・3月14日 パリのコンコルド公園。この後に店舗の閉鎖命令が発令。 NY times
世界的な医療の崩壊を懸念する専門家たち
タイトルに、
> バチカンで90万人が死亡したと伝えられた日に
という文言が入っており、これは何だかよくおわかりにならないかもしれないですが、毎日見ています「新型コロナウイルスのリアルタイムデータ」のサイトを今日の午前に見た際に、以下のような表示がなされていたのです。
3月16日午前の新型ウイルスのリアルタイムデータ
・coronavirus
これは日本語に置き換えていますが、実際には英語で示されています。
感染確認者が多い順番に並べられていますので、これまではずっと最初は「中国」でした。つまり、常に「一番上は中国」という先入観があって、いつも、まず数字だけを見ます。
すると、このグラフにありますように、
「 3月15日の新たな感染確認者数 56万8000人」
「 3月15日の新たな死者数 89万2000人」
というような数字が示されていましたので、私は思わず、「お、ついに中国が本当の数値を?」というように思ったのですけれど、その横を見ると、「バチカン市国」とあるではないですか。
「なんで人口 800人のバチカンで、56万人が感染する……」と思うと共に、そもそも、「死者数が、感染者数を上回っている」のですね。
「これは、統計をとるプログラムになんかあったのかな」
と思いまして、ページを閉じたのですが、その後、しばらくしてアクセスしますと、以下の内容のメッセージが英語で示されていました。
一時的なご不便をおかけして申し訳ございません。私たちのサイトは、約 20分間、悪意ある行為により明らかに誤ったデータを示しました。私たちはこの問題を調査しましたが、これが再発しないように現在、セキュリティ対策を実施しています。
先日も私たちのサイトは、大規模な DDoS 攻撃(サイバー攻撃のひとつ)に見舞われました。しかし、私たちは日々の努力を続け、根を上げません。
どうも、この「新たな感染確認者数 56万8000人」という数値はサイバー攻撃的なものにより「改変」されたもののようです。
「なんだか、いろいろと混乱しているなあ」
とつくづく思います。
しかし、この「感染者数 56万人」というような数字も(中国は除外しても)いつかは到達してしまう数値なのかもしれないですしね。
現在のペースでの増加が、他の国などでも発生すれば、かなり現実的な数字だとも思います。
この新型コロナウイルスの「今後」については、アジアでも欧米でも、専門家たちの意見はさまざまなものとなっていて、「今後も深刻に増加していく」というものもあれば、そうはならないというものもありますが、たとえば、「深刻になっていく」とする専門家の意見には次のようなものがあります。
これは、米ゼロヘッジが、アメリカの生物学の学者の意見を紹介したものですが、その生物学者リズ・スピッチ(Liz Specht)博士は、「 5月にはアメリカで病院のベッドが足りなくなる」という内容を、ツイッターに投稿している内容を紹介していたものからの抜粋です。
リズ・スピッチ博士の投稿より
・(アメリカでの新型コロナウイルスの感染拡大は) 6日ごとに 2倍の症例となっていくと考えられます。
・つまり、4月末までに約 100万件となり、5月5日までに 200万件、5月11日までに 400万件となる調査があります。指数関数を把握するのは困難ですが、これはその中の方法論のひとつです。
・この想定により、ヘルスケアシステムが飽和し始めると、新たな感染者の検出、追跡、封じ込めがますます難しくなります。極端な介入がなければ、これは影響がアメリカの人口の 1%以上に達するまでになる可能性があります。
・アメリカでは、1000人あたり約 2.8床の病院用ベッドがあります。アメリカの人口は 3億3,000万人で、つまり、最大 100万床があります。それらのベッドのうちの 65%はすでに、あるいは常に使用されています。ここから考えますと、利用可能な病院のベッドの数は、約 33万床より少ないことになるのです。
・イタリアでの臨床例の数字を信頼し、COVID19に感染した人の中で、入院の必要性がある症例が感染者の約 10%と想定します。ここで注意したいことは、COVID19での入院の多くの場合、入院は何週間も続くということです。
・この見積もりでは、5月8日頃までに、米国内のすべての病院のベッドが満杯になります。重症になる率が 5%なら、5月14日まではベッドは開いています。
