2019年2月4日の米国CNETの報道より
先月書かせていただいた「唯物論支配のこの地球で「人類の滅亡あるいは消滅」は数十年以内だと知り、むしろ安堵の中にいる私…」という記事では、ジャック・アタリという人の「 2030年からの世界を描いた著作」の内容をご紹介させていただいたのですけれど、その記事を書いて以来、どうも、日々そこに出てくる「未来の世界」と同じような光景を想像させてくれるニュースと連続して出会います。
前回の以下の記事も、そこにあります「麻薬が次々と合法化されていき、多くの人々が生活の中の逃避先として麻薬に没頭する」という記述から、最近のアメリカのひどすぎる「オピオイド地獄」を思って書いたものでした。
西洋社会で次々と合法化されていくドラッグ。そして、オピオイド地獄が「大量死事象」へと発展している地獄そのものの今のアメリカ。その裏にチラ見えするCIAのスレイブ製造計画「MKウルトラ」の成果
そして、今日、ロシアのメディアを見ていましたら、
「中国で人間の脳からの命令によってコントロールされたラットが作られた」
というタイトルの以下の報道があったのですね。
ロシア語だと何だかよくわかりませんでしたので、英語の報道はないかなと探してみますと、冒頭の CNET などを始め、英語でもかなり報じられていました。
これは、簡単にいいますと、
「ラットの脳に直接、人間の指令を送ることに成功した」
というものです。
ラットの脳には、脳に刺激を与える小さな装置がつけられ、人間から「指令」をワイヤレスでラットに与えるというもので、科学誌「ネイチャー」のサイエンティフィック・リポーツに論文が発表されています。下のネイチャーのウェブサイトに概要があります。
・Human Mind Control of Rat Cyborg’s Continuous Locomotion with Wireless Brain-to-Brain Interface
(サイボーグ化したラットに、脳と脳を直接つなぐインターフェースを備え、人間からのマインドコントロールで連続歩行をさせる)
nature 2019/02/04
サイボーグ化・・・脳と脳を直接つなぐインターフェース・・・マインドコントロール・・・もうこれらの響き自体がとてもマッド・サイエンス的な響きで、子ども時代に見た仮面ライダーとかを思い出させるニュアンスでもあります。
しかし、これのどこがジャック・アタリさんの書いたものと関係するかといいますと、2030年からの未来の世界を描いたその中には、「ブレインチップ」という項目があるのです。
すなわち、「人間の脳に直接埋め込む装置」ということです。
そこから抜粋します。
ジャック・アタリ著『未来の歴史の概要』(2006年)より
《ブレインチップ》
脳に直接接続された人工装置は、私たちの意識の間に橋を架け、それは精神的なイメージを生み出し、旅をし、学び、空想し、そして他の人の心とコミュニケーションをとるのを助けるようになるだろう。
将来、これらのプロセスは、心を介した新しい形態の直接コミュニケーションを可能とし、新しいネットワーク作成のプロセスを改善するだろう。
私たちがナノサイエンスから期待できる驚くべき進歩のおかげで、誰もが自分自身の意識を別の体に移したり、愛する人々の意識をコピーしたり、夢の正確な目的を達成する。それから人は、ついに人工物のように製造され、もはや死を知らなくなるだろう。
こういうような下りがありまして、あくまでジャック・アタリさんの言う未来の姿ですが、将来的には、
「人間の脳に直接埋め込むインプラント型の装置」
が登場し、それにより人間同士の「心と心のコミュニケーションが可能となる」というようなことが描かれているのです。
しかし・・・「心と心のコミュニケーション」はいいとしても、それが「善意に支配されている世界」で用いられるのならば、人と人が直接脳を接続することにも、問題はないのかもしれないですけれど、
「それが悪意のある世界で実現したら」
と考えると、今回のネズミさんがされているように「完全なマインドコントロールが可能となる」というあたりが重要となりそうです。
悪意のある世界とはどんな世界かというと、たとえば、「今でしょ」(さすがに古いんじゃないか)というようなことでもあるのですよね。
しかし、動物さん相手とはいえ、実際に「脳にチップを埋め込み、そこに直接命令を与える」というようなことが本当におこなわれているのだなあと。
ネイチャーに論文が掲載されているということは、「科学的には倫理上、問題なし」ということになるのでしょうかね。
冒頭の CNET の記事をご紹介させていただこうと思います。
なお、この記事には出てこないですが、この研究をおこなったのは、中国の杭州にある浙江大学の科学者たちです。
ここからです。
Scientists connect a human brain and 'rat cyborg' brain together
cnet.com 2019/02/04
中国の科学者たちが人間の脳と「サイボーグ化したラット」の脳を接続することに成功
中国の研究者たちは、人間の脳をラットの脳に接続し、ラットの動きを「マインドコントロール」できるようにしたことが発表された。
中国の研究チームが、げっ歯類をマインドコントロールする能力を開発することに成功した。そして、人間が「サイボーグ化したラット」を動かすことを可能にするワイヤレスの「脳と脳の接続システム」を構築した。
2月4日に科学誌ネイチャーのサイエンティフィック・リポーツ (Nature's Scientific Reports)に発表されたこの研究は、人間の脳をコンピュータに接続し、ラットの脳を解読して動かすように刺激する「脳と脳のインターフェース(BBI)」について説明している。
