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4月19日にメルマガ私たち現生人類は「鉄の種族」であることから思う生き方を発行させていただきました。

2019年からの世界 人類の覚醒と真実 未来の地球

プラスチック・カタストロフの世界で、イスラエルの科学者が「微生物の働きにより2ヶ月ほどで生分解されるプラスチック」の発明に成功

投稿日:

2019年1月18日の米メディアの記事より


forward.com




 

スーパーマーケットで学ぶ「カタストロフの世界」

私は、若い頃から「スーパーに行くのがとても好き」という人間で、毎日一度はスーパーに行かないと気が収まらないという人でもあります。

現在私が住んでいる街は、どういうわけか非常にスーパーが多く、私の家から徒歩 10分圏内だけで、大手チェーンのスーパーが 5つもあります。他には、驚くほど何の取り柄もない街ですが、しかし、スーパー好きにはたまらない環境と言えなくもないです。

そんなわけで、午前の散歩などの際には、ほぼ毎日そのどこかのスーパーに寄るのですが、最近は、

「レジ袋」

というものについてうるさくなっています。

ある巨大チェーンのスーパーでは、店内で頻繁に「レジ袋の削減にご協力いただくことで、エコが云々…」というような録音された放送が流れます。

あるいは、他のスーパーでは、レジ袋を有料にしたり、レジ袋不要なら 2円引きとか、そういうスーパーも増えました。

レジ袋については、一種政治的な話題でもあり、世界的な話題にもなることが多いのですが、しかし、「スーパーという場所の現実」を毎日見ている私などは、

「レジ袋の削減云々というような政策を語る人たちというのは、スーパーとかは行かない人たちなんだろうなあ」

と正直思います。

レジ袋云々言う前に、スーパーに行ったことがない人は、入口に入って、ズラッと並べられている商品を全体的に眺めてみてほしいです。

たとえば・・・。

 

豆腐は何に入っているでしょうか?

納豆は何に入っているでしょうか?

お肉は何の上に乗っているでしょうか?

卵は何に入っているでしょうか?

醤油は何に詰められているでしょうか?

コメは何の中に?

タラコは何の上?

食パンは何の中に?

刺身は何の上に?

飲料水は?

お総菜は?

お菓子は?

漬け物は?

梅干しは?

松前漬けは?

油は?

 

・・・もうキリがないですが、つまり、スーパーで売られている食品は、ぜーんぶ……とは言わないまでも、ほぼプラスチックの容器かトレーに入れられているのです。

それでは、先ほど挙げたようなものを買い物で購入したとしましょう。

レジ袋もいただいたとしましょう。

たとえば、上の中のうちの、

「納豆ひとつが入っていたプラスチック容器と、レジ袋との体積の差」

を考えてみますと、この場合、明らかに、納豆の容器のほうが、一枚のレジ袋より体積としては大きいはずです。

というのなら、上で買った商品のすべてのプラスチックの容器やトレーのすべての体積を積み上げてみれば、レジ袋一枚の何十倍になることか

 

レジ袋削減の取り組みが悪いといっているのではないです。

 

しかし、私たちの生活においてのプラスチックの問題はもっと根源的な部分にあり、それはスーパーを眺めてみればわかるのです。

何がかといいますと、

「プラスチックの問題は、私たちの日常に巣食っている宿痾のようなもの」

であることがわかるのです。

食糧を入手するということと、プラスチックの消費を拡大するということが同じ、という世界となっている」のです。

ですので、本当にプラスチックによる環境破壊を止めたいというように考えている人たちがいるなら、今の「何もかもがプラスチックに包まれているという現状」のほう、つまり、

「食品製造と食品流通の根本的な部分」

に立ち入らないと、どうにもならないと私は思います。

レジ袋の問題はあまりに小さい。

ゴミの収集の日でも、集積所のゴミの容量が最も多いのがプラスチックゴミの日です。どのマンションでも、プラスチックのゴミの日は、山のように積み上げられます。

それを出しているの、はみんなごく普通の家庭で、ごく普通の食生活をしている人たちばかりのはずで、特に過剰消費をしているわけではないはずなのに、それなのに、たった 1週間でおびただしいプラスチックゴミが出る。

プラスチックの問題は、私たちの生活状況そのものの問題であり、売られている食品の大多数がプラスチックと共に存在しているという今の状態が変わっていかないと、プラスチックの問題は変わらないはずです。

しかし、

 

「そんなことができるか」

 

というと、「できない」はずです。

たとえば、先ほど挙げた食品たちを「プラスチックを使わないで流通させる」とすると、とんでもない困難とコストに見舞われるはずです。

 

豆腐をプラスチックを使わないでスーパーで販売する……。

卵をプラスチックを使わないでスーパーで販売する……。

飲料水をペットボトルを使わないで販売する……。

 