・さらに、マスク。アメリカ連邦準備制度理事会によると、サージカルマスクの全国備蓄はあるとされていますが、アメリカには約 1800万人の医療従事者がいます。毎日、そのうちの 600万人の医療従事者が働いていると仮定し、すべての医療従事者がマスクを着用するとした場合、医療従事者たちが 1日に 1枚のマスクしか使用しないとしても、2日間でサージカルマスクの備蓄は尽きるのです。
・マスクの大半は海外で製造されており、ほぼすべてが中国で製造されています。そのために、新しいマスクの生産を高速にするのは容易なことではありません。さらには、世界中のすべての国がまったく同じ危機と不足を同時に経験するということに留意してください。
この後も、延々と、アメリカの医療崩壊の危機についての主張が続くのですが、最後のほうには、以下のように記しています。
・世界中の著名な複数の疫学者たちが、来年中に世界の 20〜 70%が COVID19に感染すると推定しているのをご存じでしょうか。先ほどの 6日間の倍増率を使用すると、今年の 7月のある時点までに、世界の約 20〜 60億人が感染します。
・これは、仮説的で恐怖に満ちた最悪のシナリオではありません。現在利用可能なデータでわかる限り、これは現実だと言わざるを得ません。私は生物学者であり、疫学者ではありませんが、自分の考えを述べさせていただきました。
現在、各国でおこなわれているような、隔離封鎖政策がうまくいったり、あるいは、一部の専門家たちが言うように、「暖かくなれば、ウイルスの活動は弱まる」という説のようになれば、このような悲観的な見通しとなることはないのかもしれません。
リズ・スピッチ博士の「医療崩壊の危機」は、病院のベッドを使用しなければならない人の数、つまり重症化する人たちの率によるということは言えそうです。
どれだけ数多くの人が感染したとしても、重症化する人が少なければ、入院する人の数も少ないということになり、医療の崩壊というような危機に直面することはなさそうなのですが、そのあたりで、どうもちょっと気になることがあるのです。
病気の「質」が変化してきている
前回のメルマガでは、この新型コロナウイルスが「アメリカから広がったものかもしれない」という可能性を、中国、台湾、カナダなどの科学者たちとメディアが述べていることについて少しふれました。
そこでは、カナダのグローバルリサーチというメディアが、3月4日に発表した記事をご紹介しているのですけれど、抜粋しますと、以下のような部分があるのです。
現在までの解析では、「新型コロナウイルスには、5種類の異なるハプロタイプ(株)があり、それぞれの致死率が違う」というのです。
カナダ・グローバルリサーチより
新型コロナウイルスには、発生源が 5カ所あることが知られるが、台湾の科学者は、その既知の 5つの株すべてをアメリカだけが持っていることを実証した。
武漢を含めた中国のほとんどと、台湾と韓国、タイとベトナム、シンガポールとイギリス、ベルギーとドイツなどでは、1つのタイプの感染しか起きていない。なので、他のハプロタイプはアメリカで生まれた可能性がある。
韓国と台湾のウイルスのハプロタイプは中国とは異なり、おそらく感染性は高いが致死性は、はるかに低く、死亡率は中国の 1/3にすぎない。
上記のテストにはイランもイタリアも含まれていないが、イランとイタリアは、現地で流行しているゲノムを解読し、中国のものとは異なるタイプであることを確認した。つまり、イランとイタリアのコロナウイルスのタイプは、中国からではなく、別の感染源から導入されたものといえる。
イタリアのタイプは中国とほぼ同じ致死率を持ち、他の国の 3倍の致死率を持っているが、イランのタイプは致死率が 10%から 25%の間であり、最も致命的であるように見えることは注目に値する。
膨大な量の西側メディアの報道により、世界の多くはウイルスは中国から他のすべての国に広がったと考えてきたが、これは今や間違っていることが証明されつつあるのかもしれない。
この記事は大変長い記事ですが、要旨としては、以下のようなものです。
・新型コロナウイルスには5種類の株(ハプロタイプ)がある
・感染拡大している各国によりタイプが違う
・どの国も 1種類だけなのに対して、アメリカでは 5種類すべて確認された
・最初の感染発生は 2019年9月だった可能性がある
・アメリカでは中国より早く感染が始まっていた
・インフルエンザの猛威により、それがわからなくなっていた可能性がある
アメリカがこの新型コロナウイルスの発生に関与している可能性というような陰謀論的な部分は、ここではどうでもいいことですが、各国の致死率のバラツキを見ると、
