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また武漢から始まるのかよ……。というわけで、武漢ウイルス研究所の石正麗博士が今年2月に発表した「サル痘 DNA の形質転換」の研究論文のご紹介

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武漢ウイルス研究所の石正麗 (Zheng-Li Shi)博士 scmp.com




 

彼女が表舞台に再登場

今となっては懐かしいですが、2020年にコロナについて最初に話題となったのが、中国武漢にある武漢ウイルス研究所という施設でした。

当時この研究所には、もちろんさまざまな研究員の方々がいたわけですが、研究のトップのほうにいた人たちはみなさん女性でした。

以下の 2020年2月の記事でご紹介しています。まだ、WHO によるパンデミック宣言が出る前です。

 

[記事] 人民解放軍の生物化学兵器部門最高責任者の少将が武漢ウイルス研究所の新しい責任者に。そのことを調べるうちに浮かび上がる「優秀すぎた3人の中国人女性たち」
 In Deep 2020年2月11日

 

ここにある「優秀すぎた3人の中国人女性たち」というのは、この記事では以下の3人の方について記しています。

陳薇(チェン・ウェイ)少将 / 中国人民解放軍・生物化学兵器部門の最高責任者。後に武漢ウイルス研究所の所長も務める

王延軼(ワン・ヤンイ) / 武漢ウイルス研究所の元所長

そして、残るお一人は、コウモリのコロナウイルス研究の世界的な第一人者であった石正麗(シー・ツェンリ / Zheng-Li Shi)さんです。

コウモリのコミュニティだけで循環していたコロナウイルスを「ヒトにも感染されられるようにした」のは、この方でした。世界で最初の偉業でした。

以下は、2015年の科学誌ネイチャーに掲載された論文です。

 

(論文) コウモリで循環している SARS 様コロナウイルスのクラスターが、ヒトにも出現する可能性を示した
A SARS-like cluster of circulating bat coronavirises shows potential for human emergence

そんなこともあり、当時は、「コロナのパンデミックにこの研究所が絡んでいるのじゃないのぉ?」というような話はたびたび出ていまして、その後、以下は 2021年6月の時事通信の記事ですが、石正麗さん本人がそれを否定しています。

「武漢流出説」を否定 中国の著名研究者 - 新型コロナ

中国・武漢ウイルス研究所の著名研究者、石正麗氏は、新型コロナウイルスが同研究所から流出したとする説について、「証拠のないものに一体どうやって証拠を提示できるのか」と否定した。米紙ニューヨーク・タイムズが14日伝えた。

石氏は同紙に「世界がどうして無実の科学者に絶えず汚名を着せようとしているのか分からない」とも主張した。 時事 2021/06/15)

 

さて。

 

このコロナの話はここまでとしまして、最近は、サルトーという(全部カタカナで書くなよ)……サル痘というようなことに何度かふれていますが、このサル痘に関しても、

「まさにピッタリのタイミングで、この石正麗さんが華々しく登場」

しています。

以下は、アメリカ国立衛生研究所 (NIH)のライブラリーにある論文です。

難しいタイトルですが、少なくとも「サル痘」という文字があります。

 

(論文) 二重選択ベースの形質転換関連組換えを使用した qPCR テンプレートとしてのサル痘ウイルスゲノムの大きな断片の効率的なアセンブリ
Efficient assembly of a large fragment of monkeypox virus genome as a qPCR template using dual-selection based transformation-associated recombination

 

日付けは、2022年2月28日とあり、わりと最近の研究発表であるようです。

このタイトルだけでも非常に難解ですので、さらに読解してみます。

 

まず、「形質転換」という聞き慣れない言葉が出てきます。これは、東邦大学の生物分子学科のページに以下のように書かれてありました。

 

> 形質転換、形質導入ともに細菌の細胞に外からDNA分子が入り、菌の性質が変わることをいう。形質転換は裸のDNA分子が直接細菌に入ることにより起こる。それに対し、形質導入は、バクテリオファージ粒子のなかにある細菌染色体の一部を含むDNA分子がファージ粒子の細菌への吸着にともない細胞中に注入されることにより起こる。toho-u.ac.jp

 

ここでは「細菌」とありますが、石正麗さんの今回の研究対象は「サル痘」ですので、「ウイルス」です。そして、サル痘ウイルスは「二本鎖DNAウイルス」です。

 

> サル痘の病原体は、サル痘ウイルスで、ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属に分類される約200kbpの二本鎖DNAをゲノムとする厚生労働省 バイオテロ対応ページ

 

ですので、この場合は、細菌とは異なり、「サル痘 DNA に外から別の DNA 分子を入れた」というのでは、何か奇妙な響きとになってしまいます。

しかし、石正麗さんのこの研究では、

「明らかに、もともとのサル痘ウイルスの性質を変えている」

ことになるようなのです。

さて、どのように性質を変えたのか?