事実上、このようなことは、今の食品流通体制では不可能なはずです。

ですから、プラスチックの問題は、本当に「根本が変わらないと」変わらないはずで、それには、今の資本主義的な状況下で、根本的に問題解決に動くのは難しいと思われます。

それでも、今のままでは「プラスチックに地球も私たちも殺される」という状況に至るのは、そんなに遠いことではないかもしれません。

そんな中で、今回、イスラエルのテルアビブ大学の環境の研究者たちが、

「微生物により生分解されるプラスチック」

を作りだしたという記事を見まして、それをご紹介したいと思いました。

海の微生物を使うのですが、それにより、2ヶ月から4ヶ月で分解されるプラスチックを作りだしたというものです。

まだ実用段階ではないでしょうが、この世が、(私も含めて)プラスチックの利便性から逃れられないのなら、もはやこういう方法しかないのかもしれません。

それでも、これも「自然に介入する方法」ですので、さまざまな問題も含まれている可能性もあります。

わりと長い記事ですので、まずはご紹介します。


Israeli Scientists Have Created A Biodegradable Plastic That Just Might Save The Planet
forward.com 2019/01/18

イスラエルの科学者たちが地球を救う可能性のある生分解性プラスチックを作りだした

 

プラスチックの生産は過去最高を記録し続けており、それに伴う汚染は、人類がこれまで地球に及ぼしてきた中で最も破壊的な力の 1つかもしれない。

企業や研究者たちは、絶えず増え続ける問題を最終的に終わらせる代替手段を切望して探している。

そのような中、イスラエルの科学者たちが有害な作用のないプラスチックを製造する方法を見出した。

この画期的な発見のキーは、藻類の消化により天然のバイオポリマーを生産するという単細胞微生物(古細菌)の独自の性質にある。

単細胞微生物の性質を利用して生分解プラスチックを作るというアイデアは、新しいものではなく、多くの企業がすでに植物や高分子産生細菌から生分解性材料を製造するビジネスを行っている。

しかし、それらの大部分にはひとつの共通点がある。

それは、この方法は、非常に多くの淡水、あるいは、多くの土地を必要とするのだ。

ところが、今回のイスラエルの研究者たちによって用いられた微生物はこれに当てはまらないのだ。

というのも、この微生物は、死海から隔離されたものであるため、塩分の高い状態でも生き残ることができるからだ。つまり、海洋で用いることができるのだ。

イスラエル・テルアビブ大学環境学部の科学者たちは、海水中で成長した藻類をその微生物に与えた後に、微生物によるバイオポリマーの生産能力を初めて認識した。

テルアビブ大学環境学部のアレクサンダー・ゴルバーグ博士(Dr. Alexander Golberg)は以下のように言う。

「この研究の革新的な特徴は、プラスチックポリマーを派生させる古細菌が、海水で生産した海藻を餌にしたということです。これらから作られるポリマーが将来のプラスチック生産の一部あるいは完全にすべてこれに替わる際にも、多くの淡水や土地は必要ないと思われます」

「石油などの化石燃料ではないもので作られているポリマーはすでにたくさん存在しますが、それらの製造プロセスを見ると、大量の淡水と広大な土地が必要であることがわかります」

 

自然は生分解性と同じではない

現在、研究者たちは、これよりもさらに最も適した藻類とそれに対応する微生物を探している。

ゴルバーグ博士は、このように言う。

「現在、私たちはさまざまな藻類をさまざまな微生物と共に試験しています。なぜなら、すべての種が異なるポリマーを産生するからです。究極的には、個々の特性を持つ複数の種類のポリマーのライブラリを持つことが重要です」

これが意味するところは、たとえば、ペットボトルなどのプラスチック製品はさまざまな種類のプラスチックからできているということがある。キャップとボトルとラベルは違う種類のプラスチックだ。

この環境に優しい製品の実用性に関する重要な問題は生分解性の問題であり、一番の問題は、この製品が実際にどれだけ生分解性を有するかということだ。

今日の生分解性についての最も一般的な定義は、「 6か月以内に物質が標準的な堆肥の状態に分解されれば、その物質は生分解性を示す」となっている。

ゴルバーグ博士と研究チームによってテストされたポリマーは、製造から 2ヵ月から 4ヵ月以内に分解される。

したがって、この新しいプラスチック製品は、生分解性の定義を満たしているが、しかし、実際には、海で何が起こるのか予測するのは難しい部分はある。

陸上で管理された堆肥環境は、海洋環境とはまったく異なるため、ポリマーが水中でどのように反応するかについて、確実なことは言えない。このことについては、ゴルバーグ博士も認めている。

さらに、特定の物質が何に分類されるかを正確に考慮することが重要だ。ポリマーが生分解するという事実は、それが単に消えることを意味するのではない。

博士は以下のように述べている。

「仮に、ポリマーが CO2 に分解するなら、それは私たちにとって完璧です。 CO2の量がかなり少なくなるからです」

「しかし、もし、物質がいくつかの中間分子に分解された場合、それらは検出するには小さすぎるものですが、それでも他の分子と反応する可能性があり、その場合は、私たちは問題に直面するかもしれません」

