかりにくくなってています。
しかし最大の問題は、
「マンハッタンのようなゴーストタウンが出現するのはアメリカだけ?」
ということです。
日本は?
東京は?
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