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ニューヨークからすべてのレストランが消える日… : 同時多発テロの直後にレストランをオープンして繁盛店にしたオーナーからの「閉店の挨拶」に思うこれから

投稿日:


閉店したニューヨークの人気レストラン「マーメイド・イン」。 Restaurant Business




なぜそんなに人を苦しめたがるのか

少し以前に、ニューヨークのマンハッタンが「廃墟じみてきている」ということについて、以下の記事でご紹介しました。

完全にゴーストタウン化したアメリカのニューヨーク5番街を見て思うことは、「少し先の日本も同じでは?」という「地獄の夏」的な懸念
投稿日:2020年8月16日

最近では、

「ニューヨークのブロードウェイ沿いの店の 78%が閉店していた」

ことをウォールストリートジャーナルが報じていました。


・ニューヨーク。2020年8月。zerohedge.com

どこの国や地域でも、最も壊滅的な影響を受けている業種のひとつは飲食関係等ですが、今回は、アメリカの「レストラン・ビジネス」という外食産業のためのビジネスメディアに掲載されていた、やや、もの悲しい記事をご紹介したいと思います。

それは、

「ニューヨークの独立系レストランのオーナーが同時多発テロの都市以来続けていたレストランを閉店したことについての手紙」

です。

このオーナーは、現在ニューヨークに複数のレストランを持つのですが、そのうちの最古の店のひとつを閉店せざるを得なくなり、そして、今の状況では「完全に廃業せざるを得ない」と述べています。

閉店したレストランは、冒頭の写真の「マーメイド・イン」というお店ですが、閉店までに 85万人のお客さんがやって来たニューヨークの気さくな人気店だったそうです。

このオーナーは手紙のなかで「ニューヨークのレストランの閉店の津波はこれから来る」と述べていまして、政府からの給付手当て等が終了し、しかもニューヨークはいまだに屋外スペース以外は、レストランが閉鎖されているようで、「もうどうにもならないところまで来ている」のだそうです。

アメリカのレストランの状況を伝えている「オープンテーブル」というサイトを見ましたら、アメリカのレストランの客入りは、回復するどころか、「むしろどんどん悪化している」ことがわかります。

以下は、8月23日から 9月10日までの北米のレストランの予約状況です。

2020年8月23日 - 9月10日の北米のレストランの予約状況

OpenTable

「緩やかな回復さえない」ことが、少なくともこのグラフからはわかります。

もちろん、アメリカでも州や地域によって異なるでしょうが、ニューヨークなどのいまだに店内飲食店が閉鎖のままの地域では、数字はこれどころではないものとなっているはずです。

今回ご紹介する方の言うように「閉店の津波はこれから」なのかもしれません。

日本がどうなのかはわからないですが、少なくともアメリカでは、「耐えられなくなってくる店」がこれから増えるようです。

では、レストラン・ビジネスの記事をご紹介いたします。

 


レストラン・オーナーからの送別の手紙

A Farewell Letter From An Independent Restaurant Owner
Restaurant Business 2020/09/11

ダニー・エイブラムス氏とシンディ・スミスさんが自分たちのレストラン「マーメイド・イン」のオリジナルの場所を閉店したことは、ニューヨークの他の飲食店も同じようなパンデミックからの影響の状況を示している。いつかニューヨークに良い日が戻ってほしいという願いをこめて記す。

エイブラムス氏が、アメリカ同時多発テロで攻撃を受けた世界貿易センターのある場所から 6ブロックの位置にレストランをオープンしたのは、2011年9月11日から 6週間後のことだった。

同時多発テロの直後のこの困難な時期でも、彼のレストランは街に歓迎され、初年度は、1日 100人を超える来客があった。

「しかし、今回はまったく違います」とエイブラムス氏は言う。

「当時と比較するのも難しいです」

もちろん、これはパンデミックの影響のことを言っている。

エイブラムス氏と彼のパートナーのシンディ・スミスさんは、ニューヨークで 7つのレストランを経営している。その彼らは最近、オープンして 17年後に、イーストビレッジにあるレストラン「マーメイド・イン」を閉鎖するという難しい決断をした。