「したがって、徹底的な調査を行い、すべての可能性のある結果を検討することが重要です」

 

長期的にはより安価になる

プラスチックは、これまで市場に投入されてきた中で最も社会に遍在する材料の 1つだ。

その理由は、使用の点で信じられないほど用途が広いだけでなく、プラスチックはその製造において非常に安価であるため、今までのところは広範囲の異なる製品にとって、プラスチックは最も便利な選択肢となっている。

したがって、現状のプラスチックの代替物質は、用途が広く、そして大量生産が可能であり、何より安価に製造できるという条件を満たしていなければ、普及にはつながらないと考えられる。

優れたプラスチックの代替物が出たとしても、大量生産ができなかったり、製造コストが高価なものとなるのならば、それが従来のプラスチックを超えて普及するという可能性はないだろう。

しかし、ゴルバーグ博士は、石油由来の従来のプラスチックは、その環境の損傷についての長期的なコストを考えると、すでに非常に「高くつく」ものとなっていると主張する。

「従来のプラスチックと生分解性プラスチックの経済性を単純に比較することは非常に困難です」と博士は述べる。

大量生産性に関しては、プロセスに必要な微生物が藻類のように海水中で成長するため、研究者たちは大規模なポリマー生産は実現可能であると確信している。

博士によると、このプロセスは高価なバイオ施設を備えた閉鎖型工場などを必要としないものであり、大規模な海中農場で行うことができるという。

藻類を長距離輸送する必要はなく、乾燥の危険性も回避されるために、海洋農場の近くの水上のボートあるいはリグ上に処理施設を配置することもできる。

また、海藻農場は実際に環境への良い影響を与える可能性もある。

多くの場合、農業用水や産業排水から生じる過剰な栄養素が海洋環境に害を及ぼしており、それは、「デッドゾーン」(水生生物が存在しない海域)の出現を頻繁に引き起こしている。

海藻農場を栄養素汚染の被害を受けている場所、あるいは海洋のデッドゾーンに建設することによって、成長している藻は水から過剰な栄養素を除去する能力を持っているため、それによって汚染を除去することができる可能性がある。

デッドゾーンが微生物が住める環境に戻れば、魚や他の生物も同様に戻ってきて、藻を食べ始める。

しかし、それでも、たとえ非常によく意図されて進められたとしても、自然に介入するということには、必然的にいくつかの有害な環境への影響を現出させる可能性はある。

ゴルバーグ博士は、当面の目標は、この微生物によるポリマー生産の大量生産性を実証することだと述べている。

「私たちのこの研究の主な目的は、これらが科学的、工学的な観点から可能であることを示すことでしたが、すぐに大規模生産につなげようとは考えていません。一歩ずつ研究を進めていくつもりです」


 

ここまでです。

ここでも私たちはまた「微生物」の手助けを受けるわけですが、それにしても、プラスチックの問題は、今はすでに極限近くまで来ているようです。

2017年には、カリブ海がプラスチックに埋め尽くされている様子が公開されていたりもしました。

2017年10月の英国スカイニュースより


sky news

また、大きな海洋生物への影響の話としては、2016年の以下の記事のように、打ち上げられたクジラの胃の中がプラスチックだらけだったというようなことをご紹介したことがあります。

ドイツの海岸に打ち上げられたクジラの胃の中は「プラスチックのゴミで満杯」だった

ただ、実際には、最も大きな問題は、「海に流出し続ける小さなプラスチック」すなわちマイクロファイバーなんですよね。

魚の稚魚や微生物が、この小さなプラスチックを「食べる」のです。

プラスチックには栄養がないので、いくら食べても成長には寄与しません。

そして、さらに問題なのは、それら微生物から「プラスチックが食物連鎖に入っていることがわかってきている」ということです。

これに関しては、以下の記事で取りあげたことがあります。

「マイクロファイバーがプランクトンを殺しながら食物循環に入る様子」が初めて撮影される。そして、魚、微生物、クジラ、海鳥などあらゆる海の生物たちがプラスチック大好きな状況から想像する「海の終焉の日」

この微細なプラスチックは、食物連鎖を通じて私たちの体内にも頻繁に入っている可能性が高いです。

何より、今の海の状況のままだと、海中の生物の生態系がさらに崩壊していくようなことと関係しないとも言えないわけです。

今は海の、たとえば漁獲などの問題が毎年出ていて、さまざまな魚介類が極端な不漁となったりする報道をよく見聞しますが、それらの理由や原因は数多くあるにしても、プラスチック、特にマイクロファイバーの問題は確実に海の生物を蝕んでいるはずです。

それでも、私たちが生活からプラスチックを排除するのが不可能であるならば、イスラエルの科学者たちが発明したような「生分解される新しい素材」に希望を見出すしかないのかもしれません。

ただ、コストは従来のプラスチックに比べて大幅に高くなるはずで、合理化が最優先される今の社会の現状で、そのようなものを積極的に取り入れる国家や企業が出現するかどうかはわかりません。





  • この記事を書いた人

Oka In Deep

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