研究者たちは、発表した論文の「サイボーグ化したラットの調製法」と呼ばれるセクションで、彼らの方法論を詳しく述べ、ラットの脳の 2つのセクションに電極を埋め込む方法を説明している。
その後、研究者たちは電極を用いて特定の動きを生み出すことでラットを「訓練」し、脳を刺激する機器を含んだ小さな装置を介して、ワイヤレスで指令をラットの脳に送った。
サイボーグ化したラットに対する彼らの最初のテストは、8本のアームのような通路のある星形の迷路を使って行われた。ラットは迷路の一方のアームから動き始めて、もう一方のアームの通路に移動することがミッションとされた。
人間からのコントロール装置は、脳信号を測定するために、脳波(EEG)として知られている装置を備えた。脳波はコンピュータに直接接続された。
その後、コンピュータは人間の脳の信号を解読し、それをモデルに通してラットの脳を刺激し、特定の方向に動くように伝えた。
脳波を測定するために EEG を使用するということは、人間のほうは、電極を脳に直接接続する必要がないことを意味する。これは良いことではあるが、信号自体は弱くなる。
EEG は頭蓋骨を通して脳内の電気的活動を測定する。EEG は私たちに速い信号を与えるが、頭蓋骨と皮膚には、それほど導電性がなく、そして非常に厚いために、脳からの良好な空間信号は得られない。
直接脳に接続して脳波を測ることと比べると、かなり弱くなるため、このような方法を使用すると、情報が人間の脳からラットの脳にすばやく解析されなくなる。
つまり、サイボーグ化したラットを迷路で誘導する際に、人間が考慮する必要がある入力のタイムラグが生じてしまう。それでも、平均して、サイボーグ化したラットは、約 3分で迷路を通過した。
サイボーグ化したラットは、さらに、やや複雑な迷路にかけられた。平均して、6匹のラットを迷路を通して所定の経路で動かしたが、10回の連続試験にわたって、90%の確率で時間内に成功した。
ここまでです。
なお、ロシアの報道のほうでは、記事の最後は以下のようになっています。
ロシアの報道「中国で人間の脳からの命令によってコントロールされたラットが作られた」より
論文の著者たちは、将来このような直接的な「脳 - 脳間の接続インターフェース」により、完全にコントロールされた本物のサイボーグ化動物を作り出すことが可能だと確信している。
それらの動物は、遭難や自然災害での捜索や救助などで使用できるという。
ということで、研究者たちは、「脳と脳との接続インターフェース」をさらに「進化」させ、完全なマインドコントロール状態を作り出すことを目指してるようです。
なんかこう、社長シリーズの森繁久彌さんに、「いやあ、それはマッドな世界ですなあ」と言って苦笑してもらいたいような響きがありますが、ところで、この文章の中に、
「今の科学研究に特有の表現」
があることがおわかりでしょうか。
それは、
> それらの動物は、遭難や自然災害での捜索や救助などで使用できるという。
という部分なのですが、要するに、
「大義名分があるかどうか」
なんです。
仮にいつの日か、「人間の脳にも埋め込む必要がある」という大義名分が揃えば、それは進んでいくのでしょうね。
「人類の利益のため」というような大義名分があれば、およそ何でも可能となります。
いろいろと賛否がわかれる科学的研究では、この大義名分が、全面に出されることが多いです。
以下の過去記事などもタイトルから、それを示しています。
アメリカ政府が「病原体の致死性を高める実験」を再始動。目的は「人類の利益のため」と言うけれど、むしろ最強突然変異ウイルスによる複合アルマゲドンのキッカケとなる可能性のほうが高い気が
それはともかく、ジャック・アタリという人の言う未来は、今回のようなブレインチップなどによって、人間のコミュニケーションの形態が大きく変化して、また、
「人間の生産」
というものも人工的に行えるようになることにより、社会が「性(女性、男性)の役割を放棄する」ようになっていき、たとえば、出産は女性特有のものでなくなるなどの様相を呈するようです。
人工的かどうかはともかくとして、今は、「 CRISPR-Cas9 」(いまだに読めないです)という「 DNA の二本鎖を切断してゲノム配列の任意の場所を削除したり、置換・挿入することができる」という新しい遺伝子改変技術が確立していて、人間も、
「好きなように作ることができる」
のは、ある程度は事実です。
これについては、2015年の記事ですが、以下で取りあげたことがあります。
人間が人間を編集し、造り出す時代の一歩手前に何を思う : 実施直前の様相を呈する「デザイナーズベイビー」と「人間クローン計画」
これらが一般的になり、そして、人工の培養システムが作り出されたのなら、「出産する」という過程は不要になるわけですが、どの主要国も、極端な少子化と高齢化の影響が拡大していくことは確実なわけで、そういう中では、将来的に、
「人間を作り出すことが国家単位で検討される」
ことがあっても驚かないです。
技術的には、今すぐにでもある程度はできるもののように思われます。
なお、ジャック・アタリさんが描く未来の地球は、結局あまりにも進みすぎたテクノロジーの中で、「人間という存在」が小さなものとなり続けていき、そして人類の文明と共に人類は終わる・・・。
というようになっているようです。
まあ、今の段階では、ネズミさんに対して曖昧なマインドコントロールが成功したに過ぎないですけれど、何でも進み始めるとあっという間です。