2019年4月22日の米ゼロヘッジより
リーマンショックから10年後にさらに膨張している債務
国際金融協会というものがあるそうで、金融・証券用語解説によれば、これは「国際金融システムの安定を維持するため、1983年にワシントンを本拠地として設立された国際的組織のこと」だそうですが、その国際金融協会の集計による「世界の債務の状況」が大変なことになっていまして、2018年末の時点で、
「全世界の債務は 243兆ドル」
となっていることが発表されていたのでした。
日本円に換算しますと、大ざっぱに「 2京 7000兆円」です。
現実的に経済の話で使うことがあまりない「京」が出てくるわけです。
国際金融協会の2019年4月のニュースリリースより
これを受けて、昨日の欧米の報道では、このことが一斉に報じられていました。
その主張としては、例えば以下のようなものです。
The Cataclysmic $243 Trillion Global Debt Bomb Will Explode, Impoverishing Everyone
zerohedge.com 2019/04/21
壊滅的な243兆243ドル(2京4300兆円)の世界的な債務の爆弾が爆発した場合、世界の全員が貧困に陥る
世界的な債務の爆弾が爆発した場合、救われる人は誰もいないだろう。
あらゆる政府は崩壊し、世界中の人々が貧困状態となり、企業は破綻するだろう。権力のあるエリート主義者たちは、それらをなかったことにしようとしてきたが、しかし、逃れることのできない荒廃が待っている。
国際金融研究所が今週発表した報告によると、世界の債務は今や恐ろしい規模となっており、それは、243兆ドル( 2京4300兆円)に達している。
これは、決して返済することのできるような金額ではないことからも、今の私たちは不条理で持続不可能な領域の中にいると言っていいだろう。
債務をベースとした国家のシステムは、今や取り返しのつかないほど壊れており、権力の地位を維持するために、中央銀行や政府によって言われ続ける嘘によって、いまだに支えられている。
これらの記録的な債務の数字は、世界の国内総生産(GDP)の 3倍だ。
つまり、全世界の債務は、地球上のすべての製品やサービスの価値の 3倍に膨れあがっているのだ。
中でも、アメリカはこの債務の拡大に大いに貢献しており、このシステムが最終的に破裂したときにすべての人々が粉砕されるであろう債務バブルを助長している。
お金を刷ってクレジットを発行することに依存している無責任な現在の通貨システムは、地球上のほぼどこにおいても、その生活を破壊しようとしている。
人類は、現在の私たちがどのようなものに支配されているかを認識して、それに替わる手段を必要としていることを認める時期に来ている。
実質的な奴隷制度の中で生きている状態から脱する必要がある。
ここまでです。
まあ・・・いろいろとあれですけれど、そもそも、10年ほど前のリーマンショックというものは、アメリカの中低所得者向けの住宅ローンの問題から始まったとされていますけれど、その時点でも「世界の国家の債務が大変なことになっている」ことが露見したということもありました。
そのことからも、当時、
「個人も国家も債務や借金を減らしていく必要がある」
ということが言われていたと記憶しています。
しかし、実際には以下の通りに世界の債務は増加し続けています。
2011年からの全世界の債務の推移
これを見ますと、特に、2018年が大幅な増加を示していることがわかります。
上の記事にもありますように、
> これは、決して返済することのできるような金額できない
ということは、それをおこなっている各国の政府や中央銀行の人々もよくわかっていると思うのですけれど、どこの国でも、債務はどんどんと増えていく。
政府債務のGDP比の高い国と低い国(赤が最も高いレベル)
In Deep の過去記事を振り返ってみますと、2017年3月に、以下のような記事を書かせていただいていました。
気づけば、世界の借金は「1京7500兆円(175 ,00 ,000 ,000 ,000 ,000円)」になっているアルマゲドンぶり。そして、3月15日以降のアメリカは「すべてが停止」するのかしないのか
この記事によりますと、2年前の世界の債務は、1京7500兆円だったようですので、2年間で「 1京円」ほど増えている。
しかし、実は今回、このことをご紹介しようと思ったのは、「日本のすごさ」が際立つからでもありました。
日本の債務が信じられないほど多いことは周知ではあるかと思うのですけれど、国際金融協会のこの 4月のニュースリリースにある日本の圧倒的な債務の状況には、
「本当にどうすんのこれ?」
というような感じは漂います。
そこには各国の政府債務の GDP 比が載せられているのですけれど、主要国の債務の GDP 比は以下のようになっています。
主要国の政府債務のGDP比
・アメリカ合衆国 100 %
・イギリス 103 %
・中国 49%
・インド 68%
・韓国 39%
・ロシア 14%
・EU経済圏 97%
・日本 225 %
日本の債務の GDP 比の 225 %というのは、そこに近い国さえ存在せず、ダントツのトップであり、いくらアメリカやイギリスの債務が増加し続けているといっても、比較になるものではなさそうです。
いろいろと日本との関係に問題があるとも言われている韓国も、政府債務の GDP 比は、39%です。
なお、日本の債務の GDP 比は「 2001年には 144%」でしたので、21世紀に入ってから、ものすごい増加をなしているようです。
ちなみに、第二次世界大戦後の日本も、戦争のための戦費総額によって大変な状況でしたが、その時の GDP 比は、220%と記されています。
今はそれを超えているのですよね。
いろいろな理論や主張があるとはいえ、現在の日本が「他のどの国にもない債務の比率である」ことは事実で、そして、もちろん、これを返済できる可能性はゼロであるわけでもあり、本当にどうするつもりなのかなあと。
それと共に、今は「全世界」が過剰な債務の中にあることも事実であり、「 2京円」の債務の爆弾が炸裂すれば、それは大変なことにはなるのだろうなと。
そして、そのようなことが起きるのは、そんなにずっと先のことかどうかというと、そうとも言えないのではないかとも思うのです。