タイトルに「アセンブリ」という文字が出てきます。

よくわからない言葉ですが、Wikipedia に「配列アセンブリング」という項目があります。

これは「アセンブラ」とも呼ぶようですので、仮にこれと論文にあるアセンブリが同一のものだとした場合、配列アセンブリングというものは以下のようなものです。

 

(配列アセンブリングより)

> 配列アセンブリングとは、バイオインフォマティクスにおいて短い DNA の断片から元の長い塩基配列を再構築することを指す。DNA シーケンシングでは用いる手法にもよるが一度に読める長さは 20から 1000残基にとどまるため、この技術はそれより長い塩基配列の決定には不可欠の技術である。 Wikipedia

 

ここには、

「 DNA の断片から元の長い塩基配列を再構築する」

とあり、ここに「再構築」とありますので、相当根本的な「変革」を加えられる可能性もあるのかもしれません。

もっとも、私はこの分野の完全な素人でして、石正麗さんの…名前が長いですので、以下「石さん」としますが、その論文を読んでも、まったくわかりません。

しかし、論文の概要には以下のような文がありまして、石さんが「サル痘ウイルスを再構築した」ことは間違いないようです。

 

(石さんの論文より)

> サル痘ウイルスの55kbゲノム断片は、VL6-48BのpGFCSを使用して形質転換関連組換えによって組み立てられた。Pubmed

 

ここにあるのは、「組み立てられた」という表現であり、根本的に作り直した部分がありそうです。

これで少し現在のサル痘の「奇妙さ」が理解できるのかもしれません。

欧米を中心に流行が拡大している現在のサル痘に関しては、「本来のサル痘とあまりにも異なる感染状況」であり、専門家の人たちも困惑しています。

WHO 諮問委員会の委員であり、以前はナイジェリア科学アカデミーの学長を務めていたオイウェール・トモリ博士という方は、西アフリカでの以前のサル痘の流行を実際に研究していた方ですが、メディアに以下のように語っていました。

 

「私は現在のサル痘の流行に驚いています。毎日目を覚ますと、感染している国が増えているのです。これは以前、私たちが西アフリカで見たような広がりとはまったく異なるため、何か新しいことが起きているのかもしれません」 The Hill

 

この記事のタイトルは「欧米のサル痘の症例に困惑するアフリカの科学者たち」というものでした。

ナイジェリアでは、毎年多くのサル痘の症例が報告されるそうなのですが、そのほぼすべてが「ネズミやリスとの接触による」ものであり、こんなに人から人への感染する事例は見たことがないと、アフリカの科学者たちは驚いているのです。人から人への感染力はもともと非常に弱いもののようなのです。

アフリカでサル痘を研究していた科学者たちは、

「現在流行しているサル痘は、私たちの知っているサル痘と違う」

と感じているようです。

しかし、天然痘ウイルス同様、二本鎖DNAウイルスであるサル痘は、堅牢な構造を持っているため、時間の経過があったとしても、自力でのこんな極端な変異はあり得ないはずです。

「どうもおかしいよなあ」と私が思っていたのはそこでしたが、今回の石さんの論文により、そのあたりが解決したかもしれないです。

 

なお、私は、現在欧米で拡大しているサル痘が、石さんが製作したものであると述べているわけではないです。

そうではなく、石さんの研究論文が示していることは、

 

「サル痘を1から再構築することが可能」

 

だということです。

石さんにできるのならば、他の誰かにもできるだろうということです。このウイルスの機能獲得分野において、石さんが世界の最高実力者のひとりであることは事実ですが、他の人でも(少なくともこの石さんの論文を読んだ専門家たちなら)できるのだろうと思います。