エイブラムス氏は、

「ニューヨークのレストランの閉店の激しい津波は、これから起きることだと思います」

「それが起きるのは、9月の後からでしょう。レストランの経営者たちは、まだかろうじて踏ん張っているし、若干の人たちもまだこのエリアで遊んでいます。ですので、まだ本格的な閉店の津波は来ていないと思われます」

ハッピーアワーで地元の人たちに知られていた「マーメイド・イン」は、内部に約 80席、庭に 20席、歩道に 16席がある店だった。この店は、春と夏は通常は好調で、冬は客足が鈍ったという。

その稼ぎ時である春から夏にかけて、パンデミックの影響を受けた。

「私たちの店は、5月、6月、7月、8月、9月にお客さんたちで賑わうことが営業上必要でした」とエイブラムス氏は言う。

エイブラムス氏とスミスさんは、閉店の経緯についての詳細な手紙を書き、レストランの閉店を説明し、独立系レストラン経営者たちへの現在の圧力を詳述した。そして、それを facebook ページで共有した。

二人は現在、既存の概念での経費を削減するためにできる限りのことを行っており、この危機が過ぎ去るまで、すべての店を失わない努力をしている。

「今は生き残ることがすべてです」と彼は言った。

マーメイド・インの共同所有者であるエイブラムス氏とスミスさんによって書かれた後に、ソーシャルメディアで共有されているこの手紙を、ふたりの許可を得て、ここでご紹介する。

ここからだ。

96セカンドアベニュー「マーメイド・イン」からの手紙

大切なお客様とお友達へ

96セカンドアベニューの「ザ・マーメイド・イン」が閉店したことについては非常に悲しく思っています。賃貸契約は 8月31日に期限切れとなり、パンデミックの中で、家主と合意に達することができませんでした。

過去数年間にわたって私たちをサポートしてくれた素晴らしいお客様と従業員のすべてに感謝します。

静かなセカンドアベニューにある小さな 29席のレストランから始まったこのレストランは、これまで何十万人ものお客様を迎え、何千人もの人々を長年雇用してきた場所へと成長しました。非常に多くの人たちが、私たちのレストランを受け入れてくれ、成功することができたことは非常に光栄です。

私たちのこのレストランが 17年半ものあいだ、ニューヨークで存続し、繁栄することは、私たち全員が誇りにできる成果だと思います。そして、もちろん、それは、お客様たち皆さんがいらっしゃったたからこそ成し得たことです。

私たちは皆、お気に入りのレストランを失ったことを嘆いています。それは私たちの魂に栄養を提供していました。それがなくなったとき、お客様たちが住んでいた近所の魂の多くも同様に失われました。

お客様とサーバー、そしてバーテンダーやサポートスタッフたちとの日常のささやかなふれあい。そして、近所で感じることのできるくつろぎ。それがすべて失われてしまいました。

 

マーメイド・インを数字から見る

この私たちの提供する情報は、1つのレストランがそのコミュニティと近所の街に何を与えるかを説明します。パンデミック以来、多くのレストランが閉店し、パンデミックが続くにつれてさらに多くのレストランが閉店し続けます。その波及効果は計り知れません。

マーメイド・インは、以下のような数字を出していました。

・これまでに 85万人以上のお客様をお迎えしました。

・これまで一緒に過ごした従業員の数は 2,000人以上で、彼らに 1,500万ドル (15億円)を超える賃金を支払いました。

・ニューヨーク市と州、医療保健などに 210万ドル(2億1000万円)以上の税金を納付しました。

・ニューヨーク州に 400万ドル(4億円)を超える売上税を送金しました。

・何百人もの勤勉なベンダーに1,500万ドル(15億円)以上を支払いました。

・営業許可証、営業免許などのために市や州に数十万ドルを支払いました。

なぜ、これらの数値を提示したかというと、たった 1つのレストランの閉店がもたらす影響でさえも、このようなものになるということを示すためです。

そして今、ニューヨークでは何千というレストランが閉店し続けているのです

それは、従業員の機会の損失、ニューヨーク市や州、地方自治体の収入の損失、魚の小売り会社、野菜の小売り会社、リネン会社、その他の多くの関係企業の損失につながっていきます。私たちレストランが支払いをしなければ、従業員に支払いができない会社が数多くあります。