「さまざまな致死率を持つ異なるコロナウイルスがある」
ことは、ほぼ間違いないと思われます。
イタリアやイランでの致死率の高さについては、高齢化だとか、いろいろと言われますが、今や主要国はどこも高齢化が著しく、7%ほどもあるイタリアの致死率の高さは同じ株のウイルスとしては、説明がつくものではないです。
各国の新型コロナウイルスの致死率(3月15日の時点)
・イタリア 7.3%
・イラン 5.1%
・スペイン 3.6%
・日本 2.9%
・イギリス 2.5%
・アメリカ 1.8%
・韓国 0.9%
イタリアの致死率は、韓国の 8倍となっています。
そして、先ほど書きましたように、この新型コロナウイルスには「 5種類の株」があり、それぞれで致死率が異なるということについては理解もできるのですが、もうひとつ思ってしまうことが、
「変異はしていないのだろうか」
ということなのです。
以下の記事でふれましたように、この新型ウイルスは「すでに変異」していることは、公式に認められています。
変異か新種か。コロナウイルスが「毒性と感染性の強い株に進化した」ことが北京大学の研究で見出される。さらに新型ウイルスは「ウイルス性脳炎を発症させる」ことも判明
だとしたら「登場から変異までのスピードがとても速い」と思わざるを得ないのですが、そんなに変異しやすいものならば、
「そこから、さらに変異しているということはないのだろうか」
と「あること」から思ったのです。
「あること」というのは・・・たとえば、この新型コロナウイルスの特徴として、これまで言われてきたことは、
・重症するのは圧倒的に、70代以上の高齢者
ということでした。これは少なくとも、現在までの日本などでもある程度は当てはまります。
ところが、
「それが変化してきているかもしれない兆候」
が起きているのです。
3月14日に、フランスの医師が、
「フランスでは、集中治療室に入っている重篤な患者の 50%が 60歳未満」
と報告したことが、アメリカのメディア「アトランティック」の記者が伝えているのです。
さらに、オランダでは、
「重篤な患者の半数が 50歳未満」
だと、現地の報道が伝えています。
何かが変化してきているかもしれないのです。
このことを伝えていた米ゼロヘッジの記事をご紹介して締めさせていただきます。
高齢者だけでない:フランスの医師たちは、ICUの重症患者の50%が60歳未満であり、オランダでは半数が50歳未満であることが報告されている
Not Just Seniors: French Doctors Report 50% Of ICU Patients Under 60 Years Old, Netherlands Under 50
zerohedge 2020/03/15
フランスとオランダの両方の医療専門家たちが、新型コロナウイルスで重症化して ICU で治療を受けている患者の年齢の比率が、フランスでは半数が 60歳未満で、オランダでは、半数以上が 50歳未満であると報告されている。
ザ・アトランティックの記者は、「フランスでは、新型コロナウイルスで重篤な状態で集中治療室に入っている 300人の患者の 50%が 60歳未満だ」と3月14日にツイートした。
また、オランダでは、重篤な患者の半数以上が 50歳未満であると伝えられている。報道は以下のように伝えている。
「現在、オランダの集中治療室で重篤な状態にあるコロナウイルスの患者は 40人から 50人で、それらの患者の半数以上は 50歳未満だ。十代の若者も含まれる」と、インタビューに対して、オランダ集中治療協会の会長は述べた。
3月14日には、オランダで、吐き気と頭痛を訴えた後、集中治療室に搬送された 16歳の少年の症例が記録された。少年に基礎疾患はないされる。少年は現在、昏睡状態だ。
これらのフランスとオランダの報告は、新型コロナウイルスが「高齢者だけを重篤にする」というこれまでの見解に反するものとなっている。
アメリカでも、今のペースで患者が増加すると5月中旬には病院のベッドは完全に満員になると予測されていることを考えると、新型コロナウイルスが高齢者だけでなく、若い世代にも影響しているという事実の意味は重要となるかもしれない。また、新型コロナウイルスが、高齢者だけに影響を与えているという、これまでの報告も考え直すことになる可能性がある。
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