無慈悲の徴候
こう何というか、最近の自然災害によく見られる概念として、
「無慈悲」
というものがあります。
昨年は、カリブ海をいくつもの超強大ハリケーンが通過していきましたが、ハービーという名のハリケーンと、イルマという名の特大のハリケーンーが、共にカリブ海諸国に壊滅的な荒廃をもたらした後、「ほとんど同じコース」を「マリア」という名のハリケーンが直撃しました。
それについては以下の記事で取りあげたことがあります。
ここでは、すでに破壊されている地域にさらに大きなハリケーンが向かうという光景が展開されていたのですけれど、この「マリア」というのが、カリブ海諸国で使われているスペイン語では、聖母マリアと同じ綴りの Maria であるあたりにも無慈悲を感じたりしました。
こういう例は最近とても多い気がします。
ごく最近では、本日の「地球の記録」で記事にしたのですが、ヨーロッパ史上最悪の被害の山火事(現時点で死者 85名、行方不明の人は 100人以上ともいわれています)が発生してギリシャのアテネ近郊で、火災が進行している中で「豪雨による洪水が発生する」という出来事が起きています。以下の記事です。
しかも、これは「極端なゲリラ豪雨」的な集中豪雨によるもので、火災の発生しているあたりには、雨の影響は及んでいないようなのです。
単に「山火事と大洪水が同じアテネのエリアで平行して起きている」という構図となってしまっていました。
このギリシャの例は、無慈悲というのとは違うのかもしれないですが、「普通こんなこと起きるだろうか」と思わざるを得ないようなことがとても多いです。
そして、今、日本に向かっている台風 12号(英名:ジョンダリ)も、当初考えられていたよりも「はるかに無慈悲なコース」へと変わろうしています。
下の図は、7月27日 午前10時の時点での台風 12号の予想進路図です。
台風12号の予想進路
このコースの通りだとすると、「台風 12号が最も激しく直撃するのは、豪雨被害のあった地域」ということになってしまいます。
もちろん、当初からそのように想定されていたのなら、最初から覚悟もできるかもしれないですが、
「台風 12号が発生した時に、現在のようなコースを取ることを予想していた気象機関は世界にもほとんどなかった」
のです。
台風が発生した際には、世界中の気象機関が、その進路コースを予想します。それぞれの組織や機関によって、少しずつ予想が違うのが普通ですが、台風 12号が発生した 7月25日に、世界の気象機関はどのような予想を出したかを見ていただければおわかりになると思います。
下のそれぞれのラインが、台風 12号が発生した 7月25日の時点で、世界の気象予測機関が発表していた進路予想です。
やや近い進路モデルを提示しているラインはありますが、多くは、関東から中国大陸に直進していくような予想でした。
しかし、現実には、現在の予測では、緯度でいえば 北緯 33度くらいから「急激に西に曲がる」というルートをとる予測となっていて、台風の影響の中心が、関西から九州ということになってしまっています。つまり、先日の甚大な洪水の被害のあった地域そのものです。
仮に、現在の予想ルートと同じように台風 12号が進みますと、日本周辺の海水温度が非常に高いために、あまり勢力が衰えないまま上陸ということになる可能性もあります。
もちろん、早く去ってしまえば影響は少ないのでしょうけれど、現在の予想図を見ますと、7月30日にもまだ予報円は九州にかかっていまして、雨などの影響が長い可能性もあります。
「いくらなんでもこのコースは……」と思わざるを得ない無慈悲を感じるしかないようなことになっているのですが、しかし、影響や被害は実際のその時にならないとわかりませんので……。
そして、そんな台風が日本に迫っている今日( 7月27日)は、「赤い月」つまり、皆既月食が広範囲で観測される日でもあります。
21世紀最長の血の月は「3連続する食の真中」
どうして台風の話から月食の話になるのかといいますと、もともと私は、月や太陽の「食」というものと、地球での事象との示唆的な関連に興味を持ち続けていたということがあります。
そして今年 2018年は、その最初の月である 1月に、皆既月食としての珍しい事象「スーパー・ブルー・ブラッドムーン」が「 150年ぶり」に出現した年なのですが、その 150年前の日本というのが、「大転換の年」だったのです。
それについては、以下の記事に記していますので、ご参考いただければ幸いです。
150年ぶりに「スーパー・ブルー・ブラッドムーン」が出現する : 前回の1866年は江戸時代が消える日本の近代史上最大の転換点の時だった