 

ただ、石さんの場合、コロナの時もそうでしたけれど、「あまりにもタイミングが良すぎる」という部分があります。

「研究論文発表 → パンデミック」

という淀みのない流れが常に成立しているあたり、すごいと思います。

 

仮に、現在流行しているサル痘が「再構築されたもの」である場合、以前書いたことがあります「天然痘ワクチンの接種者(日本の場合は48歳以上)はサル痘に免疫がある」という「前提が崩壊する」ことになります。

以下の記事で取りあげました非営利組織の「サル痘のパンデミック・シミュレーション」にある、

「ワクチン耐性のサル痘」

すでに現実化している可能性があります。

 

[記事] また始まる…:コロナと同じくサル痘でも「パンデミック対応シミュレーション」が公式に行われていた。この演習では最終的に32億人が感染。そのウイルスは「ワクチン耐性」
 In Deep 2022年5月22日

 

まあ、実行サイドの立場になってみれば、48歳以上の人には効果のないバイオテロだと意味がないですしね。

今回の石原さんの(名前が変わってきてるぞ)……ああ、石さんと武漢ウイルス研究所のことを知ったのは、インドの地政学サイト「グレートゲームインディア」の記事でしたが、このグレートゲームインディアは、2020年に、新型コロナと武漢研究所の関連を最初に報じた媒体のひとつでもあります。

ちなみに、この記事で知ったもうひとつのこととして、この石さんの論文が最初に発表された医学誌あるいは科学誌の存在でした。それは、「ヴィロジカ・シニカ (Virologica Sinica)」というメディアで、何と、この石さんが「編集長」なんです。

科学誌ヴィロジカ・シニカの紹介ページより

sciencedirect.com

 

このページで紹介されている最近の研究のそれぞれの項目もゾクゾクするような文字が並んでいます。

少し並べますと、以下のようなタイトルの論文の文字が表示されていました。

 

・HIV-1 / AIDS 療法における CRISPRベースの遺伝子編集に関する最新情報

・高病原性 H7N9ウイルスの血球凝集素切断部位に塩基性アミノ酸と非塩基性アミノ酸を組み合わせて挿入すると、ニワトリとマウスで、複製と病原性が促進される

・ブタ流行性下痢ウイルスの毒性または非毒性株に感染したブタ小腸上皮細胞のゲノム・ワイドトランス・クリプトーム分析

・B型肝炎ウイルスの複製と感染のための新しい細胞培養システムの確立と特性化

・クリミア・コンゴ出血熱ウイルスGcの構造が明らかに

 

HIV … 鳥インフルエンザ … クリミア・コンゴ出血熱 … 肝炎と、最近話題の病名が次々と出てきます。

すべて今年発表された新しい研究です。

H7N9 鳥インフルエンザの論文は、このタイトルは難し過ぎて何をするのかはよくわからないですが、それをすることによって、

> 複製と病原性が促進される

と書かれてあったり、「ブタ流行性下痢ウイルス」という言葉が出てきたり(この病気は、赤ちゃん豚の場合、致死率はほぼ 100%)、かなりのものです。

 

なお、サル痘そのものの感染状況は、「数日ごとに倍増」的な状況にもなっていまして、サル痘追跡ページによりますと、現在、感染確認と疑い症例の合計は 260件になっています。

感染確認と疑い症例数は、多い順に、スペイン (94件)、イギリス (58件)、ポルトガル (37件)、カナダ (27件)というようになっています。新しい国としては、モロッコが入っていますが、アジアはいまだに報告は示されていません。

この欧米のサル痘が、「丹精込めて再構築されたウイルス」なのか、違うのか、は、今後の経緯を見ていればわかると思います。オリジナルのサル痘の性質はすでにわかっているわけですから、そのオリジナルとの差異を比較すればわかってくると思われます。

今後、アジアの国が感染国リストに加わり出した場合は、ちょっと厄介かもしれません(実は、それはあまりないのではないかと私は思っていますが、今はわかりません)。

そして、仮に「再構築されたウイルス」だとした場合、おそらく、免疫を持つ人はこの世にひとりもいないということになると見られます。DNA の構造がすでに異なっているため、過去の天然痘ワクチン接種歴は関係なくなるはずです。

やるな、石さん。

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