つまり、影響の連鎖は決して終わらないのです。

このパンデミックの間、レストランとホスピタリティ業界はひどく無視されてきました。そして、すべての中小企業もそうです。

給与保護プログラムでは、52週間も続いているパンデミックの問題に対して 8週間分だけの資金が提供されました。

そのお金が誰に支払われたのかを見てみると、不動産の所有者、保険コングロマリット、器具の提供会社など、商品やサービスを提供してくれた何百もの中小企業には 1セントも行くことがありませんでした。

私は 1984年以来ニューヨークに住んでいますので、その間に発生したあらゆる危機の最中に、銀行、航空会社、保険会社などの大企業が救済されてきたことを見ています。

大不況の間、銀行と保険会社は資金を迅速かつ自由に利用し、世界経済を失敗の危機に瀕させました。なのに、彼ら銀行と大企業は私たちの税金で救済されました。

なぜ中小企業は常に与え続けなければならず、与えられることがないのか。

それは計り知れないほど不公平に思えます。

私たちのレストランは、政府により(ロックダウンによって) 3月16日に閉鎖するよう義務付けられました。

一部の従業員たちは、従業員やお客様が病気になるのを恐れていましたので、その日付より前に店は閉鎖していました。

当初、私たちは、ウイルスを封じ込める手助けをすることができるように、喜んでそうしました。しかし、ここ(ニューヨーク)は、それから 5か月半後の今、まだ店は閉鎖されており、私たちの将来がどうなっていくのかの明確な兆候さえないのです。今後についてニューヨーク市や州からの明確な連絡はありません。

当面のビジネスに関しては、選択肢はほとんどありません。

配達(料理の宅配)は、レストランに利益をもたらしません。一部のレストランでは屋外席が役立っていますが(屋外席の営業は許可されている)、天候に左右されるため、不確実性が高まります。

また、多くのレストランでは、満席率 50%で営業を再開することは簡単ではありません。ニューヨークでのビジネスのコストを考えると、ベストタイムでしか収益を上げられない 75席のレストランが、40席で、しかもバーを閉鎖して再開して、どうなるというのでしょうか。

従業員に支払うだけの十分なお金を稼ぐことすらできません、ましてや自分たちのの収入や家賃さえも支払えるものではないのです。

もはや、従業員への支払いを継続することはできません。連邦補助保険は終了しました。

ニューヨークの基準でまともな生活を送っていたサーバー、バーテンダー、マネージャー、ブッサー、フードランナーなどは、現在、ほとんどが、週 504ドル (5万円)が支払わられるニューヨークの失業手当てだけで生きています。

週に 504ドルでは、彼らは、家族全員を養うことはできません。

それよりはるかに少ない手当ての人たちもたくさんいます。

これは、進行中のゆっくりとした人道的災害であり経済的災害です。

これから先、どんな希望があるでしょうか?

家賃を支払うお金はもうありません。あとは、家主が私たちに生き残ることができるような慈悲を期待するだけです。そうでない場合、廃業するしかないでしょう。

私たちの業種は、雇用と経済への貢献の面で市や州に多くを提供してきた産業ですが、このような扱いでよいのでしょうか。

私たちは以前にも、ニューヨークの逆境に対処したことがあります。それは 2001年9月11日のわずか数週間後に、グラウンドゼロの北 6ブロックにレストランをオープンしたときでした。

アメリカの悲劇の後でしたが、私たちがオープンした最初のビジネスでした。それでも、その大不況を私たちは(かろうじて)生き延びました。州および連邦レベルで何らかの行動がない場合、生き残ることはできませんでした。

なお、最後となりますが、私は、ニューヨーク市が「終わった」という予測を完全に信じているわけではありません。

ニューヨークにはいつの日か、また活気が戻ってきます。以前(の大不況などの時)よりも時間がかかるかもしれないですが、元のニューヨークはいつか戻ってきます。

ニューヨークは、演劇、ダンス、料理、音楽、ナイトライフ、観光、金融サービスの標識であり続けます。ニューヨークは常に若者たちを引き付け、多くの夢や希望を可能にし続けます。

レストラン業にしても、才能のある若いシェフが彼ら自身のレストランを開くことをやめないでほしいと思います。私たちはエネルギーを持ち行動し続けなければなりません。

ニューヨークのすべてのレストランが消えてしまう前に。

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