その記事に下の図を載せていますが、これでも何となくおわかりいただけるかもしれません。日本が、江戸時代から明治に移行することに関しての象徴的な年だったのです。
そういう年の中での「皆既月食の日」というのは、以前から気になっていたのです。
そして、7月27日の今日の月食は「1ヶ月で3回《食》が連続する」という、比較的珍しい事象の中間にあたるのです。
これに関しても、下の記事で取りあげさせていただきました。
その3回は、以下のようになります。
・7月13日 (部分日食) オーストラリアや南極などの南半球の一部
・7月27日 (皆既月食) 北アメリカ「以外」のほとんどの地域
・8月11日 (部分日食) 中国など
こういうことになっていまして、今日の皆既月食は、天候によっての見える見えないはともかく、「北アメリカ大陸以外」のほとんどの地域で観測できるものです。
また、あまり関係ないですが、今は「火星が非常に地球に近づいている」時でもあります。皆既月食というのは、「赤くなる」のですが、それと共に赤く光る火星が共に大きく観測されることになります。
これについては、ロシアのスプートニクが以下のように簡潔に伝えています。
「血のしたたる」月と火星 今世紀最長の皆既月食が今月末に
スプートニク 2018/07/10
7月27日の皆既月食、それは「血のしたたる」ような赤い月となるが、 21世紀最長の時間で観測される。
英国インディペンデント紙が報じた。
皆既月食の時には、共に、火星も通常より明るく見ることができる。火星が地球にこれだけ接近するのは 15年ぶりのこと。
この皆既月食は 1時間 43分続く。これだけの長さの月食は今世紀最初で最後となる。こうなる理由は月が地球からかなり離れた地点を通過するため。
赤い皆既月食が一番よく観測できるのは東欧や南欧で、逆にアメリカ大陸からは今回の皆既月食は一切観測できない。
いろいろと「稀少尽くし」であることがおわかりかと思います。
・今後も含めて、21世紀で最長の 1時間 43分続く月食
・北アメリカだけが観測できない
・1ヶ月で3連続する「食」の渦中
こういう月食であるだけに、以前から、この日は気にしていました。
もちろん、ここに書いたようなさまざまなことは、単に個人的な思いであり、強迫観念的なものでもあります。
間違っても、一般的な主張として書いているわけではないですので、普通は気にするようなことではないのだと思います。
ちなみに、私が初めて「赤い月」、すなわち皆既月食に興味を持ったのは、「イスラエルの建国と皆既月食に密接な関係があった」ことを知った 2014年からです。
それに関しては何度か記事にしていますが、最初の記事は以下のものでした。
赤い月と黒い太陽: 2014年から 2015年まで「4回連続する皆既月食」がすべてユダヤ教の重要宗教祭事の日とシンクロ。そして、過去の同じ現象の時に「イスラエルの建国」があった
In Deep 2014/04/06
さらにいえば、 6年も前の記事ですが、私が「日食や月食の発生という事象自体が奇跡なのだ」と気づいた 2012年頃から、《食》には興味を持ち続けています。
それに気づいた時の記事は、
・2004年の金星に現れたアークは再び現れるのか。そして、私たちは太陽系システムの奇跡にそろそろ気づかなければならない
In Deep 2012/06/05
にあります。
それ以来、どこからどう考えても、日食も月食も奇跡の現象であるとしか思えないのです。その成り立ちを合理的に説明することには無理があると考えています。
ところが、現代の私たちはそのような現象を「物理的なありふれた現象」として、《食》に対して感動も畏怖もないような世の中にしてきました。
そのような計算できる自然の現象に尊厳とか畏怖とかを覚えるようなことは恥ずかしいことだ、と。
そのような自然を貶める価値観が科学という名のもとにおいて極限にまで増大したのが今の世の中であり、それは自然にとって宇宙にとって嬉しいものなのかどうか……というようなことも考えます。
先ほどリンクしました記事の最後のほうに私は、以下のように書きました。
今年 2018年……というより、今年を含んだこの数年の間というのは、ある程度の節目となりそうな事象がある示唆が存在するということにもなるのかもしれないです……
いずれにしましても、私たちは今このような渦中にいて、そして「無慈悲」と直面し続けていることは事実ですし、今後もそれが続きそうなことも確実だと思われます。今はまずはこの状況と現実的に、そして合理的に向きあうしかないのかもしれません。
気がかりな数日間となりそうです。
そして、その後も「気がかりな数年間」ということになっていくのかもしれません。